脱ニート中の元職業軍人の俺が炎の銀兵士に詰め寄られている件 作:ライハイト
◇
「ママ見てー、修羅場ー」
「アレが多様性よ」
「でもあの兄ちゃんこの前公園の砂場でずっと一人で穴掘ってたよ」
「多様性には責任が伴うのよ」
呑気に鳩の鳴き声が響き渡る昼時の空の下。
どうなっちまったんだこの街は、なんて子どもらしからぬことを口にする幼児に対してそんなことを答える親子に突っ込む気力すら湧かない。
それは六分街で過ごす俺に訪れたとある休日のことだ。
休みとは言いつつ、昼飯にカップ麺を啜って追いで白米を投入しながら、この前に11号と共にした仕事について纏め上げている最中に、それは起きた。
「ごめん、もう一度言ってくれ」
「防衛軍を通じて私に張り込んでいる存在がいる」
「……おう」
「敵の姿は不明よ。ただ軍を裏切り私を狙っていることはこれまでの異常な異動の連続で嫌でもわかる。それが上層部から来るものとなれば、なおのことね」
「…………おん」
食べかけのカップ麺を手に持ったまま応対してしまったことをこれほど後悔したことはない。
なんなら作業用BGMとして流していたB級コメディ映画が垂れ流しで作業スペースから聞こえてくるのも良くない。
この時点で俺としてはお腹いっぱいなのだが、話がこれだけで終わるとはとても思えなかった。
真っすぐ俺を見つめる赤い瞳。
暖色のゴーグルに覆われたそれは微動だにせず、邪まな考えを感じさせない曇りなき眼で俺を見つめている。
その姿はまるで、暗がりに寂しく周囲を照らす灯火のようだった。
「木を隠すなら森の中――よって信頼できる相手の拠点にしばらく身を置くことにしたの」
「なるほ――いやいやいや、なんで?」
11号が口にした言葉に対して理解を拒む理性が、思わずそんなことを口走った。
相変わらず堅苦しく大袈裟な言い方だが、伊達に何度も連絡取ったり話したりしていない。
つまるところ理解に苦しんでるのはあくまで俺自身が原因。けれどもこうなる俺を誰が責めることが出来ようか。
年頃の女性が。
一人暮らしの独身男性の家に転がり込むことの意味。
その意味をまるで理解していなさそうな11号の表情に、思わず頭が痛くなって来た。
「悪いけれど早急に身を隠さなきゃならないのよ。では、邪魔するわ」
「え、あ、ちょ――あ」
ずかずかと部屋の主である俺のことなどお構いなしで部屋に入り込む11号の姿。
地面を濡らすだけ濡らして消え去るゲリラ豪雨が如く突然来訪する姉の存在によって掃除が行き届いていたことを今ほど感謝することは今後ないだろう。
だが、何事にも順序というものがある。
どうしてこうなることが予想出来なかったのか。
どうしてもっと穏便にことを運ぶことが出来なかったのか。
どうして、11号が俺の部屋に滞在することになったのか。
それは数日前の出来事にまで遡る――。
◇
「――え、じゃあ何。グレースさんに追われてここまで逃げて来たのか?」
「そうだよ……ホント災難だったぜ。まさか逃げながら実験されるなんて思いもしなかったな」
「見境ないからなぁ、あの人」
「そんでつい今日がメンテナンス日だってことをつい言っちまってな」
「気は確かか……いや、でもネジ一本になろうがビリーはビリーか……アレ? ってなるとこの工房はビリーがいっぱいってことになるぞ。ビリィー!? どこにいるんだビリィー!!」
「ヤベェ、変なスイッチ押した……」
客足も
ボルトが締まるたびに僅かに金属が軋む。駆動部に油をさし、劣化が進んでる部品を取り除いて互換性のある部品と交換していく。
そんな光景を眺めながら、俺に向けて腕を差し出す逆立てた白髪を携えた鉄仮面の男は、当然人間ではない。
窓から差し込む夕焼けが反射するメタリックな肢体と黒い塗装は無骨な鋼を彷彿とさせる。
俺の発作的な悪ふざけに呆れたように息を零して頬杖を突く仕草は人間味に溢れており、鋼の義肢を持つというのに全く機械らしさを感じさせない。
いつも通りの仕事。
いつも通りのお客。
いつも通りの光景。
だからまぁ、きっかけらしいきっかけは無かったと思う。
だがしいて言うのであれば、記憶を遡る限りちょうどこの辺り。
エンゾウさんのお得意様の一人である知能構造体――ビリーの体のメンテナンスをしていた時だった。
「悪い。気が動転してた」
「割といつもそんな感じだぞ」
「まぁお互いに気の置けない友達だし? そういうこともあるって許して欲しい」
「お前のは気が触れてるだけだけどな」
なにやらずっと酷いことを言われてる気がするがそれは気にしても仕方のないこと。
最後のメンテナンス箇所だった腕部の手入れを終え、ボルトの締めなどの最終確認を行ってから内部部分がむき出しになっていた装甲を閉じる。
「でもさ、知ってるかビリー」
「なんだよ」
「――
ほんの一瞬だった。
俺が呟いたのとほぼ同時に、ビリーと共に店に設けられたカウンター席の下へ潜り込む。
雑多な部品が周囲に飛び散り、工具が地面に散乱していく。だがそれに構わずビリーは吸気システムによる呼吸音を停止させ、俺もそれに倣って両手で口を塞ぐ。
被害想定は災害級、それが見えない台風のソレとなればこの警戒も当然のものだった。
そしてそんな俺達の読みを汲み取ったかのように、工房の扉は開かれた。
「――おっかしいなぁ……この辺りで彼らの匂いがしたんだけど」
匂いってなんだよ、とツッコむことなど許される筈もない。
生憎と机の下に隠れてるが故に『彼女』の姿は見受けられない。
だがこのマシンに対してだけ向けられる撫でるような、それでいて隅々まで舐め回すと言わんばかりにひたすらの興味と関心が詰め込まれた声を聞き間違えるわけもなかった。
早く行け、行ってくれという願いが通じたのか工房からの客入りを知らせるベルが鳴り、足音が遠ざかっていく。
そして今度こそ脅威が去ったと認識した俺とビリーは、二人揃って一息ついた。
「あ、危なかったぜ……」
「もう妖怪のソレだな……よし、念のため厄祓いだ。ビリー、玄関に向かってサマーソルトキック!」
「よっしゃ任せろ――ってやって堪るかぁ!」
スパーンと小気味良いツッコミが俺の頭より響き渡る。金属の体であることを忘れさせるようなしなやかなソレに彼が狙われている理由をなんとなく察してしまう俺。
だが言わぬが花。知らぬが仏。
追われるのは勘弁だが、追われている人を見る分には楽しいからそれで良いのである。
「なにか失礼なこと考えてねぇか」
「そんなことないぞ。なにせ俺だってターゲットの一人なんだからな」
「あの姉ちゃんついに人間にまで手を出したのか……!?」
そんなことはない……筈である。
だが下手をしなくともあんな勢いと圧力だ。狙うか狙わないかで言ったら機械的要素があれば積極的に狙いそうなのがかのメカニックの恐ろしいところである。
ほんと、あんなのをどうにか制御下においているクレタさんには感服する他ない。
「正確には俺じゃなくて……ほら、知ってるだろ。俺の家族」
「あのお前の家族とは思えないほどしっかりした治安官の姉ちゃんが……?」
「ボンプ姉妹」
「あぁ……」
踏み潰してやろうかこやつ。
まぁ兎にも角にも、この場合狙われるのはサラとエアリスの二名である。
あの子たちの管理者である俺に突貫してくるのと同じくらい、あの子らはあの変態メカニックの解体の可能性に酷く怯えているのだ。
幸いなのは……今は別の『調べもの』をして貰っていて、ここ最近は職場でも基本的に俺の部屋に籠りっきりな点だろうか。
とはいえそれは俺が狙われる可能性がより高くなるということの同義でもあるのだが、俺とあの子たちで天秤をかけたとしたら……ギリあの子たちに勝つ。
「あぁ~……いや、それは俺も気になるな。普通のボンプにしては出力も性能も段違いじゃなかったか? なんていうか……
「そこを説明すると長くなるんだけどな……」
論理コアの成長で生じた姉妹関係の芽生えによる相互観測法とか。
それに付随するコアの『魂』としての再定義とか。
少なくとも常連との雑談にするような話題ではないことは確かだ。このくだりで何度あのメカニックに追いかけ回されたことか。
「――ってゆっくりしてる場合じゃないぞ。月一のメンテナンスは終わったんだ。あの人がまた嗅ぎつけて来る前に逃げた方が良い」
「よぅし、
「いいんだよ、常連客には長期的に金を巻き上げて生活の一部として売り込むのがこういう商売のミソだからな」
「それはせめて俺がいなくなってから言えよ……」
「そんなことをドデカ包丁持ったウサちゃんに追いかけ回されながら教えて貰ったんだ」
「何があったんだよ……」
本当に色々あったのだよ、俺の就活は。
とにかく、おすすめだからって安易にサラダへお肉を投入しちゃ行けないと心に決めた瞬間だったのは確かである。全ては俺にグラサン売りつけてきたダイアリンとか言うカスタマーサービスが悪い。
そんなことを考えながら足早に去っていく赤い背中を手を振って見送る。
一仕事終えて体を伸ばせば、なかなかよさげな時間を指し示す時計が視界に入った。
「さて、と。さっさと店を閉じて俺もとんずらこかないと――」
ビリーのメンテナンス作業で広げていた工具を回収し、回避運動じみたナニカによって散乱した廃棄の部品と工具も元の場所に戻していく。
これでもこの店の本来の持ち主であるエンゾウさんに店を任されている身。微々たるものではあるが、無職から随分成り上がったものだと我ながら思う。
緊急対応も無ければ店を閉じても問題ないだろう、と。
そう思っていた矢先だ。
からん、と次なる来客を告げるベルが背後から鳴り響いた。
「おう、いらっしゃい。今日はエンゾウさんが休みだから俺が代わりに――」
いつもの常套句を口にしようとして――意図せず思考と体が静止した。
「――――」
そこに居たのは少女だった。
銀髪を短く切り揃え、小動物のソレを思わせる穏やかな赤い瞳。
銀と白を基調としたミニ丈のワンピースは、どこか病棟を出歩く患者か、あるいは看護婦のような歪な清廉さを少女に纏わせている。
だが、それよりも印象的なのはその口元だった。
彫刻のような印象を抱かせる、あまりにも均一の取れた表情の大半は、黒いマスクによって隠されている。
見たところ年齢は10代半ば。あるいはそれ以下。
可憐とすら言える容姿に不釣り合いな刺々しく、機能性を突き詰めただけの遊びのないデザインをしたマスクは、興味の有無に関わらず人目を引きつけるには十分すぎると言えた。
「……どうした? 何か困ってることでもあるのか?」
「――――……」
少女は答えない。かといって俺に対して警戒した様子でもなく、ただただその内面を伺わせないながらも明確に意思を宿す瞳が俺を見つめている。
その真っすぐな瞳に対して――どうしてだろうか。
ただ特異な見た目をしてるだけじゃない、それ以上の既視感じみたものを俺に抱かせる。
なんというか、どこかで見たような顔をしていて。
纏う雰囲気も表情もまるで違うのに――11号を思い出させるのが不思議でならなかった。
……って、今はそんなことどうでも良いか。
どうであれ来客だ。こうして来てくれた以上そこに貴賤はない。
何より、目の前の子は容姿以上に特筆すべきところがある癖客のようだ。
「……違ったらごめん。もしかしてキミ、うまく喋れない?」
「……!」
ここに来て、少女は初めて警戒を露わにしたかのように身構える。
ただその佇まいは……お世辞にも手慣れたものとは言えない。
挙動の一つ一つが弱々しいというか、握りしめれば簡単に潰してしまうような小動物感があって……こちらに物騒な考えを抱かせる気を削ぎ落してくる。
とはいえ彼女の反応を見るに俺の拙い推測はどうやら遠からず当たっているらしい。
なんてたって異様に静かなのだ。
会話量に関わらず、喋れる人間というのは一種の『騒がしさ』のようなものを纏っているものである。基本的には無口な11号でもそのような気配はあった。
だがこの子の場合、それがないのだ。皆無とまでは言わないが、希薄すぎると言って良い。
なんというか、うん。
これは、放っておけないな。
「大丈夫。何もする気はない……ただ、ちょっと見せてくれないか」
俺が作業台に腰掛けて、向かいの作業椅子を指し示す。
声はなるべく穏やかになるように意識した。恐る恐る、ではいけない。それだと『子ども』は不安になってしまう。
イメージは道がわからない迷子の不安と波長を合わせるように、少しばかりアウェーな雰囲気になったこの工房内の空気を鎮めていく。
そして視線を切って、とあるものを探し出す。
……そんな俺の動きが功を成したのだろうか。
張り詰めた空気が解けていくのに合わせるように、先ほどまでビリーが座っていた作業椅子へとゆっくりと座ってくれた。
「それで、声は出せるか? 普段は呼吸はどうしてるんだ」
「…………ぁぁ………」
「……なるほど、少なくとも声を出しての会話は難しそうな感じか。でも日常生活においては問題ないように見える」
となれば問題は声帯だろう。そして色々読めてきた。
エーテルが蔓延する今の時代においては、決して少なくないどこにでも起きてしまう悲劇。
おそらくは先天的な、エーテルによる一部身体機能不全と言ったところか。
エーテル耐性には個人差がある。適応能力とも言って良い。
それはホロウ内での活動限界を指し示し、そしてそれらはそのまま内臓を含めた全身のエーテルに対する抵抗力に直結するのだ。
だから個人差というのは残酷で、人によっては目が見えなかったり耳が聞こえなかったりすることがままある。
――――だが稀に、ごく稀にだ。
適応率、耐性率が高すぎて
「お、あったあった」
横道に逸れ始めた思考を元に戻すかのようにソレは顔を出した。
先天的なものであればどうしようもないのかと言われればそうでもない。終わりかけとは言え人類が何もしないわけもない。
そして幸いなことに、この店の店主は鋼の義肢を持っており、そのノウハウをこの六分街、ひいては新エリー都においても有数と言えるほど蓄積させている。
だからこうして、お誂え向きのものが咄嗟に用意出来たりするのだ。
「ほら、これ」
「――………?」
手渡したのは、あえて言うのであればクラッシャーマスクとも言うべきもの。
定期的に整備はしてたため埃などは被ってはいないが塗装なんてものはしていないため、下地となった金属がそのまま剥き出しの状態だった。
彼女の今つけてるマスクのデザインを無骨とか言ったが俺の差し出したこれも大概だろう。
銀色を基調とした様相をしてるだけあって、首から鼻先を含めて覆うように設計されたソレは……少女の雰囲気も相待ってサイボーグ感が強くなってしまってる気がする。
「それは所謂『拡声器』みたいなものなんだ。今のマスクの上から着けるんだけど……あぁ、固定はうなじでやってな」
「――、…………、……」
着け方を軽く説明してやると、彼女はうなじ辺りに設けてある固定具に手を伸ばす。
手先が不器用なのか設計の問題なのか、何やら四苦八苦していた。
そして手を伸ばしてはマスクが緩むという工程を繰り返すこと数分。
「………………」
「超落ち込むじゃん……貸してみ?」
か細くも地獄の底で呻き声でも上げてそうな様子で撃沈していた。
もっと早めに手を貸してやろうと俺も動いたのだが、この儚げな雰囲気を放ちながらも案外負けず嫌いなのか頑なに俺の手を借りようとはしなかった。
結果が現在なのだからさもありなんと言った感じだ。
「……、……」
「よくやった方だと思うぞ。少なくとも俺は」
そんな慰めにもならないであろう言葉を口にするが、一向にうーうーと唸る声らしき何かは止まない。か細い振動を俺に伝えるだけに留まる。
構図も相まってなんだが首輪を嫌がる子犬を相手してる気分になって来る。
「これでよし……声、出してみて」
もっとも。
そんな感情はすぐに払拭されるだろうが。
『――――あ、え?』
これまでの消えかけの
はっきりとマスク越しとは言え聞こえてくる、先ほどの唸り声とはまた別のはっきりとした『声』と断ずることが出来る音が聞こえてくる。
そんな少女の戸惑いが声を通じて伝わって来た。
だがそれは悲嘆に暮れたものでも不快感から来るものではない。
生まれつき視力の弱い人間が眼鏡を初めてかけた人が、己の視力の回復に驚くのではなく、世界の鮮やかさに感動を覚えるように。
思い浮かべた言葉が形になる感覚を、喉より湧き出る歓喜と共に噛み締めているようだった。
「もう少し可愛くデザイン出来たら良かったんだけどな……要望があったらしばらくしてからここに通ってきな。それはプレゼントってことにしておくから」
趣味というかあまりもののパーツで作ってみたものだ。
とは言ったものの物作りのプライドというか病気の一種というか、とにかく途中からエンゾウさんと共に興が乗ってしまったのがいけなかったのだろう。
最終的には予算を度外視した赤字確定の非売品として誕生したという経緯を持つのがこの拡声マスクだ。
原理は反響とか山びことか、洞窟内の声のサンプルをとってみたりなどして
それがこうした形で作られたというのなら、その科学と物作り冥利に尽きるというものだ。
「代金は取らないよ。代わりにどこか異常があったら電話でもいいから連絡してくれ。こうして需要があるなら改良を重ねていく価値は大いにある」
『…………!』
「そうだな……いつかは物も咀嚼できるようなものでも作ってみるか」
なんだか感極まっている感じがするが、別に褒められるようなことはしていないつもりだ。
所詮は元無職の気まぐれ。
特段感謝もお礼も必要ない。
生まれた時から声が出ないとすれば、それをカタチにするなんてのは難しいはず。
『――あ、あの』
「ん?」
だが、それでも。
たとえそれに必要な機能がなかったとしても。
『ありが、とう』
この子にはそれを形にできる心がある。
ならきっとこの気まぐれも、きっと無駄じゃない。
「ううん、こちらこそ」
『また、来る』
「いつでも来ていいよ。そっちも頑張ってな」
だが、俺は紛れもない社会不適合者。
こういう不純物のない感謝というものは、俺にはちょっと眩しすぎるというもので。
だから背中を向けて作業を再開するフリをしながら、こういうぶっきらぼうな物言いになってしまう。
そして工房の出口が開かれても視線を感じたので、それに応えるように手を振りかえす。
そこでようやく、その視線は消えていった。
「――にしても」
そして頭の、胸の冷たい部分が顔を出す。
元軍人だったが故の恩恵か、それとも弊害か。
頭が出力した違和感が、心の中にあった温もりに容赦なく冷や水を浴びせる。
「――似てたな、すごく」
それが誰かなんて……言えるはずもない。
何も知らなければ他人の空似で済んだ。
だがその秘密を知ってしまった以上……違和感を抱かずにはいられる筈もない。
「本格的に調べてみるか」
11号。
サクリファイス。
シルバー計画に、シルバーソルジャー。
そして――店に来た少女。
どことなく感じ取れる波乱の予兆に対して、本腰を入れようと意気込み――。
「――私を呼んだかい玄飛くん!!!!」
「呼んでない……!! 頼むからどっか行ってくれ!! 治安官呼ぶぞ!!」
直後。
そんな余韻をぶち壊すような来訪に頭を悩ませる羽目になるのだった。
シルバー始めるよー。
あの人ってつまりあの人のことね。
あとニートは近隣住民の会議の結果いくら頑張ろうと正社員にはなれないようになってます。