夢の守り婢奴   作:スターク(元:はぎほぎ)

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帝王のベルトの力

最初の応酬は、小手調べの銃撃戦となった。

 

\ATTACK-RIDE──BLAST!/

\“機関砲”、クリエイションッ!/

- 1 - 0 - 3 - Enter -

 

さながらガンマン。双方変身を終えたと見るや、ディケイドはライドブッカーを。エボルはスチームガンを、オーガはフォンブラスターを撃ち放った。

ディケイド・エボルは各々回避。一方オーガは微動だにせず被弾──しかし、外傷無し。

 

「硬ェな。だが、不壊って訳じゃねェだろ?!」

 

それでも攻撃の手は緩めない。ディケイド側は引鉄を引き続ける。2対1という数の利を活かし、オーガに狙われてない方が死角に回り込んで果敢に攻め立てていた。

彼等にチームワークという概念は無く、同士討ちの誤射も見据えてのクロスファイア、しかしお互いに歴戦の猛者、その場の最適解の回避を同時に選べるが故に、奇遇にも共闘が成立していたのである。

 

- 1 - 0 - 6 - Enter -

 

連射(バースト)モードだ!」

「ご丁寧にどうもっ!」

 

「予測AI君。出番だぜ」

\Predictive-A.I. Activate/

 

「動きを読んでくるぞ!!」

「流石に聞くまでも無ェよッ!」

 

しかしこのオーガ、どこから技術供与があったのか……はたまたSBも自力で開発したのか、ミューズのAIまで取り入れてあるらしい。それの補助を受けた銃口がディケイドを捉えて離さない。

しかし所詮は一丁だ。完全にフリーなままのエボルが、背後から装甲の隙間に狙いを定め──着弾した。

 

吹っ飛んだのは、エボルの方だ。

 

「ンな……?!」

物質化(マテリアライズ)まで完備してたか……!)

 

新たに生成したフォンブラス他の連射が、エボルの首を撃ち抜いていたのだった。

どうやらただのオーガではないらしい、とディケイドは改めてその脅威度を測る。そもそも、このオーガは地球の主となったアークオルフェノクを打ち破った実績があるのだ。機能はネクストファイズ世代に相当し、なおかつそれを上回っていると見て良いだろう。

 

と。そんな思考の隙すら与えないとばかりにオーガが動く。

 

「オイオイ、もうお寝んねかァッ!?」

「ぐあ!!何だ、この速……sッッ──!」

 

見るからに鈍重なフォルムで、低機動のパワー型と推測していたのが完全に裏目に出た。即座に飛び退いた筈のエボルに対し、オーガは背部装甲を展開しスラスター化。超出力により一瞬で肉薄し、傷ついた首へ抜き手を打ち込んだのである。

エボルの意識が一瞬飛ぶ。その刹那で、オーガは次の行動へ移っていた。

 

「“バッド回避”──って、影山のばあさんが言ってたな」

「その様子じゃ影山冴子とも再接触してたか!」

「んにゃ、奴とはアークオルフェノクをぶっ殺したっきりさ!」

 

アタックライド・スラッシュを阻むは、オーガの掌から発された空間の歪み。先刻エボルの変身妨害を防いだものと同種だろうソレは、しかし先刻とは段違いの出力でライドブッカーの刀身を絡め取る。引き抜こうと藻掻けどビクともしない。

 

「なんだコレは!ファイズライダーにこんな能力は無いだろ!」

「“プラズマフォールド”って知ってる?」

「知らん!!」

「じゃ、死ねや!」

「させるかァ!!」

\エボルテック・アタック!!/

 

そのままディケイドの全身を覆い尽くし、押しつぶすかに思われた空間湾曲。そうはいくかと、戦線復帰したエボルの拳がオーガのガラ空きの腰へ突き刺さった。

物質分解による防御無視の一撃は、装甲を度外視しその衝撃を内部へ伝える。如何にオーガの鎧が堅くとも、中の凱歌は無事では済むまい。

 

「──で?」

「オイ。無事じゃ済まないんじゃないのか」

「聞くなよ。俺が一番困惑してンだから」

 

吹っ飛んだ先、粉塵を振り払って現れたオーガにダメージの様子は無かった。脇腹に入った罅が直撃を物語るも、しかし肝心の中身への損害は見受けられない。

やせ我慢?いや、あの様子だと恐らく本当にノーダメージか──だが、ディケイドは既に(おおよ)その絡繰りを掴めていた。

 

「いや、分かるぞ。あのオーガの装甲、中身が()()()なんだ」

「は?……オイオイまさか、世界の壁が隔たってるから衝撃が通らないッて事か!?」

 

 

────急に別ジャンルの話になるが、“アヴァロン”という武装について記そう。

 

かの名高きブリテンの王、アーサー王が持つエクスカリバーの鞘である。その力が解放されれば、

効果範囲を別世界とする事で外界から遮断。使い手をありとあらゆる脅威から遮断するという────

 

 

要するに、()()だ。

 

「世界の破壊者は伊達じゃない。お前が砕いたオーガの装甲の隙間に、僅かに世界の境界(オーロラカーテン)に似た膜が見えてな……そうなんだろ、凱歌!」

「いや知らんかったわ。でも合ってるよ多分」

 

看破されたオーガに焦りはなく、寧ろ得心したように脇腹を撫でていた。すると周囲から塵が集まり、瞬く間に装甲と融けあってひび割れを塞いでしまう。

どうやら再生機能まで兼ね備えたあの万能装甲を丸ごと破壊しない限り、中の牧路凱歌を討つ事は敵わないらしい。そう悟るや否や、ディケイド達は更なる高火力の札を切ろうとし。

 

\EXCEED CHARGE/

 

一手、遅れた。

 

ファイズショットならぬオーガショット。カメラ型のそのデバイスが物質化し、オーガの右手に装着されたところまでは見えた。

ディケイドはその技を知っている。エボルは知らずとも、何をしてくるのかは分かる。どう見ても殴る為の、近接用の兵装だから。

 

問題はここから。轟と、風が吹いてから。

 

「「──ッッ!!」」

 

吸い込まれる。姿勢を保てない。

突如渦巻いた大気が、急激な気圧差を呈してディケイド達を襲ったのだ。カードを取り出す手もレバーを回す指も封じられ、踏ん張る事で精一杯なその最中に、彼らは見る。

 

オーガの右腕が高速回転していた。

 

悲鳴のような激音を奏で、大気を、空間を巻き込んで唸りを上げていた。

 

何だその機能は。オーガの武装なのにオーガの機能じゃない。というか中の腕どうなってんだ。疑念を浮かべる間にも唸りは高まり、世界は絶叫を上げ、右腕は引き絞られ、そして。

 

放たれる。

 

「 グ ラ ン ッ ッ ッ ! ! 」

「跳べッ!!」

「避けろォ!」

 

 

────これは、世界を殺す一撃だ。

 

ディケイドはそう捉えた。全力で飛び退き、辛うじて射線を逃れながら。

 

撃ち放たれた拳が進む。二の腕から先が、断面に物質化されたブースターから火を吹き、際限なく加速し、回転しながら突き進む。その行く手にあるもの全てを巻き込み、粉砕し。

 

何があろうと関係ない。生物が居ようと居なかろうと構わない。通り道にある全ての形ある物をから、(いのち)を奪う暴虐がそこにある。

 

拳は進む。全てを砕き、光の砂塵と変えて、山を貫き……人々の住まう街をも磨り潰し。

それでも進撃を続け──挙句の果てには()()()()()

 

そこまでが、ディケイドの感知できた範囲だった。

 

「「……」」

 

無事だったエボルと顔を見合わせる。()()がもし地面へ垂直に放たれれば、地球さえも殺せるんじゃないかと途方に暮れそうになる。エボルはフェーズ4で近しい経験を持つものの、フェーズ1であるコブラフォームでは到底無理だ。

そして、角度に恵まれたディケイドは識った。

 

あの拳が彼方から、()()()()()のを目の当たりにした。

 

「おっ……ぅおおおおおおお!!!」

\FINAL-FORM-RIDE/

「え、なにッなんァっ?!」

 

気付くのが遅れたエボルトを球体のエネルギーに押し込め、渾身の力で迫り来る“殺意”へ投擲。何か犠牲が無ければ止められないと判断したが故の決死のドッジボールだ。

 

かくして、拳と球は激突。閃光が辺りを照らす、を通り越して焼き尽くし、衝撃波が地形を変えた。その中にエボルの断末魔が僅かに聞こえたが、気にしている場合ではない。

 

何故なら。

 

\EXCEED CHARGE/

 

(拳は()()あるもんな……!)

 

今襲ってきたのは右腕。ならば次は、左腕だ。

 

予想通り、オーガは既に加速を始めていた。背中のスラスターを吹かし、相手をグチャグチャに殴り潰さんと一直線に迫る。拳は回転していない、時間が必要なのか或いは舐めているのか。

しかし、その強襲を予期していたディケイドも、ケータッチの操作とカードのドライバーセットを終えていた。

 

\FINAL-ATTACK-RIDE──F・F・F・ΦZ!!/

 

ファイズを召喚し、フォトンバスターを斉射。光の奔流がオーガを迎え撃ち、そのまま飲み込んだ。

 

──止まらない。

 

「ヒャハハハハハァァァァッ!!」

 

並のオルフェノクなら灰すら残らず、そもそも(ネガの)世界のオーガも跡形もなく消し飛ばした実績のある威力の中を、しかし構わず捩じり歩いてくる悪鬼。やがてその拳がファイズブラスターを捉え、持ち主()文字通り粉砕してしまう。

ディケイドはその一瞬前に飛び退き、今度はオーガに対抗するような黄金のライダーを召喚してみせる。

 

\KAMEN-RIDE──EX-AID・MUTEKI!/

(本物の“不壊”だ、これならどうだ!?)

 

破壊力どころか状態変化さえ跳ね除ける絶対防御、それを纏う最強ゲーマーだ。展開されたゲームエリア内にある限り文字通り無敵、その盾で以てこの難局を凌ぎ切る。

 

その企みを保証するように、黄金は黄金を阻んだ。仁王立ちのムテキゲーマーが、オーガの勢いを一瞬確かに押し留めた。

 

──止まらない。

 

「はぁ!?!」

 

有り得ない光景だ。ムテキゲーマーが()()()()()()、目の前で!

 

(バカな!ムテキゲーマーは物理的にも特殊攻撃にも絶対防御だぞ、それこそ俺のように概念ごと破壊でもしない限り……いや、待て!)

 

よく目を凝らせば、繰り広げられる破壊は妙だった。エグゼイドに入っているように見える罅割れはその実、エグゼイドだけでなく周囲の()()にまで広がって行っている。グランインパクトから放出された黄金の粒子がその隙間へ入り込み、まるで分解するように──これだけでディケイドは全てを把握した。

 

(コイツの、フォトンブラッドは……!)

「そういうこったぁ!!!」

 

即ち空間への侵食と分解。このオーガが持つ金のフォトンブラッドは、どういう訳かそんな性質まで備えている!

ムテキゲーマーの状態異常への完全耐性は、自身と外界(ゲームエリア)を遮断する事が前提だ。その断絶を空間(ゲームエリア)ごと侵食し、物理的な威力ではなく科学(状態異常)的な分解で以てすれば、ムテキもムテキではなくなるという事。それを証明するように、とうとうエグゼイドの巨像は貫通される。

 

寸での処でライドブッカーによるガード。とてつもない衝撃で刹那だけ意識が飛び、そしてライドブッカーもまた一瞬で粉々寸前まで追い込まれた。

 

「意味分からんだろッ!!」

「……!!!」

 

鍔迫り合いの至近距離で、オーガが叫ぶ。追い打ちとばかりに、左腕が回転し、渦を巻き、ライドブッカーを抉り抜き──入った。ディケイドの鳩尾へ、破滅の一撃が。

 

「俺もそうだ!こんなバカげた(ちから)で何を守る!?誰を救える?!!」

「お前、は……ッ」

「破壊者は守護者にゃなれない。それを否定したかったのにな!」

 

瞬間、オーガの背部スラスターが全開。ディケイドごと自身を、その拳を前に押し出す。

二人、流星と化して地平を閃いていく。それを超えてさらに加速。

 

「でも……今はそうじゃない!このバカみたいな破壊の力で、俺は全てを守ってみせる──()()()()ッ」

「そんなこと、」

「だから、お前はッ!」

 

それを知らぬまま。

この光の中で、希望も絶望も織り交ぜた混沌の衝撃で、咆哮する俺の意志で。

 

「今ここで────砕け散れェェェッ!!!」

 

……それが俺なりの慈悲だと。

 

そう告げる一撃が炸裂し、時空を揺らがせ粉砕した。

 




【Open your eyes for the next “ Ω ” 】

《第13話 冥王黙示録》

全てを破壊し、総てを繋げ。






Q.つまり……何?

A.アークオルフェノクの時は、「解!」不可能なエドテンを無制限使用してくるアルクェイドで
 仮面ライダーオーガの時は常時アヴァロン展開状態でGツールを連打してくるガオガイガー
 という事だってばよ
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