ニチアサの世界に転生とは聞いていたが…!   作:よく酔うエンジン

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私「へー…日間ランキングかぁ…私の小説が載ることなんてないだろ…」

"低級層とはいえ、105位にランクイン!!"

私「……マジ?」

 皆様のおかげで、日間ランキング105位に載れました!

 評価バーも赤く染まり、お気に入り登録してくれる人もさまざまな人に見ていただけたのだと感じると…感無量です!

 本来は、いろいろ事情があって書き始めたこの小説ですが、これからも、みなさんが楽しめるように頑張っていきたいと思います!一先ず…赤バー維持目指して頑張ります(?)

 さて、今日は日常回です!

 残念無念で不書感想さん。誤字報告ありがとうございます!
 漢字普通に誤字してました…恥ずかしい…


ひがのぼるばしょ

 

 俺の初変身から何ヶ月か経ち、俺ももう中学生になっていた。

 

 

「桃冴君、いつも新聞ありがとねぇ」

 

「いえいえ!仕事なので!」

 

「毎朝頑張っててえらいなぁ」

 

 

 俺は、中学に上がっても変わらずアルバイトを続けていた。困っている人がいたら手伝うのも継続している。

 

 

「あっ、桃冴!ちょいと手伝ってくれねぇか?連れが腰やっちまったみたいでよ…これをトラックに運びこまねぇとなんだけど、人手が足りなくてな…」

 

 

 おっ、丁度新聞配達をしていると、近くにあった建設現場にいた作業着を着た二人のおじさんが話しかけてきた。作業員の鉄さんと大さんだ。俺の返事はもちろん決まっている。

 

 

「いいですよ!丁度今ほぼ全て配り終わりましたし!」

 

「いやーすまねぇ!恩に着るぜ!お礼に今度上手いお好み焼き屋知ってるから紹介したるわ!奢ったるで!」

 

「別にいいですよお礼なんて、好きでやってることですか…らっ!と!」

 

「おっ、相変わらず力持ちやなぁ。助かるで!」

 

 

 俺は、喋りながら付近にあった砂袋を二つ纏めて持ち上げる。結構重くて筋肉に良い刺激が得られそうだ。

 バイトだけでなく、こう言った困った人を助ける活動もしっかり継続させてもらってる。

 今みたいに、いいトレーニングになることもあるし、何よりも…

 

 

(こうして誰かの助けになれる…!やっぱ、人のために何かするって…良いな!)

 

「あ、えんむすびの人だ!」

 

「あっ!こら!いくら知ってる人でも、指差してそんなこと言ってはいけません!」

 

 

 そんなこんなで、この近辺の人にお節介をかけ続けたお陰か、割と俺の顔というのは知られている。

 作業服を着たおじさん達に頼まれて、砂袋を運ぶのを手伝っていると、こうやって子供に指差されるくらいには認知されている。

 

 まあ、何かあったら「縁ができたな!」と言う変人だから覚えられた…って可能性も捨てきれんけど。

 

 

「まあまあ、事実ですから…なあボク、俺には言って良いけど、他の人にそんなこと言うなよ?じゃないとまたお母さんに怒られるぞ?」

 

「うん!わかった!でも、おにいちゃんいがいえんえん言う人いないとおもう!」

 

「はっはっは!それはそのとおりかもな!」

 

 

 そんなこんなで、たとえ初変身が完了した後でも、俺の日常というのはさほど変わりはなかった。

 まあ、日常というだけで、非日常な部分に目を絞ればめっちゃ変わったけど。

 

 俺はあの動物鬼モドキとの戦闘の後も、何回かあの暗い空間にてヒトツ鬼モドキと戦っていた。

 なぜ"モドキ"…かと言うと、俺が知っているヒトツ鬼とは違う点がちらほらあるからだ。

 

 

 取り憑かれた本体が違う。

 能力も概ね一緒だが違う。

 挙げ句の果てには外装まで細部を見ると違う。

 

 

 外装…と言うのは、俺が今まで戦った個体には、どいつもこいつも腰によくわからない"ボール"がくっついていたのだ。

 

 

(結局なんなんだろうな…アレ…)

 

 

 何度か、動物鬼以外とも戦闘しているが…そのボールの正体が今だによくわかっていない。

 どのヒトツ鬼の腰にもついており、スッゲェツルツルしたシンプルな球体なのだが、禍々しい雰囲気をどこか醸し出しており、どうも気になる。

 

 わかっていることといえば…

 

 

(戦隊スキンを身に纏った奴なら、撃破時に、あのボールの中からこいつが出現すること…かな)

 

 

 そう言って、俺はポケットからアバタロウギアを取り出す。

 

 原作だとドンブラザーズの管理人のところに撃破したらギアがドロップしたりしていた。

 が、あのヒトツ鬼モドキの場合、撃破すると腰のボールがピカッと光って消えて、中身であるアバタロウギアが落ちてくる…と言った形になっていた。

 俺が動物鬼を倒した時もそんな感じだったのだ。

 

 

(とは言え、プレーン個体しか最近戦ってないから、他の戦隊の力を持つ個体がどうなってるのかわからないし、ジュウオウジャーギア以外なんも手に入ってないけど)

 

 

 プレーン個体…というのは、前に戦った動物鬼の様な、昔の戦隊の力を宿した(スキン)を身に纏ってないヒトツ鬼達のことを俺が勝手にそう呼称している。

 

 そいつらは、なんの鎧もなく、赤やら紫色の皮膚をした、多分子供が見てもなんとなくわかるくらいわかりやすい鬼の姿をしている。

のだが、倒しても動物鬼の様に、何かをドロップするということがない。

 

 で、動物鬼以外で何回か戦った個体というのは、軒並み全部そいつらである。

 

 

(というか、そもそも、ここはドンブラザーズの世界ではないはず…なんでヒトツ鬼がいるんだか…)

 

 

 色々調べてみたが、"喫茶どんぶら"やら"王苦市"やら、ドンブラザーズの世界に出てくる地名やお店を再度調べてみたが、どこにもそんな店は結局なかった。

 

 というのに、その世界に登場したヒトツ鬼は出てきている…うーん、何故なのだか…

 

 

(ぶっちゃけ判断材料が少なすぎる…もっと奴らを倒さないとなんとも言えないな…あのボールの正体探ろうにもよくわからないんだよなぁ。プレーン個体倒しても何もわからないし…鬼から何か聞き出そうにも、アイツら喋れはするけど暴走状態だから基本会話不能だし…)

 

 

 とまあ、悩みばっか挙げてきたが、嬉しいこともある。

 

 それは、何度もプレーン個体と戦闘を重ねたことで心身共に成長してきたからだろうが、色々技能が解放されたのだ。

 

 

 

「あっ…どうしよう…ボールが…」

 

「しかたねぇ…諦めようぜ…」

 

(ん…?あれは…)

 

 

 川の上にかかった橋を歩いていると、子供が川の下を覗き込んでいるのが目に見えた。

 

 俺も気になって覗いてみると、ぷかぷかと綺麗なサッカーボールが川に浮いているのがわかる…成程。

 良い感じにあの子達以外人もいないし…丁度解放された技能を試す場かもな!

 

 

(てなわけで…ここは…こいつの出番だな!)

 

「アバターチェンジ!」

 

『いよっ!日本一!』

 

 

 俺は、すかさずポケットからサングラスを取り出して装着、ドンブラスターを取り出してそのままドンモモタロウへとチェンジした。

 

 

(よし…原作1話の時の様に…よっと!)

 

 

 俺はサングラスを擦り、付近を見回す。

 すると、変身時にも使用するサイバーパンク風潮の扉が目の前へと出現する。

 

 ガチャリと開けると、扉の向こう側は、俺がさっき見下ろしていた川の水面へとつながっていた。

 

 そして、俺はそのまま手を伸ばしてドア越しにボールを掴み、上へと放り投げる。

 

 

「ん…?あれ!おい!ボール戻ってきたぞ!」

 

「え?あ、本当だ!」

 

 

 そして、子供たちにバレる前に扉を閉じて、元々いた橋の上に戻り、変身を解除する。

 

 今のは、俺が新しく解放した能力である。

 

 それは、脳人レイヤーのギミックの使用である。

 

 

「ふーっ…よし、バレてないな」

 

 

 サングラスを擦ることで、一時的にではあるが、脳人レイヤーに存在したワープ扉やトランポリンといったギミックを召喚することができるのだ。

 

 とは言え、ワープ扉はそんなに長距離を移動できるわけでもないし、トランポリンや扉も、そうホイホイと短期間に何度も出せる代物でもない。しかし、こうやってバレずに移動できたりと、色々と便利だ。

 

 ちなみに、変身できることは基本誰にもバラさないつもりだ。こんな人智を超えた力を持っているなんて知られたら大騒ぎになりかねんからな。

 

 

「誰か下にいて取ってくれたのかも!」

 

「えっ…でも誰かいたかなぁ…まあいいや!続きやろ!」

 

「うん…!」

 

(ふっふっふ…よかったよかった)

 

 

 まあ、誰が敵として来ようが。何が起きようが、俺がやることは変わらない。

 

 いつか来るであろうこの世界の原作エピソードに備える為…というのもあるが、憧れたヒーローに目指して精進し続ける!それだけだ!

 

 

***

 

 

「ふっ!はっ!ほっ!…よし、今日も終わりと」

 

 

 時刻は変わって、とある河川敷。

 俺はバイトを終えて、河川敷で筋トレを行っていた。こういう地道なトレーニングが己を強くするのだ。

 

 今日は、学校が記念日で休日であり、こうして河川敷でのびのびとトレーニングができるのだ。

 そして、ちょうど今終わったところである。

 

 

ぐー…

 

 

 おっと…そろそろ昼飯時かな….って、今時計を見たらもう2時半である。

 やばい、お腹空いてるのに、この時間帯だとそろそろランチを終わらす店も少なくないはずだ。

 今日は家に誰もいないし、自炊も面倒くさかったので一人で外食する予定だったが…兎に角、急がないと

 

 と思って、街に繰り出したのだか…

 

 

「うーむ、まずいな、もうやってないところの方が多い…」

 

 

 行きつけの店は全てもう閉まってた。まあ仕方ないかもしれない。もう3時だし。

 

 どうしようかな…と、トボトボ歩いていた時だった。

 

 

(ん…?お好み焼き屋?)

 

 

 『あかね』と暖簾に刻まれたお店を発見する。こんな店、あっただろうか。

 

 

「へぇー…みたことない店だ…最近できたばかりか…?営業時間は…お、今3時だけどまだやってくれてるみたいだな。」

 

 

 飯屋を探して放浪していた俺にとってはありがたい。俺は、のれんの下を潜って扉を開ける。

 

 

「いらっしゃい!兄ちゃんおひとり様かい?」

 

「はい!一人で!」

 

 

 じゅうじゅうと香ばしい匂いがする店内には、従業員と思われる人と、二人の客しかいなかった。まあ、平日の午後3時…この時間帯に人がいる方が珍しいだろう。

 店内は結構綺麗であり、かなり整っている。やはり、店はできて間もないのだろう。店の中央部には大きな鉄板焼きがあり、大柄な店長さんらしき人と、作業服を着た客らしきおじさん二人でそれを囲っていた。

 

 

「あかねー!案内したってやー!」

 

「ほいほーい!」

 

 

 鉄板焼きと睨めっこしている店長らしい大柄な人が声を上げると、店の奥から、エプロン姿の赤寄りのオレンジ色の髪の少女が出てくる。背丈と雰囲気的に同い年くらいだろうか。

 

 

「んじゃ!お客さん!こっちにどうぞ!今お冷持ってくるから待っててな」

 

「ああ、案内ありがとう。これでお前とも縁ができたな」

 

「え、縁…?ま、まあ、とにかく席に座ったってや」

 

 

 案内してくれたオレンジ色の髪の女の子に、いつも通りの挨拶をかますが、ちょっと驚かれてる。まあ、普通こんな挨拶しないもんな。

 

 

「お?あかねちゃん、桃冴の坊主と話すの初めてなのか?」

 

「そりゃぁびっくりするわなぁ…というか、桃冴君!さっきぶりやなぁ!君風にいうなら縁があるなぁ!」

 

 

 すると、店奥のカウンター席で座っていた二人の作業服を羽織ったおじさんがこちらにニヤニヤ笑いながら向けて話しかけてくる。

 

 あの二人…よく見れば…今気づいたが、さっき砂袋を運ぶのを手伝ったおじさん達である、鉄さんと大さんだ。

 

 

「お!さっきぶりですね、お二人とも縁があるようで何よりです!」

 

「はっはっは!相変わらずやなぁ!坊主も!ここでも会うとは言う通り縁があるみたいやなぁ!」

 

「えっ…?なんや、有名人のお方か何かなん?」

 

 

 あかね、と言われた女の子が不思議そうな目でこちらをみてくる。

 

 

「ま、ここら近辺じゃ有名人だな!そいつぁ赤峰桃冴って言うんだ!お節介焼きで有名な縁結び好きの変わりもんさ!」

 

「え…えっと…よ、よろしくな!」

 

「ほら!せっかくや!あかねちゃんも自己紹介したってや!」

 

 

 ビール片手におじさんがのそのそこちらの席に歩いてきて、ぱんぱんとおじさんが肩を叩いてくる。なんだろう。このおじさん達、多分お酒のせいなんだろうけど、勢いがすごい。

 

 なんだろう。他人がやったとは言え、初めて入った店で自己紹介することになるとは思わなかった。

 

 

「ほえー…あ、ウチは日野あかねっちゅうんや!よろしゅう頼むで!」

 

「ああ!よろしく頼む」

 

「あかねちゃんは小さい頃から看板娘としてこの店支えてきてなぁ…べっぴんさんでとってもいい子なんや」

 

「ちょっ…何勝手に紹介付け加えとんねん!恥ずかしいやろ!」

 

 

 向こうも自己紹介を重ねてくる。

 日野あかねさんか…うーん、聞いたことない名前である。学校でも聞き覚えがないな。

 なんというか…とても元気そうな女の子だな。と感じた。

 前髪にピンをつけ、後ろは一本縛りにしており、その関西弁の口調から、どことなく快活でノリが良さそうだな…と感じた。

 

 てか、さっきも言ったが、おじさん達の勢い…というか、この会話への入り込み具合がすごい。

 

 

「にしても…桃冴お前ぇ、自分でこの店見つけるとは良いセンスしてんじゃあねぇか」

 

「ここが、俺たちが今日の手伝いのお礼に教えようと思ってたお好み焼き屋さ!宇宙一のお好み焼き屋やでぇ!」

 

「おいおい!えらい嬉しいこと言うなぁ!鉄ちゃん、大さん!褒めてもなんも出ぇへんで!」

 

「あ、そ…そうだったんですね…」

 

「そそ!俺らが七色ヶ丘の方来る前に大阪住んどった時からずーっとお世話になっとったんや!」

 

「ほんま、さいっこうのお好み焼きやでぇ?期待しとけよ?」

 

「ま、兎に角あっちの席じゃなくてここ座れや!さっきのお礼や!一つくらいなら奢ったるで!」

 

「え!い、いやそれは申し訳ないというか…!」

 

「まぁまぁ!そう堅いこというなって!」

 

「ほら、お前も一杯よかったら飲まないか?俺らもうさっきので仕事おわりだからもう飲んでるんだけどよ」

 

「いやいや待ってください!俺は未成年ですよ!?」

 

「まぁまぁ、坊主は体頑丈だしいけるだろう!」

 

「いやいやいや!そういう問題じゃないですって!」

 

 

 そう言いながらも、向こうは俺にビールの瓶グイグイとアピールしてくる。

 

 どうしよう、さっきからこの場にいるおじさん二人の会話の勢いがすごくて、全くもって喋れん!

 

 まずい、さっきからずっと向こうのペースに飲み込まれっぱなしだ…このままだと、マジでうっかりお酒飲まされかねないって…!

 俺まだ精神年齢ならまだしも肉体は未成年だしそれだけは本当にやめてほしい…!と考えている時だった。

 

 おじさん達の会話をやり過ごしていると、パチンと手を鳴らす音が鳴る。

 

 音の鳴る方を見ると、日野さんがそこに立っていた。

 

 

「はいはい!そこまでや!常連の皆さんはともかく!初めてきたお客さんも困ってまうやろ!ウチの店の評判落ちたらどうすんねん!」

 

「おっと、あかねちゃんに言われてもうたら静かにするしかあらへんなあ」

 

「おっちゃんら、ちょっと酒入っとるから、興奮しとったんや。すまへんな」

 

「あ…いや…だ、大丈夫です全然!」

 

 

 ふぅ…日野さんのおかげで助かった。とりあえず、元いた席に戻ろう…と、立ち上がると手を叩いて場を沈めてくれた日野さんが話しかけてくる。

 

 

「いやー、すまへんなぁ。あのおっちゃん達みんな大阪にいた時からの常連さんで普段は良い人たちなんやけど、酒が入るとダル絡みが面倒臭くなってなぁ、どーにか許したってくれへん?」

 

「え?あぁ、いや、大丈夫だ、特に気にしてないからな」

 

 

 まあ、別に責める気は特にない。

 

 まあ、別に俺はこう言う常連さん同士仲がいいアットホームな感じも好きなので、特段気にしてはない。

 とはいえ、この騒がしさは今は客が俺とおじさん達二人で3人しかいないからってだけで、多分平常時は普通のお好み焼き屋さんなのだろうとは思うが。

 

 

「いやーおおきに!まだ注文してなかったやろ?何にする…って、あんな揉みくちゃにされとったし、なんも決まってへんか」

 

「いや、えーと…取り敢えず、豚玉を一つ貰おう」

 

「おっ!おおきに!豚玉一人前!」

 

「あいよ!」

 

 

 取り敢えず、一番無難な豚玉を一つ頼んでおく。アイスの時もそうだったが、変に凝らずシンプルなのが俺は一番好きだ。

 

 それに、一番シンプルなやつを食せば、この店の実力がどんなもんかわかるからな。

 一番シンプルなものとはすなわちその店の作るのが一番簡単なメニューである。そういう簡単なメニューがうまい店は大体他の料理も美味いし、不味ければ他の料理も大体不味い。と言うのが俺の持論だ。

 

 タロウの性格を受け継いでしまったせいというのもあるが、俺は割と食べ物にはこだわりが強かったりする。美食家気取り…と言うわけでもないが、この店がどれほど美味しいか試してやろうじゃないか…美味かったら常連として通わせていただこう。

 

 まあ、料理の話は実際に来てからのほうがいいか。

 

 

「そう言えば、大阪から…とあの二人は言っていたが、大阪からわざわざ移転したのか?」

 

「おっ、よう気づいたなぁ…えーと…」

 

「赤峰でいいぞ」

 

「んじゃ!赤峰君、よう気づいたなぁ!その通り、実は最近引っ越してきたばっかなんや!」

 

「成程、通りで見かけない店だと…ちなみにだが、別に呼び捨てで構わないぞ?みたところあまり俺と歳も変わらないだろうしな」

 

「お?そうなん?なら遠慮なく赤峰って呼ばせてもらうで!ウチもそうなったら呼び捨てでっ…って、ところで、ちなみに…幾つなん?」

 

「中一だ」

 

「え!ほんまか!ウチと一緒や!」

 

「本当か?やはり俺とお前には縁があるようだな!」

 

「え?あ、そ、そうやな…えーと…縁云々の時どうやって返せばええん?」

 

「別にスルーで構わんぞ、癖みたいなモノだからな」

 

 

 もう、縁結び関連はもうすっかり俺の口に馴染んでしまった。ぶっちゃけ、俺から見ても反応に困る代物だろうから、無視してもいいよと伝える様にはしている。

 

 

「そう言えば、赤峰ってどこ中なん?」

 

「ん?あぁ、七色ヶ丘中だ。そっちは?」

 

「ウチはね、実はまだこれから新しいところ行くんやけど…って、えっ!?七色ヶ丘中って、うちが今度転校するところや…!」

 

「何!?やはり俺とお前には縁がある様だ!」

 

「えっ…どうしよ…もうここまでくるとホンマに縁を感じてまうわ…」

 

 

 そういえばさっき最近引っ越してきたばかりといってたな。にしても、まだ転校手続きをしていないだろうとはいえまさか中学が一緒だとは…

 

 

「よければ、転校初日、学校を紹介してやろうか?さっきのお礼もあるし、俺とお前には縁があるみたいだからな」

 

「ほんまか?なら、お願いしよかな…」

 

「お?坊主テメェ!俺たちのあかねちゃんをナンパして且つデートとはぁどういうことだぁ?」

 

「惚れ落としたらいくら俺たちでも承知しねぇぞ!」

 

「おい!いつからあかねはお前らのもんになったんや!あかねはウチの大事な娘やで!」

 

「いやいや、お二人とも、ただお喋りしとるだけやで…それに、学校紹介はデートとは言わんやろ!てか、父ちゃんも!お熱になりすぎや!」

 

「ふっ……賑やかでいい店だな」

 

 

 さっきも言ったが、こういう店は嫌いじゃない。こう言った空間は自然と楽しくて笑顔が溢れる場所になりやすい。

 笑顔は幸せを呼び込む。この店もきっと、人を幸せにできる良い店なのだろう。

 

 

「あ、いつもはこんなんじゃないから安心しといてな?今はお客さんも少ないからこうなってるだけやで」

 

「ああ、わかってるさ」

 

「ちゅーちゅータコかいな…っと!んで、こうしてっ…ほい!豚玉一丁上がりぃ!」

 

「はいよー!」

 

 

 そうやって会話していると、鉄板の方から香ばしい香りが漂ってきて食欲を刺激してくる。匂いだけでわかる、絶対に美味しいやつだ。

 

 

「よっと、豚玉一丁!アッツアツやから、しっかり冷ましてから召し上がってな!」

 

 

 そして、俺の目の前に日野さんが出来上がった豚玉を運んできてくれた。

 

 

(これは…美味そうだ…!)

 

 

 見てわかる。

 

 照明が反射してテカるソース。

 満遍なく振り掛けられた鰹節。

 コッテコテにかけられたマヨ。

 そして食欲がそそられるこの匂い。

 

 不味いはずがない雰囲気を醸し出していた。

 

 

「おっ、ついにご対面だな!桃冴!美味すぎてひっくり返んなよ?」

 

「しっかり味わって食えよー!飛ぶぞー!」

 

 

 おじさん達から軽いヤジが入る。全く、手伝っている時は思ってもなかったけど、賑やかで面白い人たちだ。酒のせいかもだけど…まあ、それはそうとて…

 

 

「フーッ…いただきます」

 

 

 俺は、冷ますために少し息を吹きかけてから、割り箸を手に取る。

 そして、そのまま割り箸を割って、ソースがたっぷりかかった焼きたてのお好み焼きにかぶりついた。

 

 

 

 

 

 

 

ピシャーン

 

 

 

 

 

 

「おっ、どうや?ウチの父ちゃん自慢のお好み焼きは!」

 

「……………」

 

「なんや?美味くて声も出んか?」

 

「……………」

 

「あれ…?赤峰?聞こえてる…?」

 

「……………」

 

「そろそろ怖いで?どうしたん?喉でも詰まらせた…?」

 

「……………」

 

 

 

バターン!!

 

 

 

 俺は、その場で倒れてしまった。

 

 

「えっ、えええぇぇぇぇ!!!??」

 

「何事…ってええぇぇ!!?」

 

「ちょっ!?坊主!?どうした!?」

 

「えっ…おい!?脈ねえぞ!?」

 

 

 二人のおじさんのうち一人が、俺の手首に指を当てて、脈を測る…が、振動が何もない。

 

 

「えっ…ちょいと待って…こ、呼吸もしとらん!?」

 

 

 日野が俺の腹部を見て驚愕する。

 

 

「えっ…えっ…!?し、死んだってことなん…?」

 

「安心しろ生きてる」

 

「うおぁ!?生き返ったぁ!?」

 

 

 俺は、ムクッと起き上がる。

 

 いやー、なんと凄い味なのだろう…食った瞬間幸せが一杯口に溢れ出し、噛めば噛むほど感じるソースや鰹節のハーモニー、そして豚肉の旨みが俺の意識にとどめを刺しやがった。

 飲み込んだ瞬間頭に落雷が落ちた感覚になった。それくらい美味かった。

 

 

(タロウ風に点数をつけるとしたら100点だ。今までで食べたお好み焼きの中で最高の味だ…)

 

「すまない、あまりの美味さで死んでしまっていた」

 

「いやいや!どういうことやねん!物理的に今完全に死んどったよな!?えぇ?ホンマに幽霊とかそっち系の意味で空飛んどったやんか!てか!ゾンビみたいに急に起き上がってこんといてや!心臓に悪いわ!」

 

「いや、あまりにも美味くてつい…な…また食いたいと思って現世に今帰ってきたところだ」

 

「ちょいまちちょいまち!そんな動機でお天道様のところから帰って来れるん!?というか、なんで美味いもん食ったら死ぬん!?」

 

「知らん、体質だ」

 

「んな無茶苦茶な体質あるかぁ!」

 

 

 キレのいいツッコミが日野から入る。流石関西人。ツッコミの腕が違う。

 

 実を言うと、俺もタロウのような特殊体質を持っているのだ。

 

 俺のモデルであるタロウの"嘘をついたら死ぬ特性"というのは前にサラッと触れたと思う。

 彼は重度の正直者であり、嘘をつくと拒絶反応を起こして死に至るのだ。しっかり脈も止まる。で、その後すぐ生き返るという謎の性質を持ち合わせている。

 

 それと同じ様に、実は俺も美味いものを食ったら感動のあまりお空を飛び死にかける性質を持っているのだ。

 

 原作でも、タロウは、仲間の一人であるジロウがくれた煮物を食べた際に、あまりの美味さに感動して物理的に空を飛んでいたからな…それの性質を半ば受け継いでこうなったのだよう。

 自分でも何言ってるのかよくわからないが、死んでもすぐ生き返るので、特段俺は気にしてない。

 

 

「何はともあれ…こんな美味いお好み焼き、初めて食べた…凄いんだな!日野のお父さんは!」

 

「えっ…へへっ、そりゃ自慢の父ちゃんだからな!ウチのお好み焼きは食べた人をみんな笑顔にする!さいっこうのお好み焼きなんやで!」

 

「…なんやっ…急にあかねに褒められたらっ…俺もっ…死んでまうでっ…」

 

「ちょ!?日野の大将!?おい!?しっかりせいや!」

 

 

 食べた人をみんな笑顔にする…か。やっぱり、この店とは本当に縁があるようだ。俺も笑顔は大好きだからな…

 にしても、こんなに美味いお好み焼き…こりゃ、大さんや鉄さんもおすすめするわなぁ…

 

 

「いやー…にしても、お騒がせしてすまなかったな…皆さんも」

 

「全く!急にぶっ倒れてビビったんだからな?脈止まってるの気づいた時にはヒヤヒヤしたぜ」

 

「まぁ、あまりの美味さに死にかけるのもわかるぞぉ」

 

「いやいや!美味しいって思ってくれるんはありがたいけど、ウチの店を人殺しの店にせんといてや!もしそうなったら、人肉お好み焼き作らなあかんからな!」

 

「仮にそうなってもんな物騒なもんまず客に出そうとするな!てか、スルーしかけたけど結局赤峰の死ネタは無視かい!」

 

「だから日野、体質だと言っているだろう」

 

「んな体質あるわけないやろがぁぁぁ!!!」

 

 

 そんなこんなで、俺の遅めの昼食は過去一で賑やかなものになったといっても過言ではなかった。ここ最近で一番楽しい時間だったかもしれない。

 

 

***

 

 

「はー食った食った…とりあえず帰るか…」

 

 

 俺は、お好み焼き屋を出て帰路に着く。ちなみにだが、さっきも言ったが、このお好み焼き屋の名前は"あかね"である。日野あかねの"あかね"だ。

 

 店の大将…日野のお父さん曰く、娘のあかねの様に大事にしていこうという意思を込めて名付けたらしい。

 

 なんだろう。本当にあの店、色々な意味で幸せに溢れてる。居て楽しいし、お好み焼きも美味いし、名前からも愛情溢れてるし、ホンマにいい店だ。

 これは常連にならなきゃ損だ。

 

 

「また、守らなきゃいけないものが増えたなぁ…」

 

 

 やっぱり、生きてれば生きているほど、こうして大切な場所や物、人というのも増えていく。

 

 縁はどんどん交わり、繋がり、増えていく。俺はそうして縁を深めた人たちの笑顔を守りたくて戦っている。

 

 

(いつか…この世界の原作のお話が来たら…きっとこの世界も大変なことになるんだろうな…)

 

 

 ニチアサ作品というのは基本どの世界でも、だいたい世界滅亡やら人類支配一歩手前やら何やらデカい危機に晒されることが多い。

 なので、俺が住む街にも今のヒトツ鬼襲撃以上の被害が及ぶ可能性が高い。今日来たこの店だって…巻き込まれてもおかしくない。こんな太陽のように明るくいい場所でもだ。

 

 そうなっても大丈夫なように…力をつけなくては。

 

 

(絶対に…俺は深めた縁を守ってみせる…一体どんな先輩達が、俺を待ってくれてるんだろうな…少なくとも、彼らと肩を並べて戦えるくらい強くならなくてはな…!)

 

 

 俺は、将来どんなことが起ころうと、この世界のどこかにいるであろうヒーローの先輩方と、紡いだ縁を守る。そうまた心に固く誓ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぶ……ぶぇくしょい!!」

 

「あら…買ったばかりの本の前でくしゃみして大丈夫?」

 

「えっ…あーっ!唾がたくさん飛んじゃったぁ!!」

 

「ほら、このハンカチで拭いちゃいなさい」

 

「ううっ…せっかく新しく買った桃太郎…染みになったら全然ハッピーじゃないよぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、月日は流れ…

 桜がまだ残ってる暖かな時期。

 出会いの季節とも呼ばれる春。

 そこで、一つ物語の分岐点となる大きな出会いが起ころうとしていた。

 少年が紡いだ縁と縁が結び合い、本来ならば起こり得なかった一つの奇跡が起きようとしていた。

 

 

「はーっ!はーっ!遅刻っ!遅刻っ!!」

 

「まずいまずい…!おばあちゃんの落としたコンタクトレンズ探しでここまで時間がかかるとは…!このままじゃ遅刻だぁぁっ!!」

 

 

 今、五つの光が導く笑顔あふれる物語に、一人の暴太郎が交わろうとしていた…!




 あかねの口調とか…こんな感じでよかったかな…てか、関西弁、違和感ないだろうか…

 本当は、赤とかオレンジとかを題名に入れようかって思ったけど、日野さんって扱い的には赤キュアなのに、思いっきり赤枠属性のオリ主放り込んで紛らわしいし…ここは、今までのタイトルもみんなの苗字の頭文字から取ってたってことで、赤でもオレンジでもなく"日"でいくか!ってなってこんなタイトルになりました()

 てか、モブのつもりで出した鉄さんと大さん、描いてて楽しいな…お好み焼き会にでもまた登場させるか()

 てなわけで、これにて序章は終了となります!ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!ここからは、少し投稿形式が変わって、毎日投稿じゃなくなったり文字数が減ったりすると思いますが、引き続き読んでいただけたら嬉しいです!

Q.なんでドンモモタロウとスマプリ掛け合わせたの?

A.(その10)赤キュア枠のサニーが全身オレンジなので、真っ赤なドンモモタロウを放り込んでも違和感なさそうだったから。


 感想お待ちしております!励みになりますので、是非!

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