ニチアサの世界に転生とは聞いていたが…! 作:よく酔うエンジン
もう、何をどうお礼すればいいのか…本当にありがとうございます!
雪森さん。プリキュア・ライオットジャベリンさん。誤字報告ありがとうございます!
いやはや申し訳ない…めちゃめちゃ誤字ってました…本当に助かりました…!
大量に誤字報告が送られてきて、感謝と同時に自分が恥ずかしくなりました…これが毎日投稿の代償か…(おい)
「ふーっ、間に合った間に合った…はーっ…はーっ…」
俺は、ガラガラと扉を開けて教室へと入る。星空さんとはあの後、校門の前で別れた。本当は職員室まで連れて行こうと思ったが、本人が前手続きの時に一度来ているから場所はわかると言って行ってしまったので、俺はそのまま教室に来ていた。
汗だっくだくの状態で。
「桃冴君、遅刻ではないとはいえ、時間ギリギリですよ」
「悪い悪い…まあいいじゃないか、遅刻してないんだしさ…」
俺の隣の席に座る、れいかがそう話しかけてくる。
中学2年生になって、なんの縁か、幼馴染であるれいかと同じクラスになったのだ。しかも隣の席という。
「部活の朝練?すっごい汗だけど…」
「いや、バイトバイト。たまたま出会ったおばあちゃんのコンタクト探しに予想以上に時間を食っちまってさ…そういうなおは今日朝練だっただろ?汗一つかいてないな…」
ちなみに、なおもいる。しかもれいかの隣の席…即ち、俺の2個隣。
つまり、幼馴染である緑川なおも青木れいかも、同じクラスかつ横に同列に集結しているというわけだ。
もう…なんだろう。桃井タロウが縁を大切にする理由がなんとなくわかる。こんな抱き合わせ、そりゃ縁を感じずにはいられないもん。まあ、こんな感じで日頃の縁に感謝しているせいで、俺はまたタロウみたいな思考回路へとなっていく訳ではあるが…まあもう特段気にしていない。
「おー、珍しいね、それにしてもとうごが遅刻寸前に登校だなんて」
「まあな…」
前の席の男の子が話しかけてくる。
こいつの名前は
俺の小学校時代からの友人であり、多分なおとれいかを除けば一番付き合いが長いクラスメートだ。
綺麗な黒髪と黄色い目が特徴的であり、よく女性と間違えられるくらい中性的な見た目をしており、一緒に居て色々と面白い子だ。
「へぇ…まあ、そんなことよりもぉ…桃冴君!あの女の子、誰!?」
「……ん?なんの話だ、しのぶ」
しのぶが俺に向けてキラキラした目線を送ってくる。急だなおい。
「とぼけちゃって〜いつもの照れ隠しかな?ふっふっふ…僕みたんだよ!今日朝、うちの学校の女の子を乗っけて自転車通学してたと、こ、ろ!」
「えっ!?ちょっ!ど、どどどどどどういうこと!?それ!?」
過敏に反応を示したのは俺の二個隣に座っていたなおである。
「おー緑川さん興味ある?実はさぁ、さっきお手洗いに行った時、窓から見えちゃったの!ツインテールの女の子が、とうごの自転車に乗ってると、こ、ろ!」
「えっ!ええぇぇ!!?そ、そそそ、それって、つ、つまり……こっ……こここい…」
「一回落ち着けなお。いつものお前と比べものにならないくらい動揺してるぞ」
「ふふふ、まあ、なおは昔からこういった事柄には敏感でしたからね…とはいえ私も少し気になりますね」
れいかまでもが会話に参戦してしまった。
「え?犬上それどういうことだよ!」
「おいおい…今の話マジ?」
「ついに縁結び君にも、恋愛とかそういう意味での縁ができたってこと!?」
「え、気になる気になる〜!」
「えっ…!?そ、そうなの!?赤峰君!」
「おいおいおい…!!窓際で聴かせてもらってたが、えらい話やなぁ…!ウチも気になるなぁ?」
「さぁさぁ!逃げ場はないぞ!吐くんだ!とうご!」
なんか、ゾロゾロとクラスメイトが俺の机の前に群がってくる。
気がついたら、日野や黄瀬さんまできている。
言い忘れていたが、まさかのあのお好み焼き屋”あかね”の看板娘こと日野あかねと、太陽マンオタク仲間の黄瀬さんも同じクラスなのだ。
いやまあ、学校外でも親交深い人たちだったからクラス表発表された時は普通に嬉しかった。
いやまあ、それは置いといて…中学2年生という多感な時期とはいえいくらなんでも興味を持ちすぎだろう君達。
「はぁ…気にしすぎだ。ご期待に添えられない回答で申し訳ないが、単純に遅刻しそうだった子を乗っけてきただけだ。自転車はバイト先の借り物だ。今日色々あって遅刻しそうになったから借りただけだ」
「え〜つまんないの〜!」
「まあ、とうごにそういう話がある方がおかしいかぁ…縁結び君だし」
「おい井上、どういう意味だそれ」
クラスメイトの一人から気になる言葉が出てきた。なんだ”縁結び君だし”ってこの野郎。
まあ、こんな性格と言動だから異性どころか普通の人なら引かれるからモテない事実には同意するが。
「いやいやお前、そういって彼女だったりするんじゃないの?」
「うんうん、照れて隠してるとか…」
「こういうのは、早めに吐いた方が罪軽くなって楽になるんやでぇ〜?」
「ここここ……とうごに…恋人…!」
「いやいや…あのなぁ…」
どうしよう、場がカオスになってきた。どこぞの紫の始末屋が好きそうな状況になっている。あかねもなんかいやらしい顔でこっち見てくるし、なおもなんか壊れてるし…お前いくらなんでも純情すぎんか。
(…さてどうしたものか…ここで何か言っても逆効果な気がするが…)
と考えていた時だった。
キーンコーンカーンコーン…
「皆さん、本鈴が鳴りましたよ!気になるのもわかりますが、今はHRの時間です!席についてください!先生が来るのを待ちましょう!」
「チェッ、もうちょい聞きたかったのに…」
「気になるなあ…」
「こここ……恋恋…」
「…なお、そろそろ戻って来てください」
「…はっ…!」
おっと…れいかの鶴の一声で場が収まった…ふう、よかった。あの状況、何か言っても面倒くさい事になりそうだったから助かった。ちなみになおも元に戻った。
「すまんれいか。助かった」
「いえいえ、ただ学級委員としての仕事をしただけですよ」
「まあ、その話は後で聞くとして…にしても…いつもだったらもう先生来てる時間なのに、おっそいね」
しのぶがそうぼそっと呟く。確かに、大体予鈴前にはもう教室に来ているもんだろうに…
「もしかして…転校生の手続きでお忙しいのでしょうか?」
……ん?転校生?
「え…?転校生って…」
「あれ?とうご忘れたの?今日は転校生がうちのクラスにくる日だよ?とうごの…その…こ、恋人…///の話題になるまで、すーっとその話でもちきりだったんだよ?」
「えー…?あー…」
完全にすっかり忘れていた。転校生がうちのクラスにくることを。
いやそういえばそうだった。今日のコンタクト探しの一件に夢中ですっかり忘れてしまっていた。
(転校生って…おいおいまさかと思うが…)
俺の頭の中で、コロネのような特徴的なツインテールが思い浮かぶ。これであの子が来たら、もう縁を一生バカにできんぞ…と考えていた時だった。
「おはようみんな。ごめんなさい。転校生の一件があって少し遅れていたわ。」
担任の佐々木先生がガラガラと扉を開けて教室へと入ってくる。
…その遅れた理由。多分、その人が遅刻寸前できたからですよね…?
「今日は、皆さんに言っていたとおり転校生がいるわ。紹介するわね、星空さん入ってきて」
そして、見覚えのある特徴的な髪型の女の子が入ってきた…いやぁ…もう、なんだろう。色々怖い。こんな偶然あるのか…いや違う、これが縁か…
「いやあ…縁があるな」
「あっ……!赤峰君!!??」
面白いことに、彼女と俺は不思議な縁で結ばれているらしい。
佐々木先生に呼ばれて入ってきた女の子は、星空みゆきこと星空さんだった。
「ツインテール…あーっ!わかった!あの子が赤峰君の!」
「えー!!もしかして、あの子がさっき犬上君が言ってた子!?」
「じゃあ、赤峰君の彼女候補!?」
「えー!すごいすごい!運命の再会ってやつじゃない?」
あ、待って。全然良くない。
さっきれいかに鎮められたみんなの興味が、当事者である星空さんが再び入ってきたことで再燃してやがる…!この流れ…マズイ!非常にマズイ…!!
「えっ…あっ…いっ!いやいやいや!待って待って!!ち、違うよ!赤峰君とはその…!」
「はいはい皆!転校生のことが気になるのはわかるけど、今はHRの時間よ!席に座りなさい!って…赤峰君の…?今なんて?」
クラスメートが興奮した様子で星空さんに詰め寄り、あれやこれや色々聞こうとしている。それをやめろと言わんばかりに佐々木先生から声が上がるが…この状況…
(ま…まずい…こ、これは…!)
***
「それでは改めて、転校生を紹介します。星空さん、自己紹介してください」
「あ…!はい…!!えーと……」
(どっどどど、どうしよう…!みんなからの目線が…すっごいキラキラしてる…!)
申し訳ないことをしてしまった。
途中からクラスに入ってきたものとして、馴染めるかどうかがここで決まると言っても過言ではない自己紹介という場にも関わらず……俺は、彼女にとんでもない困難を押し付けてしまった。
今や、クラスメートから受けている注目は、本来彼女が受けていたであろう視線に比べ何十倍も重たいものとなっている。
転校生の自己紹介。といえば、普通に無難に名前を紹介して、趣味やら好きなこととか紹介して、うまく馴染めることを願って、友達ができることを願って”よろしくお願いします”と〆るのが普通だろう。
その結果により、このクラスでの存在感が決まる。
だが、今の彼女は
(俺との間に、変な縁があるのではと話題になっていたせいだ…)
先ほどまで、しのぶが言ったことのせいで、俺が乗っけてきた女の子に対して興味が出ていた頃に、目の前にその当事者の少女が現れる…まあ、気にならない方がおかしいだろう。
一体俺と星空さんにはどんな関係があるのだろう…と、その答えを聞くために今か今かと彼女の言葉を待っている。
そのせいで、本来よりも何十倍も興味を持った視線が星空さんを襲っていたのだ。
ただでさえ緊張するだろうに、この視線…公開処刑に等しいだろう。
(うっ…すまない星空さん…俺もただ自転車に乗っけて遅刻しないようにってやったことが…こんな風にまでなるとは思ってなかったんだ…)
クラスメイト全員、彼女の二言目を待っている…が、そこにあるのは沈黙のみ。
彼女の顔、そして体の固まり具合からみてもほぼ確実に緊張しているというのがわかる。
俺も星空さんの為に何か言った方がいいだろうか…いや、辞めておこう。
曲がりなりにもこの時間は星空さんがクラスに溶け込めるか否かが決まる大切な時間…ただでさえ俺と彼女の縁の問題でみんな気になっているというのに、その俺が下手に介入したら…その星空さんの大切な時間を奪うのは勿論のこと、さらにその話に尾鰭がついて収拾がつかなくなってしまいそうである。
「え……へ………」
(うっ…あれは、多分セリフが飛んでいる…)
とんでもない顔をして星空さんの顔が引き攣っている…さっき丘の上で会った可愛らしくも元気そうな印象などどこにもなかった。
かれこれ数秒間、気まずい沈黙の時間が流れている。
そのせいか、完全に空気が死んでいる。
キラッキラな期待を込めた目線を送るクラスメートに、ガッチガチに固まり何も言い出せない星空さん。どう転がっても地獄になりそうだ。このままじゃせっかくの自己紹介が最悪の結末になる。バッドエンドと言っても過言ではないだろう。
やはり、さっきはああは言ったが助け舟を出すべきだ。半分こうなったのは俺の責任であるとも言える…と考えていた時だった。
「まだー?じこしょーかーい」
「…えっ?」
窓側の方から声が上がる。
浪速のお好み焼き屋”あかね”の看板娘こと日野あかねである。
「みーんな気になってんでー?」
「はっ…はいぃ!!えーと…ほ、星空みゆきです。あっと、その、えっと…私…ととと、とにかく!よ、よろしくお願いしますっ!!」
ガバッ…と頭を下げる…が、明らかに内容が足りてない。これじゃあ…
「えっ?それで終わり!?」
「えー!?赤峰君との関係は〜?」
「気になってたのに〜!」
「あっ…あっあっ、えっと、えっと!!」
……あっ、終わった…お、俺がもっと早めに介入するべきだった…!と考えていると。
「あかん、オチ無いやん…赤峰とのことも何もわからんし…よっしゃ!うちが代わりに自己紹介したる!」
「え?」
そうすると、スタスタといつの間にか星空さんの真横に日野が立っていた。
「んー?せやなぁ…見た感じおっちょこちょいやけど…芯はしっかりしてる…」
「うぇ…?あ、えっ、えっ…」
「んで、星を見るのが大好きな弟がおって…せやなぁ…名前は…”星空見たろー”!」
「「「ぷっ…あっはっはっは!」」」
す…すごい、ガッチガチになっていた空気を…解きほぐしやがった…!これが関西人の力か…
ありがとう日野…!おかげで少なくともこの空気からは脱出できた…!
「ふぉーウケたウケた!んで、次は…赤峰とはぁ…せやなぁ…んー…」
「あっ…赤峰君とは別にそう言うのじゃなくって…!その…ただ今日遅刻しそうだったところを自転車に乗っけてもらっただけで…」
「お?ちぇー…まあ結局そんなんだろうとはなんとなく思っとったわ!んで、じゃあ続きを…」
「あかね!星空さん困ってるでしょ!」
「そうですよ、それに挨拶は自分でしないと」
すると、なおとれいかから制止の声が入る。
とはいえ、きっと緊張を星空さんのほぐすのと、この空気を壊すため…日野、ありがとう…
「はいはい、ちょうどええからあの二人…と、ついでに噂の元凶赤峰も紹介しとくわ!」
「おい、ついでってなんだ。…まあ、何はともあれ星空さん、悪かった。俺が余計なことをしたせいで…」
「あ、ううん!気にしないで!赤峰君のおかげでなんとか間に合ったもん!」
空気もほぐれたので、謝る機会を逃していた俺は頭を下げる。向こうは気にしないでといってくれているが…何か詫びを入れた方がいいな、これは。と考えていると、日野が俺の隣に座ってるなおとれいかの紹介に移る。
「ま、とりあえず…あっちが”緑川なお”。スポーツ万能で、おまけに義理堅くって情に脆い。女番長って感じやな!」
「ば、番長!?」
女番長…ねえ、いや確かに女の子達からモッテモテだし、頼りになるけど…いや、うーん…高所にビビって虫が出ると泣く女番長…やばい吹き出しそうになる。我慢我慢。
(今なんか変なこと考えた?)
ギロリとそんなことを物語ってそうな鋭い目線がなおから飛んでくる。おかしい、どういうことだ、なぜわかる…?まあいいや、知らんぷりだ…
「ほんで、こっちのお嬢様が”青木れいか”。クラス委員で生徒会副会長!勉強も出来ておまけに男子にモッテモテ!」
「も…もてもて…?」
それはあるな…才色兼備で真面目な子だし、よく学年の恋バナで名前が挙がっている印象がある。別クラスの友達かられいかが好きだから今度会わせてほしいと頭を下げられた時はびっくりしたもんだ。
まあ、モテモテとかいうイメージの前に、ある意味で俺のヒーローってことと、天然なことの方が思い浮かぶけど。現に本人モテモテって自覚してなさそうだし。
「そいで、もう知っとると思うけど、れいかの隣におるのが”赤峰とうご”!運動も勉強もなんでもばっちこいなのにむっちゃ優しい完璧超人!けど、口を開けば縁縁言ってくるうちのクラスが誇る”妖怪縁結び”やな!」
「おい、最後!事実だが妖怪呼ばわりか!?」
(事実って認めはするんだ…)
妖怪呼ばわりとはなんだこの野郎。まあ、完璧超人って言われると…ちょっと嬉しいな。まあ、タロウの才覚におんぶに抱っことはいえだ。運動や勉強は自力で努力積み重ねているし。
「まあまあ、だって出会い頭に"縁ができたな!"って言ってくるのとうごだけでしょ?僕も最初やられた時びっくりしたよ〜」
「んで、その今喋った奴が"犬上しのぶ"!学校内で一番のゴシップ好きな新聞部!なんか気になる噂やがあったらあいつに聞くのがいっちゃんええで!」
「えっ!?僕も紹介されるの!?」
不意打ち気味に目の前の席に座っていたしのぶも紹介される。
「ほんでウチは”日野あかね”!去年大阪から引っ越してきたから転校生の気持ちはよーわかんねん…ちなみにな、ウチ、赤峰が縁ができたっていった時星空さんがどんな反応するか楽しみやったけど…さっきの会話的にもう縁結ばれてそうやしなあ…」
「それなー」
「確かに、ちょっと楽しみだったかも」
「ねー」
「さっきもう…私…言われちゃいましたね…あはは…」
「よなぁ〜…さっすが妖怪縁結びやなぁ、いつでもどこでも縁を結ぶ恐ろしい妖怪やで…」
「「「あっはっはっは!!」」」
「おい、流石に怒るぞ俺でも」
「はーい、そこまで」
「うぇ?」「へっ?」「おっと」
佐々木先生から流石にストップが入る。まあ、日野のおかげで空気がほぐれたとはいえ星空さんの自己紹介の時間だからな。うんうん。俺もつい出しゃばりすぎたな。
「日野さんありがと。さっ、席に戻って」
「へへっ、おあとがよろしいようで」
軽く笑い、他のクラスメイトとハイタッチしながら日野は席へと戻っていく。完全に余談だが…日野もああみるとクラスに馴染めていて何よりだ。半年前に転校してきたけど…今やすっかりクラスの中心人物である。
「にしても〜せっかく新鮮な恋バナだと思ったのにぃ」
「ちぇ〜やっぱりいつものとうごのお節介かぁ…期待してたんだけどなぁ…」
「でも、あのとうごっちのマジで申し訳なさそうな感じ、本当に何もないんだろうね…」
「後で星空さんに謝らなきゃね…」
「はいはい静かに!」
お、周りの会話を聞く限り、変な噂は立たなそうである。よかった…少しホッとした。
「その子は”黄瀬やよい”、めっちゃ泣き虫でちょっとツッコんだだけですんぐに泣いてまうねーん」
「よっ、余計なこと言わないでよ!泣いたのは、た、たったの”3回”だけだもん……!むぅ…!」
おっと…黄瀬さんにまで紹介が入るとは…とはいえ、その紹介の仕方は少しかわいそうじゃないか…?ちなみに余談だが、黄瀬さんとは例の太陽マンショーの頃からよくオタク談義をしていて、今でも女子の中だと仲がいい方だ。
にしても日野よ…ちょーっと弄り方が人によっては傷付くタイプだぞ?泣く回数だの恋模様だので弄るのは。
よし、後でお灸を据えてやろう。妖怪呼ばわりした分の借りも含めてだ…まあ、それは置いといて、先生が止まるまで日野の独壇場だったが、元はと言えば星空さんの自己紹介タイムだ。そろそろ星空さんの言葉にも耳を傾けるとしよう。
「みんなありがとう!皆さんのおかげで緊張が解けました。」
そして、改めて星空さんの自己紹介が始まった。
「改めまして、星空みゆきです!私は絵本が大好きで、小さい頃からたくさん読んでいます。絵本のお話って必ずハッピーエンドになるのが素敵だなって思ってて、私も毎日そんなハッピーを探してます!」
うーん、メルヘンだねぇ…純粋だねぇ…と思っていると。
「それってどんなん?」
日野から疑問の声が上がった。
「えーと…口では説明しにくいんですけど、ハッピーってなんかこう、この辺がキラキラして胸がワクワクして、んー、とにかくウルトラハッピー!って感じのことなんです!」
うーんわからん。しかし甘酸っぱい。そしてなんとなく理解できそうで出来ん。だが…イメージするとしたら…
(”笑顔”…とかかな)
俺の中ではそれがパッと思い浮かんだ。縁を結び深めた人たちの笑顔を見た時が、俺も幸せと感じる瞬間だからだ。
「なんやよーわからんけど」
「でも、なんだかわかります」
…ふわふわした事だと言うのに、こうも相槌を打ってくれるとは…相変わらず、この世界の人たちは優しいな。まあ、何はともあれ、星空さんもクラスになんとか馴染めそうだ…
よかった…一時はどうなることかと思ったが…まさか、変な奴だと思ったあの出会いから、今日ここまでこうも…星空さんの周りに何か運命めいた縁を感じる。
(まあ、何はともあれ、純粋でいい子だってわかった…何より何よr
「キャンディ!!キャンディだよ!ほら!」
……えぇ……)
……いや、やっぱりやばい奴かもしれない。急にどうしたんだ外に指差して飴飴連呼して…雲が飴にでも見えたのだろうか。
(ま、何はともあれ賑やかになりそうで何よりだ…)
俺は、星空さんを見つめながらそう思うのだった。
***
そして、気がつけばあっという間に放課後になっていた。
「もう帰るん?なんだったら学校の中案内しよか?」
「ありがと!でも日野さん部活でしょ?」
「じゃあ、俺が代わりに案内しようか?」
ずいっと、二人の会話に割り込ませてもらう。
一度日野が転校してきた時も学校案内をしたことがあるし、星空さんにもやってあげようと思ったのだ。それに…今朝ある意味俺のせいでああなった訳だし、それの詫びでもある。
「お、赤峰やん。部活大丈夫なん?」
「今日は休みだ。だから問題ない。それに、朝あんな事にになってしまった詫びも兼ねてな…せっかくだしどうだ?」
「え…?うーん…なら、お願いしちゃおうかな!」
「お?これは…二人っきりの校内デートかぁ?さっきの件もあるのにおアツいなぁ…やっぱり…そういうことなん?」
「えっ、で、ででデート!?」
おうおう日野さん大層なこと言いますなあ…まーた女の子の純粋な感情いじったなぁ…?よしお灸据えターイム!
「じゃあ、半年前俺は日野ともデートした事になるな」
「ちょちょ!それは言わんお約束やろ!てか言い方!!」
「嫌なら女の子の純情やら恥ずかしそうなことでイジんじゃねえこの野郎。罰として星空さんに教えてやろう。ほら、耳貸して。でね、日野がその初デートで…」
「えっ…うんうん…!」
「わーっ!わーっ!!待ってぇ!!言わんといてぇ!!ウチが悪かったからぁ!!」
と言う訳で、まあ色々あったが、俺たち二人は学校紹介ツアーへと赴く事になったのだ。
***
「ここが理科室。星空さんの席は…俺の予想だとあそこになるかな」
「ふむふむ…」
「ここが家庭科室。ちなみに、調理実習確か今度あるからエプロンとか用意しときな」
「うんうん」
「そいで…ここが図書室だ!あ、静かに入ってね…って、人少ないな…誰もいないじゃねえか…」
ドアを開けてみるが、誰もいない…図書委員の子すらいない。珍しいな、こんなにガラガラしているのは。大体自習したい生徒とかもいてそこそこ混んでるのに。
「すっごいガラガラ…!ここの学校の図書室、あまり使われないんだ…」
「いや、そういう訳じゃないんだがな…多分たまたま人がいないだけだ。ちなみに、星空さんが好きっていってた絵本も結構充実しているぞ」
「うわぁ〜…!そうなんだ…!」
本当に絵本が好きなんだな…目の輝きが理科室とか紹介していた時とは訳が違う。目がキラキラしてやがる…って…あれ?
(今日の図書委員の子…返却された本を元の場所に戻してないな…星空さんも絵本のこともあってもうちょいここいたいだろうから…丁度いい、仕方がないけど少しやってやるか)
「星空さん、ちょっとだけ待っててくれないか?すぐ終わるから、好きな本見てていいぞ」
俺は、小声で星空さんに話しかける。ガラガラとはいえ図書室は私語厳禁だからな。
「え?急にどうしたの…って、それ…本の返却?」
「そ、元に戻しに行ってくる。だから、ちょっと悪いけど…」
「わかった!じゃあ終わったら呼んで!向こうのほう見に行ってみるね!」
そういって、星空さんは図書室の奥の方へと行ってしまった。俺はその間にちゃっちゃと本を戻すとしよう。数は少ないしすぐに終わるだろう。
***
「わー…にしても、人があまりいない図書室ってなんだか不思議…ん?」
赤峰を待つ間、図書室を軽く散策していると、ふと星空みゆきの視界の中にピンク色の光が目に入った。
「何…?」
見てみると、不思議な光がある一冊の本から溢れていた。
「何だろう…?この光…本棚の奥から…?」
その光っていた本を取り除くと、その光は本からではなく、本棚の奥から漏れ出ていたことがわかる。
何が光っているのか気になり、本を
カチッ
「あれっ…」
本を右に動かすと、その光が消えてしまう。すると、今度は下の段の左側が光り輝く。
「ん…?」
カチッ
「また…?」
すると、その光もまた消えてしまった。それに呼応するかの如く、上の段が同じように光出した。
「……よーし…!えい!」
そして、その光の正体を突き止めてやろうと、躍起になって再度本を掴む。
今度は
カチッ
「わ…わ…え…!?」
その瞬間、本棚のあちこちが光り出し、巨大な”扉”を構成するが如く、まとまって光り出した…!
「なになに…!?何なの…!?何…本が光って…」
あまりに不可思議な現象に、思わず後退りしてしまう…が
「え…うぉ…?」
体が、とてつもない引力でその本棚の方へと引っ張り出されてしまう。少女にそんな力に抵抗する脚力などあるわけもなく…
「うぉぁぁぁああああ!!?」
女の子とは思えないほど大きな絶叫を上げながら、星空さんはその扉の先に広がる、七色の不思議な”道”の中へと放り込まれてしまった。
「おーい、悪かったな…あれ…?星空さん…?」
そうして、赤峰が図書室の奥から帰ってきた時、そこには誰もいなかった。
本棚も、まるで扉とは、光とはなんだと言わんばかりに鎮座していた。
マゼンダ色の髪の少女はどこにもいなかった。
***
(星空さん…?どこいったんだ…?)
何か気になるものがあって、きっと俺を待っている間に色々見に行って、そのまま帰ってきてないだけだろう。と考え、紹介していなかった部分を見て回ったのだが…
(いない…どこにも…)
星空さんの影はどこにも見えなかった。
「あっ、北原!星空さんのこと見なかったか?」
「え…?いや、教室で別れた時以外見てないなあ…どうしたんだい?」
「あ、いや、ちょっとな…じゃ!」
学校に残っていたクラスメイトに聞いて回ってみるも…星空さんの目撃情報は得られなかった。他にも色々な人に聞いてみたが…誰も図書館に入ったところ以降は見ていないとのことだった。
(おかしい…向こうも移動しているだろうとはいえ…ここまで会えないもんか…?)
しかも情報の一つも出やしない。まさか、誰かに攫われたり、どこかに閉じ込められでもしたか?見学中に外からドアを閉められて出れなくなった…とか…
いやまさかなあ…とはいえ、ここまで誰も見かけてないのもおかしい…一体全体何がどうなって…こうも人が突然神隠しみたいに消える……なんて…
(……待てよ?)
星空さんを探し回っていた足がぴたりと止まる。なぜなら、俺の頭にまさかの可能性が思い浮かんだからだ。
(まさか……ヒトツ鬼に攫われたか…?)
本来暴太郎戦隊ドンブラザーズにおいて,ヒトツ鬼という生物の特徴の一つに”人や能力を消し去る”というものがある。これは文字通り、自分の体に取り込んだりするかの如く、暴れまわりながら周りの人間を消していってしまうのだ。
俺が今まで戦って来たヒトツ鬼モドキにもその特徴は受け継がれていた。
もっぱら回収しているのは、人間から出ているあのよくわからない黒いオーラのようなものだが、時たま人間ごとそれを回収…すなわち、人間を丸ごと消し去っている場面に遭遇したことがある。
ちなみに、その黒いオーラに関しては正体がよくわかっていない。気になりはするが…それよりもヒトツ鬼がこの世界に存在している方が俺目線気になってしまい、黒いオーラに関しての考察は一旦保留にしているからだ。わかっているのは、何か精神汚染のようなものを受けてあの黒いオーラは出ており、それ自体は特に害はないという事である。
それはそうとて…
(もし…もし星空さんがやばいことに巻き込まれているのだとしたら…!)
俺は、気づいたら学校の外に出ていた。
赤いサングラスをつけながら。
ありえる。学校のみんなが見かけていないだなんて、普通に考えればおかしい。超常的な何かに巻き込まれたのだと言うのならば色々と合点がいく。
まるで神隠しのように突然姿を消して、誰も姿を見ていないのだ…色々納得はできる。
(くっそ…なんでもいい、ヒトツ鬼の痕跡を探るんだ…!仮に取り込まれてしまっても、ヒトツ鬼を倒せば元の場所に戻ってくるはず…学校で人がいないとか化け物を見たとかそう言う騒ぎになっていないのなら…おそらく、星空さんを襲った後どこかに脳人レイヤーの扉を通じるなりしてすぐ逃げた可能性が高い…!)
そう思って、学校近辺を走り回って探索していた頃だった。
「っ……!!あれは…!」
サングラス越しに、商店街の方の空が黒く染まっていくのが見えた。
一応サングラスを外して見てみるが…うむ、普通の青空だ。
間違いない、あそこでヒトツ鬼が出現していると見ていいだろう。
と言うのも、ヒトツ鬼が出る際には、空が黒く染まる…のだが、それは、まるで結界のようにヒトツ鬼が活動している圏内を中心に一定の範囲が黒い空気で覆われるのだ。
そして、その結界は、外から普通の人では認知できない。
(ま、唯一このサングラスで視認できるわけだが…)
サングラスであれが見えたと言うことは…あそこに居る奴が星空さんを攫ったに違いない。たとえそうじゃなかったとしても…ヒトツ鬼から人々を守り、ヒトツ鬼になってしまった人を救うのは俺の仕事だ!
(待ってろよ…!星空さん!)
俺は、その結界に向けて走りだしたのだった。
なーにせっかく付き合っているみたいな変な噂にならなくてよかったね!みたいな感じだったのに自分から積極的に絡みに行ってんだこの主人公。
てか、うちのなおちゃん、もうギャグギャラになりつつある…まあ、これから姉御肌見せていけばいいか!
ちなみに原作だと30人学級なのですが、この世界では36人学級となっております。
え?なぜかって?
主人公を原作キャラを喰わないように入れるためだよ!
なんだよ!全員分クラスメートにも名前がちゃんとつけられててキャラもある程度定まっているとか!!そんなのもし主人公を放り込んだら誰かあぶれてしまうじゃないか!手が掛かりすぎだろ東⚪︎さん!流石です!!
ちなみに、しのぶ君はその穴埋めの一人です。
てか、一万字超えちゃった…(実は十話目でもう超えてた)まあいいか!
Q.なんでドンモモタロウとスマプリ掛け合わせたの?
A.(その12)どちらの作品もワープできるドアが存在するから。
感想、お待ちしております!
単純に興味で聞くのですが、この中で誰が一番好きですか?
-
星空みゆき
-
日野あかね
-
黄瀬やよい
-
緑川なお
-
青木れいか