それが現れたのは、一夏が鈴を庇いゴーレムの一撃を受けた直後。
まるで最初からそこに存在していたように。
アリーナの上、ちょうど最初のゴーレムが破壊した天井の真上にソレは居た。
故に、その場に居た全員にそれは認識される。
「嘘……3機目……」
「なんで……だよ……」
それは先程までのゴーレムと同じような形をしていた、だからそれまでゴーレムと戦っていた鳳鈴音と空野春樹は自分達が絶望的な立場にいると理解する。
が、しかし。
先程までと違う事もある。
「2人とも下がって! 織斑君の救助を最優先に、私達で対応します!!」
到着した救助班である。
教師である彼女達は戦っていた3人の救助を主目的としつつ、出現した正体不明ISへの対応を行うメンバーの先駆けでもある。
ISを装着している者もおり、その実力も確かだ。
この学園でISについて教える教師には、それ相応の実績が求められる。
事実として救助班のIS装着者達も元代表候補生であり、仮に一夏達が束になって挑んでも誰一人倒すことはできないだろう。
更に、彼女達はあくまで先駆けである。この後にゴーレムを拘束・破壊を目的とした実戦仕様のISを装着した後続が到着予定である。
まさしく洗練された大人達の対応。
本来ならば、正体不明のIS一機程度なら問題なく制圧しただろう。
「(ま、アレは普通どころかISですらない訳ですが……はぁ……やっぱり出てきた)」
そう小さく呟いたのはこの世界という物語の観測者にして神の使いである繰空廻。
観測権限という名のチートを使い、気配遮断で一般生徒達から距離を取り、透視によって防護用の分厚いシールド越しにアリーナの様子を観察していたのだ。
大きく溜め息を吐き出し、仕事の準備を始める。
「射撃準備よし、撃て!」
ISを装着している教師一人の掛け声を合図に、一斉に始まるISによる射撃。
放たれた弾丸は正確に3体目のゴーレムに向かい、メイン武器の両腕とセンサーと思われる頭部に命中した。
そう、
ドロォ……
「な、何なの、あれは……?」
弾が命中した箇所からはドロリとした黒くて粘度のある、タールのような物体が溢れていた。
その不気味な様子に思わず射撃が止まる。
黒い物体は血のように溢れ続け、やがて撃ち込まれたであろう弾丸が吐き出されたことで、ゴーレムに与えた傷が
「なっ、傷が塞がった!? 何なのあれは……本当にIS………?」
「何だよ……全然違いすぎるだろ!!」
驚愕している教師達と春樹。
お前達の意見は関係無いと言わんばかりに、ゴーレムが両腕を敵に向ける。
そして始まるエネルギーチャージ、端から見ても分かるほど光を放ちながら両腕にビーム用のエネルギーが貯まっていく。
「敵機体に高エネルギー反応!! これは……先程の2機とは比較になりません、直撃したらISなんて関係ありませんよ!?」
「なっ!? 総員退避だ! 早く逃げろ!!」
指揮を取っていた教師が命令するが、遅い。
既にチャージを終えたゴーレムが照準を合わせる。ゴーレムが狙うもの、即ち本来の世界には存在しない
そして
「狙いは俺かよ!?」
「ロックされた、一夏!!」
もはや戦えない春樹は悪態を叫び、鈴は生身である一夏を守ろうと覆い被さる。
狙いが生徒だと分かった教師達も守ろうとするが、間に合わない。
極太のビームが放たれ、狙い通りに春樹を中心としたメンバーに絶望が降りかかる。
当たれば文字通り消滅、そんなビームを相手に春樹は最後まで抵抗しようと零落黒夜を起動し、鈴は目を瞑って一夏を守ることだけを考える、一夏は気絶したまま、このままいけば3人の命は終わりを迎えるだろう。
『当然、ここで終わらせなんてしませんよ』
ビームが当たる直前に青色の球体エネルギーが現れ、その中から一機の全身装甲のISが現れる。
まるで鳥のような姿をした黒に近い藍色、所々オレンジと青色に光るその機体。
別の世界ならば、マークアレスと呼ばれる機体を纏い繰空廻は現れた。
そのままおもむろに左手を突き出し、腕部からブレード兼砲身となるパーツを展開。
それを向かってくるビームに向ける。
『各自、対ショックよろしくお願いします』
そんな、軽い口調の警告の後。
ゴーレムが放ったビーム以上の光が放たれた。
アレスが放った光がゴーレムのビームと衝突ーーーなんてすることもなく、光がビームを飲み込んでゴーレムに向かっていく。
『…………』
ゴーレムは抵抗することも無く光に包まれ、やがて四肢を失い、ボディを失い、紅く輝くコアだけになってアレスからの光が消える。
コアは地面に落ち、戦いが終わるーーーなんて思ったのは、春樹と鈴の2人だけだ。
ISを装着している教師達が、アレスへと銃口を向けた。
「ちょ、なんで俺達を助けてくれた人に銃を向けるんだよ!?」
「空野君。君が言っていることは事実であり、私達としても恩人に銃を向けるのは不本意だよ。だがこのISが正体不明であり、先程の機体達との関係も分からない以上君達生徒の安全が最優先だ。そういう訳で、機体を解いて話を聞かせて欲しいのだけれど?」
話し方こそ高圧的に見せたが、その場にいる教師全員が冷や汗をかいていた。
当然だ、先程の光としか言えなかったエネルギー攻撃を見れば自分達の装備で拘束できるか不安しかない。
だが先程のゴーレムに比べればまだ希望はある。
あの光を放つ前に行われた警告。それによってこの機体とその持ち主はまだ話ができる、即ち交渉が可能という事実。
これにより教師達は何とか平和的な事態の収束を目指していた。
『あぁ……やっぱりまだ終わりませんか……』
突然アレスから声が発せられた。
変声機能を使った声はノイズが混じったような声だったが、その内容は問題なく聞き取れる。
と、同時に紅く輝くゴーレムのコアから例の黒い物体が大量に溢れ出した。
それは瞬時に形を作り、次の瞬間には先程と同じーーー否、先程よりも腕が二本増えて四本腕となったゴーレムが立っていた。
「嘘……」
「ば、化物……!?」
『はいはい、貴女達はここまでです。悪い夢ですよ、これは』
教師達が悲鳴じみた声を上げ、それでも銃を向けて戦おうとする。
元代表候補生の意地か、教師として生徒を守ろうとする覚悟か。
どちらにしてもこれまでを考えた上でゴーレムに挑むのは流石としか言えないだろう。
だが最早、これ以上彼女達が戦っても勝つ可能性は無い。ただ犠牲が出るだけだ。
だから、アレスの中で廻は
『観測者権限により世界時の間停止を申請……承認を確認。さて……これで私と
彼女の発言の途中から、文字通り世界の全てが止まった。教師達の叫び声も、放たれた弾丸も空中で止まってしまう。
そんな世界でも止まっていないゴーレムだが、困惑しているかのようにセンサーを動かす。
『…………!!』
そうして何故止まったのかは理解出来なくても、止まっているという現象を理解したゴーレムが本来の目的である異物……春樹を消そうと全ての腕を向ける。
『ここは人が多いので無しです』
直後、アレスがゴーレムに向けて突撃する。
ゴーレムからすれば唯一自分以外の動く存在、不意を付かれる形で接近を許す。
春樹に向けていた腕の内、右2つを防御に回す。が、それは廻にとって好都合。
アレスとゴーレムの距離が消え、アレスの背面に付いているワイヤーが展開、ブレードアンカーがゴーレムを突き刺して拘束する。
そしてアレスがここにやってきた時と同じ、青色の球体が現れアレスとゴーレムを包み込む。
やがて球体が消えた後には、アレスもゴーレムもいない。ただ時が止まった世界だけが残った。
ーーーーーーーーーー
IS学園から程よく離れた海の真ん中。
時間停止により波も止まった海の上空に青色の球体が突然現れ、その中から廻のアレスとゴーレムが飛び出した。
弾き出されたように現れたゴーレムは、四本腕を使い自身を拘束しているブレードアンカーを力任せに外す。空間を転移したと同時にゴーレムから距離を取ったアレスもワイヤーをゴーレムから外して背中の羽に納める。
『…………?…………!!』
「ポイントを確認、現在位置は……」
周囲の風景が変わり、海の上へと移動したとゴーレムが理解するには数秒かかった。
それと同じ時間で廻も自分達の場所を確認、IS学園からどれ程離れたかを調べる。
「問題無さそうですね、この周辺で行う戦闘の影響は最低限。この空だけです」
『…………』
「おっと、戻ることは許しませんよ」
ゴーレムは自分の位置を確認した後、再びIS学園に向けて移動を始めようとする。
このゴーレムの目的は世界の異物である春樹だ。
その排除が最優先事項であり、その過程としての戦闘に対した意味はない。
しかし、当然それを見逃す廻とアレスではない。
瞬時に加速してゴーレムの懐に飛び込んだ。
そこから両腕のブレードを展開、ゴーレムの左右の腕を切り飛ばす。
そこから更に、切り飛ばした左腕にIS学園で見せたものよりは少し出力の小さい、しかしゴーレムの腕を消し飛ばすには十分な光線を放ち左腕を一本消滅させ、その後は一旦距離を取りゴーレムの反応を確認する。
「やはりそうなりますか」
ゴーレムは飛ばされた腕の内、残っている右腕が黒い液状に変化して切り離された右腕目掛けて伸びていき、飛ばされた側も黒い液体に変化して伸びてきたゴーレムの腕と合流、やがて固まり元の形を取り戻した。
左腕はその断面から腕が構築されていき、こちらも元通りに再生される。
「機体へのダメージは意味がない。ならば狙うべきはコアです、ね!!」
無論、廻も元の形に戻る様子をただ見ていた訳ではない。
腕の再生時に活性化していた箇所を分析し、例の紅いコアの場所を把握。
そこから右腕から光弾を発射。それは先程までの光線と比べれば威力は低く、だがその速さと貫通力は上。
一秒も経たずに狙った箇所へ着弾、装甲を貫通しゴーレムに風穴を開けた。
が、それだけ。
形を崩すことも消える様子も見せないゴーレムに思わず廻が舌打ちを溢した。
「(コンマ以下の速度でコアが移動した……恐らく、あの機体に中身らしい中身はなく、あの半液体で出来ているということでしょう)」
結局のところあの姿は
故にコアが一定の場所に留まる事はなく、必要に応じて場所を変える。
そう推測した廻が次の手に移る。
「ではーーー剥がしますか」
アレスが加速してゴーレムに接敵する。
ゴーレムが拳を振るうが、逆に振るった両腕が切り飛ばされた。
再び再生の為に繋がろうとするゴーレムの腕、しかしアレスと廻は再生よりも速く、残っているもう二つの腕を切り裂いた。
また再生の為に形を崩し、それよりも速く今度は足が消える。再生よりも速く切り裂かれていくことで、コアの移動範囲である体が減っていく。
やがてコアとその回りだけになったゴーレムの体へ、アレスのアンカーブレードが突き刺さった。
左右四対、八本のブレードはコアの周囲にあった黒を引き剥がす。
そうして剥き出しになった紅いコアへ向けて、アレスの両手から放たれた光弾が突き進む。
「(取った!!)」
いけると確信した廻、だがゴーレムは予想を超える生き汚さを見せた。
まず、瞬時にコアから無数の防壁が多重に展開。
これによりブレードアンカーを外し、防壁を向かってくる光弾に全て向ける。
光弾はそれを貫通しながらコアを目指すが……防壁を貫く為にほんの少し、まさしく刹那、いやそれよりも少ない時間を消費する。
そのほんの少しの時間を積み重ね、正しく刹那的な時間を得たコアはゴーレムの胴体のみを作成。その中でコアを移動させた。
やがて着弾した光弾により作られた胴体の下半分は消失したがーーー残った一部でコアが生存。
コアを剥がされた事で形を失っているゴーレムだった黒い物体と融合し、瞬時にゴーレムを元の形で復活。
もう一度アレスと向き合った。
「なぁっ!?」
あまりの無茶苦茶さに普段は感情を出さないようにしている廻でも驚愕の声を上げてしまった。
あまりにも高い生命力、もはや生き汚いという言葉ですら足りないのでは、と感じながらそれが可能なゴーレムーーーというよりあの紅いコアと黒い物体について考える。
「流石は世界の修正力の化身ですね。いやはや、春樹君は意外と原作との隔離を引き起こしていたということですか」
とは言え、その正体を廻は知っている。
あれは言うならば、転生者という異物に対する世界の修正力。
原作という本来の運命、物語、世界の流れ。
転生者によって変わってしまったそれを元に戻すための力、そしてあのゴーレムはその
修正力は原作から離れれば離れるほど強くなる。
が、そもそも修正力自体に問題はない。
むしろ観測者達の上司に当たる神は、その
ならば何故今回のゴーレムはわざわざ廻が対処する必要があるのか。
それはこのゴーレムが修正力の化身という、
基本的に修正力は物語という世界の内部に直接干渉はしないのだ。
原作という世界の進みが決まっている以上、直接干渉するタイミングは無いに等しい。仮に直接干渉した場合、それが原因でまた世界が変わる可能性が高いからだ。
なので基本的には物語内部の存在を使い、間接的に干渉をすることで
それの方法は様々で、本来よりも敵を強くしたり、本来よりも敵の数を多くしたり、本来なら設定だけの存在を出したり、様々だ。
そして異物である転生者とその影響を受けたものを排除するのだ。
まあその結果、本来の
だが時折、修正力が直接干渉することが可能なタイミングがある。
それは例えば、
本来の物語でも明かされない正体不明の襲撃者。
明確な正体が明かされないからこそ、その枠に修正力を集め、化身を作るのだ。
それは世界の内部存在を介さない、修正力という世界の外側の力そのもの。
そんな何でもありのチートキャラは、世界の内部存在である原作キャラにも、内部存在になった転生者でも倒すのは難しい。
その内部存在でどうにかできるかどうかのラインを見定め、不可能である、と判断された場合は今回のように同じく世界の外側の存在である観測者が
これが観測者の仕事の一つ、修正拒否である。
閑話休題
ともかく、あのゴーレムは春樹が世界を変えた結果産み出された修正力の化身。
どうにかできるのは同じく世界の外側の力を震える廻のみ。
「(無尽蔵かと思える再生力、どうしたものでしょうか)」
廻が対応策を考える間も、ゴーレムは動く。
後から生やした両腕が半液体に変わり、蠢き、形を変える。変化が終わった後にあったのはーーー
「ビット兵器ですか……」
二本の手が本体とは分離し、浮いている。
それは手によるビーム砲撃と物理的な攻撃が可能な、言わばゴーレム・ハンド・ビット。
更に、先程まで増殖した腕が生えていた場所から新しいビットが生まれてくる。
やがて八つのビットを作成したゴーレムが、その全てをアレスに向かわせる。
狙いは、この邪魔者の排除。
上下左右斜め、全ての方向からゴーレムの砲撃がアレスに迫る。しかしアレスを纏った廻はこれを簡単に回避して見せる。
続いてビットに向けて光線を放ち、ビットが一機消滅する。
たがゴーレムが再びビットを生み出した事でブラスマイナスは0、否、それどころか。
『…………』
「無限に生えてくる訳ですか。面倒な」
更に一機、追加で生み出される。
こうして増え続けるビットとアレスの鬼ごっこが開始される。
ビットが無数のビームでアレスを囲い、アレスは僅かな隙間を抜けて放つ光線でビットを一つ消滅させる。
だが生み出され続けるビットには焼け石に水どころではない。
交差するタイミングでアレスが振るった両手によってビットが両断される、かと思えば断面がくっついてビットが再生する。
「ビットも本体同様に消滅させないと残ると……マズいかもしれませんね」
無数に増えるビットによって回避の為の隙間が減っていく、ビットを一機消滅させる時間でビットが一機増えていく。
やがて腕による拘束すら行いはじめ、これの対応で回避までの時間が減らされる。
そうやって徐々に数による猛攻で追い詰められていくアレス。もはや本体へ攻撃をする余裕は無く、ただ回避に全力を出していた。
「まるでビットの群れ。ッとにかく外へ!」
拘束しようとしてくるビットを光弾で撃ち抜き、切り裂き、とにかくこの黒い渦の外をアレスが目指す。
破壊、再生、破壊、再生、再生、破壊、再生、再生、再生再生、再生、再生再生再生再生ーーー
「鬱陶しいですね! もう再生ではなく増殖でしょうこれは!!」
もうただひたすらに増えるビットを振り払えず、取りついた物を破壊するという後手に回ったアレス。このままでは詰むーーーそんな考えが廻の頭をよぎった。
であれば、仕方ない。
廻は一つの賭けに出ることにした。
アレスの動きを停止、その瞬間に両手をビットがつかんで拘束される。
続いて両足、胴体、羽、動かせる箇所を封じるために無数のビットが組み付いていく。
そんな中でも何とかアレスの片腕だけでも動かし、正面を向ける。
その最中でもビットは組み付き、もう押し潰してしまう気なのではないか? と思えるほど全身に纏わりついたビット達。
ついにビットで押さえられていない箇所は無くなったアレス、もはや機体カラーの紺色は全く見えなくなった。
そんな中で、新たに
アレスの右腕のブレード根元に当たる部分で、緑色の結晶ーーー増幅の同化結晶が生え、アレスのエネルギーチャージが始まる。
やがて限界まで貯められ、増幅された緑色の光が放たれた。
学園で見せたものも含めて、最も強力な一撃は余波だけでアレスに纏わりついていたビットを剥ぎ取り、光線が命中した箇所にあったビット達は消失し、囲いに大きな穴をあける。
「ぶはっ! 圧死するかと思いました!」
廻は賭けに勝った。
本来ならば反動で逆方向に吹き飛ぶ所を、全てゴーレムのビットに肩代わりして貰ったのだ。
これにより、アレスは最速で動ける。
狙いは当然今作った穴からの脱出。既にビット達が穴を塞ぐべく集まっている。
当然、ビットが拘束してくるがそれもアレスのパワーと最小限のアンカーブレードの操作で蹴散らし、廻は遂にビット達の群れから抜け出した。
「とは言え」
抜け出した事を察知したビット達は直ぐ様再び拘束するべく迫ってくる。
もはや黒い渦と化したビットにげんなりしながら、廻はアレスの機動力で急上昇。
その後ろを無数のビットが追いかけてくる。が、廻はビット達は無視してその更に奥……ゴーレム本体を観察する。
ゴーレムはより巨大なビットを生み出し、より強力なビームを放つ準備としてエネルギーをチャージしていた。
「(捕まえたビットごと焼く気ですか……まぁ)」
好都合です。
そう呟いた廻は更に加速、上昇を続ける。
ビット達が必死に追い付こうと群がっていく。
そうして数秒、全てのビットがアレスを目指して一直線になった瞬間。
電池が切れたように、アレスが上昇を止める。
当然アレスにビットは群がり先程と同じ、球体状に拘束。それだけではなく、ゴーレム本体もチャージしていたエネルギーを解放。
放たれたビームはゴーレムのビットすらも破壊しながら、アレスを目指す。
やがてアレスを拘束していたビットごとビームは焼き払い、後に残った物はない。
『…………!!!!』
ゴーレムは勝利の雄叫びを上げるようにセンサーの音を鳴らした。
その姿はまさしく勝利の美酒を浴びる巨人だろうか。だが残念な事に、その勝利の余韻は続かない。
吠えた直後、ゴーレムは自分の真下から莫大なエネルギー反応を感知。そちらに意識を向ける。
そこにいたのはーーー
「目標がこちらを認識……問題無し。エネルギーは十分、解放まで3.2...」
大量の増幅同化結晶を纏い、既にチャージが完了した両手を上下に掲げているアレス。
何故ーーー!? 否、それどころではない、相手の攻撃に対する対応をーーー
そんな言葉が聞こえてきそうな程焦ったゴーレムに対して、廻は無慈悲に告げる。
「0、解放」
宣言と共にアレスの両手から解放されるエネルギーは天を穿つ光の柱となって僅かに残っていたビットも含めてゴーレムの全てを消していく。
ゴーレムのビットが消え、手足が消え、再生しようとすればその瞬間に消える。
やがてゴーレムという形を失ったコアが生存の為に何とか壁を作る、それも次の瞬間には消えていた。
役目を果たすために、生き残る為に、紅いコアは全力を投じていた。
やがてコアを守る為に、ギリギリまで強度を削り展開し続ける事でこの攻撃を耐える膜を作成し続ける事にしたコア。
たが、その膜を展開しようとした瞬間に光の柱は消えた。
『……?』
不可解な状況にコアは展開を止めるーーー止めてしまう。
そこに至るまでのプロセス、全てが繰空廻の手の内だと知らないまま。
その動きを止めるという致命的な隙を廻は逃さない、ゴーレムの攻撃を回避した時と同じ、青い球体による
「疲れましたが、ここまでです」
コア本体への攻撃、コアの中心部分まで通ったブレードであり砲身。
そしてーーーそれにより放たれた光線。
それは修正力の化身とは言え、ISにとっては致命的な一撃。
そうして砕かれた深紅のコアは、破片すら残さないように廻によって消滅させられた。
こうして、この世界の歴史に刻まれることはない、3機目のゴーレムとの戦いは幕を閉じた。
ただ……
「ふぅ……時間停止解除ーーーの前に、アレを見た人たちの記憶操作と、写した機械類の対応と……ああ、ISはコアネットワークがあるから全部消さないとですね。めんどくさい」
観測者である廻の仕事は、まだ終わったわけではないのだ。
簡単キャラ(?)解説
修正力ゴーレム
要するにお前ら(転生者達)原作を変えてんじゃねぇ!! な意識の化身。原作改変の原因である転生者(春樹)を全力で頃しに来た。
その過程で原作主人公とかヒロインが一緒に死んでも仕方ないよね☆ なスタンス。ドジっ子。
マークアレス
クロスオーバー要素として登場。世界に適応した形で押し込まれるので、今回の場合はIS「マークアレス」となる。
当然コアが違うので同化とか祝福とかは無い。
SDPの増幅による強化と消失による空間跳躍は廻が後付けで観測者権限を用いて自分に付与したチート能力。
機体は至って普通。
繰空廻
この後滅茶苦茶修正力ゴーレムの痕跡を消した。
具体的にはコアネットワークにその為だけのプログラムを流し込んでIS達の記憶から消し、他の衛星なんかの記録からも消し、そういった機械で見てしまった人間達の記憶も消した。
その過程で亡国企業のアジトとか天災ウサギのラボとか見つけて中の人達の記憶も消した。事故だよ事故。
時間が止まった世界なので1日と数えたが、実際は3週間ほど不眠不休チートでマークアレスを纏って働き続けた社畜の鑑。