どうやらモブ男が消えた。
これはギャグとかではなくマジな話だ。
僕らの世界は創造の神によって死亡フラグの成長のために作られた世界。
つまり突変異の僕とヒサメやカンナ以外は全員作られた存在だ。
千里眼で神と死亡フラグの会話を見て察するに重篤のエラーが発生した様だ。
どうやらこのトレーニングシステムに想定外のバグが起き、モブ男の中に自我が芽生えていたのはその所為だと神は推測する。
どういうわけか急激にそのバグの深刻さが増し、プログラムの内部から崩壊し始めているんだとか。
だがあまりにも早いバグの進行に誰かの悪意でやった事じゃないのかというらしい。
まったく、今回も一段と厄介な目に会うなあいつは。
「ねぇ。さっきからくー兄ぃ寄り目で突っ立ってるけど何してるんだろ?」
「何かの芸の練習じゃないかな?」
芸じゃない。
こうしないと千里眼が出来ないんだ。
まったく僕の超能力は本当に不便極まりない。
「あ、戻った。」
さて、そろそろ行くとするか。お前らはしっかり留守番してるんだぞ。
「どこ行くの?」
ちょっと天界に行ってくる。晩御飯前には帰ってくる。
「友達の家に行く感覚!?」
「いや~、あーし達の兄はスケールデカいね。」
異常者を見る様な目で僕を見ながら言うな。
◇◇◇◇◇
今現在、天界にテレポートしてきた僕は創造の神の元へと向かっていたら、僕より先にいつものフラグの三人が集まって創造の神と話し合っていた。
「私達、頑張ったんですけど・・・モブ男さんのフラグを全力回避しようと色々やったんですけど・・・。」
泣いてる死亡フラグの隣で何故か困ってる表情をしている恋愛フラグ。
奴の心は読めないが、おそらく自分の玩具が無くなって焦っての事だろう。
「よく分からないけど、神様。モブ男くんを復元する事は出来ないの?」
「!!」
「だってモブ男くんは神様が作った練習用のプログラムなわけでしょ?だったら、直せばいい話じゃないの?」
「そういう訳にはいかないんだ。確かにモブ男は僕が万物創生システムで設計したプログラムだけど、どういう訳か管理者権限でアクセスしても、データを復元する事が出来なくなってる・・・。それどころか・・・。モブ男のソースコード自体が消失してしまっていて、どうする事も出来ないんだ・・・。」
「そうなんだ・・・。」
それでも死亡フラグは神にモブ男を元通りに出来ないのかと問いかける。
「一つだけ可能性があるとすれば「彼女」に協力してもらう事かな・・・。」
神が言う「彼女」とは、死神No.1のことだろう。
そいつはトレーニングシステムの設計に携わってるからだ。
そしてモブ男を消した張本人でもある。
理由は至ってシンプル。
死亡フラグに対する「嫉妬」だ。
死神No.1は神が好きだが、その神が死亡フラグに気に掛けるあまりに嫉妬し、憎んでいるようだ。
だからモブ男を消し、モブ男を助けようとする彼女を仮想世界の深層、プログラムの墓場に送って大掃除コマンドを使いプログラムもろとも消そうと考えてる厄介女である。
どうやらこの計画はトレーニングシステムを設計する段階で考えていた様だ。
ん?何でそんな事が分かるかって?
何度も言うが僕は人の思考が無意識に分かる。
さっき素通りした骸骨と面と鎧を着こんだ死神No.1の思考を読んだからだ。
仮想世界の深層か・・・復元の仕方が分かったのなら早速行くとしよう。
◇◇◇◇◇
恋愛フラグside
僕らはモブ男くんを復元するためのソースコードの断片を探すために、仮想世界の奥底にあるプログラムの墓場の扉の前に立っていた。
その断片を全てを早く回収しないと消去されてしまうらしいんだ。
「という訳だ君達。この
「はい!私、全力で頑張ります・・・!」
「わしも一肌脱ぐとしよう。」
「僕も行くよー!」
このまま玩具が壊れたままなんてヤダし。
斉木君がいれば楽だけど、しーちゃん達の前だし来るわけないか。
死神No.1が言うには、モブ男君の断片は全部で六つあるみたい。
なんだ、案外少ないじゃん。
これなら楽勝かも。
私達三人はモブ男君のソースコードを探すために扉の向こう側へと入っていった。
着いた先は周りが瓦礫まみれ。
まるで全体がゴミ広場。
ここがプログラムの墓か・・・。
そして、まず私達が目にしたのは・・・・。
大きな袋に入った六人のモブ男君がそこに居た。
あれぇえええええええええええええ!?
もう集まってる!?
何で!?
しかもご丁寧に逃げられない様に縛られてるし!?
(それは僕が集めたからな。)
「ふぇ!?」
突然の斉木君のテレパシーに変な声を出しちゃったよぉ~。
そのせいで二人に変な目で見られてるし・・・。
「集めたってどういうことかな?」
僕は既にモブ男君がいる事で疑問視してる二人を余所に、少し離れて聞こえないくらいの小声で斉木君に質問した。
(簡単な話だ。死神No.1の思考を読んで仮想世界の深層にテレポートで行ったんだ。そこで六人のモブ男が居たから捕獲して袋につめ込んだわけだ。簡単すぎてつまらなかっただろ?)
「君、ヒサメちゃんとカンナちゃんの時もそうだけど本当にシリアスブレイカーだよね。」
(人をギャグ時空の人間みたいに言うな。)
実際にそうじゃん!!
「あぁ~もう・・・僕達の覚悟はいったい何だったのさ・・・。」
(ジョジョ3部のパクりしてたもんな。)
「してないよ!」
本っ当に君は規格外だよね!!
いくら二次創作だからって、僕らの見せ場を失くして終わらすのは良くないと思うな!!
(あぁそれと。今回の黒幕は死神No.1で、創造の神が死亡フラグを構うせいで嫉妬しての行動だ。どうやらシステム設計から計画されて、君ら諸共この深層に閉じ込めて消すつもりの様だぞ。)
さらっととんでもない事を平然と言っちゃってるよこの人!!
死神No.1が黒幕なのは驚いたけど、まさかそんな事のために僕ら巻き込まれたの!?
あ!!
僕らの前に合った扉が消えてる!?
(多分、死神No.1が消したんだろうな。その世界が完全に消去されるのも時間の問題だ。)
「ってか、知ってるなら助けてよ!」
(悪いが僕は今、動けない状態だ。)
そうなの?
最強の超能力者の斉木君が動けないって、それって不味い状態じゃ・・・・。
(今、家族で回転寿司に行っていて席が外せないんだ。あ、ヒサメ。そのコーヒーゼリーを取ってくれ。)
「全然余裕で助けられる状態じゃないかバカ!!」
「ふぇ!?恋愛フラグさん急にどうしたんですか!?」
「急にヒスるんじゃない。ビックリするじゃろ。」
思わず怒鳴ってしまった僕は悪くない。
二人に見られても僕は悪くない。
悪いのは報連相をしっかりしない斉木君のせいだ!!
トイレ行くふりしてテレポートで助けに来たっていいじゃん!!
(それに、僕の超能力をバラすわけにはいかない。自力でなんとかしてくれ。)
「自力って・・・。僕ら消えちゃうかもしれないじゃん!?」
(安心しろ。そんな時のために応援を呼んでおいた。)
応援?
(バグがあるのは僕やモブ男だけじゃないって事だ。)
「それってどういう・・・。」
「ギリギリ間に合ったみたいね。」
「!?」
モブ美ちゃん!?何で!?
「どー言う事!?」
(死神No.1が仕込んだせいでモブ美は仮想世界の管理者権限を持ってしまったらしい。その権限を持ってる彼女なら扉を作るのも造作もないって事だ。)
「そ、そーなんだ・・・。」
(モブ男達が存在から消されるとモブ美達に一斉に念話したら、すぐに動いてくれた。何だかんだ彼女はモブ男の事、好きみたいだしな。)
何だかんだ・・・ねぇ~。
それはモブ美ちゃんだけじゃなくて君にも言える事だよね。
「君ってツンデレだよね。」
(急に何を言ってるんだ。)
「モブ男君や私達を陰ながら手助けしてくれたんでしょ?君はひねくれ者だもんね。」
(誰がひねくれ者だ。僕はただ、この世界で平穏に暮らしたいんだ。下らない嫉妬心で世界事消されてはたまったもんじゃないと思っただけだ。決して君らのためではないと言って置こう。)
「はいはい。」
そーいう所を捻くれてるって言うんだよ。
本当に面倒くさい性格してるよ。
・・・でも、ありがとうね斉木君。
◇◇◇◇◇
斉木side
やっと僕視線に戻ったか。
さて、ざっくりと結末を話すとモブ男は元に戻った。
以上だ。
「いや、ざっくりしすぎだよ!?」
「もっとあーし達に分かる様に、簡単に説明してよ!」
まったく注文が多い奴らだ。
仕方がない。画面の向こう側の読者のためにも説明するか。
「メタいよ。」
扉を作ったモブ美。
他に助っ人として博士やらビリーやらが応援しにやってきて三人の女フラグを助け出し天界に戻った。
死神No.1の行いに怒った創造の神だったが、理由を聞いて謝罪。
僕が袋にまとめて入れたモブ男のソースコードを神様に渡し、万物創造システムで復活。
だが今度はプログラムじゃなく、人としてだ。
復活されたモブ男に神は選択肢を与えた。
仮想世界で生きるか、人間界で生きるか。
普通だったら人間界に生きるのを選択するだろうが、モブ男は仮想世界で死亡フラグの練習相手として生きるそうだ。
まったく、せっかくの人生謳歌できるチャンスを棒に振るとはな。
だが、あいつらしいな。
そして檻に入ってる死神No.1を死亡フラグは鍵を開け、全てを許す事にした。
そんな彼女に死神No.1は泣きながら何度も謝った。
「素敵な決断だったよ。僕の見掛け通り、彼女は磨けば光る逸材だった。」
「・・・・って神様!?」
「何でくー兄ぃの部屋に居るの!?」
神が気軽に人の家にアポなしで来るんじゃない。
「いや~ごめんごめん。君にも礼が言いたくてね。念話で死神No.1の計画を教えてくれた事と、モブ男のソースコードを集めるのを手伝ってくれた事。君のおかげで事件は解決できたよ。ありがとうね。」
礼など要らないからとっとと帰れ。
「お礼として高級コーヒーゼリー持ってきたよ。」
せっかく来たんだ。茶くらい出すぞ。
「手の平返しが凄い・・・。」
何だかんだこの神には僕も世話にはなったからな。話くらいは聞いてやろうと思っただけだ。決して高級のコーヒーゼリーに釣られたわけじゃない。
「いや、僕はお礼品を渡しに来ただけさ。すぐに帰るよ。」
そうか。
「斉木君。」
なんだ。
「また死神No.269達が困ったら助けてあげてね。」
・・・・気が向いたらな。
「そっか。」
僕の返答を予想したのか、神は笑顔で答え帰っていった。
やれやれ、今回はとんだ面倒事だったな。
「ニヤニヤ」
「ニヨニヨ」
何だ。人の顔見てニヤニヤと。
「いや〜くー兄ぃはツンデレさんだなぁ〜って。」
「何だかんだ言ってモブ男さん達の心配してたんだね。」
してない。断じて彼奴等のためではない。
おい、更にニヤ付いた顔で見るな。
そして勝手に僕のコーヒーゼリーを食べるんじゃない。
まったく。
なんで僕の周りには話を聞かない奴が多いんだ。
やれやれだ。