IS-インフィニット・ストラトス- 欠けた歯車   作:生そば

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Episode.18

 

「残念だったな、シャルロット」

 

「ううぅ……恥ずかしいっ」

 

 織斑先生と山田先生の説教を受けた後、シャルロットの先程までの行為は当然弄るいいネタにされたのであった。

 

「そ、そそ、そんなことよりシャルロット。あ、アンタはあの、あのの、あの中で……」

 

「お、おお落ち着け、鈴」と箒が鈴を宥めるが、箒自身も落ち着いたらどうか。

 

「コホン。では、シャルロットさん? 貴女は試着室の中で……一夏さんに……」

 

「裸を見せたのか」

 

『……!?』

 

 オレがそう言うとその場の全員が頬を赤く染めた。

 シャルロットはここぞとばかりに大胆に行動にでる奴のようだ。

 他の奴らでこんな事ができるのはラウラくらいか。

 

「いや。一夏は後ろを向いてたよ」

 

「ま、妥当な判断だな。一夏らしいが……おい、ラウラはどこ行った?」

 

「そう言えばどこに……あ」

 

 いつの間にかオレ達から離れていたラウラは、少し離れた所で水着を見ていた。

 どうやら水着を選ぶのに手間取っているらしい。

 生まれてからずっと軍属だったのだから、水着など持ったことも、おめかししたこともないのだろうな。

 しばらくして通信機を取り出して誰かと話し、それが終わると物凄い勢いでシャルロットに詰め寄ってきた。

 

「シャルロット、私に水着を見繕ってほしい!」

 

「え、ラウラ!? ちょっ……!」

 

 そして物凄い勢いで水着選びに行ってしまった。

 

「水着……あ、そうだ。オレも頼みがあるんだが」

 

『えっ?』

 

「恥ずかしい話、水着を選ぶ自身が無くてな。ついででよかったらオレの水着選びに協力してほしい」

 

『……はっ?』

 

 オレがそう言ったのがとても衝撃的だったらしく、残った三人はオレを見たまま唖然としていた。

 オレだって生まれてからずっと傭兵だったのだ。

 異性に気を使い始めたのは遅めの思春期を迎えてからだ。

 しかも今まで海に行った事はあっても、遊んだことなどない。

 つまり、オレもどんな水着が似合うのか分からないのだ。

 

「以外だな。アニエスにできない事があるなんて」

 

 箒がバカな事を言っている。

 お前はオレをどんな風に見ているんだ。

 

「そういう事なら、わたくしが選んで差し上げてよ。アニエスさんには以前からご恩がありますから」

 

「私も選んであげるわよ。とびっきり似合うのをね?」

 

 ニヤニヤと不気味に笑う女子三人。

 これはラウラのようにシャルロットに頼んでもらった方が良かったかもしれない。

 

「な、何だ? お前達、悪い顔してるぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海っ! 見えたぁっ!」

 

 トンネルを抜けたバスの中でクラスの女子が声を上げる。

 今年の臨海学校は天候に恵まれて快晴。

 陽光を反射する海面は穏やかで、キラキラと輝く波は潮風に煽られてゆっくりと揺らいでいる。

 

「おー。やっぱり海を見るとテンション上がるなぁ」

 

「オレもこんな綺麗な海は初めてだ」

 

 バスで隣の席になったのは織斑だった。

 織斑の知らぬ所で一組全員によるじゃん拳大会があったのだ。

 そしてオレは図らずもじゃん拳で勝ってしまったわけで……。

 

「ぐぬぬ……」

 

「お、落ち着いてよ。ラウラ」

 

 オレに恋愛感情は一切無いのだが、周りの奴からしたらオレも織斑を狙っているように見えているのだろう。

 

「困ったものだ」

 

「ん、何が?」

 

「お前の鈍さがだ」

 

 周りの連中──特に専用機持ち達の目線が痛いほど刺さってくる。

 あまり織斑に構うとまずい。

 先日のシャルロットの気持ちが分かるようだ。

 

「まあ、いい。もうすぐ到着するぞ」

 

 バスを降り、全員整列をしてお世話になる旅館の女将さんにお辞儀をする。

 

『よろしくお願いしまーす!』

 

 今日も学園の女子達は元気である。

 

「あ、そうだった。おい、アロン」

 

 挨拶が終わり、これから海に行こうとしたところで織斑先生に呼び止められた。

 

「はい、何でしょう」

 

「実はな。お前に専用機が与えられる事になるかもしれん」

 

 織斑先生は他の生徒に聞かれないよう、耳打ちで話してくる。

 ん? ……オレに専用機だと?

 

「このオレに、ですか?」

 

「そうだ。お前が無人機を撃墜した事は各国の上層部なら誰でも知っているし、学年別トーナメントでのお前の戦闘技術を来賓が見ていたのだ」

 

 未来人の戦闘技術見たさに来賓が集まっていたのか?

 確かに来賓席にいた人数は相当なものだったが、まさかオレのせいだったとは。

 しかしこの話、そう簡単に受けるわけには行かない。

 オレは未来人。つまりこの時代では異物なのだ。

 タイムパラドックスとなどという説が正しいのかオレは知らないが、下手に表向きな行動をするとオレの知る歴史に歪みが生じることになる。例えばクラス対抗戦のように。

 いや、もう十分表向きになっているんじゃないか?

 ただ一般人に知られていないだけで、世界の主要人物に知られているではないか。

 最終的には歴史をねじ曲げてしまうのが目的なのだが、どこから間違ったのかまったくわからない。

 

「悩むのはわかる。しかしフランス側がおを欲しいと言って聞かないのだ。事実お前はフランス国籍を持っているわけだが──」

 

「それでも、慎んで辞退させていただきます」

 

「お前ならそう言うと思っていた」

 

 織斑先生は安心したような顔をして笑った。

 これで良い……はず……。

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