夢の守り婢奴   作:スターク(元:はぎほぎ)

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構成を大幅にやり直して初投稿です


だいたい分からない

仮面ライダーディケイド、門矢士は世界の破壊者である!

 

大ショッカーは!……何だろうな……ディケイドライバーは開発してたらしいけど門矢士を改造した訳じゃなかったような……まぁ良いや、並行世界の征服を目論む悪の秘密結社である!

 

人間の自由を守る為……という題目は似合わなさそうだがウィザード最終回的には合ってるか……もういいや。人間の自由を守る為、仮面ライダーディケイドは大ショッカーと斗うのだ!!

 

 

────急に何言い出したのかって?説明だよ説明。たった今来訪なさった()()()の紹介だっての糞莫迦共が。

 

ところでだけどお前ら、神様って信じるか?

え?ああ、黒神様とか紘太神とかいるもんなライダーシリーズ。そう言われちまったら信じる以前の問題だわな。ここがライダーの世界になっちまった以上、神の存在を疑う事自体ナンセンスとも言える。

 

んで以て実際、いる。

居た。見た。

でも創作の神サマ方みたいな、全知だの凄まじい権能だとかは無い。ただ己の範疇のものを必死で司る、そして俺達の営みを見つめてる、それだけ。そういう意味じゃ人間と変わらん。

 

何が言いたい?早く本題に移れ?ンだよせっかちだな、折角ヒトが気持ちよくポエミーに利かせてるってのに。ハイハイ分かった分かった、とっとと〆させて貰いますよっと。

 

 

要はつまり、今この世界にはヒーローがいる。平和と自由の為に戦う英雄がいる。

 

そして頑張る姿を、生き足掻く生命を、いつだって神がお天道様越しに見つめてる。

 

それだけで生きてる価値があるって、そう錯覚出来ないか?

 

 

 

ヒーローも神様もいない世界の場合?嘆いとけ。

 

得は無いけど損もしないから。

 

 

 


 

 

 

オーロラを抜けると地獄であった。門矢士はそう判断した。

 

「嫌ぁっ!離して、やめてぇ!!」

「ルルルルルッ──!」

「助けてくれ!この子だけは見逃してくれ!」

「■◆●▲★!!」

 

オルフェノクの大群が街を占拠していた。破壊され瓦礫と化していく廃墟、その中から逃げ遅れた人々を引っ張り出しては何処へともなく連行していく。老若男女へ平等に乱暴に、中には既に生き絶えてる者を襤褸雑巾かの如く打ち捨てる姿さえ。

 

士に選択肢は無い。

 

「早速か……変身!」

\KAMEN-RIDE──DECADE!!!/

 

カードを投じられ、唸りを上げるディケイドライバー。次元を超えて召喚された装甲が、瞬く間にその()()えた。

戦場に顕現したマゼンタの戦士は、流れる所作で己の武器(ライドブッカー)を展開。人々を拐さんとする異形の軍団を銃撃する。

 

\ATTACK-RIDE──BLAST!/

「「「グガガァッ!?」」」

\ATTACK-RIDE──SLASH!/

「そぅら、いくぞ!!」

 

衝撃に怯んだと見るや、ディケイドは近接戦を選択。ライドブッカーを剣へと変え、手近な5体を瞬殺するに至る。

相手方の慄きを量りとって切先を向け、今度は牽制。目的は、自分の背後の人々からオルフェノクを距離的に離す事にあった。

 

『やめろ!邪魔するな!』

「なんだ。話せるじゃないか」

 

しかし転機。倒れていく部下達と違い、一人耐え抜いた上で人語を発したリーダー格の1体の所為だった。

ディケイドはその呼び掛けに応じる形でライドブッカーを収納し対話を促す。オルフェノクが()()()()()というのは、なかなか聞き捨てならない案件に発展し得る可能性があるが故に。

 

「ひとつ聞きたい。お前、話す時に()()()()()()のか?」

『……影?何の事だ』

「知らないのか。となると可能性としては……」

 

オルフェノクが人語で会話を試みる際、それは己の影を介した一種のテレパシーに依るものとなるのが常だ。

しかしこのオルフェノクは影を介さず直接発生している。オルフェノクがそれを可能と出来る条件は、古今東西でただ一つ。

 

アークオルフェノクだよ!」

 

答えは、ディケイドの背後から。

 

「そいつが世界を滅茶苦茶にしたんだ!パパもママも、みんな……!」

「………なるほど」

 

傷だらけの群衆、その内から我慢ならないとばかりに飛び出してきた少年。その叫びを背に受けて、戦士は顔を上げる。

 

「だいたい分かった」

 

\ATTACK-RIDE──INVISIBLE!/

『なっ……はァッ!?』

『隊長!敵の姿が消え

\ATTACK-RIDE──ILLUSION!/
ましたァ!』

 

仮面の瞳に正義の怒りを湛えて。

 

対話しながら密かにディケイドを包囲していたオルフェノク陣営だったが、包囲対象が消えてしまってはその策も意味は無い。次いで聞こえてきた謎の音声(イリュージョン)の意味を考える余裕すら無く。

やがて彼らの頭上に現れる、()()()()()()()()()()()。それは死を告げる決着の合図だ。

 

\FINAL ATTACK-RIDE/

「て、てっt」

\DE・DE・DE・DECADE!!!/

「aい──」

 

断末魔は呆気なく。不可視のディメンションキックが6連続で同時着弾し、オルフェノクの軍団を爆炎に包む。

一拍遅れて青い炎が噴き出、即座に鎮火。燃え尽きた灰を風が運んだ時、そこに勝者が立っていた。

 

「ディ……ディケイドー!!」

「ありがとう仮面ライダーっ」

「助かった……」

「………へぇ?俺を応援するのか」

 

撃破を確認した後、声を上げる人々へ向き直る。見れば彼等は日本人ではなく肌は白い、今思えば言語も外国の物だ。そこら中に散らばる瓦礫にも日本らしい面影は無い。

尚且つ、破壊者であるディケイドは基本的にどの世界でも歓迎されないのが通例だった。なのに彼等はディケイドを見て、その存在を待っていたかのように打ち震えている。ドラゴンナイトの世界でもこうはならなかったというのに。

 

(鳴滝が何かやったか?いつもは悪評を振り撒いていたが、方針を変えたとか……)

「頼む!この世界を救ってくれ、門矢士!」

「俺は世界の破壊者だ。出来るのは破壊だけだぞ」

「それで良い!この地獄を粉砕してくれれば、それで……ッ」

(……だとしたら、なかなか効果的かも知れない)

 

こうも持ち上げられると居心地が悪い。民衆はディケイドを胴上げせんばかりに興奮しており、アウトロー寄りな彼にとっては非常に面倒臭かった。

さてどう脱するか。と思案し始めた、その時だった。

 

「χ-2A、現着!避難民を発見した、周囲にオルフェノク反応無し!」

「いや待って下さい、中心にピンク色の人型が……あれは!?」

「……ッ!“D”!!事象“D”に酷似した人型実体を発見しました、指示を!」

 

道の向こうから聞こえてきた足音、そして声。

やがて現したその姿に思わず嘆息を漏らす。

 

「カイザ部隊が来てくれたぞ!」

「ほう。量産型か」

 

確か、555の並行世界の一つで同様に、仮面ライダーカイザが量産されていた記憶がある。オルフェノクに脅かされている世界なら、確かに存在していてもおかしくは……

 

……ディケイドが順調に思考出来てたのはそこまで。

 

「は?」

「どうかしました?」

「いや、おかしいだろ」

 

視線が向いたのはカイザ集団の腰回り。そこに装着されたベルト。

本来そこにあるべきライダーギアとカイザファンは無く、代わりにあった物が問題だったのだ。

 

「なんで()()()()()()()()でカイザに変身してるんだ??」

 

いや、事例はある。ドクターフルボトルとゲームフルボトルによりビルドがエグゼイドフォームに変身した事はあるし、そもそもディケイド自身が“ディケイドライバーの力で他のライダーに変わる”事を可能としたライダーだ。だから、姿とベルトの不一致自体は数秒経てば飲み込む事も出来ただろう。

しかし口を突いて出てしまった疑問、対する避難民の返答がそれを許さない。

 

ブラッド族の技術供与です!」

「今なんて??」

「宇宙から来た協力者、ブラッド族が人類に協力してくれてるんです!政府からそう発表されてました!!」

「今は押されていますが……カイザの力を以てすれば、きっと……!」

「」

 

絶句。

ブラッド族が?星狩りを生業とする宇宙人が?

人類と手を組んで、アークオルフェノク率いる軍団と戦争中??

しかもその上で劣勢???

 

「──確認するが、仮面ライダーディケイド……門矢士だな?」

「………」

「本部からの指令により、お前の身柄を確保させてもらう。どうかご了承願いた「前言撤回だ」え?」

 

その間に、避難民の保護を部下に命じたカイザ部隊のリーダー。彼はディケイドに歩み寄るがしかし、ディケイドは最早それどころではなく。

 

「だいたい分からん……」

 

全然分からない、という程では流石に無いが。

これはもう少し慎重に見極めなければいけない世界だなと、仮面の奥で士は考えを改めたのだった。

 

 


 

 

おーおー、派手にやりなすって。実に華々しい推参って感じだな、えぇ?

つーワケで、この世界にもとうとうヒーローが現れてくれたんだが……お仲間としてはどう思うよ、そこで倒れてる光夏海。誇らしい?

 

「どうもこうもありません……皆を解放してください……ッ!」

「そりゃ悪いが聞けん話だ。飯は運ぶから大人しく拘束されててくれ、キバーラも貰ってくぞ」

『ちょっと!離しなさいってば!』

「やかまし」

『あぅっ』

 

────さてと。このまま直でディケイドと()っても良いんだが、ここはもう少し欲張りたい。今はまだ()()もあるし。

 

配下のオルフェノク共に夏海嬢を連行させながら、どっかと腰を下ろす玉座。雰囲気作りの為に拵えたそれは、俺の重さに耐えかねて軋みを上げる。それに頓着などしないまま、俺が見据えたのはそこから見える地平線だった。

東京にそれっぽく打ち立てた悪の居城。その高層階から見える世界は広く、世界平面説を全否定するが如くまぁるく見えている。

 

「……おのれアーク。お前の所為で、ディケイドがこの世界に来てしまった」

 

そうやって郷愁に浸っていた俺を、横から呵責する声。

 

「因果が逆だぜ鳴滝。そもそもお前とディエンドが来なきゃ、俺は奴を呼ぶだなんて思い付きもしなかったさ」

「だがそれによってこの世界は破壊されるかも知れんのだぞッ」

「なぁ鳴滝」

 

煩いので話題を一方的に変えた。グルグル巻きの貼り付けにして吊るしてんだ、多少喚いてようがそれ以上の事は出来やしない。

それよりも聞きたい事が、一つ。

 

「この世界はどう見える」

「なにぃ?」

「世界を外から観測できるお前に聞きたい」

 

遥か眼下には人間の営みがある。俺に支配され、それを前提として生きる事を赦した猿の(むれ)

そこから少し離れれば戦場だ。オルフェノクの存在を良しとせず、外患(ブラッド族)に与して抗う低能共の雄叫びが今も耳に入ってきた。門矢士が介入したのは、数あるそれらの内の一つに過ぎない。

 

「……知らん。私は観測者ではない」

「訳分からん理屈で逃げてくれるなよ。じゃあその観測者ってのは誰なんだ?」

「お前だ。お前を含む、この世界に生きる生命だ」

「命、ねぇ」

 

思わず失笑が零れる。じゃあお言葉に甘えて、世界の暫定的主である俺視点で断じてやろう。

 

「ゴミが」

 

 

真の救いなど、この世には無い。

 

 

この世には。




【次回、仮面ライダーディケイド】

「やーめた」
「東京本社への強制捜査に端を発した決戦、その勝利後に本社地下から彼は現れました」
「償い?有り得ん」
「総員!──変身せよ」
「よぉ、もやし。見てんだろ?」
「売られた喧嘩を無下(むげ)にはしない主義でね」

《第2話 宣・戦・布・告!》

【全てを破壊し、全てを繋げ!】
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