ニチアサの世界に転生とは聞いていたが…!   作:よく酔うエンジン

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いや…畜生、投稿が遅れてしまいました…すみません!

N○Kさん。プリキュア・ライオットジャベリンさん。雪森さん。儚いさん。ソーシローさん。佐賀らしんさん。誤字報告ありがとうございます!

いやぁ…前話やばい誤字沢山してました…キャラの名前間違えたり変な単語生み出したり…疲れてるのかな()


自信がなくても

 

 そして、昼休みや午後の授業も終わって、先ほど話していたLHRの時間がやってきた。

 

 れいか含めた学級委員の二人が前に出て、チョークで黒板にカッカッと音を鳴らして俺達が先ほどから頭に思い浮かべていた文字が黒板に書き出されていく。

 

 

クラス対抗校内美化週間ポスター

 

「皆さんお静かに。校内美化週間ポスターのコンクールまで、あと僅かです!どなたか、描いてくださる方はいませんか?」

 

(やはり…か…)

 

 

 案の定とでも言わんばかりに、奏凪や忍と話した内容が予想通りそっくりそのまま出てきた。

 

 

ざわ…ざわ…

 

「誰でもいいんじゃなーい?」

「じゃああんたがやりなさいよ!」

「っ…やだよ!」

「絵が上手い人っていたっけうちのクラス…」

「赤峰君確か絵が上手くなかったっけ…?」

 

「ねーねー…やっぱりやったら?誰もいないしさ…ね?クラスのためを思ってさー…」

 

「うーむ…」

 

 

 クラスの様子を見てもやはり誰も描きたがってない。そして、誰も引き受ける人間が現れないので昼休みの時と同じようにしのぶから俺に声がかかる。

 

 

(やってもいいんだが…自分の成績に関わるだけの美術の作品ならまだしも…今回はクラスを背負って執り行うポスターコンテストだ…責任の幅が違う…)

 

 

 しかし、俺の心はそんな乗り気じゃなかった。

 例えダメダメな作品を描いても今までは自分の評価に関わるだけだったが、今回はクラスの立場に関わる大事な事だ。ヘタな絵を描く訳にはいかない。

 

 普段なら誰もやる人がいないのならそんなプレッシャーや責任にも負けず、知ったことかと引き受けるのが俺なのだが…俺が乗り気じゃない理由がこれ以外にもうひとつ…と言うよりこれよりも大きな理由があった。

 

 

(俺は…()()()()()()()

 

 

 正確に言えば、芸術性のある絵を描けないとでもいうべきだろうか。

 

 俺は、タロウの才覚をある程度受け継いでいることもあって、手先を使う技能に関してはすぐさまプロ級の腕前を発揮できる。

 

 何かを模写するとなったら、影の付け方や濃淡、形取りや皺の位置など全て正確に描き出すことができる。

 

 風景画を描くとなったら、鳥が飛び立つ瞬間やら日の光が雲の隙間から差し込む瞬間だとか、その景色の素晴らしい瞬間をまるで写真と錯覚するかの如く正確に描き出すことができる。

 

 そう言った()()()()()()()()()をそのまま映し出す事は得意なのだが…

 

 

『……なんだこれ…』

 

 

 ()()()()()()()()を絵に映し出したり、実際にあるものを自分なりにアレンジして描くのは全く持って得意でないのだ。

 頭で描きたいと思う事があって、その技能を元に正確に描き出したとしても…

 

 

『……()()()()()

 

 

 何かを映すのではなく、一から頭に描いたものを描いてみた時、俺は咄嗟にこんな言葉が口に出てしまった。

 ある程度正確に思ったことを描き写すことはできるのだが…題材が悪いのか、描き方が悪いのか、単純に各技能はあっても俺の頭の中の芸術センスが悪いのか、俺の描いた絵は無機質で特に何も感じなかった。

 

 

『……納得いかねえ!これは…芸術じゃない!』

 

 

 俺は、別に前世は芸術家でもなんでもなかった。そんな人間が一丁前に芸術を語るだけでもおかしいのだろう。

 

 だが、あえて語るとするならば、俺個人の意見として"芸術とは自分が思い描いた何かで何かを心に響かせる"ものだと思っている。

 

 驚愕でもいい、恐怖でもいい、感動でもいい、狂気でもいい。なんでもいいから自分の芸術作品を見たものに何かの感情を思い起こさせるものだと俺は考えている。

 

 

(俺の絵からは…それは感じられん)

 

 

 友達に見せても、絵が上手くてすごいと言った感想が出てくるくらいで、何かそう言った感情が湧き出た様子は皆無だった。

 

 俺の芸術作品というのは、何かのメッセージを込めて描き出す絵ではなく、カメラという機械が写し出したかのような冷たい写真に近かった。

 勿論、テーマを決めて絵を描いている。見ている人にこんな事が伝わればいいなと思って絵を描いている。それでも何故か何も感じない。

 俺の絵は、芸術性のある絵ではない。心のこもった絵ではない。

 

 俺は、そんな絵しか描けないのだ。

 

 

(そんな絵では…クラスを背負って立つ事など出来ん…)

 

 

 贅沢な悩みなのかもしれない。ただ模写ができるだけでも十分すごいのかもしれない。本来ならば俺が立候補すべきなのかもしれない。

 けど、俺はそれでも納得がいかない頑固な人間だった。

 

 今回に関して言えば…自分の成績に関わる美術の授業で提出する作品ではなく、クラスの看板を背負って描かねばならない。

 

 そんな中で、俺の無機質な何も芸術性を感じない絵を提出したら…賞を取るなどおそらく無理だと俺は感じている。

 今回は校内美化週間のポスターコンクールだ。つまり、校内を綺麗にしようというメッセージを込めて絵を描かなくてはならない。俺の絵じゃ何かのメッセージが伝わることを期待して描いても何も通じない気がする。それじゃあこのコンクールには相応しくない。

 

 せっかくクラスの代表として絵を描くのだ、描くならば全力でみんなの為にも賞を取りに行きたい。しかし、そんな俺の絵では賞を取るなど夢のまた夢だろう。

 

 前世でもかなり頑固な自覚はあったが、完璧主義なところがあるタロウ補正も入ってしまったのだろうか…まあ、そうやって色々考えていると尚のこと立候補したくなくなってしまった。

 

 

「今日中に決めないと、間に合わないですよ?」

 

「推薦でも構いません!どなたかいらっしゃいませんか?」

 

 

 佐々木先生の指摘も交えつつ、れいかがそう声を上げる。瞬間、お前がやれお前がやれと言い合っていたクラスは一瞬にして静寂に包まれた。

 変に目立って推薦されたくないのだろう。誰も一言も喋らなくなってしまった。

 

 

(推薦か……もしできるなら……いや、でも……)

 

 

 一人、先ほど話題に出た一番前の方にいる黄色の髪の少女に目を向けていると。

 

 

(…み、見られている…)

 

 

 俺の方に何人かからの視線が突き刺さるような感覚を覚えた。

 …間違いない、クラスのいろんな人から見られている…

 

 

(この視線……間違いない…期待されてる…)

 

 

 その視線、まるで君がやってくれと言わんばかりのものだ。

 無言ではあるが、視線からなんとなく感情は読み取れる。

 言葉にしなくても何となくわかってしまった。

 

 

(だが…俺の絵では…)

 

 

 しかし、俺らしくないかもしれないが、手を挙げる自信はなかった。

 

 

(いやでも…ここまで視線があるというのなら…やはり俺が…)

 

 

 視線の圧に負けて、仕方がないと諦めて手を上げようとした瞬間だった。

 

 

「はいっ!はーい!!」

 

「はい、星空さん」

 

 

 窓際の席から星空さんの声が上がり、クラスの視線が一気に星空さんへと集まった。

 まさか…星空さんって絵がうまかったりするのか?立候補してくれるのだろうか。

 そう考えていると、予想と違う声が星空さんから飛び出た。

 

 

「黄瀬さんがいいとおもいまーす!」

 

「…えっ………ふええぇぇぇぇ!!!??

 

(……そう来たか)

 

 

 まさかの星空さんから、黄瀬さんの推薦の言葉が飛び出たのだ。

 奏凪がなんとなくさっき触れていたので、心のどこかでやってくれないかな〜…とさっき見ていたが…推薦するならば奏凪か俺とは思っていたが…星空さんから彼女の名前が出るとは…いつの間にそんなに仲良くなっていたのだろうか。

 

 

「えっ…ええっ……?えっと……」

 

 

 本人も急に名指しされて困惑している。

 俺が推薦しなかった理由は、彼女は自己紹介の時も日野に言われていたが…まあうん。黄瀬さん色々と気が弱いのだ。

 なので、彼女の名前を出したら絶対困惑するし、最悪目に涙を浮かべる可能性があったので推薦していなかったのだが…星空さん、お構いなしと言わんばかりに推薦した。色々と大胆というかなんというか…

 

 

(だが…やってくれるのならばメチャクチャありがたいのは事実…!)

 

「ウチも賛成!」

 

「……オレも賛成だな」

 

 

 すると、日野や奏凪からも賛成だという声が上がる。

 

 

「他に意見はありませんか?」

 

「ねーねー!れいかちゃん!私もいーい?」

 

 

 すると、黄瀬さんにこのまま決まるかと思いきや、ヤケに爪の長いキラキラした綺麗な手が天井に向かって伸びた。

 

 

「どうぞ、喜島(きじま)さん」

 

「ももっちはどうなの?ももっちも確かちょー絵上手かったじゃん!ももっちの絵ならコンクールなんてマジ無敵で余裕で一位取れると思うんだけど!」

 

「確かにー!」

「美術の授業での風景画すごかったもんね〜」

「黄瀬さんの実力よくわからないし…赤峰君にやってもらった方が…」

 

 

 そう言って、クラスの女子の一人である喜島から声が上がる。ももっちというのはこの子が俺に勝手につけて呼んでるあだ名である。俺を推薦してくれるのは嬉しいが…俺の答えは決まっている。

 

 

「…推薦してもらえるのはありがたい…が、悪いが今回はできるなら辞退したい。俺の絵のスタイルは、今回のコンクールには合わん。ただの模写なら自信はあるが、独創性を求められるタイプは苦手なんだ」

 

「えー…そーなのー?なんかノリいつもと違って悪くな〜い?いつものももっちならこういう時絶対引き受けてくれるのに〜…」

 

「それに関してはすまん。だが、色々私情でな…」

 

「む〜…じゃあしょーがないかぁ…」

 

 

 黄瀬さんや喜島さん、期待してくれたクラスのみんなには悪いが、断りの言葉を入れておく。

 

 

(望む絵が描けないってのはあるが…()()()()()が頭から離れてないってのもあるが…なるべく創作活動には触れたくないんだよな…)

 

「えっ…えっ…えっ…!?」

 

「黄瀬さん…引き受けてくださいますか?」

 

「ふぇ…えーっと……うっ……」

 

 

 コクリと彼女が小さく頷いた。

 すなわち、了承したと言うことだ。

 

 

「では、黄瀬さんにお願いします!」

 

 

パチパチパチパチ

 

 

 黄瀬さんの承諾と同時に、拍手喝采が巻き起こった。

 

 

(ありがとう黄瀬さん…お陰で絵を描かないで済む…)

 

 

 なんか、黄瀬さんのことだし同調圧力に屈して首を縦に振ってしまっただけの可能性もあるけど…

 

 

(……そう考えると…やはり申し訳ないことをしたな……)

 

 

 今の俺は絵を描く能力はあるのに、私情で望まぬ仕事を黄瀬さんに押し付けてしまったに等しい。

 ぶっちゃけ色々な意味で最低だ。

 取り敢えず帰りの会が終わったら謝りに行こう。そして、罪滅ぼしとしてなるべくの事は手伝おう。俺はそう心に決めたのだった。

 

 

***

 

キーンコーンカーンコーン…

 

「うううっ……」

 

 

 チャイムもなって、クラスの大半の人間が帰った中で、黄瀬さんの机の周りに人が集まっていた。

 

 

「黄瀬さん、引き受けてくれて本当にありがとう。そしてすまない…無理に押し付けるような形になってしまって」

 

「それは……ううっ…星空さん、どうして私を推薦したの…?赤峰君のほうが絶対いいよ…!」

 

 

 か弱い声で黄瀬さんが星空さんにそう問いかける。

 

 

「だって!黄瀬さん絵が上手いじゃない!あ、赤峰君じゃなかったのは…その…赤峰君の絵見たことなくて…えへへ」

 

「…まあ、風景画や模写は得意だが、こういう啓蒙ポスターを描くようなタイプは苦手なんだ。ぶっちゃけ今回は俺は適任じゃない」

 

「へー…」

 

「とうご、だから前から立候補したがらなかったのかー…」

 

 

 俺が話し終えると同時に、奏凪も口を開いた。

 

 

「ちなみにだがオレも昔チラッと見たことがあったが…あの絵なら優勝を狙えてもおかしくないだろう」

 

「えっ…ええっ!!笊畑君私の絵…みたの!?ううっ…バレないようにしてたのに…!」

 

「勝手に見たことは故意ではないとはいえ謝る。すまん。が、上手いのは事実だ」

 

「やっぱり!笊畑君もそう思うよね!」

 

 

 言い忘れていたが、今、机の周りには黄瀬さんを除いて5人ほど人が集まっている。

 俺、星空さん、日野、忍、そして奏凪だ。

 

 

「やよいなら、きっと優勝できるで!」

 

「だな。」

 

 

 日野、星空さん、そして笊畑から応援の言葉が出る。黄瀬さんの絵を見たことないのでなんとも言えないが、相当上手いらしいな…ならなんで立候補しなかったんだろうと考えていると、黄瀬さんも黄瀬さんなりに色々考えていたようだった。

 

 

「みんなは何も知らないからそんな事が言えるんだよ…」

 

「えっ…?何も…」

 

「まー……今回のコンクール、強豪ぞろいだからねぇ」

 

 

 弱々しく自信なさげに呟く黄瀬さんを援護するかの如く、口を開くのはしのぶだった。

 

 

「強豪ぞろい…?というと?」

 

「えっと…その、私なんか比にならない人が沢山いて…」

 

「んー…まあ、学校のつよつよ絵師達が戦う訳だからね〜…ま、口で説明するより偵察がてら紹介したほうがいいかな!着いてきて!」

 

 

***

 

 

「芸術は…爆裂だぁぁぁぁっ!!!!」

 

 

 あの場にいた全員でしのぶに連れられて美術室に顔を出すと、そこには人だかりができていた。

 変なボサボサ頭の髪の生徒だと思わしき男の人が、パレット片手になんか叫んでいる。

 

 

「あれは…」

 

「蘇我くん。美術部の部長で、コンクールで入選したこともある天才」

 

「「へぇ〜〜」」

 

 

 なんか、すごい聞き覚えのあるフレーズを喋っていた気がするが…それは置いておいて、俺はおぉーと驚くギャラリーを見つめながら、俺は彼について考えていた。

 

 

(ふむ…話したことないな)

 

 

 あらかたこの学校の人間とは縁結びがてら喋ったつもりだったが…俺の記憶には彼と話した記憶はなかった。前に美術部の備品運びを手伝った時にもたまたま席を外してたみたいだったし…彼とはこうやって偵察に来るこの機会までずっと縁がなかったのだろう。

 

 

「ちなみに、入賞っつっても銅賞だったらしいよ。それ結構本人気にしてるらしいね。あと、その才能故か性格結構酷いらしくて、人の絵を馬鹿にすることもザラらしいよ。同じ部員の子の絵を馬鹿にして喧嘩になって先生に叱られたとかなんとか」

 

「忍、なんだその情報は……」

 

「わわっ…しかも結構デリケートなこと…!」

 

 

 そして、次に連れられてきたのは、とある教室だった。

 ベレー帽を被ったメガネをつけた少女が黒板に綺麗な女の子の絵を真剣な眼差しで描いていた。

 

 

「あれは三河さん。少女漫画を描くのが得意な学校のカリスマ」

 

(あー…前に自作漫画に出てくるキャラの容姿の参考にさせて欲しいってモデル頼まれたことあるな…完成した絵を見せてもらったが確かに上手かった記憶がある)

 

「ちなみに、イラスト投稿サイトのコンテストで入賞したことあるらしいよ。こっちは銅じゃなくて金賞、タイトルが”隣の席の縁がある子”だってさ」

 

「へぇ〜……ん?」

 

「それって…モチーフはまさか…」

 

 

 最後に、中庭が見える窓際に連れてこられた。ふと見下ろしてみれば、木に寄りかかった女性と、それを描く長髪の青年。そしてそれを眺める女子の人だかりがあった。

 

 

「成島君は、女子を美人に描くのでモテモテ」

 

「…女性にすごい人気なんだな」

 

 

 奏凪の言う通り、私も描いてとキャッキャ女子に言われてる。いいなあ…羨まし…ゲフンゲフン。

 それはそうとて、彼は俺もなんとなく知ってる。前に外で絵を描いている時に落としてしまったという消しゴムを探すので手伝ったことがある。なんか、思いのほかいい人だった記憶がある。

 

 

「ちなみに、結構ナルシストらしくて、そのせいか髪とか描くときのこだわりがすごいらしいよ〜あと、人を美化して描くのは得意だけど、濃淡そのままリアルに描くのは苦手らしいね」

 

「へー…って、犬上!一体どっからそんな情報仕入れとるんや!?むっちゃ詳しくない!?」

 

「わ…私より詳しい…!」

 

「ふふーん、新聞部なんで」

 

 

 ドヤ顔でサムズアップしてるが…日野のいうとおりでよくそんなことまで調べられるな…いらない情報もちょくちょく混じってるけど、全部ちゃんと絵に関する情報だし…今時の新聞部ってこんな情報収集力すごいのか?

 

 

「ま、何はともあれ…確かに強豪ぞろいやな…」

 

「うん…私なんか絶対無理だもん…」

 

 

 うーむ…黄瀬さんの絵を実際に見た事ある訳ではないからなんとも言えんが…手強いライバルがいるってなると、そりゃ立候補する気も失せるか…

 

 

「やる前から諦めるなんて勿体無いよ!頑張ってやってみようよ!」

 

グサッ!

 

「うっ……」

 

「…?どうした桃冴」

 

「いや…なんでも…」

 

 

 奏凪にはこういうが…今の言葉、星空さんにはその気はないだろうが、俺の絵は向いてないだのなんだのでのらりくらりしていた俺にも結構突き刺さる言葉だった。

 おかげで胸に何かが突き刺さったような感覚がした。

 とはいえ、人のことを言える立場では全くないが、星空さんのいう通りだと俺は思っている。

 

 

「でも私、泣き虫だし自信ないし、本番に弱いし…赤峰君みたいにしっかり絵が描けないし…」

 

 

 しかし、それでも黄瀬さんは乗り気じゃないらしい……

 やはり、こうなったか…となると…無理に頼むわけには行かない気がしてきた。

 

 

「うーん…やよいごめんな?嫌なのに無理に押し付けた感じになってしもうて…れいかに断ってくるわ!」

 

 

 …どうやら、日野とは同じ意見らしい。

 

 

「……だな、やはり俺が代わりに描こう。ぶっちゃけると描きたくないが…乗り気じゃない子に描かせるくらいなら俺が描く。日野、とりあえずまず佐々木先生のところに行こう」

 

「えっ…?」

 

「おっ…ええんか?赤峰…嫌がっとらんかった?」

 

「まあな。だが、こうなれば話は別だ」

 

「そっか…まあでも、赤峰本人がそう言うなら…そうしよか!代役も名乗り出てくれたっちゅう訳やし…ちょっと待っててな!」

 

「あっ…!」

 

 

 俺と日野は、そのまま教室を去ろうとする。

 本人が嫌なら、俺も嫌だが俺が描いたほうがいい。そう考えて教室の扉を開けようとした時だった。

 

 

「待って、あかねちゃん!赤峰君!」

 

「え?」

 

「うん?」

 

 

 星空さんに呼び止められた。何かあるのだろうかと振り返ると、星空さんが言葉を紡いだ。

 

 

「黄瀬さん、私ね、本で読んだことあるの。絵は()()()()()だって」

 

 

 ……何故だろう。気がついたら俺…というより周りにいた5人全員、思わず星空さんの言葉に耳を黙って傾けていた。

 

 

「どういうこと?」

 

「黄瀬さんは確かにちょっぴり泣き虫かもしれないけど、とっても優しくて、思いやりたっぷりで、だからそんなかっこいいヒーローの絵が描けるんだと思う」

 

 

 いい言葉だ、感動的だな…だが、俺の心の中はその言葉は”だが無意味だ”と言わんばかりに響かずむしろ少し曇っていた。

 

 

(……心を写す鏡…か。俺の絵から何も感じないのは…俺の絵に対する心が成ってないのか…?)

 

 

 やはり…()()()から、芸術活動に対して若干トラウマじみたものがあるからなのか…?

 いや、俺のことはひとまずいいや。今は黄瀬さんについてだ。

 

 

「…みゆきの言う通りや!」

 

「っ…!」

 

 

 俺が一人思考に陥ってる横で、日野が賛同の声を上げた。

 そして、黄瀬さんの方を見てみると、顔が少し明るく成っている。今の言葉に響くものがあったのだろう。

 ……なんか、星空さんをみてると、絵をあまり描きたくない自分の為にも、自信が持ててない彼女の彼女の為にも、応援したくなってきた。

 

 

「確かに結果はわからないけど、もし黄瀬さんが少しでもやってみたいなら…」

 

「……挑戦する価値はあると思うぞ」

 

 

 星空さんに触発されて、俺も星空さんの言葉に続いて口をひらく。

 

 

「黄瀬さんの絵を見たことないからなんとも言えんが…少なくとも、俺の絵よりもずっと心が乗ったいい絵なんだろう」

 

「心が乗った絵…?」

 

「ああ」

 

 

 俺は、自分なりに自分なりの言葉で黄瀬さんを励ます。

 

 

「俺には心が乗った絵が描けない。さっき俺の絵はしっかり描いてるみたいなことを言ってたような気がするが…そんなことはない。俺は模写はできるが心を込めて絵が描けない。俺の絵には何の感情もこもってない」

 

「えっ…そ、そんなこと…」

 

「悪いがあるんだ。主観によるところが大きいが他人にも指摘されたことはある…まあ、そんなことより、黄瀬さんなら俺にできない絵をきっと描ける。心やメッセージの籠った絵をな。今回のコンクール、言ってしまってはなんだが俺より黄瀬さんのほうがずっと適任だ。俺なんかの絵よりも遥かに頼りになる」

 

「……っ!」

 

 

 星空さんと俺の言葉を受けてか、彼女の目に光が宿ったように感じた。そして、さっきと違ってやる気ある表情で彼女は俺に言葉を返した。

 

 

「……私、やってみたい…!」

 

 

 どうやら乗り気になってくれたみたいだな。

 

 

「おっ…!!よっしゃー!やよいがその気なら」

 

「私たちも手伝うね!」

 

「…もちろん俺もだ。力及ばずかもしれんがな」

 

 

 星空さん、日野、そして俺という順で、黄瀬さんへの協力の言葉が飛び出た。

 

 

「……っ!みんな……ありがとう……!」

 

「えっ……あわわわっ…!」

 

「ほんまに泣き虫やなぁ…」

 

「ほら…あ、ティッシュいるか?今朝駅前でもらったポケットティッシュだ。無論未使用だ」

 

「ううっ…あっ、ありがとう…!」

 

 

 その言葉を受けてか、黄瀬さんの目に涙が浮かんでしまった。相変わらず泣き虫である。

 なんの縁かティッシュ配りの人からティッシュを朝駅前でもらっててよかった。

 

 

「うーん…いいお話だねぇ…青春って感じ…カメラあったら撮っちゃってたかも」

 

「だな…」

 

「そう言えば…二人はどうするんだ?」

 

 

 ポケットティッシュを渡しながら俺は、星空さんや俺の言葉に先ほどから黙って耳を傾けていた奏凪としのぶに声をかける。

 

 

「無論、推薦した手前できるだけ協力するつもりだ…が、父親が最近体調を崩してな…店の手伝いをしないといけない。だからあまり顔は出せそうにない」

 

「上に同じかな…僕も学校新聞の仕上げがあるから、ぶっちゃけまとまって時間取れそうにないんだよね…でも、こんなムードになって手伝わないとは言わないよ!」

 

 

 こいつらもこいつらで、俺と同じ善人の類だ。この話を聞いて全く手伝わないなんて言うような人間ではなかった。

 とはいえ、頻度は期待できなさそうだな…まあ、大人数いても手持ち無沙汰になりそうだしちょうどいいのかもしれない。

 

 

「家の手伝いって…笊畑の家ってなんかのお店だったりするん?」

 

「オレの家は蕎麦屋だ。」

 

「ほぇ〜!初耳学やなぁ!ウチもお好み焼き屋やし、ほんならウチら実家が飲食店仲間やな!」

 

 

 そこ、飲食店経営仲間とは知らなかったんだな…まあいいや。とりあえず、黄瀬さんがやる気を出してもらえてよかった。

 

 

「まあ、今言った理由でオレはそろそろ帰らないといけない。なので先に失礼させてもらう…そういえば、この後残って描いていくつもりなのか?」

 

「うん!そのつもり…!」

 

「とりま、放課後一杯まで残って描こう思ってたけど…みゆきはどうや?」

 

「うん!もちろん大丈夫!」

 

「そうか…手伝えなくてすまん…あ、そうだ桃冴、一言言わせてくれ」

 

「ん?なんだ?」

 

 

 女性陣の言葉を受けた後に、奏凪は俺の肩をぐっと抱き寄せて、俺の耳元でこう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……百合を汚すなよ」

 

 

 一瞬、悍ましい霊圧がオレの体を駆け巡った

 

「…………………え?」

 

「じゃ、また明日」

 

「そいじゃあね〜!僕は新聞部にいるからなんかあったら呼んで〜!」

 

 

 そう言って、二人とも出ていってしまった。

 

 

(なんだ今の言葉…す、スゴみがあるっ…!)

 

「ん?どうしたん赤峰?そんなびびった顔して…」

 

「だ…大丈夫?」

 

「えっ…あっ……ああっ、うん」

 

 

 奏凪の言葉が頭から離れず、なんか思考がついていけてないが、一先ず黄瀬さんの手伝いに専念しよう。そう思って俺たちは絵の題材を纏めるべく話し合うのだった。




猿と犬、そして桃って3人でエピソードに一気に絡めるのやっぱり難しいので猿と犬には一旦退場してもらいます(?)

百合っつっても…別に、3人だからそんなに釘刺さなくても…ねぇ(白目)

二人のキャラ、なんとなくわかってくれたと信じて…()

ちなみに、桃冴が芸術活動を避ける理由やエピソードは今後でも出てくる予定です。桃冴の芸術活動へのスタンス、なんとなくでいいので頭の片隅に置いといてくれたら嬉しいです!

Q.なんでドンモモタロウとスマプリ掛け合わせたの?

A.(その19)バレー技のある”太陽”戦隊サンバルカンと、バレーをやってる”日”野あかねことキュア”サニー”になんかの縁を感じて、戦隊と絡ませたかったから

感想お待ちしています!

読者層調査です。この小説を読んでいる皆様に質問なのですが、どの作品を見た上でこの小説をお読みになっていますか?

  • ドンブラもスマプリも見たことあるよ!
  • ドンブラは見たことあるけどスマプリはない
  • スマプリは見たことあるけどドンブラはない
  • 実は両方とも見たことない
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