弦巻家・・・
三人は銀河の両親や妹が暮らす弦巻家に着くと目の前には大きな門があり、門の外からは豪邸が見えていた。
「噂では聞いてましたが……弦巻家の御自宅ご立派ですね……」
「銀河、本当にお金持ちのお坊ちゃんだったんだな〜」
紗夜は手を口に当て目を大きく開き、コウタは口をポカーンと空けていた。
「お前らネガの世界で一度見てるだろうが。よお。久しぶりだな」
銀河は二人に呆れながら門番をしている人に話しかける。
「生意気な子供だな。こころ様と同い年ぐらいか……アポはちゃんと取って……銀河様?……銀河様!?」
「ああ。俺だ。ここを通してくれるな?」
「は、はい!!ただいま!!生きていてくれて良かったです!!」
門番は驚きの声と共に門が開かれた。
「行くぞ」
「はい」
「おう!」
銀河たちは開かれた門を通り豪邸の中に入って行く。
豪邸の中に入り廊下を進んでいくと大きな部屋に着き部屋には金髪の男と女と妹のこころがいた。
「銀河なのですか?……銀河!!」
「生きていたんだね……お帰り銀河」
「ああ。ただいま。父さん、母さん」
金髪の男と女はどうやら銀河の両親であったようだ。
父親と母親は行方不明だった銀河の顔を見ると涙を流しながら抱きつく。
「ずっとお腹の痛そうな顔をしていたお母様とお父様を笑顔に出来るって流石お兄ちゃんね!」
こころは泣いている母親と父親の表情を見て心の内を読んだのか笑顔で頷いていた。
「銀河……よかったな」
「そうですね」(私も日菜と……)
旅に同行していた紗夜とコウタは減らず口しか言わず余り仲間に頼らない少年の珍しく安心した表情見て嬉しそうに頬を緩ませる。
ただ、紗夜の方は喧嘩別れしてしまい絶対に再会すると旅の中で希望になっていた双子の妹の姿を思い浮かべる。
「情けないところを見せてしまったね」
「いえ」
「銀河と再会できて良かったですね!」
母親はまだ抱きつき離さないが、父親の方は落ち着き二人に視線を合わせると謝罪する。
「そう言ってもらえると嬉しいよ。ところでキミたちは?」
「俺は錠前コウタって言います!」
「氷川紗夜です」
「コウタ君と紗夜ちゃんだね……氷川?もしかしてキミに双子の妹がいないかい?」
コウタと紗夜が自己紹介すると、父親は驚きながら紗夜に問いかける。
「は、はい」
「そうか生きていたんだね。良かった」
紗夜が頷くと父親はホッとしたように胸を撫で下ろす。
「あのう……何故私のことを……」
「一年前、銀河と紗夜ちゃんたちを含めた多くの人が行方不明になって弦巻家が多くの人を捜索にだしたから知ってるんだよ」
紗夜の不思議そうに問いかけると、父親が一年前の出来事を話す。
「ありがとうございます。私たちの捜索をしていただいて」
「気にしないでいいよ。家の子供が行方不明になったっていうのが大きいからね」
笑みを浮かべながら首を横に振る。
「そろそろ話を聞きたいんだけど。キミもそろそろ銀河を離してあげなさい」
父親の言葉に渋々銀河を解放する母親。
「銀河が素直に抱きつかれてるの珍しいね!」
「そうですね。やはり母親は強しですね」
「うるさい」
銀河たちは旅に出ている間の日常的な会話をする。やはり三人には絆が築かれていた。
「一年の間銀河と紗夜ちゃんは何処にいた?それに他の行方不明者はどうなった?」
父親は先程までは優しそうな笑みを浮かべていたが、今は鋭い瞳で見つめ言葉遣いも厳しくなる。
紗夜とコウタは雰囲気が変わったことに気づくと唾を飲み込む。
「俺と紗夜以外は怪人共に殺害され、俺たちはその後平行世界を旅していた」
銀河はこれまでの出来事を語る。
「平行世界に怪人……まさかここまでとはね……」
「信じられない話ですが事実です」
「いや、平行世界も怪人がいた事も実は予想されていたよ」
真実ではあるが怪人や平行世界など非日常的な言葉に信じてもらえないと思っていた紗夜の言葉に、父親は首を横に振りその考えを否定する。
「そうなのか?」
「ああ。とある少女が必死に姉の行方を探し、行方不明になった場所を見て推理していた」
「もしかしてその少女って……」
銀河の問いかけに父親は過去を思い出しながら答える。
紗夜の脳内には自分ととても容姿が似た空色の少女の姿が脳内を過ぎる。
「そうだよ……キミの妹……氷川日菜ちゃんだ」
「日菜……」
どうやら紗夜の予想は当たっていて大切な妹の名を呟いた。
「キミの妹は凄く賢いね」
「知ってます。私はそんな日菜に勝手に嫉妬して……」
「キミは何かを抱えてたんだね……」
顔色を暗くした紗夜の姿に何か事情があるのだと父親は察した。
「……これで俺たちが話せる事は全て話した。これで話は終わりでいいな?」
「ふふ。そうだね。キミたちも疲れてるだろうし。キミたちだけでも無事で良かったよ」
銀河は紗夜を横目で確認すると溜息を吐き強引に話を切り上げる。息子の不器用な様子に父親は当然気づいていて笑みを浮かべながら頷くと三人を労る。
「銀河たちはこれからどうするんだい?」
「俺たちは喫茶に戻る。紗夜の両親や妹に事情を話さないといけないしな」
「分かった。だけどまた顔を出してくれよ」
銀河はこれからの事を話し、父親の言葉に頷いた。
「こころは何処に行った? ……はぁ?」
天真爛漫な妹が大人しいので視線を先程いた場所に向けると驚く人物と話していた。
「銀河が二人?」
「またですか。厄介な事になりそうですね」
こころと話していたのは銀河?であり、紗夜たちと先程まで話していたのも銀河である。
この場には銀河が二人いることになる。
「銀河が二人……」
「気を失ってるだけだね。これはどういうことだい?」
母親は息子が二人いるという本来あり得ない状況に気を失い、父親は母親に近付き安否を調べると安心しメイドを呼んで運んでもらうと驚いてる様子がない紗夜とコウタに問いかける。
「恐らくですがドライブの世界の怪人、ロイミュードだと思います」
「ロイミュードは人間の姿や記憶をコピーするからね。ただ、カブトの世界のワームもあり得るかも」
紗夜とコウタは銀河に化けた怪人の予想をする。
「おい、お前。俺様に化けるとは良い度胸じゃねえか」
「笑わせる。お前が偽物じゃねえのか?」
銀河と銀河?は顔を近づけると眼を付ける
「えーっと……どっちが息子なのかな?」
「さ、さあ」×2
冷や汗をかきながら困った様子の父親の問いかけに紗夜とコウタは首をかしげた。
「お兄ちゃんが二人!?分身が出来るなんて流石お兄ちゃんだわ!!そうだ!!楽しそうなこと思いついたわ!!」
こころは笑みを浮かべると争う銀河の二人に近づいて耳打ちした。
「良いだろう」
「本物の力を見せてやる」
銀河と銀河?の二人は突然ジャンケンをし始める。
「あれって……」
「あっちむいてほいですか?」
ジャンケンに勝った銀河は人差し指を右に刺し、負けた銀河?は顔を左に向ける。
「今度は腕相撲かな?」
「二人とも互角ですね。っていうよりも銀河さんと互角って凄いですね」
決着がつかずあっちむいてほいが終わると、手を掴み腕相撲をしていた。勝敗は互角で判断に迷う。
「紗夜ちゃん、本物って分かる?」
「ええっと……右の方が本物だと思います!」
「紗夜はそう思うのね!!あたしは左がお兄ちゃんだと思うわ!」
コウタの問いかけに、迷いながら答える紗夜と自信満々に答えるこころ。
「いい加減飽きてきたな。格の違いを見せてやるよ。いくぞ。ゼイン」
<はい。銀河様>
左にいた銀河はゼインドライバーを取り出すと腰に装着してゼインプログライズキーを装填して仮面ライダーゼインに変身した。
「その手があったか!?」
「も、もちろん私は知っていましたよ!!」
「お兄ちゃん、ヒーローに変身するなんて凄いわ!!」
コウタは驚き、紗夜は動揺しながら答え、こころは楽しそうにする。
「変身しただと?貴様何者だ!!」
「俺の記憶をコピーしたんだ知ってるだろう?俺たちは仮面ライダーゼイン……世界の救済者らしい(です)」
銀河(偽物)は正体を表してロイミュードの姿に変身した。
「まあいい貴様を殺して完全体になるとしよう」
「出来るならな」
「ロイミュードに人間ごときが対抗できるものか!」
ロイミュードが自信満々に言うと周囲の時間が遅くなる。
「ラーラーラ!おーもしーろーいーわーね!!」
「な、なーんーだーい?こーれーは!?」
「じゅーうーかーそーくです!!」
「しゅーうーいのじーかーんをおーそーくでーきーるーんでーす!!」
ロイミュードの能力、重加速で周囲の時間はゆっくりになり紗夜たちはどんよりと話していた。
当然ゼインの動きも遅くなる。
「こうなれば楽に始末出来るな……」(な、なに!?体が動かない!?)
勝ち誇ったように笑っていたがゼインの力であるフリーズにより時間が止まる。
「時間を止めるなんて卑怯だぞ!!」
「てめえも同じような能力を使ったじゃねえか。お前ら流の能力で始末してやるよ……ひとっ走り付き合えよ!!」
ゼインがフリーズで解き止まっていた時間を動かすと、ロイミュードが反則的な能力に抗議するが相手にするはずもない。
<ドライブタイプトライドロン>
ロイミュードは再び重加速を発動させるが、その前にカードを一枚ゼインドライバーに装填しドライブタイプトライドロンの能力を発動させると青い大型のトレーラーの姿をした武器、トレーラー砲を召喚して装備する。
トレーラー砲に装填されているミニカーのようなアイテム、シフトカーの能力でロイミュードが引き起こした重加速を打ち消す。
「終わりだ」
「ガアッアア!!」
トレーラー砲を構え引き金を引くと巨大な光弾となった赤い車の姿をした。トライドロンが放たれロイミュードに命中したロイミュードは叫び声と共に爆発し029と書かれたコアが空中に浮かび上がり消滅した。
<ナイスドライブです>
「当然だな」
ゼインの労いに自信満々に答えると変身を解く。
「どうだった?」
<すいません。銀河様。あのロイミュードをハッキングしましたが、この世界に何故怪人が存在するのか理由が分かりませんでした>
「そうか」
銀河はゼインブログライズキーに意識を宿らせていたゼインに問いかけると答えを聞き予想出来ていたのかため息を吐いた。
「もしかしてさっきのは全部演技だったのかよ!?」
「二人とも流石です。抜け目がないですね」
銀河とゼインの会話を聞いたコウタは驚きの声を上げ、紗夜は相変わらずの様子に関心していた。
喫茶PLANET・・・
三人はこころや両親に挨拶をすませ拠点の喫茶PLANETに戻ると……五人の少女たちが入り口付近に立っていた。
その中には紗夜がずっと会いたかった双子の妹である自分に容姿が似ている空色の髪の少女、日菜がいたのである。
「……日菜?」
「おねーえちゃん?……おねーえちゃん!!」
日菜は涙を流しながら抱きついたそして紗夜もそんな妹を優しく抱きしめる。