IS-インフィニット・ストラトス- 欠けた歯車   作:生そば

17 / 46
Episode.16

 

 織斑のお陰でVTシステムの事件は無事収拾された。

 今回、ラウラ本人にはお咎めはないらしい。

 無論、条約に違反していたドイツ軍には面倒事が舞い込むだろうが、自業自得だ。

 

「お疲れさま、アニエス」

 

 オレは部屋に戻ろうとすると、楯無に待ち伏せられていた。

 

「オレはほとんど何もしてない。頑張ったのは織斑だ」

 

「VTシステムについては聞いてるわ。ところで、貴女は今回の件は知らなかったの?」

 

「いや、知っていたさ。しかし忘れていた。ここの所平和が続いていたからな。だいぶ惚けてきているよ」

 

 惚けていた自分を磨り潰すように、ぎゅっと拳を握りしめる。

 

「貴女がいなくてもこの事件は起きた。そうでしょ? なら貴女が気に病む必要は無いわ」

 

「そうだが──」

 

「あ、私はこれで。ね?」

 

 オレがいい終えるより早く何かに気付いて、楯無が猛スピードで逃げていった。 

 何事かとその場で呆気に取られていると、その答えはすぐにやってきた。

 

「アニエス?」

 

「ん、なんだ。簪か」

 

「今、話してたのって……」

 

「ああ、お前の姉だ。今日のトーナメントの件について聞かれたよ」

 

「そうなの?」

 

 どうしたのだろう。

 トーナメントのことについて話していたのは嘘ではないのだし、万が一にもオレは顔に嘘が出るわけでもないだろう。

 

「さっきチラッと見たとき、アニエスが怖い顔してたから……」

 

「怖い顔?」

 

 楯無とは普通に話してたし、怖い顔をしていたつもりはなかったのだが。

 

「今日、何かあった?」

 

「いや、特にこれといった事はなかった」

 

 それにしても、簪が心配してくれるなんて珍しいこともあるものだ。

 いつもISを作っていたからそんな機会が無かったのかもしれないが。

 

「今日も弐式を作りに行くか?」

 

「うん。そう思ってたんだけど……」

 

「うん?」

 

 そっと簪が何かを差し出してくる。

 

「DVD?」

 

「うん。私の好きな……アニメ」

 

「簪はアニメが好きだったのか」

 

「う、うん」

 

 ちょっと恥ずかしそうにうつむく簪は、とても可愛らしかった。

 今なら楯無の気持ちが分かるかもしれん。

 以前、お姉ちゃんと呼ばれて甘えられていたと聞いたが、簪の笑顔は確かに母性本能が擽られる気がする。

 まだ見たことはないが……いや、オレは同い年なのに母性とはどうなのだろう。

 

「う、うむ。……では部屋で見るとしよう」

 

「うん!」

 

 大変嬉しそうだ。

 喜んでくれるのはいいのだが、ISの方はいいのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、簪と二人で色々とアニメを見たのだが……

 

「ふむ。面白いな、これ」

 

「でしょ?」

 

「特に、なんだったか。こう……」

 

 オレはとあるアニメの主人公と同じことをやってみせる。

 

 

「フランシスコ・ザビエル!」

 

 

「かんちゃーん。あにりーん。いる~」

 

「「あ…………」」

 

 その場に本音が来て赤っ恥を書いてしまったのである。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。