ニチアサの世界に転生とは聞いていたが…!   作:よく酔うエンジン

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50000UA突破!ありがとうございます!
そして…寝る前に気がついたのですが…お気に入り登録者数1000人突破!?あ…ありがたい限りです…拙作を読んでくれて本当にありがとうございます!

はあ…スマプリ本編見るたびにネタがポコポコたくさん思いつくのに、ウチの小説はまだ2話しか進んでない…色々書きたいのにどうしたもんか…()

でも勉強もあるし…時間が…と、とにかくこのままマイペースで頑張っていきますので、温かい目で見守ってくれると嬉しいです!

なんとかして文字数減らして投稿し続けるようにしないと…くそう、気がついたらいつも一万字書いてるのほんまどうにかしないと…私の体がもたん…!!

雪森さん。毎度誤字報告ありがとうございます!


沈む太陽

 

キーンコーンカーンコーン…

 

「それでは皆さんさようなら!!」

 

「「「「さようならー!!」」」」

 

「気をつけて帰ってね」

 

 

 そう言って、担任の佐々木先生は教室から出て行った。

 

 

(ふう……よし、とりあえず今日もプリキュア探しだな)

 

 

 学校の終わりを告げるチャイムがなり、ホームルームも終わった。

 

 昨日は、結構遅くまで日野の練習に付き合ったりしてたのと、それ以前にプリキュア探しで町中を駆け回ってたので家に帰った時にはもう疲れてバタンキューと寝てしまった。正直言ってめちゃめちゃ熱中して盛り上がってしまった。俺も日野から色々見て学んでさらに強いスパイクが打てるようになったこともあって、めっちゃ打ち込んだ。

 そんなわけで体の疲れは取りきれてない…が、なるべく早くプリキュアの正体を特定したい俺に休んでいる暇などなかった。

 

 

(取り敢えず…今度は西側を回ってみるか…いやー…いくら手当たり次第に調べてるとは言え大変だなぁ…)

 

 

 昨日のうちに街の東側のある程度は回り終えたが…他にも回らないといけないところはいっぱいある。野良犬を含めなくても犬を飼っている人というのはたくさんいる…相当根気強く回らないとプリキュアに会うことは難しそうだ…

 

 

(って待てよ…?そもそも、プリキュア自体この町にいるのか…?)

 

 

 なんか、勝手にこの町に住んでいるモンだと思ってたが…そうでない可能性もあるんじゃないか?別に隣町に住んでたって何らおかしくないぞ…?*1

 

 じゃあ、この街だけじゃなくて、他の町も回らないとダメか…?

 

 なんか…そう考えると、探し回るよりも普通にヒトツ鬼が出るまで待って話しかけに行くのが体力面でも時間面でもコスパいいんじゃ…

 

 

(……いや、とりあえずこの町の犬は回ることにしよう…ここまでやっといて途中で投げ出すのは…なんか嫌だし…いやでも…犬…後何軒まわればいいんだろ…犬)

 

「ねーねー!赤峰君!このあと時間ある?」

 

「ん…?」

 

 

 色々考えていると、俺の机の前に、目をキラキラ輝かせた星空さんが立っていた。

 

 

「もしよかったらさ…日野さんの部活一緒に観に行かない?ほら!昨日の秘密の特訓の成果…どうなったか気になるし!」

 

「ほう…ありがたい提案だな。てか、だからでかい声で秘密の特訓って言ったらそれはもう秘密じゃないだろ」

 

「あっ……えへへ」

 

 

 星空さん。君昨日も日野に突っ込まれてただろ()

 まあ、それはそうとして…俺の回答は決まっている。

 

 

「見に行きたいのは山々だが…すまんパスで。色々予定があるんだ」

 

「えーっ!!?そうなの!!?」

 

 

 練習の成果が出ているか普通に気になるので見に行きたいのは山々なんだが。それよりもプリキュア探しをしたい。

 

 

(女子バレー部の練習見学に男子が行く…しかも、多分俺以外見学者は多分女子…なんか…浮きそうで嫌だ…!絶対悪目立ちする…!なんか変な噂立ちそうだし…!///)

 

 

 女の子に囲まれながら、女の子達の練習風景を見る…いやなんか…恥ずかしい!絶対後日しのぶとかに弄られる!

 

 

「あれ…?赤峰君、なんか…顔赤くない?熱?」

 

「い、いや!気にするな!というわけで俺は行くわ!じゃあな!日野によろしく言っといて!」

 

「わわっ…い、いっちゃった…足速いなぁ…」

 

 

 とりあえず、ペットショップで色々お土産買い込んで、回るだけ犬達の元を回るとしよう。

 その為にも一分一秒無駄にできん。回る範囲をこの街に絞るとしても数はどのみち膨大だからな。

 

 そう思って俺は慌てて学校を飛び出すのだった。決して照れ隠しではない。

 

 

***

 

 

「むー…赤峰君と一緒に日野さんの試合見たかったのになー…はっぷっぷー」

 

「みゆき!試合始まっちゃうクル!」

 

「あわわっ!日野さんは…えーと…あ、あそこだ!」

 

 

 カバンの中にいるキャンディの声でハッと我に返り、あかねがプレイするグラウンドに目をむける。

 

 

「まあいいや!とりあえず応援応援!日野さーん!頑張ってー!!」

 

 

 星空みゆきの声がバレーボール場に大きく響いた。その声に気づいた日野あかねも、グッと"任せろ"と言わんばかりのサムズアップを返した。

 

 

「ほっ!」

 

パシィ!!

 

「ていっ!!」

 

パシィ!!

 

「たあっ!!」

 

パシィィィン!!!

 

 

 得点が入ったことを告げるホイッスルの音が何度もバレーボール場に響く。その音を鳴らす要因となったのはもちろん日野あかねだった。

 そして、あかねの活躍はなにも得点を入れる攻撃面だけではなかった。

 

 

「はあっ!!」

 

「させへん…でっ!!」

 

バスッ!!!

 

(っ…!受け止められた…!良い手応えだったのに…!)

 

(ふーっ…赤峰の殺人スパイクに比べれば何とか止めれるな…!)

 

 

 昨日の練習の甲斐もあって、現時点だとエース最有力候補であるゆかの球にも食らいついていた。

今までの自分とは大違いだと彼女は実感していた。

 

 思い出すのは、昨日のおそらく今の学校だと一番付き合いの長い男友達である赤峰のスパイクだった。

 最初っからバレー経験が体育だけと言うには凄まじいスパイクだったのは覚えている…のだが…問題は、そこそこスパイクを打ってもらった後に起きた。

 

 

『おーれたちーのっ!たまーしいーもっ!燃ーえーてーいーるっ!!』

 

『ちょちょ!!くうっ!あかんさっきよりごっつ速なってるやん!この速度でそんなぽんぽん出されても反応できへんて!と言うか…一球一球男子の球だからってのもあるけどめっちゃ重い…!手の体力ごっつ持ってかれる…!』

 

『あわわ…どうしよう…私じゃ目で追えなくなってきちゃった…』

 

『あーなんか、日野の動き方見てたらどう打てばいいかわかってきてさ…あと、なんか沈む太陽見てると”サンバルカン”の”バルカンボール”思い出してさ…!なんか、スイッチ入ってきちゃってさ…!よっと!!』

 

『何や”サンバルカン”って!!?おわっ!?てか、うちじゃなくてそっちが成長しててどうすんや!!もはやウチの特訓じゃなくなっとるやんか!』

 

『いいじゃんいいじゃん。練習相手が強くなればなるほど今のお前には良いだろ?てなわけで…次は本気で行くから止めろよー?ほいっ…からのー…』

 

『わっ…日野さん…なんかあの玉、すっごい強い気がする…!』

 

『え…今まで本気じゃなかったん…?てか待って!?よくよく考えたら赤峰のそのパワーで本気で打たれたら今の腕じゃ…』

 

『日野ー死ぬなよー!とりゃぁぁぁぁあ!!バルカンボール!!!』

 

バシィィィィン!!!!

 

『うわああぁぁぁぁぁ!!!!??』

 

 

(うっ…思い出すだけで腕がヒリヒリしてきたで…)

 

 

 赤峰も自分のためにやってくれているので、大声でやめろとも言いづらくなって、なんとかしてその速い球をレシーブで止めようとしたが…案の定腕どころか体ごと持ってかれた。

 

 腕が悲鳴を上げていたが…バレー部としてずっとバレーをやって来た者。エースを目指す者として。こんなところで負けてられんとプライドに火がついてしまった。それでそのまま何回もその殺人ボールに立ち向かってしまった。

 

 アドレナリンがドバドバ出ていたからと言うのもあったからだろう。よくよく考えれば自分はバカだった。

 確実にそのせいだと思うが、結局日も沈んで気がついたら腕が真っ赤になってぶっ倒れていた。

 

 

(よう考えたら…ウチよう怪我せぇへんかったな…今日まで痛みも引きずっとらんし…)

 

 

 頬がヒクヒクと引き攣って、ついぎこちない笑みが浮かんでしまう。

 

 実を言うと、とうごがタロウの才覚の応用により、持ち前の手先の器用さで怪我しないギリギリのラインを日野に無意識のうちにぶつけていたのだが…流石にそれには気づいていないようだった。

 そんな練習をしたせいなのかはわからないが、少なくとも速い球に対する対応力は抜群に良くなった。

 ライバル視していたゆかのボールだってあのボールに比べれば簡単に止められる。

 

 

「おぉぉお!!日野さん!すごーい!」

 

 

 何はともあれ、他を圧倒して活躍する日野の前に星空みゆきは、大はしゃぎである。

 

 

(昨日の特訓…二人とも目が燃えて集中し始めちゃったから置いてけぼりになってよくわかってなかったけど…とにかくすごいよ日野さん!練習の成果きっと出てるよ!)

 

 

 とうごがあかねを側から見るといじめているのではと感じてしまうほど凄惨な練習風景だったので、あの時は彼女も無論止めようとした。が、両者俺たちの魂も燃えていると、太陽の如く燃え上がって集中していたので、ひとまず水を差さずに見学していた。

 日野さんがぶっ倒れた時はどうしようと思ったが…今の風景を見る限り止めなくてやっぱり良かったと彼女は思った。

 

 

「まだまだいっくでぇっ!!」

 

 

 ノリノリに波に乗った日野あかねを止められるものは、この場ではもはや誰もいなかった。

 次々と点差が開き、試合もあっという間に決着がついてしまった。

 

 

「ふー!よっしゃ!大勝利やで!」

 

「わー…日野さんすごーい!!」

「ナイスブロックだったよ…!」

「昨日と別人みたいに上手くなってる!元々うまかったけど!」

「これは…エース交代なんじゃないかな?」

 

「へへん!どんなもんよ!これがウチの真の実力や!」

 

「うっ…っ……ごめん、ちょっと部室に水筒取ってくる…」

 

「お、行ってら!じゃあ、ゆかが戻ってきたら再開やな!」

 

 

 今現在あかねは満面の笑みを浮かべていた。

 練習の成果もあって、努力が実り、強かった友人にも勝てた。笑顔になるなという方が難しい話だろう。

 バレー場には互いの健闘を褒め合い称え合うハッピーな空間が形成されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、一人…いや1匹、その笑顔を気に食わないと眺めていた存在がいた。

 

 

「フン…人間どもめ…夢や希望に燃えれば燃えるほど…絶望した時のバッドエナジーは大きくなるのだ…!」

 

 

 そう、ウルフルンだった。彼は学校の校舎の上に立ってバレー部の様子を観察していた。

 活躍して笑顔になって、めでたしハッピーエンドな雰囲気が漂う目の前の空間が、彼は気に入らなかったようだ。

 

 

「ここもバッドエンドにしてやるとしよう…」

 

 

 そう呟くと、どこからともなく結末の書かれていない白紙の本を取り出した。

 

 

「世界よ…!最悪の結末…"()()()()()()"に染まれ…!」

 

 

 そして、その言葉と共に黒い絵の具のようなものがウルフルンの手を染めた。

 

 

「白紙の未来を黒く塗り潰すのだ…!」

 

ベシャリ!

 

 

 瞬間、世界が黒く絶望した世界へと染まり出した。

 

 

ゴゴゴゴゴ…

 

「最悪の結末…」

「バレーなんて楽しくない…」

「親戚のおじさんが仕事がブラックすぎて家に帰れるのは週に1日って言ってた……私も将来そうなるんだ…」

「もう…夢も希望もない…」

 

「ハッ…何…!?」

 

 

 目の前で楽しく、熱くバレーをやっていたあかねまでもが地面に座り込んでネガティブな発言を繰り返している。みゆきは、この状況に見覚えがあった。

 

 

「ウルフルンが…世界の未来をバッドエンドにしようとしてるクル…!」

 

「それって…前と同じの!?」

 

 

 桃太郎さんやウルフルンに出会い、そして初めてプリキュアに変身したあの時と、状況は完全に一致していた。

 

 

「ウルッフッフッフ…!人間どもの発したバッドエナジーが…悪の皇帝"ピエーロ"様を…蘇らせていくのだ!!」

 

ガコンッ…!

 

 

 どこかで()()()()()()()()()()()がした……

 

 

 

「みゆき…!プリキュアになって戦うクル!」

 

「うえぇぇ…!?」

 

 

 状況はなんとなく察したが、かといって急に戦えと言われても彼女は反応できなかった。

 というのも、彼女は戦士となって数日しか経っていない。無理もなかった。

 あわあわしていると、スタッと学校の校舎の上に立っていたウルフルンが自身の近くに降りてきた。

 

 

「人間の絶望した顔ほど愉快なものはない…見ろ…あの絶望の顔を」

 

 

 そう言って、ウルフルンはバレー部の少女達の顔を眺める。

 

 

「努力など無駄なだけなのに…バカな奴らだ」

 

「っ…!くっ…!」

 

 

 明らかに目の前の女の子達を…大切な友達を嘲笑うその様子を見て、みゆきはいてもたってもいられなくなった。気がつけば、あかねを庇うように立っていた。

 

 

「無駄なんかじゃない!目標に向かって頑張ってる日野さんを…私の友達をバカにするなんて…!絶対許さないんだから…!」

 

「アン…?」

 

 

 大切な友達から笑顔を奪った挙句、馬鹿にした目の前の狼に、彼女は闘志を燃やしていた。

 

 

「みゆき…その意気クル!プリキュアになって変身するクル!」

 

「うん…!」

 

 

 そして、スマイルパクトを取り出して、手に持っていたピンク色の"キュアデコル"をスマイルパクトに装填する。

 

 

『Ready…?』

 

「プリキュア…スマイルチャージ!!」

 

『GO!!』

 

 

 瞬間、スマイルパクトから光が溢れ出し、一直線に天へと射出された。

 

 

『GO! GO! Let's Go Happy!!

 

 

 その光が一箇所に集中することで出現したパフを手に取り、スマイルパクトにつけることで桃色の光を集約させる。

 

 

PON!

 

PON!PON!

 

PON!PON!PON!

 

 

左手、両足、両肩に胸…ポンポンとお化粧する感覚で叩いていく度に、彼女に纏っていた光が、伝説の戦士の装束を形成していく。

 そして、光が彼女の体を優しく包み込んだ。

 

 

PON!PON!

 

 

「キラキラ輝く未来の光!」

 

「キュアハッピー!!」

 

 

 友達の笑顔を曇らせないと覚悟を決めた彼女は、あの時と同じように伝説の戦士へと変身したのだった。

 

 

「また現れたなプリキュア…いでよ!アカンベェ!!

 

ドクン…!

 

 

 その言葉と同時に、ウルフルンが天高く掲げたボールから禍々しいオーラが溢れ、付近にあった()()()()()()を取り込んだ。

 

 

『アカンベェ!!』

 

 

 真っ白のバレーボールに赤っ鼻が取り付いた巨大な魔物であるアカンベェが彼女の前に立ち塞がった。

 

 

「っ…!やっぱり怖いかも…!」

 

『ベェッ…!』

 

 

 太陽の如く燃える闘志をそのままに構えをとって戦おうとするも、彼女は前まで戦いとは無縁の平和な生活を送ってきたのだ。2回目とはいえ戦いに恐怖を覚えるのも無理な話ではなかった。

 目の前の化け物と対峙すると、改めて足がすくんでしまう。

 

 

「頑張るクル!みんなに希望のスマイルを取り戻すクル〜!!」

 

「希望のスマイル…?うん…!怖いけど頑張る…!」

 

 

 そうだ、日野さん、そしてみんなの笑顔を取り戻すんだ。そう覚悟を決めてアカンベェに向き直る。

 アカンベェも負けじとこちらを睨んでくる。こうして戦いの火蓋が切って落とされた…!

 

***

 

 

「えーと…どうしようかな…あ、この高級ドッグフードとかジャーキーあげたら喜ぶかな」

 

 

 ここはとあるペットショップ。俺は犬達のお土産の為に買い物へと来ていた。

 犬達が喜びそうな物を物色しながら陳列棚の間を歩いていた。

 

 

「うっふぅ…可愛いわんちゃんもねこちゃんもいっぱい…ゼンカイジャーのガオーンの気持ちもよくわかる…できるならみんな連れて帰って目一杯甘やかして育ててあげたい…」

 

 

 陳列棚の付近にはもちろんペット達のショーケースもある。クゥクゥ可愛い寝顔を晒しながら夢の世界へと旅立っている動物達の顔を見ていると心が癒される。

 

 本当なら全員持ち帰って飼ってあげたいくらいだが…流石に無理がある。

 

 

「お前ら…いい飼い主さんに巡り会えるといいな…!さてさて…えーと…他に買わないといけないものは…あ、あれ欲しいな…一旦カゴ置いて…届くかな〜…これ…!」

 

 

 そう考えながら、背伸びをして棚の一番上にあるおやつを取ろうとした時だった。

 

 

『ドン!ブラスター!!』

 

「……………………へ?」

 

 

 瞬間、目の前にドンブラスターと赤いサングラスががぽんっと出現した。

 

 そして、サングラスはそのまま俺の顔に張り付いてドンブラスターが俺の足元に向けて一発弾丸を飛ばした。

 

 

「うおっ…!?あっ…えっ…?」

 

 

 慌てて足を上げて回避すると、俺の足元にワープドアがあるのに気がついた。

 

 

「あ………これって………」

 

ガチャリ

 

「ですよねぇぇええええええ!!!!???」

 

 

 抵抗する間もなく、俺はドンブラスターによって開かれた扉の中へと吸い込まれてしまった。

 

 

***

 

 

「うおっ……!ってて…」

 

 

 ドンブラスターの機能で召喚されたワープドアを通じて、さっきまでいた違う場所へと俺は勝手に転送された。

 乱暴にドアから放り出されたので、思いっきり尻餅をついてしまった。

 

 

「ここは……学校…?」

 

 

 見渡してみれば、よく知る壁によく知る建物…どうやら、俺は学校に飛ばされてしまったようだ。

 

 

「っと……相変わらず急だなこの転送機能…」

 

 

 今俺が勝手にワープさせられたこのドンブラスターの機能だが、実は原作ドンブラザーズでもしっかり存在する。

 

 原作ドンブラザーズのメンバーは、逃亡犯やら風流人ニートやら色々とぶっ飛んではいるがずっと戦っているわけではなく各々日常生活を送っている。

 

 そんな中で、町のどこかにヒトツ鬼が現れるとしよう。その瞬間急にドンブラスターが各々のメンバーの前に出現し、そのヒトツ鬼が暴れている現場へと強制転送させるのだ。これもそれと同じ機能である。

 

 で、大体変身させてからその場所にワープさせることもあって、原作では互いの変身前の姿を知らずに戦うことがあった。人によっては何十話も変身前のメンバーの顔を知らずに戦った人間もいる。

 

 

「この機能が使われたってことは…うん…空が暗い…何かしら敵がいるってことだな」

 

 

 今の所ヒトツ鬼の気配はしないものの、空を見上げてみれば、まだ昼過ぎだったはずなのに()()()()()()が空に浮かんでいた。確か、あのキュアハッピーを追跡していた狼男であるウルフルンが現れた時もこのような空の色だったはずだし、あんな満月も浮かんでたはずだ。

 ここがあのどんよりした空間であることは間違いなかった。

 

 

(…ウルフルンと戦うかは別にして…一先ず辺りを探索するか)

 

 

 派手な原作介入となるのでウルフルンと戦うかは一旦保留だが…どのみち今までの傾向を見ればヒトツ鬼が出る可能性が高い。俺は、サングラスを付け直しながら立ち上がり、一先ず開けた場所に出ようとする…が

 

 

『アカンベェェ!!』

 

ボォン!ボォン!

 

「きゃあぁっ!!うわっうわあぁっ!!!」

 

 

 聞き覚えのある声と何かが爆発したような大きな音が鳴り響いた。

 

 

「これは…バレー部の練習場の方からだな!」

 

 

 声と音の方向へとあわてて駆け出した。そして、案の定そこには赤鼻の巨大なバレーボールのようなアカンベェと、その口から射出されたバレーボールの弾丸から逃げ回る桃色の戦士”キュアハッピー”、そしてそれを眺めるウルフルンがいた。

 

 

「っと…アカンベェも見た目にバリエーションがあるんだな…各週事に戦隊みたいにデザイン変えてる感じかな」

 

 

 アカンベェはおそらく個体ごとに能力も違うのだろうな…俺は、物陰に隠れながらその様子を観察する。助けに行ってもいいが、原作への影響を考慮するとまだその時じゃないだろう。とりあえず、ハッピーがどれくらい強いのか情報収集させてもらおう。今はどのみちここにいるのがバレない方が良さそうだ。

 

 

「無理!無理!絶対無理ぃぃぃぃ!!!」

 

ボォン!ボォン!

 

(……大丈夫かなあれ…)

 

 

 ハッピーが戦うどころか逃げ回ってるんだけど…あ、つまづいて顔面から転んだ。

 まずい後ろからアカンベェがバレーボール風の弾丸を口から飛ばしてきてる…!

 

 

ボォン!

 

「うわあぁぁぁっ!!?」

 

 

 大きくキュアハッピーが吹き飛ばされるが、目立った外傷はなさそうだ…それどころか…

 

 

「うわっ……っ…!よし!とりゃぁああ!!!」

 

『ベェッ!!?』

 

 

 何かを思いついたかのように顔がキリッとなってアカンベェの方を見つめ、そのままぶつかった学校の壁を蹴って鋭いキックをアカンベェに向けてお見舞いした。

 

 

「おわぁ…すごいキック…」

 

「最早ライダーキックだな…凄いな」

 

 

 本人もできるとは思ってなかったのか、驚いた表情でそう呟いている。

 

 てか、今思ったが割とガッツリ肉弾戦するんだなプリキュアって…なんかもっとこう…魔法少女みたいな感じの戦闘スタイルなんかなって思ってたけど、思いっきり今ライダーキックしたし。

 

 

(やはり、単純な身体能力は俺以上と見て間違いないな…)

 

 

 勢いある遠距離攻撃を受けても無傷…そしてあの跳躍力にキック力……凄まじい身体能力だ。初めて会った時も薄々感じてたが…彼女は身体能力だけ見てもとんでもないポテンシャルを秘めているのは素人目でもわかる。

 

 

(だからこそ焦ったい…!ていうか勿体無い…!絶対体術とか鍛えれば超強くなるに違いない…!)

 

 

 あの身体能力…大抵のことはできるだろうに…戦闘技術もヒーローとしての心構えも色々お粗末だな…なんというかこう…!色々未熟だし!逆に考えればとんでもなくポテンシャルが高くて伸び代もでかいということ…!絶対鍛えたら強くなるなあの子…!

 勿体無い…俺だったらもっとその身体能力でこう…!さあ…!こうやって…!何だろう!今すぐあの場に出て鍛えてやりてえ…!ドンモモタロウが原作でお供に斬りかかる気持ちもよくわかる…!

 いやまあ、それはひとまずおいておこう。外野は外野らしく大人しくもうちょっと情報収集させてもらうか。

 

 

(いやぁ…にしても焦ったいなまじで…さっきも逃げてばっかだったし…今みたいにもっとガンガン攻めろよ…!ほら…キックを使え!目だ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勝ち……タイ…」

 

 

「っ………!?」

 

 

 観察していた中で不意にその声を耳がとらえた瞬間、俺の体がぴくりと震えた。

 このどんよりした真っ暗闇の空間で動ける人間は限られる。

 その特徴的な声色から、その正体が何なのか…いや()()()()()()()()()()はすぐにわかった。

 

 

(向こうは…確かバレー部の部室だったな…)

 

 

 気がつけば、観察をやめてその声に向けて足が動いていた。声の元へと近づいていくにつれ、空間が捻じ曲がっているような感覚を体に受ける。間違いない…この感覚…

 

 

(誰かが…ヒトツ鬼に…!)

 

 

 ヒトツ鬼。

 それは強い欲望を持つ人間に取り憑く悪しき鬼。その取り憑いた人間がストレスなどでショックを受けた際その隙をついて取り憑いた人間の体の主導権を奪い、実体化して暴れ回る存在。

 そして、俺が倒すべき敵。

 

 

「私は……勝ち……タイ…私は…強イん…だ……」

 

「っ…!」

 

 

 その場に到着すると、一人の体操服姿の少女が座り込んで、何かに取り憑かれたかの如くひたすら譫言を呟いていた。

 

 目に生気は無く、じっと空を見上げていた。

 正気ではないのは明らかだった。

 

 いつもなら普通にこのまま鬼退治…といくところだが、俺の中に一つ引っかかる事があった。

 

 

(ウルフルンが爆上鬼の時みたいに取り憑かせたのか…?)

 

 

 こいつの存在をさっきは感知しなかったのに…なぜ急に気配を出したのだろうか。

 

 考えられるのはウルフルンが爆上鬼の様に俺の気を引くために生み出したと言うこと…だが、なんか違う気がする。

 

 思い出すのは、キュアハッピーと初めて邂逅した時だ。ウルフルンが俺の足止めする為に近くの少女に桃色のボールを使ってヒトツ鬼を生み出していた…が

 

 

(いやだが…ボール使ってたか…?あの狼男…)

 

 

 ハッピーを観察していたときにウルフルンも視界にとらえていたが…特段何もしていなかったはず…ていうかそもそも俺に気づいていないはずだ。

 

 遠距離からこの子にヒトツ鬼を取り憑かせたのかと考えたが…ボールすら持っておらず、アカンベェとの戦いを眺めていただけだったように感じる。となると、ウルフルンはこいつを生み出せないはず…

 

 

(別の手段でもあの場にいない人間に取り憑かせられるのか…?いや…待てよ?)

 

 

 頭の中に過ぎるのは、ウルフルンが爆上鬼と戦う際に放った言葉。

 

 

『……あ、テメェ()()()()()()()()()と戦ったことあるな?』

 

 

 このヒトツ鬼…ウルフルンが生み出して使役するんじゃなくて…まさかとは思うが最初から…

 

 

『私はァァァァッ!!ァッアッッッッ!!勝ち勝チ勝ち勝ち勝チチタイ!!」

 

「っ…!?」

 

 

 呑気に考察していると、目の前の少女の雰囲気が変わった。

 頭を掻きむしりながら、その少女は付近にあったゴミ箱を蹴り飛ばす。

 

 目は血走り、体の周りから不思議なオーラがモヤモヤと浮かび出している。

 

 そのモヤは()()()を形成していた。

 

 モヤ状なのではっきりとは見えないが…()()()()()()()()()()()()()が彼女の体に覆い被さるように存在していたのをサングラス越しの俺の視界はとらえていた。

 

 

『ワタしは……エーすに……ナルンだ……!!アカね……よりモ……!強イ……!バレー部ノ……エーすに…!」

 

 

鬨主」ォ遶懈姶髫」

 

 

 不気味な文字化けした文字が浮かび上がり、サイバーパンクなドアやジャンプ台が彼女の周りにふわふわと浮かび出した。

 

 そして、化け物の体がはっきり目に見えるように彼女の体に浮かび上がった…!

 

 

『ケボォォォォォォォン!!!!』

 

 

 そう彼女が叫んだ瞬間、浮遊していたモヤが叫びに呼応するかの如く光だし、赤い文字が浮かんだのちに彼女の体にモヤが張り付いていく。

 

 

『私が一番強いんだぁぁぁ!!』

 

 

 複数の騎士の兜を強引に着込んだような鎧。

 

 不気味な複数の赤い複眼

 

 恐竜の頭部のような頭部。

 

 

 恐竜の力を装備し、誇り高き騎士道を持つ、地球を守った若者達の強き心をを踏み躙る、恐竜の悍ましい騎士が目の前に顕現した。

 

 その名は『騎士竜鬼』

 

 スーパー戦隊シリーズ第43作目『騎士竜戦隊リュウソウジャー』にて描かれた物語での力を(スキン)として身に纏うヒトツ鬼だ。

 

 

「……お前がどういう経緯でその子に取り憑いたかは知らんが、一先ずお前の憑代の女の子から出てってもらうぞ。神輿は省略だな」

 

 

 キュアハッピーに勘付かれないように、さっさと倒してしまおう。そう思いながら、俺はドンブラスターを召喚する。

 

 そして、真っ赤なアバタロウギアをギアテーブルに差し込み、顔の横に構えて大きく叫んだ。

 

 

「アバターチェンジ!」

 

『いよぉ〜!!』

 

 

ザアァッ…

 

 

 どこからともなく黄金の波が現れて、俺の足元をザアザア音を鳴らしながら取り囲み、ワープドアをどんぶらこと運んできてくれた。

 

 

『どん!』『どん!』『どん!』

『どんぶらこー!!!』

 

 

 合いの手と共にスクラッチギアを回し終えると、つけていたサングラスが赤く光り出す。

 

 

『アバタロウ!!』

 

 

ドンブラコ!ドンブラコ!ドンブラコ!ドンブラコ!

 

 

 いなせなBGMをバックに、赤く光出したサングラスは空へと飛んでいき、形を変えて俺の周りを勢いよく飛び回っている。

 

 その様子を確認した俺は、天高くドンブラスターを持ち上げ、トリガーを引く。

 

 

「はぁっ!!」

 

 

 ワープドアから巨大なアバタロウギアが出現し、データ通りの真っ赤な桃の戦士のスキンを形成していく。

 

 肩にはアーマーがつき、羽織のような衣装を着て、赤い桃のエンブレムが刻まれたベルトが腰に装着され、飛んでいたサングラスが俺の顔に張り付いて真っ赤な頭部やドンまげも形成され、変身が完了した。

 

 

『ドン!モモタロウ!!』

 

『いよっ!日本一!!』

 

 

「さぁ…祭りと行こうか…!」

 

『ヴァァァァァッ!!!』

 

 

 敵も元気満々で暴れたいようだ。なら俺がその相手をしてやる。

 俺は、ザングラソードを取り出して、目の前にいるヒトツ鬼に刀を向けるのだった。

 

*1
彼の記憶にある"犬が変身する"プリキュアは七色ヶ丘市ではなく"アニマルタウン"と呼ばれる町に住んでいる。そもそも時系列的にまだ誕生しておらず、存在すらしていない可能性が高い。




 ゆかちゃん…苗字でてこないんだよな…誰か知っている人がいたらこっそり教えてくれると嬉しいです…

 タイトル見て思ったけどこれサンバルカンというよりギンガマンOPだな…まあいいか()

Q.なんでドンモモタロウとスマプリ掛け合わせたの?

A.(その16)原作ドンブラザーズに存在するワープドアが無理矢理プリキュアと共闘させられるので色々便利だから。

感想、お待ちしています!

スマイルプリキュア 17話…ご存知かと思いますが、おもいっっっきり実在の人物が出てくるんですけど…ハーメルンって実在の人物は利用規約的に出せないんですよね…どうしましょう…やるべきかやらないべきか…

  • 少しだけその人達の名前変えてやろう!
  • リスクあるならやめときな
  • 筆者の判断に任せるわ
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