異能バトルって、もっと楽だと思ってた!!   作:もぐたろ

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禍根のクラス分け

雑禍(ざっか):小型で単体では脅威にならない
猛禍(もうか):戦闘力が高く、複数での対応が望ましい
災禍(さいか):都市レベルの被害を出しうる巨大種
厄禍(やくか):国家の存亡レベル、討禍士のトップクラスが必須
禍神(かしん):人類が過去に討伐した記録がない伝説級


第3話

 

「はじめまして、紫苑です。今日よろしくお願いします」

 

今日は、討禍士(とうかし)を養成する高校の授業で、旧東京に来ている。何で、旧なのかは、昔あった禍根(まがね)の襲撃から逃げる為にこの街は捨てられたから。それで、チェックポイントまで行って戻ってくる課題だから、道中で戦闘が起こる。その時に危なくなったら助けるのが今日の僕の仕事

 

僕が配備されたのは、男子2、女子2のパーティで、遠距型の異能と医療系の異能が1人ずつで、残りの2人は近接型の異能だ。

 

あと、年齢聞いて皆んなびっくりしてた。それでもちゃんと指示とか聞いてくれるといいけど…

 

 

 

◾️◾️◾️

 

 

問題が起きた。初めは順調に進んでいたんだ、パーティだけでしっかり戦えもしてた。だけど、ちょっと今いる場所に出るわけが無いはずのような禍根が寝てたんだ。それは、禍根の強さを表す5段階で3番目。災禍の禍根『虚嚢』都市レベルの被害を出す化け物。見た目は、竜の方のドラゴンだ。

 

寝てたところを攻撃しちゃった

 

この子達今日の探索で猛禍の禍根倒せた時から、テンションがあがっちゃってて、しかも、見つけた瞬間止めるまもなくドカッってやっちゃった

 

猛禍の禍根だって下から2番目とはいえ、討禍士になって2〜3年実戦経験積んでやっと狩れる化け物なんだけど、災禍の禍根に比べたらカスだ。実力差もわからずやっちゃった。

 

深く、地の底から響くような低音。

大気そのものが揺れるような圧力がかかり、鼓膜を震わせる。

 

──グゥゥゥオオオ……オオオオオオオオ!!!!

 

 

あぁどうしようもう逃げられない。くそっ…俺が囮やるしかないか、今日いる他の討禍士に助けを求めたいけど、こんなのを学生がいる場所に連れて行けるわけもない、だから、ここで時間を稼ぐしかない

 

迷ってる暇はない、俺がやるしかない。だけど…だけど、体が動かない。怖くて一歩が踏み出せない。今動かないとみんな死ぬって分かってる、それでも動けない

 

 

 

 

 

 

ふと、彼女の言葉を思い出す。『人は、生きた意味を作る為に生きるんだ、だから何もせずに、じったしてるだけじゃあ生きてるとは言えないんだよ、死んでないだけなんだ』今の俺はなんだ?恐怖に震えてただじっとして死を待っている俺はなんだ?じゃあ何をすればいい?

 

囮になって時間を稼ぐ

 

小さい頃を思い出して笑う。正義のヒーローに成りたかったんだ。巨悪に立ち向かって、折れそうになっても何度も立ち上がって、最後に勝つ、皆んなが憧れるような、みんなを助けられるかっこいいヒーローに。

 

 

今日、夢を叶えて、生きた意味を作る。

 

 

異能を起動して、鉄球をあいつの頭にぶち込む

 

「皆んな、来た道を戻って応援を呼んでくれ!俺は、ここで時間を稼ぐ!」

 

 

今に懸けるんだ、これまでと、これからの全てを!

 

注射器を出して、自分の首に打つ。俺は、人工的な異能使い。その実験の副産物で、禍根の粒子への耐性が高い。それを利用して、無理矢理粒子を流し込むことで血液中の濃度を高める。そうすると何故か、異能が強くなる。反動も大きいけど今は出し惜しみしてる場合じゃない。

 

 

頭に鋭い痛みが走る、それでも、前を向く

右手で瓦礫をぶつけて、時間を稼ぎ、左手で大砲の砲弾の様な大きい球を、車や瓦礫を圧縮して作って、打つ。普段の何倍も威力がある。それでも

 

ドンッッツ

 

コイツは、避けようとしない、必要がないんだろう。それでも、最大火力が効かなくても、必死に頭を回して、突破口を考えるんだ

 

 

 

こいつは、確か異次元空間に吸い込み、エネルギーに変えて吐き出す異能がある。そこから、何か、弱点は見つけられないか

 

って考えてるそばから

 

 

──グゥゥゥオオオ……オオオオオオオオ!!!!

 

大気が巻き上げられ、砂や瓦礫が宙を舞う。

空間がねじれ、吸い込まれるような感覚に陥る。

 

「くっそ!」

 

咄嗟に自分を浮かせて空中に逃げたが、マズイここじゃあ逃げ場がない

急げ!遮蔽部の所へ

 

──ゴォ……ゴゴゴゴゴ……ッ!!

 

まずは 喉の奥で何かが煮えたぎるような音。

空気が震え、地面が微かに揺れる。

 

──グボォッ……グォォ……!!

 

次第に 圧縮された空気が唸りを上げて吹き出しそうになる。

まるで火山が噴火する直前のような、破裂寸前の緊張感。

 

──ググググ……ヴォッ……ヴォオオオオオオッ!!!!

 

ついに 何かが吐き出される。

それは爆風のような熱と衝撃を伴い、大地を引き裂く。

鼓膜をつんざく轟音が響き渡り、空間そのものが歪む。

 

──ヴォオオオオオオオオオッ!!!!

 

地響きが続き、吹き出した圧倒的な力が すべてを薙ぎ払う。

視界が焼き尽くされるような閃光と共に、空気すらも焦げるような感覚。

 

──ゴォ……ォォ……

 

やがて咆哮が沈み込むように消えていく。

 

空に放たれた筈のそれは、その余波で大地を破壊する。

 

 

「ガッ、アッあぁ」

 

念動力使って自分を一瞬加速させて何とか避ける。が、放たれた衝撃波によって、念動力による体の制御を失い地面に叩きつけられる。

 

意識が朦朧とする、視界もぼやけてきた。

 

それでも、こいつを別の場所に行かせちゃだめなんだ。

 

腰につけている、小物入れから、割れていない注射器を取り出して、再度首に打つ。

 

短期間で二度も打ったことなんてない、だから、効果があるのか、反動がどうなるのかが分からない、それでも賭ける、今のままでは足りないから

 

頭が割れるような痛みを感じる。その痛みで意識がはっきりする。視界もクリアになる。

 

何故だかなんでも出来る気がした

 

余波の影響でこっちに幾つかのビルが倒れくる。

 

全身が悲鳴をあげている。でも、何だか調子がいい

 

その勢いのまま任せてビルを持ち上げそれを、トラックくらいのサイズの球体に圧縮し、二発作る。そして、回転させる。いつもの鉄球と同じ様に、速く、何度も繰り返し

 

 

さっき、吸い込みからの、ブレスを見て気がついた。あいつ、ブレス吐く前にに少し時間がある。さっきは逃げるのに必死で何も出来なかったけど今は違う。そのチャンスに二発目をぶち込む。

 

 

右手で用意しておいた、一発目を飛び立とうとするあいつにぶつけた。その後直ぐに地面が揺れるような大声が響く

 

──ググググ……ヴォッ……ヴォオオオオオオッ!!!!

 

 

「おい、勝手にどっか行こうとするなよ虚嚢、まだ遊ぼうぜ?」

 

─ゴウウウゥゥ……ォォ……オオオオオ……!!!!

 

おぉ怒ってる怒ってる、多分コイツは生涯でまともに傷を負ったことがなかったんだろう、だから、焦って動きが単調になる。そうなると、自分の得意なものに縋ろうとしだす。

 

吸い込みがきた、さっきと同じように空へ避ける。

 

──ゴォ……ゴゴゴゴゴ……ッ!!

 

まずは 喉の奥で何かが煮えたぎるような音。

 

──グボォッ……グォォ……!!

 

次第に 圧縮された空気が唸りを上げて吹き出しそうになる。

 

今だ

 

──ギャ……グゥゥゥゥゥッ!!

 

最初は 驚愕と痛みが入り混じったような叫び。

衝撃が走り、巨体がよろめく。

 

──グギャアアアアアッ!!

 

傷口から 黒い体液が飛び散り、肉が裂ける音が響く。

それと同時に 怒りと苦痛がないまぜになった咆哮 が空を震わせる。

 

──グゥゥゥ……ガアアアアアアアッ!!

 

傷つけられたことへの 憤怒がその声に乗る。

爛れた喉の奥から絞り出すような 低く、軋むような呻き。

 

──……グルルルル……ギィ……ッ!

 

だが、その 声は次第に低くなり、喉の奥でくぐもる。

痛みに耐えながら、体勢を立て直そうとするのがわかる。

 

──グ……グゴォッ……!!

 

地を叩き、爪を立てる。

その目には、 怒りと殺意が宿っていた。

 

嫌だ、まだ死にたくない、俺だったやれるって言いたかった、怖い、死ぬのが怖い。何も為さずに終わりたくない。第一時間を稼いで終わりだなんてカッコ悪いそんなの嫌だ。

 

目の前に、爪が迫っている。このままじやぁ引き裂かれて死ぬ。

 

動け、動けよ!

 

──グギャアアアアアッ!!

 

傷口から 黒い体液が飛び散り、肉が裂ける音が響く。

それと同時に 怒りと苦痛がないまぜになった咆哮 が空を震わす

 

「もう大丈夫、私が守る」

 

「だがら、君は休んでて」

 

意識を失う直前に見えたのは、美しい少女が、虚嚢と戦う所だ。

 

 

 

 

 

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