IS-インフィニット・ストラトス- 欠けた歯車   作:生そば

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Episode.7

 

 クラス対抗戦当日。

 オレは今日になって、優勝したクラス全員に学食の食券が配られるのだと聴いた。

 うむ、織斑には是非とも優勝してもらいたいものだ。

 

「とはいえ、そう簡単にもいかないだろうがな」

 

 無人IS事件のひとつ、それが今日なのだ。

 クラス対抗戦の第一戦目、織斑と鈴の試合で織斑が瞬時加速で鈴に迫った時、無人のISが乱入。

 織斑と鈴でこれを撃破したが、いったいどこの国が作ったのかは謎のままとされたらしい。

 未来では対IS用兵器『オートマトン』の原型となっているが、始めに無人ISを作ったのは誰だかわかっていない。

 まあどの国も第三世代型ISの開発に手を焼いている中でそんなことができたのは、篠ノ之束しかいないとオレは予想しているのだが。

 なにせ証拠がないのではどうにもならん。

 

「あら、アニエスさん。こんな所にいらっしゃったの?」

 

「セシリアか。もうすぐ試合が始まるぞ?」

 

「そうなのですけれど、織斑先生が箒さんとわたくし、そしてアニエスさんの三人は特別に管制室で観戦させて下さるそうなので」

 

「いや、オレはここでいい」

 

「そうですの?」

 

 セシリアは少し残念そうに去っていった。

 これから事件が起こると分かっていながら、何もできない所にいくのは嫌だ。

 せめて無人機が乱入してきた時の誘導くらいはするつもりだ。

 それに、万が一ということもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、アロンはどうした?」

 

「お呼びしたのですけれど、自分はいいと仰られたので」

 

「そうか」

 

 セシリアの言葉に少しだけ不安を覚える千冬だった。

 なにせアニエスは未来から来た人物だからであり、観客席から見た方がアニエスには意味があると言ってしまえばそれで終わりだが、それだけではないと思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それでは両者、試合を開始してください』

 

 アナウンスが鳴り終わると、さっそく鈴が動く。

 甲龍の非固定武装(アンロックユニット)から不可視の砲弾が織斑を襲う。

 不可視の砲弾に咄嗟に反応できず、一夏は初手を諸に食らってしまう。

 

「──っ。本当に見えないんだな、衝撃砲ってのは」

 

 発射の瞬間、一瞬だけ光が見えたが次の瞬間には衝撃が襲った。

 

「そうよ。これが中国の第三世代兵器『衝撃砲』! どこまで避けられるかしら!」

 

 次の瞬間、不可視の砲弾が連続掃射される。

 一夏は距離を取って、それを躱す。

 別に見えていた訳ではなく、動きを止めたら直後に衝撃砲の餌食になるからだ。

 

「くそっ。あんなにばら蒔かれてちゃ、近づけないっ」

 

 一夏が避けた後、アリーナの壁や地面に砂煙が立ち籠る。

 鈴は近接武器の双天牙月を手に持っているが、アニエスの予想通り衝撃砲をばら蒔いて近接戦闘を避けている。

 

「へぇ、中々躱すじゃない」

 

「こっちだって訓練は積んでるんだぜ」

 

 と言うものの、代表候補生相手では比べるまでもない。

 それでも、一夏にはファースト幼馴染みとイギリスの代表候補生、そしてアニエスという仲間がいる。

 箒は完全に感覚派で、セシリアは具体的過ぎてよく分からなかったが、遠近どちらも訓練することができた。

 そして一夏たちを支えてくれたアニエスが、勝つための作戦を考えてくれた。

 

(訓練の時、アニエスは何て言ってたっけ?)

 

 一夏は鈴が中々隙を見せない時の行動を指示してくれた。

 それは訓練機でもできる敵を翻弄させるための動き。とアニエスは言っていた。

 

「くそっ、やるしかないのか!?」

 

 しかし、代表候補生相手に通じるのは一度のみ。

 瞬時加速による強襲も一度だけのチャンスだということで、一夏がすぐに習得できそうなものを選んだためだ。

 

「うぉおおおお!!」

 

「なっ──!?」

 

 鈴の衝撃砲を掻い潜り、訓練で覚えた瞬時加速を使って鈴に急迫する。

 

(これで、決める!)

 

 一夏が勝利を確信し、雪片の光刃が鈴を捉えた瞬間。

 それを上空からの高出力ビームが遮った。

 

 ドガァン!

 

 二人の間をビームと共に何かが通り過ぎていった。

 その何かはビームが地面に当たった時に巻き上げた砂煙の中に突っ込む。

 

「……な、何?」

 

 鈴は鈴で唖然としていた。

 一夏の雪片を躱せずに、敗北が頭を過った瞬間に今の攻撃である。

 それはまるで二人の決着を邪魔するように飛び込んできた。

 

「なんだ、あれ……?」

 

 乱入してきた物はどうやらISらしい。と二人のISが告げている。

 しかし、そのISが異形だった。

 深い灰色をしたそのISは手が異常に長く、つま先よりも下まで伸びている。

 しかも首というものがなく、肩と頭が一体化しているような形をしている。

 そしてその巨体もまた、普通のISではないことを物語っていた。

 腕を入れると二メートルを超える巨体は、姿勢を維持するためなのか全身にスラスター口が見て取れる。

 頭部には剥き出しのセンサーレンズが不規則に並び、腕にはビーム砲口が左右合計四つあった。

 

 ──未確認IS、二機を確認しました。

 

「二機!?」

 

 ISからの情報に辺りを見回すと、二人の遥か上空に停滞する乱入してきたISと同じ色をした別のISを見つけた。

 そのISには乱入してきた物と比べると幾らか小さく見えた。

 その代わり、背部に背負ったものがおおきく、スラスターにも見えるそれから光が漏れていた。

 

『織斑、凰。試合は中止だ。そっちの敵は任せたぞ!』

 

「え、アニエス!?」

 

 二機のISにどうするか迷っていた所に、オープンチャンネルからアニエスの声が聞こえた。

 すると、アリーナの外から訓練機ラファール・リヴァイヴを纏ったアニエスが上空のISに向かっているのが見えた。

 

「アニエス、何をする気!?」

 

 そのことに鈴までもが声をあげた。

 

『遮断シールドがレベル4に設定され、全ての扉がロックされて開かない。この状況を作り出したのは、あのISだ!』

 

 アニエスが珍しく焦っている。

 いつも毅然としている彼女がここまで必死になっているのは、誰もが始めて見る光景だった。

 

「でも、訓練機で挑むなんて危険だ。逃げろ、アニエス!」

 

『こちらはシールドの外だ。すぐに教師陣が援軍を送ってくれるさ。それが待てないと言うなら、目の前の敵を倒してから助けに来い』

 

「そ、そんなっ」

 

『お前たちならできるはずだ』

 

 その言葉には妙に自信が満ちていた。

 まるで二人が勝つのを知っている(・・・・・)かのように。

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