個性と呼ばれる異能が日常にあるこの世界で僕、緑谷出久は異能を持たない無個性です。
そんな僕の夢は個性を悪用する
あの日、あの人から、あの言葉を聞くまでは…
「皆んな、進路希望書いたかー?」
中3の某日、先生が集め終わった進路調査書
高校の或いは将来の進路を決める大事な時期だ。
先生は集めた進路調査書を軽く見ながら
「ま、大体ヒーロー志望だよな」
そんな先生の一言を皮切りにヒーロー志望の子たちは自分たちの個性を見せてアピールしていた。
「無許可の個性使用はダメだぞ〜」
先生は注意しないといけない立場だが生徒の気持ちを汲んでどこか軽口だ。
それぞれが個性をアピールしていてクラス中騒いでいる中
「先生ぇ〜、俺をそんなモブ共と一緒にすんなよ」
浮かれていた声たちは一瞬で消え、その声の発生源に視線が集まる。
その視線の先にはザ、ヤンキーみたいな態度とチャラさを持ってる不良生徒の模範例とも言える少年こと爆豪勝己だ。
「おい!誰がモブだよ!」
「「「そーだ、そーだ!」」」
「集団で騒いでる所が更にモブみてぇ〜」
少し見下しながらも爆豪は続ける
「俺は雄英に入って、あのNo.1ヒーローも超えるヒーローになる!」
嬉々として語る爆豪をよそにクラスは大きすぎる目標と爆豪ならやりかねない現実味が湧き静まり返る。
「そーいえば、緑谷も雄英志望だったな」
クラスの騒ぎに口を挟まなかった先生の発言にクラス一同時間が止まる
「はぁ?緑谷?無理っしょ!」
クラス中に爆笑が生まれる
雄英高校とはヒーロー輩出全国No1のヒーロー界の超名門校。偏差値は70を超え倍率も毎年300倍を超す名門中の名門校。
そして、その高校のヒーロー科の入試には個性を使った適正試験があり、筆記以上にその試験結果に大きく左右される。
緑谷はそんな大前提のものが欠如している無個性。笑いが起きるのだって仕方ない。
「なんでテメェが俺と同じ土俵に立ってんだ〜!おいクソデク!」
個性をぶっ放しながらクソデク…緑谷の机を叩く
「かっちゃん?!、同じ土俵なんてそんなつもりはないよ…ただ…」
「あぁ?」
「やってみないとわからないし…」
「俺はこの学校唯一の雄英進学者になるんだよ!
だからなぁ、受けるなよ?雄英」
肩に乗せてきた手のひらをバチバチと小さい爆発させて脅…説得する。
流石に先生も止めざるをえずその場を宥めてなんとかなった。
そして放課後に人生を大きく変える出来事が起きた出会いの日だった。
たまたまだった。帰り道に
「個性がなくてもヒーローになれますか!」
何か焦って立ち去ろうとするオールマイトに無理やりしがみつき名前の知らないビルの屋上で聞いた。
多分、人生で1番勇気を出したと思う。
少しの沈黙があり、オールマイトはこう答えた。
「プロはいつだって命懸け。
それはある意味、僕の本気に応えてくれた答えだった。
笑って無責任に背中を押すことだって出来たのに。それをしないのはヒーローのしんどい部分を良く知っているからこそだと思う。
でも中学生には憧れから告られる現実に耐える心がなかった。
でもどこかで無個性を理由に諦めなくてもいいと楽観的に、現実から逃げていた。
だって、これまで体を鍛えたわけでもない。ヒーローとして必要な知識を蓄えてきたわけでもない。自分がしていたのは趣味のヒーローの追っかけ。
沢山のヒーローを知っていても、ヒーローとしての強みや弱みを知っていても実戦で役に立つ情報じゃない。木の個性だから火に弱いそんなレベルだ。プロフィールに載っていることを暗唱できるぐらいしかやって来なかった。
夢に見合う努力をして来なかった。それはどこかで諦めていた部分あるだろう。ヒーローになった自分を妄想して現実から目を背けて、無個性を理由に努力を怠ってきた都合のいい夢に縋っていた事をこの場で自覚した。
なにも言えなかった。オールマイトに言われたことが頭を駆け巡り、戸惑っている間にオールマイトは去っていった。
そこからの帰り道は更にぶっ飛んでた。
帰り道に商店街の前を通るといつもより人が多かった。どうやら
商店街はあたり一帯が燃えており、ヒーロー数人でも手を焼く
良くみるとそれは僕を襲った
僕が無理やりしがみついた時に落ちてしまったんだ。
罪悪感と無力さを噛み締めてその場を立ち去ろうとしたとき、ふと目が合った。
脳みそをフルに回して、趣味の追っかけ知識から有効な戦い方を探す。
そして、背負っているリュックを
奇跡きてきに怯ませる事に成功。
そこからの策なんてないからとりあえずかっちゃんを引っ張り出そうとするけど無理だった。
そこで普通なら人質が増えて、逃がすか僕ら2人が殺されるかだった。
でもそうはならなかった。
何故って?
「私が来たぁ!!!!!」
オールマイトがいつもの台詞をはきながら颯爽と現れた。
そこからは一瞬だった。
一撃。一発オールマイトが殴ると物凄い爆風が起き
そして待っているのはヒーロー達の説教だ。
僕はもうごめんなさいとしか言えなかった。命懸けでプロやっているからこそどれだけ僕が危険な事をした事を怒っていた。
オールマイトが言っていた様に命賭けてるからこそなんだろうなと心の隅で思った。
かっちゃんは逆に称賛されていた。
夕日が沈む頃ようやく本当に家に帰ろうと通学路を歩いていた時後ろから声が聞こえた。
「ちょっといいかな、少年」
振り向くとそこには
黒いスーツを着た人だった。
顔の下半分は黒く大きなガスマスクのようなものを着けており、顔から上は怪我の後遺症か目がなく、眉もまつ毛もなかった。
「えっと…なんですか?」
そんな不審者100%の怪しいおじさんに答えてしまった。
「さっきの凄かったよ。まるでヒーローみたいだった!久しぶりに熱くなったよ」
「あ、ありがとうございます」
見た目とは裏腹に賞賛してくれた。初めて褒められた気がする。無個性以前に不器用な僕は勉強も運動もてんで駄目で、その上個性もないから誉めてもらったことなんて数える程しかなかった。
だからうれしかった。
「君もやっぱり将来はヒーローになるのかい?」
「いえ、、そんなつもりは」
「何故?君ほど勇敢な少年なんて早々いるものではない。もしかして他に夢でもあるのかい?」
「それは…その…」
褒められて嬉しかったのか、初対面の人に話すべき事じゃないって、わかってても言いたくなった。聞いた欲しくなってしまった。
「僕、無個性なんです。そんな僕がいくら頑張ってもなれやしませんよ」
愚痴だ。言っても仕方ないし気を遣わせるだけなのに
「そうかいそれは残念だ」
「すみません…」
「謝らなくていいよ。でも、そうだなぁ。」
怪しいおじさんは少し考えて
「もし、個性が手に入るってなったら君はどうする?」
「え?」
「僕と一緒に来ないかい?無個性のまま終わらせるのはあまりにも勿体無い」
こんなお菓子で引っかかる小学生ですら引っからない甘すぎる言葉に僕は引っかってしまった。これが全ての
これは僕が憧れたヒーローを殺し、世界に復讐するものがたりだ
ありがとうございました。