一人称が僕と私で入り乱れてますが仕様です。
私……シャルロット・デュノアはある日、デュノア社の社長である父からとある命令を受けた。
その内容は「IS学園に男として入学し、男性操縦者の信頼を経て機体データを奪え」というもの。
なぜそんな事をするのか、なぜそれを私にやらせるのか、それらの疑問を抱いても答えられる事はなく、私は僕となった。
このIS学園に男であるシャルル・デュノアとして入学したその日、狙い通り男性操縦者2人と同じクラスに配属され、男として自己紹介を終えた直後。
「「「「「きゃぁぁぁぁぁ!!!!!」」」」」
教室の女子生徒達の殆どが一斉に声を上げて、僕はあまりの音量に倒れそうになった。
そんな強烈な記憶だからこそ、その殆どに含まれなかった生徒は目についた。
その中の一人が彼女、繰空廻だった。
最初の印象はそれだけ。
ただまぁ、他の面々がイギリス代表候補生のセシリアだったり、随分と後に知ったけど日本の、いわゆるエージェントである布仏さんだったから、ただ者じゃない人達と同じ反応をしてた。
なんて言えば、ちょっとは特別に感じるかな?
ともかく、ちょっと反応が違う女子、とだけ認識した僕は直後に続く男としての学生生活に流されて、彼女の事なんて直ぐに忘れると思ってたよ。
次に廻さんと再会したのは思ったより早かった。
初日の放課後、春樹と一夏にIS練習に誘われて向かったアリーナ。
そこには事前に情報にあった、篠ノ之束の妹であり二人の幼馴染の箒、私と同じく代表候補生として知っていたセシリアと鈴。
そんな中、事前情報が全くない一般的生徒である廻は何処か浮いてるように見えた。
話を聞いたら、一夏と春樹がセシリアと戦った時にアドバイスしたのがきっかけで、そこから二人の友達になってこのメンバーの中に加わった、と聞いてある程度はISについて知識があることは分かった。
「いいですか、お二人とも。ISの飛行において姿勢とは非常に重要なんです。具体的には一夏さんは5㎝、春樹さんは3㎝、前方に出すぎです。イメージとしては前方に出るのでは無く、直立のまま倒れこむように……」
「えーっと、要するに、二人は前に進むっていうイメージが先行し過ぎて、飛行の際に前に出っ張ってるって感じかな」
「そうですね。ISの飛行は上を正面として捉え、その状態で飛行した方が安定すると聞きます」
「いい? あたしの攻撃はガガっと行って、ドーン。て感じだけど、一夏や春樹はガッと行って、ズドン。てした方が良いのよ、分かんないかしらねー」
「鈴の攻撃は手数で押してから大きな一撃を叩き込むタイプだけど、一夏や春樹は一撃を重視して接近方法を考えた方が良いってことかな」
「二人とも単一能力がほぼ一撃必殺ですからね、それをどう当てるか、という事でしょう」
「シャルル、お前は最高だ……!」
「ああ、あの二人の説明がこんなに分かりやすく……!!」
「「最初からそう言ってるでしょ(う)!?」」
「あ、あはははは……でも繰空さんの説明も分かりやすかったよ?」
「デュノア君の説明でようやく私も理解したので……精々補佐ですよ」
その後に私……いや、僕がセシリアと鈴のかなり極端な説明を男子二人に分かるよう噛み砕いて話した時も、僕が言いきれなかった事を補足してくれた。
それは随分と的確で、彼女自身の思考力と知識量を感じたよ。
でもやっぱり、彼女は普通の生徒としか思えなかった。きっと人よりも多くの勉強しているんだなって、それだけしか考えなかった。
その後の寮でも、一夏と同じく部屋で生活してると知った時はちょっと驚いちゃったけど、その理由は部屋数の都合というごく普通な物。
IS学園初日の僕からすれば、一夏の情報を入手する為のちょっとした障害、位にか思わなかった。
本当に、ただの一生徒としか見てなかったんだ。
それが変わったのは、次の日の放課後。
その日は一夏と春樹、それから箒の三人に銃を撃って使う側がどういう風に見るのか、どう当てようとするのかを教えて、考えてもらった。
それが終わって、一夏が総当たり戦をしようと言った後。このメンバーでの練習終わりには、総当たり戦で実践するのだと教えて貰った。
その総当たり戦で、廻と僕が戦った時。
「(……っ!? 思ったより強い!!)」
「流石ですね! 機体は同じなんですが……!」
高速切替を使い、一定の距離を保って戦う僕の戦闘スタイル。
それに彼女はそれに初見で対応しかけていた。
廻は機体は同じと言ったけれど、専用機としてカスタムとチューニング、それに形態移行している僕のラファール・リヴァイヴ・カスタムでは訓練機と比べれば機体性能だって向上している。
なのに僕に迫ったその実力に、勝利こそしたけど背中にうすら寒い物が走った、って言うのが日本語として正しいのかな?
ともかく、僕の中で廻の強さは十分に脅威として認識された。
とはいえ、結局それは僕というの正面的な人物にとっての話。
裏である私への脅威としては……特に考えてなかったかな。
そうして、全てが変わった4日目。
その日も放課後にアリーナで練習していたんだ。
前の日は……ラウラ関連のちょっとしたトラブルはあったけれど、銃を扱う戦い方の基本である
そうやって男子二人から信頼を得て、いずれは機体の情報を奪う……それが私の役目なのは分かってた。
なのに、もうこの時には春樹と一夏の二人がただの友人にしか思えなくて、だから僕は私なのを隠して二人の機体データを狙っている、その事実が苦しかった。
どうして私はこんな事をしているのか、なんでこんな事になったのか、頭の中は混乱と後悔と罪悪感が渦を巻いてたよ。
そんな私……じゃなかった、僕に廻はこう言ってきたんだ。
「一々使用許諾出すの面倒ですね……ちょっと白式と黒曜側の設定弄ればどうにかなったりしませんかね?」
「え?」
「有線でラファールと繋いで、機体の設定を変えればワンチャン……訓練機だと無理ですかね。ならデュノア君のラファールならどうでしょう? 機体を繋げば、白式や黒曜の情報弄れないですかね?」
「え? え? え?」
余りにも突然のチャンスだった。
この提案を呑めば、私はデュノア社からの命令を達成できる。
そのまま何とか学園の外に出れば、私の任務は終わる。この苦しい学生生活を終わらせる事ができる。僕として信じてくれた二人を裏切って。
突然過ぎるこの選択に、私は思わず考えを止めてしまった。でも今思えばここまで唐突、しかも簡単だと逆に罠かも、て考えれるけど、あの時はとにかくパニックだったなぁ。
ともかく、そんな状況で私が出した答えは。
「い、いやいや、ダメだよそんなの!? ていうか許可なくISの中身を見るのは犯罪だからね!?」
「ふむ? では二人から許可を貰いますか、あの二人だから快く許可をくれますよ」
「ISは専用機であっても、その権利は企業にあるんだから駄目だって!! 君も犯罪者になっちゃうよ!?」
「む……犯罪者はちょっと……では、止めますか。デュノア君、私の犯罪を未然に防いでくれてありがとうございます」
「え、あ……うん、良くないって分かったなら良いんだけ、ど……うん、そうだね……」
結局、追い詰められた私が出した選択はこれ。
二人の事を裏切れずに、最大のチャンスを棒に振った……であってるよね? うん。
とにかく私は友達になった二人からデータを奪うのは無理だと自覚したんだ。
そうなると不思議なことに気分は軽くなって、この日の練習はいつもより力が入っちゃった。
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そうして寮に帰った後、シャワーを浴びてタオルのまま、さっきの会話を思い出して自分で自分を嘲笑してた。
「……何やってるんだろうな、私。ていうか君も犯罪者になっちゃうよ、なんて。これじゃ私が犯罪者なのを認めてるような物じゃないか」
そんな風に、完全に油断してた私。
僕になるのも忘れて、ただこれからどうするか……どう自首するかを考えていた。
廻の頭脳なら、きっと私の発言の違和感から真実にたどり着く。なら先に自首した方が……なんて考えていて、油断しきっていた。
だから、部屋の扉が目の前で開いても何もしないで、そのまま部屋に春樹が入って来た。
シャワー上がりで、タオルだけの私がいる部屋に、だ。
「シャルー、戻ったぞ…………はい???」
「ああ、お帰り…………うん? え?」
油断しきっていた私は春樹の言葉に返事をした後、私の現状を思い出した。
タオル一枚を体に巻いただけで……まぁ、その、女性としての特徴が思いっきり出てる訳で……
春樹も理解できないのか二度見どころな五度見位してたかなぁ……ちょっとエッチだよね。
「え、えっと、これは何というか、あの、その」
「おおお、落ち着けシャル、いや俺か? とりあえず俺は外に出た方が良いよな???」
「え、あ、いやいや、部屋に入って直ぐ出たらそれこそ変だよ!?」
「あ、おう、そうだな? 分かった、一先ず俺は自分の側に……あっ」
「あ、でも見られるのはちょっと……うわぁぁ!?」
もうそこからは二人揃って錯乱でパニック、自分達が何を言ってるかも分からずに慌てまくって、最終的には春樹が何も無いところで足を滑らせて……春樹が私を押し倒すような形になっちゃった、しかもちょうど春樹の腕が私の胸を鷲掴みにする形で。
だから直後に思いっきり春樹に対してビンタをしたのは……正当防衛というか、過剰反応というか、そんな感じ。
「あ、ごめん春樹! 大丈夫!?」
「お、おう。良い一撃だったぜ……お陰でちょっと冷静になった。とりあえず、シャルは服着てくれ。頼む」
「あ……うん、そうする」
そうして、春樹相手に隠す理由が無くなった私は女子用の制服で、春樹の前に姿を表した。
女の子用の服が久々で、ちょっと嬉しかったのはナイショ。
「おおう……女子用の制服か……」
「うん……こっちが本当の私、だからね」
向き合った私と春樹は、話し合いをした。
僕は本当は私であること、優しかったお母さんとデュノア社社長のお父さんのこと、お父さんの命令を受けて私がこの学園に来た理由。
それから……自首をしようとしてること。
「自首ってそんな……」
「仕方ないよ、こうして春樹にバレちゃったし。それに私自身、もう父からの命令を果たせないしね。二人と友達になって、もう騙して機体のデータを奪うなんてできなくなっちゃったから」
「そんなに軽く言うなよ……」
「うーん、何て言えばいいかなぁ……なんか、スッキリしちゃったんだよね。これで終われる、皆を騙しながらの苦しい学園生活とはさよならできる、てさ」
そう、これで私は終わり。
学園を退学させられて、国で裁かれて、それでおしまい。悲しいと言えば悲しいけど、それでデュノア社の……父の命令を受けるだけの日々は終わり、それはそれで悪くないかなぁって、ちょっとだけ思った。
だけど、それって結局私の自己満足。
春樹はそれを教えてくれた、いや
「ふっざけんな!!」
「うぇ!?」
「何がスッキリした、だ! 残されたこっちは全然すっきりせんわ!! 何? 勝手に騙すつもりで友達になって、でも友達だから騙せません、だから自分からいなくなります? 馬鹿か!? いや馬鹿だ!! シャルが良くても、俺にとって、それに一夏にとっても、仲良くなった友達が居なくなるとか、まっっったく良くないんだが!!」
怒ってくれたんだ。
私が勝手に諦めて、勝手に後ろめたくなって……勝手に消えて楽になろうとしたことに。
口調も普段と変わってて面白かったよ。
「でも……私は春樹達を騙してたんだよ?」
「知らん! 別に俺は気にしてない!! それに俺も一夏もデータを取られた訳じゃないから被害は無い!! ヨシ!!」
「えぇ……暴論すぎでしょ……後、そのポーズは何?」
「第一な、シャルだって学校生活が苦しいって言ってたけど、本当にそうか? 授業で皆と一緒にいた時、学食で皆とご飯食べてた時、俺達と練習してた時、笑ってただろ! それが全部嘘だって言うのかよ!!」
「っ……それ、は」
問い詰められたのは、僕として過ごした学校生活の楽しさ。
そう、確かに皆を騙しているのは苦しかった。でも、じゃあ皆と一緒にいて楽しかった記憶は? あの時の気持ちは?
それが全部嘘だなんて、私には言えなかった。
「そらみろ、そうやって何も言えないのが答えだろ。それ全部投げ捨てて、一人だけ罰せられて不幸になるとか、ナイナイ」
「で、でもそれは春樹一人の感情でしょ?」
「おう、でもって本当のシャルを知ってるのも俺だけだ。何も問題は無いな」
「いやいやいやいや、うーん……でも、春樹が許してくれたとして、これからはどうすれば良いのか、私は分からないよ……」
「別に今まで通りに過ごせばいいべ」
「えぇ……」
春樹のとんでもなく無鉄砲な言葉に、何も言えなくなる。
春樹の言葉は全部彼の感情で、わがままで、無茶苦茶で、でも間違いなく春樹の本心で、私も嬉しく感じていて。
「ずっと男として過ごすのは無理だよ……いずれ限界が来る」
「なら、その限界までにどうにかする方法を考えれば良い。ほら、シャルはデュノア社のテストパイロットなんだろ? てことは社長から部下へのパワハラとすれば……」
「私がテストパイロットなのは非公式だよ?」
「じゃあ、親子関係から精神的DVとかハラスメントの方向で……とにかく、シャルは被害者だって回りに思わせれば行ける」
「行けるかなぁ……」
私を助ける話を大真面目にしている被害者の筈な春樹と、加害者として諦めた筈なのにそれを聞いている私。
もし第三者が見れば実に変な姿だと思う。
「ひとまずはタッグトーナメントだな、俺とシャルでペアを組めば放課後の練習は二人だけになれる。授業とかは……相変わらずシャルに頑張って貰う方針で、俺もサポートするからさ!」
「無茶苦茶だぁ。それに、結局ただの引き延ばしじゃない? これ」
「引き延ばし上等、それで時間が解決してくれれば更に最高。きっと上手く行くって」
「その根拠は?」
「男の勘」
「それって、女の勘が正しいんじゃ……」
「男が言って何が悪いのか……おい、なんだその顔は」
何だかいつもとは違う春樹に、思わず変な顔になっちゃった。
それくらい、その時の春樹はイメージとかけ離れてたんだよ。
普段はどっちかというと、冷静で常識人で、クール……とは違うけど落ち着いてるイメージだったのに。
「ていうか、さっきから春樹の話し方変だよ? さっきも謎のポーズしたり」
「ん? まぁ、普段はみんなの前だから自重してるけど、どっちかというとこっちが素だぞ、俺は。シャルは自分の全部を話してくれてるのに、俺はカッコつけたままなのは……なんか違う、ていうか不公平? だろ?」
「なんで最後に疑問符をつけるかなぁ……」
そう言っている春樹は面白くって、同時に私に対して本心で向き合ってくれていると分かった。
それがどうしようもなく私には嬉しくて、でも思わず笑ってしまう程おかしかった。
「ほら、ちゃんと笑えるじゃんか。やっぱり学生生活が楽しいんだろ」
「これは春樹が面白いからだよ。でも、そうだね。この生活が楽しかった事も本当の事」
そう、言葉に出して認めたら、認めてしまったら、色々な感情が涌き出てくる。
楽しい、苦しい、でも、私はここに居たい。
「私は……ここに居て良いのかな……?」
「良いに決まってるだろ。むしろ俺からすれば、駄目な理由がないな」
そう言いきった春樹は実に自然で、何でもないことのように私を肯定してくれた。
……だからきっと、私が、その、うん。
私が春樹の事を好きになった瞬間があるなら、きっとここだと思う、な。
とにかく、何とかなるんじゃないかって思ってた私達だったけれど、私は一つミスをしてることを思い出した。
それは最初に悩んでいた、廻に対して秘密を溢してしまった事。
「あ……でもやっぱり無理だよ。私、一つミスをしちゃったから」
「まじで? 何したんだよ、教えてくれ。どうにかする方法考えるから」
「……廻の前で、私が犯罪者だって言っちゃったんだ。だから彼女が先生達に報告すればやっぱりバレちゃうよ」
「……廻さんかぁ。あー、どうだろうな」
「流石に報告じゃないかな、廻は真面目だから」
「いやぁ、意外とそうでもないぞ? それに案外優しいし、それに……(俺と同じ転生者っぽいんだよなぁ)」
「それに?」
「ああ、明日一番に確認しようぜ。気付いてそうなら俺も一緒に全力で土下座して、こっち側に巻き込んじまおう」
「えぇ……それで止まるかなぁ」
「大丈夫だって! タッグトーナメントが終わるまでは気付かれないし、トーナメントが終わったら良い方向に行ける。そんな気がするんだ!」
「……それも男の勘?」
「ああ!!」
「こんなに力強いのに頼りないの始めてだよ……ふふっ」
結局、その日の私達はそれで終わり。
その夜から私は寮の部屋だけとは言え、僕ではなく私として過ごせるようになった。
それに……春樹と一緒の部屋で眠れて良かった、って思い始めたんだよ。
更には次の日にやって来た箒の告白に嫉妬して……自分の感情にも気付けたしね。
箒に負けたくない、と本気で思うようになったのもそこかな?
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僕が私であることを春樹に明かした次の日。
春樹の言うとおりに、朝一番に廻さんの部屋に行って、廻さんに話があると一夏と朝食に行こうとした彼女を呼び止めた。
そうして、昨日の事を聞いてみたんだ。
「昨日の事ですか?」
「うん……ほら、白式と黒曜のデータについて話した時に、大きな声出しちゃったから……」
「あぁ……別に気にしてませんよ。むしろ私の犯罪を止めてくれたことに感謝してます」
「っ! その時の事……どう覚えてる?」
「……そうですね、私があのままデュノア君のラファールで白式と黒曜に手を出せば、私だけじゃなくデュノア君も犯罪者にしてしまう所でした。なのであの発言はおかしくなかっと思いますよ」
「っ!!」
やっぱり、あの言葉のおかしさに廻は気付いている。
その事実に心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
緊張で喉が渇いて、嫌な想像が頭の中を無数によぎっていく。
私だけじゃない、私を庇おうとした春樹までどうなってしまうかーーー
「私としては、それだけです。えぇ、それだけですよ
「それは……その……」
明確で確実な一言。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
私の後ろで春樹が動こうとしていたのが分かった……本気で土下座で何とかしようとしてたから、今思えば変すぎるよね。
「ですので、
そう言い切って、普通に朝食の為に部屋を出た。
去り際に「ま、私は二人を手伝いませんけど」と一言告げて行った彼女に、思わず私は口が開いたままだった。
それから暫くして、春樹が私の肩を叩く。
そこでようやく私は深く息をして、安堵の溜め息を吐き出した。
「な? どうにかなっただろ?」
「でも、廻は気付いてたし、こっち側に巻き込めなかった……」
「それは、そうだな……でも廻さんも考えがあってこうしてるみたいだし、一先ずは大丈夫だ」
「そうかな……?」
「そうやって後ろめたさを出してたら、変に見えるぞ。自信持って、昨日までみたいに王子様頑張れ!」
「うわぁ、分かってる人から言われると嫌味だねそれ……」
春樹の言う通り、廻はばらすつもりは無いと分かって私は安心と共にこれまで通りの僕になれるか不安を感じながら、廻の部屋を出た。
廻への緊張や不安は……その次の日、ラウラが鈴とセシリアの二人に怪我をさせて、タッグトーナメントに本気で挑むことを決めれば自然とかき消えていったよ。
その後の本番では廻の考えも理解して、その為に利用されたと考えると……ちょっと今でもムッとしちゃうかな。
まぁ、考えは分かるし感謝もしてるけどね。
簡単キャラ紹介
シャルロット(シャルル)・デュノア
母が消えてから自分がどこに居て良いのか分からなかった、流されて流されて自分でも良く分からない場所に居て、もう楽になりたかった。
でもそれを許してくれない人がいた。
ここが私の居場所になった。
私はここに居る。
空野春樹
普段はクールぶって中間役を演じているが、彼女(彼)には本心で向き合うべきだと思った。
ふざけているように見えても全部本心。
お前はここに居る。
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???「会長、例のリストできました。大半が女性権利団体との繋がりを持っています」
???「ありがとう虚ちゃん……多いわねー、シャルル・デュノアを男性として潜らせるためのIS学園側の協力者。あ、例の整備科の先生もいる」
???「お世話になった身としては心苦しいですね……実力は確かなのですが」
???「それって実力以外はお粗末様ってことかしら? ま、どっちにしろ学園の為にもお仕置きは必要ね」
???「どうしますか」
???「何人かは吊し上げね。その上で残りは理事長の方から釘を刺して貰いましょう」
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???「おやデュノア社長、ごきげんよう。ああ、例の件なら特に気にしなくて結構ですよ。私としても男性操縦者の出現に合わせて、何処かで今回のような炙り出しは必要と思ってましたから、都合が良いと言うものです」
???「それに、ご令嬢のIS操縦技術は素晴らしい、犯罪者にするよりも代表候補生として正式に認めるほうがフランスも特でしょう。しかし恐ろしいですねぇ、会社を狙って社長令嬢を男と偽って入学させるとは……権利争いとは嫌ですなぁ。ははは、私には縁が無いもので」
???「そうですね、男性操縦者二人と学園教員の意識訓練と言った所でしょう。ええ、ではそのように。失礼しますよ」