ニチアサの世界に転生とは聞いていたが…!   作:よく酔うエンジン

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うーん…どうしよう…どんどん投稿ペースが遅くなってる…
それに加えて、文章のクオリティがなんか落ち始めている気がする…こんなにも沢山お気に入り登録をしてくれて呼んでくれている人がいるんだ…頑張らないと…

今回のお話なんですが、実は元々次のお話とまとめて1話にして出そうと書いていたのですが、15000字付近まで気がついたら書いてしまっていたので、慌てて分けて投稿した感じです。
なので、私がアホじゃなければ15000字書く前にもっと早く投稿できていたと思います。すみません()

雪森さん。誤字報告ありがとうございます!


絵描きはつらいよ

 そして、忍や奏凪と別れた後、どんな絵にするかなどいろいろ話し合った。

 

 話し合いの結果、基本的な方針としては、黄瀬さんの得意なヒーロー系のキャラを主軸に描こうということになった。

 そのまま描き始めちゃおう!ということで、画材を広げて絵を描こうとしたら、うちの教室は別の部活が部の会議に使うとのことだったので、俺たちは必要な道具を持って絵を描くべく誰もいなさそうな学校の屋上へと来ていた。

 

 

「右手でピースサイン、足はもうちょっと前…状態を右に捻って…そのままストップ!」

 

「えっへ……くううぅぅぅぅ…!!」

 

 

 で、今星空さんは、笑顔ではあるものの、掃除用具片手に結構辛そうな体勢になっている。

 

 

 

「……星空さん、大丈夫か?笑顔崩れかけてるぞ」

 

「うん…でも、この体勢…け、結構辛い…」

 

「キツくなったら言ってくれ。すぐ替わるぞ」

 

「う…うん……!」

 

 

 体勢を保ちながら、元気よく返事をしてくれるが、それでもプルプル震えてキツそうだ。

 

 

「……なあ、黄瀬さん。黄瀬さんが描こうとしてるやつってヒーロー系なんだろう?俺がモデルになったほうがいいんじゃないか?体格的に」

 

「うん…それはそうなんだけど…今は大丈夫かな。今は骨組みやアタリを描くだけだから、星空さんだけで大丈夫」

 

「……つまり、本格的に服やら筋肉やら描き始める時に交代しろと」

 

「うん、本当なら赤峰君にずっとモデルやってて欲しいけど…いくら赤峰君でもそれじゃ疲れちゃうと思うし…」

 

 

 つまり、下書きしてる間は本命のモデルである俺が余計に疲れない為にも星空さんで十分というわけか。

 

 …普通逆じゃなかろうか。下書きの段階で、骨組みを描く際に俺の男の骨格を元にして描くのが普通じゃなかろうか。だって、骨組みさえ決まっちゃえばあとは最悪自由に描いてもいいわけだし…そうなると、俺が下書きのモデルとして働いて、星空さんが服とか描くときに後からモデルをやればいい気もするが…

 

 まあ、俺は絵をそんなに描き込んでいる専門家というわけでもないし、彼女なりの描き方や計画、描きたいビジョンというものがあるのだろう。余計な口出しはしない方がいいなきっと。

 

 

「…まあ、了解した…今手持ち無沙汰だし、水とか持ってこようか?」

 

「うん!お願いして欲しいかも…!」

 

「わ、私の分もお願い…!」

 

 

 取りあえず、何もしないのは流石に申し訳ないので、とりあえず水を持ってきてあげることにした。

 

 

(これくらいしか今の俺には仕事ないからな…)

 

 

 そう思いながら、屋上のドアを開けて階段を駆け降りるのであった。

 

 

***

 

「くぅぅ……!」

 

「もう少しだけ頑張って!」

 

 

 赤峰が水を取ってきている間、さっきと同じようにポーズを取っていると、ふとみゆきのカバンの中から声が聞こえた。

 

 

「みゆき…!3人目を探すクル!」

 

「え……?」

 

 

 そう、それはキャンディだった。

 キャンディにとっては、自分の世界を救って欲しいのでさっさと残りのプリキュア探しをしてほしいのだろう。というのに、みゆきはよくわからない棒を持って変なポーズでじっとしている。みゆき達が何をしているのか知らないキャンディ目線、心配になって声をかけてしまうのも無理はなかった。

 しかし、今はタイミングが悪い。

 

 

「しっ…!キャンディ出てきちゃダメ!」

 

 

 慌ててみゆきはキャンディに隠れる様に指示をする。

 プリキュアに関することは、みゆき自身もよくわかっていないが、秘密にしておかないといけないらしい。

 キャンディはうっかりさんな気質があるので、自分が喋るとプリキュアに関することがバレる可能性があるとおそらく気づいていないのだろう。が、もしこの瞬間、キャンディが喋り出して動いてしまったら、いろいろまずい事になるのは隠し事が色々と下手なみゆきでもわかる事だった。

 

 

「わーっ!!何?その子豚さん!?」

 

 

 しかし、声を出さずに隠れていてほしいみゆきの思考と裏腹に、やよいに思いっきりその存在を視認されてしまった。

 

 

「キャンディは子豚じゃないクル!!」

 

 

 あろうことか、自分を子豚呼ばわりされてキャンディは怒ってカバンからぴょっこり飛び出てしまった。

 バタバタと手を振り回して隠れるなんてもってのほかな行為をしている。

 

 

「うわっ…!えっ…えっと…これは、キャンディって言って、その…」

 

「キャンディ…?」

 

 

 慌ててキャンディの口を押さえてみゆきは誤魔化そうとする。

 側から見たらよくわからない珍妙な生物であるキャンディを見て、騒がれちゃったらどうしよう。と不安になっていると、思っていた反応とやよいは真逆のことを口走った。

 

 

「よーし…キャンディも描いてあげるね!」

 

「え?」

 

「キャンディも描いてくれるクル?やったクル!嬉しいクル!」

 

 

 なんと、特にキャンディが何かを気にすることなく絵を描き始めた。

 喋るぬいぐるみ人形か何かだと思って特に気にしなかったのか、それとも単純にみゆきのようにメルヘンで非日常な存在をすぐ受け入れられる思考を持っていたのか…みゆきは聞こうかと思ったが、このままキャンディのことを話し続けてボロが出るのも怖いので聞かないことにした。

 

 

「えっと…ゴーグル代わりにサングラスもかかなきゃ…」

 

「サングラス…?あ、そうだ!黄瀬さん黄瀬さん!一つ聞きたいことがあるの?」

 

 

 サングラスと聞いて、みゆきはキャンディに関することから話題を逸らすのに丁度いい彼女に聞きたいことがあるのを思い出した。

 それは、彼女が前に描いていた、桃太郎さんに似た絵の事である。

 

 もしかしたら、黄瀬さんは桃太郎さんについて何か知っているのかもしれない。前に戦闘した時に会えなかったので一体何者か気になっていたみゆきは、黄瀬さんの絵を見てからずっと気になっていたのだ。

 

 

「ん?なぁに?星空さん」

 

「えっとね…実はね、前に黄瀬さんの絵を見た時に…私が見たことある人に似ててね…」

 

「見たことある…?も、もしかして…ヒーローさんのこと!?」

 

「ひ、ヒーローさん…?ねえ黄瀬さん、それってもしかして大きな桃みたいな逆さまのハートがおでこについてたりする!?」

 

「う、うん!そう!で、羽織りみたいな衣装を着てて…!」

 

「わ、わぁ…!やっぱり!絶対桃太郎さんだ!!」

 

「その言い方…もしかして星空さん知ってるの?ヒーローさんのこと…!」

 

 

 彼女はすっかりポーズを取るのを忘れて飛び跳ねて喜んでしまった。

 そして、やよいのほうもすっかり目を輝かせて手が止まってしまっていた。

 

 

「クル?チミは桃太郎さんについて知ってrモゴッ」

 

「しっ!キャンディ一旦喋っちゃダメ!一旦カバンの中にいて!」

 

「クルゥ…わかったクル…」

 

(黄瀬さんには見られちゃったけど…赤峰君には絶対見せないようにしなきゃ…!)

 

「星空さん!えっと…その、桃太郎さんって…御伽話の…?確かに桃太郎モチーフみたいな姿だったけど…でも、私が言いたいのは星空さんの好きな絵本のヒーローじゃなくてね…えーと…そのー…」

 

「あ、ううん!違うよ!実はね…私、その黄瀬さんが言っているヒーローさんに会ったことがあるの!」

 

「え……え?そ、そうなの?」

 

「うん!ついこの間に会ったの!」

 

 

 すると、やよいの目が輝きをより増した。

 

 

「わぁ…やっぱり…夢じゃなくて…あの時見たヒーローさんは本当にいるんだ…!」

 

「うん!私も見たことあるんだよ!…って、黄瀬さんは…なんで桃太郎さんについて知ってたの…?」

 

「あ…えっと、実はね、昔…とっても悲しくて怖い夢を見たことがあって、最後の方で怖い化け物に襲われる夢を見たことがあったの」

 

「えっ…うんうん…!」

 

「でもね、そんな時に私を助けてくれたのが、ヒーローさんだったの!私、今までずっと夢の中の登場人物だって思ってたんだけど…星空さんも見たことあるってことは…!きっとそれって夢じゃなくて…!」

 

「うん!私も実は助けてもらったことがあるの!桃太郎さんは実在するんだよ!」

 

「わぁ…!」

 

 

 普通に考えれば珍しいキャンディの存在をすぐ受け入れるような、絵本やテレビのヒーローものと言った空想の世界に憧れを持っていた少女たちの盛り上がりは、既に最高潮だった。

 互いに、また会いたいと感じていた人間が同じだったのだ。興奮してもおかしくないだろう。

 

 

(にしても…夢に…化け物…助ける…あ!もしかして!)

 

 

 そして、盛り上がると同時に、みゆきはある事が頭に思い浮かんだ。

 

 プリキュアとして戦った経験や、ドンモモタロウと一度とは言え遭遇経験のある星空みゆきから見て、黄瀬さんが言っている夢とはきっとバッドエンド空間でアカンベェやヒトツ鬼に襲われそうになったところを助けてもらったということだろう。

 バッドエンド状態は、アカンベェを倒すなどして解除されると元に戻り、バッドエンド状態だった時の記憶は大体は無くなってしまう。

 

 しかし、黄瀬さんは明確に桃太郎さんについて覚えている。もしかしたら、彼女はバッドエンド状態を打ち破るような素質を秘めているのかもしれない。そして、そのような人間は限られる…

 

 例えば、"プリキュア"だ。

 

 そう考えた時、彼女の目もまたより輝きを増した。

 

 

(それって…もしかしたら黄瀬さんって…3人目の…!)

 

「お待たせ〜!」

 

 

 やよいの事を考えていると、ビニール袋を引っ提げたあかねが屋上へと戻ってきた。

 どうやら、袋と匂いを嗅ぐあたり、何か差し入れを持ってきてくれたらしい。

 

 

「あ…とりあえず、この話はまた後で!」

 

「だね!あ、日野さんそれ…クンクン…いい匂い…!」

 

「ふふーん…差し入れ持ってきたで〜!って、あれ赤峰はどこ行ったん?」

 

「赤峰君は水を取りに…って、わぁ、美味しそう!」

 

 

 喋りながらあかねが取り出したのは、アツアツのソースや鰹節がかかった美味しそうなお好み焼きであった。

 

 

「おぉ〜!でも、なんでお好み焼きなの?」

 

「ウチの家、さっきも笊畑の前でも言ったけどお好み焼き屋さんやってんねん!」

 

「なるほどー…!」

 

「そういえばさっきあかねちゃん言ってたね」

 

「ま、兎に角一旦休憩にしよや!」

 

 

 そう言って、少女達は一旦屋上のベンチに集合し、お好み焼きを置いて合掌した。

 

 

「「「いただきます!」」」

 

 

 そう言って、少女達はその熱々な粉物に無我夢中で頬張った。

 おいしいソースの味や鰹節の風味が口の中一杯に広がり、生地に挟まった肉とキャベツが舌に当たり脳が美味いと訴える。

 

 

「わぁ…!美味しい…!ほっぺた落ちちゃいそう…!」

 

「ええやろ?うちの父ちゃん特製の焼きたてやで!あ、せや、赤峰の分も残すんやで?美味しくてついつい食べたくなるんはわかるけどひとまず一人一枚や」

 

「は〜い!って、美味しそうだったからつい食べ始めちゃったけど、赤峰君待たなくてよかったのかな…せっかく私達のために水取ってきてくれてるのに…」

 

「ほへー…たまたまやろうけどすれ違わなかったな…ま、とはいえ!だったら一番大きな部分は残しといたろや!残りのソースもたっぷりとかけて…」

 

「うん!賛成!」

 

「食べて少し食休みしたら、日野さんも手伝ってほしいな!」

 

「もちろんや!」

 

 

 そんなこんなで、軽い腹ごしらえを終えた彼女達は、再度ポスター作成に戻った。

 

 

「右手…もうちょい上で!」

 

「この辺やな…!」

 

「あっいてててて!!そんな上じゃなかったよ!」

 

 

 

 

(これは…ふふ…少し不安でしたが…大丈夫そうでよかったです)

 

「……れいか、何やってるんだ?嬉しそうに眺めて」

 

「きゃっ!?と、とうご君!?ど、どうしてここに!?」

 

 

 その様子を一人眺めている人間がいた。

 クラスの学級委員長である青木れいかであった。

 

 屋上へと繋がる扉から、やよいの様子が気になってこっそりと様子を見にきた様であった。

 

 LHRのやよいの様子を見れば、心配になって当然だろう。

 しかし、彼女の予想と打って変わって、楽しげにみゆきやあかねと絵を描いていたので、ほっとしていたところを、ペットボトルを4本持って階段を上がってきた赤峰に思いっきり鉢合わせてしまったのだ。

 

 

「すみません…今日のLHRの様子から、少し気になってしまって…」

 

「なるほど…ま、ぶっちゃけ無理やり押し付けられた様に感じちゃうもんなアレ…偉いなれいかは、生徒会とかで忙しいだろうにわざわざ見に来るなんて」

 

「いえいえ、学級委員長として当然です」

 

 

 人によっては、黄瀬さんに頼んだら、そのまま任せきりで終わりになってもおかしくないだろうに…本当によく出来た子である。

 

 

「んで、興味本位で聞くんだが…仮に黄瀬さんがダメそうだったらどうする気だったんだ?」

 

「え?そうですね…誰も他にいなければ私が描くしかないと思っていましたが…いえ、やっぱり貴方に頼んでいたと思います」

 

「……だろうな。他描ける人いないし…」

 

 

 ハァと、ついため息を少年はついた。

 

 

「…やっぱり、もう創作活動はやらないのですか…?」

 

「んー…今の所…ね。昔色々あって、なんか乗り気じゃなくなっちまった」

 

「そうですか…私は、昔描いてくれた絵が好きだったのですが…あ、いえ、すみません。無理にまたやって欲しいというわけでなくて…」

 

「ん、わかってるよ。あ、取り敢えずみんなに水持ってかないとだから!じゃ!」

 

 

 そう言って、とうごは屋上の扉を開いて行ってしまった。

 

 

(…とうご…一体、何があったのでしょうか…昔は、絵をよく描いてたのに…)

 

 

 思い出すのは、昔、自分やなおの似顔絵を描いて見せてくれたとうごの姿だ。一緒に遊ぶ時も、スケッチブックを持ってきていたほどには熱中していた筈だ。

 

 彼は、剣道や柔道といった武道と並行し絵を描いたりしていた。

 芸術がわかると自負している訳ではないか、彼の絵は側から見ても、優れたものだったと彼女は思っている。その絵はまるで写真かと錯覚するようであったし、コンクールで金賞を取ったこともあった。

 

 しかし、とある時期からその様子はなくなり、武道や他の体を動かすようなスポーツへとのめり込むようになってしまった。

 確か、もっと他のことをしたいと、彼の母親の勧めで、音楽を始めてしばらく経って頃だっただろうか。

 気がついたら、彼はそう言った芸術関連の事をスパッと辞めてしまったのだ。

 

 当時はかなり驚いた。

 体を動かすのが好きななおは特に気にしておらず、むしろいっぱいとうごと遊べるとはしゃいでいた。が、書道を、今自分が部活で励む弓道程ではないが嗜んでいた彼女にとって、どこか幼いながら少し寂しかった記憶が彼女にあった。

 芸術活動をする友達が一人いなくなったのと同義だったからだ。

 

 彼女は幼い頃の彼に何があったか知らないが、当時から幼馴染ながら心配していた。一度聞いてみたこともあったが、まるであまり思い出したくない記憶を呼び起こさないといけないと言ったような形で、あまり良い顔を彼がしなかったのを見て結局何があったのか聞きだすことは彼女にはできなかった。

 

 その彼の背中を眺める瞳は、先ほどの絵を描く黄瀬さんを見て安心した表情と違ってどこか心配そうなものだった。

 

 

***

 

 そして、この日以来ほぼ毎日放課後に全員で残ったりで忙しかった。

 黄瀬さんも、前まで隠れるようにスケッチブックで絵を描いていたというのに、机の上に堂々と画材を広げて絵を描いていた。

 休み時間や放課後の時間もほぼ全て費やし、俺たちもできる限りの協力をした。

 

 あんまり来れなかったが、忍や奏凪も色々協力してくれた。

 不足した画材を買いに行ってくれたり、俺の代わりにモデルを引き受けてくれたり、他の人の描くポスターデザインを調べてネタが被ってないか調べてくれたり、差し入れでそばを持ってきたりなど…なんやかんやで手伝ってくれて本当に助かった。

 

 まあ、それはそうとて…

 

 

「出来たー!!!」

 

 

 提出日前日、日が沈みかけた屋上にて俺たちはなんとか満足のいく作品を完成させることができた!

 

 

「じゃ〜ん!!」

 

「「「おぉ〜!」」」

 

 

 そこには『校内美化ヒーロー・クリーンピースマン』と題されたヒーローのポスターが飾られていた。ヒーローものや特撮好きの黄瀬さんらしい、絵越しでも”彼女の努力”が伝わる素晴らしい作品だ。

 俺じゃこんな個性をしっかり出した絵など描けなかっただろう…

 

 だが…一つ気になる点がある。

 

 

(なんか…()()()()()()()…?)

 

 

掃除用具モチーフとはいえ片手に持つ刀剣類の武器

 

サングラスのようなゴーグル

 

そして、赤を基調としたスーツ

 

 

 なんだろう、思いっきり俺が変身するドンモモタロウの特徴に似ている気がする。

 

 

(……いや、俺と言うより…なんか、レッドバスターみたい)

 

 

 そのサングラスや赤いスーツを見ると、スーパー戦隊シリーズ第36作目である硬派なリアル感あふれるロボ戦やスパイアクションで話題を呼んだ『特命戦隊ゴーバスターズ』のチーターのように高速で戦闘する戦士『レッドバスター』に似ていた。

 たまたまなのかもしれないが…彼女、一からこのデザインを生み出したと言うのだろうか…だとしたらとんでもない天才かもしれない。

 

 

「これ…かっこいいけど…何も参考せずに一からこのデザインを生み出したのか?」

 

「ううん!前に赤峰君と太陽マンショーに行った時に話した夢で見たあの戦士さんをモチーフにしてるの」

 

「あっ…へー……なるほど」

 

 

 察した。

 

 つまりこの子…俺をモチーフに描いたのか…!

 

 というのも、俺が初変身した時に、俺は彼女の事をヒトツ鬼から守ったことがある。きっとそれを覚えていてくれたのだろう。そして、俺のデザインから着想を得てこのヒーローの絵を描いたに違いない。

 

 え?つまり俺が変身するドンモモタロウのデザインから戦隊レッドの中でも人気の高いデザインのレッドバスターに似たこのヒーローを生み出したと言うことか…?

 

 黄瀬さん、俺は君のことを過小評価していたかもしれない。

 君、特撮のキャラクターデザインに関わるべきだよきっと…絶対かっこいいヒーローを生み出せる素晴らしいデザイナーになれるよ…!!

 

 

「にしても…流石黄瀬さんだよ!」

 

「すごいなぁ!!めっちゃかっこええやん!」

 

「いや〜…やっぱり任せてよかった」

 

「みんなのお陰だよ…!それにね、二人に言われてわかったの!私…色んなことから逃げてた…本当はこのポスターも描きたいって思ってたのに…言い出せなくて」

 

 

 ふむ…そうだったのか。

 そうなると、今回の星空さんが黄瀬さんを推薦したこととかは、彼女に取っていい刺激だったのかもしれない。

 

 

「大丈夫!黄瀬さんは最後まで頑張ったじゃない!」

 

「せや!今のやよい…めっちゃかっこええで!」

 

「うっ……ううっ!ありがとう…!!」

 

 

 お、今度は泣かなかったな…

 

 今の様子を見てふと思ったが、この一件を経て個人的主観ではあるものの、黄瀬さんは随分と変わった気がする。

 引っ込み思案で自分に自信がなさそうな様子だったのが、随分と明るくなったように感じた。実際、隠れて描いていた絵も堂々と教室で描いていたし…

 

 

(ま、それよりも…今は絵の結果に集中かな…)

 

 

 俺は、彼女の努力が一体どう評価されるのか。色々あって芸術行為から逃げてしまった俺は、そっちの方が気になって仕方なかった。まあ、とにかく気長にコンクールの結果を待つとしよう。

 そう、沈む夕日を見ながら俺は考えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん……どこからか…アツい友情の匂いがするオニ…!」

 

 

 だが、俺は気がついていなかった。この街に再度最悪の結末による悪夢が迫っている事を。

 

 

「俺様が…バッドエンドに変えてやるオニ…!」

 

 

 屈強な赤鬼が棍棒を構えながら、恐ろしい笑みを浮かべ街を眺めている事を、俺はまだ知らなかった。

 

 

***

 

 

「わっ!とうご!おっはよー!」

 

「おおぉぁあ!!?あぁ、しのぶか…びっくりした…」

 

 

 不意にバシッと肩を叩かれて、驚きの声をあげると、俺の友人であるしのぶが勢いよく背後から現れた。

 あれから数日経って、俺は今元気に登校しているところだった。

 

 

「へへーん、僕に背後を取られるとは…まだまだだねぇ」

 

「全く…お前はなんでそうも気配を消すのが上手いんだ…」

 

「そんなことよりも…!ほら、今日なんの日か知ってる?」

 

「勿論だ。ポスターコンクールの結果発表の日だろう?」

 

 

 そして、今日がちょうどポスターコンクールの優劣が発表される日なのである。朝から校内の掲示板に張り出されるので、今日はバイトをせずにいつもより早く学校に来た。

 

 

「そうそう!僕はちょっと野暮用があるから、それが済んだらすぐ行くよ。先に行って結果見てて!」

 

「おう、じゃあまたな」

 

 

 そう言ってしのぶと別れ、教室にカバンを置いた後に掲示板の前まで来た。

 案の定とでも言わんばかりか、朝早くなのに人だかりができており、随分とガヤガヤしている。

 

 

「お、赤峰やん!」

 

「赤峰君おはよう!」

 

「ん?おお、星空さんに日野か。その様子…今来たばかりか?」

 

「うん!ついさっきあかねちゃんに会ったばかりで結果はまだ見てないよ!」

 

「丁度いい、なら一緒にみよう」

 

 

 俺もその人だかりに混じろうとすると、背後から登校して来たばかりであろう星空さんと日野が居た。

 なんやかんや絵の制作に関わったもの同士、丁度いいし仲良く結果閲覧しようと言うことで、3人で絵が見える位置までくると、見知った影がもう一人いた。

 

 

「あ、黄瀬さん!」

 

「どうやった?」

 

 

 黄色のかわいらしい髪…そこには、黄瀬さんがいた。

 日野が結果を問いかけるが、黄瀬さんは少ししょんぼりした顔で掲示板の方を見た。

 つられて俺もその視線の方へと目を向けた。

 

 

 銅賞は…お、鳴島…って事は、女性を描いてたあの人か。

 

 で、銀賞…これは知らん人のやつだな…

 

 最後に金賞…は、黄瀬さんではなく、例の美術部部長の蘇我さんの作品だった。

 

 

(黄瀬さんの作品は…どこだ…?)

 

 

 そう思って、その作品の下を見下ろすと、目的のヒーローが描かれた黄瀬さんの努力の結晶が飾ってあった。

 

 

『クリーンピースマン・努力賞』

 

 

 絵の上に書かれた文字は"努力賞"。一生懸命みんなの期待に応えようと筆を取った彼女の努力はどうやら認められたらしい。

 

 よかった、入選は出来たみたいだな…個人的にはもっと行っててもいい気がしたが…賞を取れただけすごいことだ。

 俺の絵なら多分端っこに有象無象の一枚として飾られて終わりだっただろう。

 

 だが、そう考える俺と違って、黄瀬さんの顔は曇っていた。

 

 

「折角…みんなに手伝ってもらったのに…ごめんなさい…」

 

「でも、努力賞だってすごいと思うよ!」

 

「その通りだ、賞を取れただけ誇っていいことだ。俺たちの努力は無駄じゃなかったってことだ」

 

「そや!ウチはやよいのポスターが一番輝いて見えるで!」

 

「うん!私もそう思う!」

 

 

 …やっぱり、この世界の人はいい人が多い。

 黄瀬さんはともかくとして、みんな考える事は一緒みたいだ。

 

 

「みんな…ありがとう!」

 

 

 まあ、何はともあれ黄瀬さんは立派に全力を尽くした。誰も責める人などいないだろう。

 またこう言った機会があればリベンジしたいところではあるがな…とにかく、これにてめでたしめでたしって所かな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなの、負け惜しみだよ」

 

 

 …あん?

 




書いてて思うけど、あかねちゃんにお好み焼きネタさせると、自分も食いたくなってきますね()

てか、差し入れで蕎麦とお好み焼き…うーん、軽く食うには重すぎるものばかりだなオイ()

桃冴…水取りに行かなかったら…プリキュアの正体特定できてたよ()


Q.なんでドンモモタロウとスマプリ掛け合わせたの?

A.(その20)スマプリと同時期に放映されていたゴーバスターズも、ドンブラザーズと同じでサングラスがデザインモチーフの一つに取り入れられているから。

感想お待ちしております!

読者層調査です。この小説を読んでいる皆様に質問なのですが、どの作品を見た上でこの小説をお読みになっていますか?

  • ドンブラもスマプリも見たことあるよ!
  • ドンブラは見たことあるけどスマプリはない
  • スマプリは見たことあるけどドンブラはない
  • 実は両方とも見たことない
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