ニチアサの世界に転生とは聞いていたが…! 作:よく酔うエンジン
そういえば…最近気が付きましたが、まさか拙作に推薦文を書いてくれた方がいたなんて…光栄です!スマラカタさん。本当にありがとうございます!
SIGSEGVさん。豚バラ煮込みさん。雪森さん。誤字報告ありがとうございます!
『ヴァァァァァ!!』
大きな雄叫びをあげ、魔進鬼がこちらを睨みつけてくる。いつもなら俺もその闘志に真正面からぶつかっていくところなのだが…
(ここじゃ周りの生徒に被害が出るな…)
周りをキョロキョロ見渡してみれば、先ほど俺たちの喧嘩を野次馬していた生徒達が膝をついて項垂れているのが目に見えた。
この場で戦えば、外れた弾丸や弾かれた斬撃が項垂れて動けなくなっている生徒達に当たったり、ヒトツ鬼が黄瀬さんの時のように暴走して生徒達に襲いかかる危険性がある。
一人だけを守りながら戦うのならばやりようはあったが、今この場にはもともとコンクールの結果を見るべく結構な人数集まっていたこともあって、全員を守りながら戦うのは難しい。
いくら戦闘経験を積んできた俺でも守り切れる保証はない。
そもそも、ある意味自分のせいでこの化け物を誕生させたと言うのにそのまま周りを巻き込んで戦うとか外道にも程がある。
なので、ここは…
「日野の時と同じで…取り敢えず人気のないところに来てもらうぞ…!」
パカッとドンブラバックルを開ける。
取り出すギアは、赤いタイヤを顔に取り付けた届け屋のギアだ…!
「アバターチェンジ!」
『ブンブンジャー!!』
引き金を引くと同時に、巨大なアバタロウギアが俺の体を包み込み、バクアゲなレーススーツへとアバターが切り替わった。
『いよっ!爆上戦隊!』
『ヴァァァァァ!!』
「おっと!」
アバターを変え終わると、いつの間にか目の前に魔進鬼が拳を振りかぶっていたので、慌てて屈んで避けて懐に飛び込み抱きついた。
流石にいきなり懐に飛び込んでくるとは思っていなかったようで、思ったよりあっさり良い感じに奴の腰を掴めた。
「タイヤブンブン…ブン回せ…!」
キキィ……!
『ギィッ…ァッ…!!?』
「うおらぁぁぁぁあああ!!!!」
そのまま相撲の要領で魔進鬼の体を持ち上げて足のタイヤを回転させ、思いっきり走り出した。
「せいやぁ!!」
ドォン!!ドォン!!
『ギラッ!!?アッ!?ガァッ!!』
「よいしょぉ!!」
ドォン!!!
学校の壁を突き破って、人気のない一階の空き教室まで運ぶことに成功した。
その勢いのまま押し出して奴を突き飛ばす。
壁を何個か突き破って運搬した分、奴にもダメージはある程度入ってる様であり、突き飛ばされてすぐ立ち上がってはいるが、目で見てすぐわかるほどふらついている。
「このままいくぞ!」
俺はブンブンハンドルを召喚し、プラスドライバーや剣のように見える"ロッドモード"へと変換してそのまま斬りかかる。
「うおらぁぁっ!」
『ギィッ!』
ロッドモードの斬撃を魔進鬼が受け止める。手応えはかなり悪い。どうやら騎士竜鬼と戦った時のように
(騎士竜鬼程じゃないな…!)
「そりゃあ!」
『クガァッ!』
ロッドモードのブンブンハンドルをそのまま振り抜いた。
奴の腕から火花が散り、奴の体が大きくのけぞった。
「もういっちょ!」
『ガッ…!?』
そして、横薙ぎでそのまま奴の胴体に追撃を加える。
手応えはあまり良くないとはいえ、騎士竜鬼と違ってしっかりダメージが通っているみたいだ。
『ギッ…グッ…』
「まだまだ行くぞ…」
俺はブンブンハンドルを構えてそのまま近づくが、相手も俺の好きにさせてくれるようではなさそうだ。
キラーン!カラーン!
『チェックメイトォォォ!!』
「うおっ!?」
やつの体が眩く発光し、俺は思わず目を閉じてしまい、そのまま足を止めてしまった。
『ゥゥゥァァァァッ!!!』
ギラッ!ギラッ!ギラッ!
(なんだこれ…宝石が……?)
思わずタイヤ型ゴーグル"バクアゲタイヤ"越しに閉じてしまった目を開けると、奴の周囲に変化が起きているのに気がついた。
と言うのも、奴の周囲に
そして、やつを見てみるとやけに彩りが無くなった。
(これは…スキンについていた宝石を浮かせたのか…?数は…およそ10か…何をする気だ……?)
また巨大化竜装や翼生やしのような原作にはない特殊能力だな…そう思った俺は様子を伺いつつブンブンハンドルを構え直す。
その瞬間だった。
『キ…ラ…メーイ!!』
「おっと!!?なるほどっ!!」
なんと、
しかも、なかなか速い。目で追うことはできるが、光り輝いて何やら不思議で不気味な気配を感じる…何はともあれ、当たればダメージを受けるのは確実だろう。だが…
「それでも弾丸にしちゃ遅いな!」
キキィィィッ…!
俺は足からタイヤのオーラを出して横方向へと急加速して浮かび上がり回避する。
ブンレッドのこのスーツについたタイヤの馬力は凄まじく、原作でもやっていたが赤いオーラを出しながら短時間なら飛行することができる。それを生かした緊急回避である。
案外拍子抜けだな…と思っていた瞬間だった。
グゥン!
(なっ……!?)
なんと、宝石の弾丸が
空中であり得ない軌道で減速しながら俺の方へと進行方向を変えて襲いかかってきたのだ…!
(どうなってやがる…!くそっ!)
俺は、ブンレッドの素早さや身軽さを活かして慌てて空き教室に放置されていた机の後ろに隠れ伏せる。
ベコッ!ドゴォ!
俺が机の後ろで伏せると同時に、机がぐしゃぐしゃに凹んで吹き飛ばされる。その勢いは凄まじく、1発でもあの宝石の弾丸に当たった机は例外なく跳ね上がって悲惨な形になってひしゃげている。
(おいおい…あの速度で出して良い火力じゃねえぞ…!)
仮に俺の体に全弾当たっていたら、膝をついていてもおかしくない火力だ。
というのに、宝石一つ、あの速度で出して良い威力じゃないのは机の変形具合から嫌でも目にとれた。
『キラキララ……』
(あの手の動かし方…まるで
あくまでも予想ではあるが、確か奴のまとうスキンの名前は”キラキラの
そのスキンに関連づけて、おそらく宝石を魔法攻撃かの如く操れる能力を持っているのかもしれない。
『キラァ…!キラァ…!』
「第二射が来るか…!」
呑気に考察していると、奴の体からまた宝石が生み出されて周囲を浮き始めている。
今はなんとか回避しきれたが…おそらく自由自在にあの宝石を飛ばせるのだろう。となるとあの弾幕を潜りながら近づくのはかなり難しいだろう。
また机の裏といった遮蔽物に隠れても良いのだが、教室内にある良い感じに遮蔽物になりそうなものも限りがある。隠れるたびにぶっ壊されていては後々不利になるのはこちらだ。
一瞬ゼンカイザーにチェンジして全部撃ち落とそうかと思ったが、おそらく撃ち落とし終える前に発射されるだろう。じゃあ平面機動能力に優れたブンレッドの足を活かそうかと思ったが…そうなると今度は”置き弾”が辛くなってくる。
と言うのも、ぷかぷか浮いてるあの宝石の弾丸を俺の進路上に適当に置くだけで急停止できない俺の行動範囲は狭められ、近づくのを封じれるだろう。
となると…俺がやるべきは…
(正面突破だな)
「こいつの出番ってところか…!」
この状況を無傷で突破するのに打ってつけのギアがあるのを思い出した俺は、ぱかっとドンブラバックルを開けて、先日手に入れたばかりの”リュウソウレッド”の顔が刻印されたギアを取り出した。
そして、ギアテーブルにセットして腹から声を出す。
「リュウソウ…アバターチェンジ!」
『いよぉ〜!!』
『どん!』
『どん!』
『どん!』
合いの手と共に、スクラッチギアを回し、銃にギアの騎士達の物語のデータを読み込ませる。
『どんぶらこー!!!』
『リュウソウジャー!!』
「はあっ!!」
『ケ・ボーン!!』
そして、引き金を引くことによって巨大なリュウソウレッドの顔が刻印されたアバタロウギアが出現し、そのギアが真っ赤に光出すと同時に、赤色の光の線となって8方向に分裂した。その光は、俺の周りに降り立ち、8人の”
『ワッセイ!ワッセイ!そう!そう!そう!』
『ワッセイ!ワッセイ!ソレ!ソレ!ソレ!ソレ!』
8人の”レッドリュウソウル”は、俺の周りを部族の演舞かの如く踊りながら周り、俺の心を高揚させる。そして、舞が終わると同時に俺は再度引き金を引いた。
『リュウSO COOL!』
ドンブラスターが発した掛け声を号令に、一人のレッドリュウソウルがこちらに向けて駆け出し飛びつく。それと同時にレッドリュウソウルが光だし、俺のアバターを恐竜の力を受けた騎士達の装束へと変え、黒い牙のような、雷のようなラインが体の中央部を染めた。
最後に、恐竜が噛みついたかのような頭部が俺の頭を包み込み、アバターチェンジが完了した。
『ウワ~ッハッハッハッハァ!』
『いよっ!騎士竜戦隊!』
胸に刻まれた恐竜の歯の形
金色の腕や足についた装飾
そして頭部のティラノサウルスのようなヘルメット
縁を守るアバタロウが、勇猛なる騎士へとアバターチェンジが完了したのだ。
『グワァァァァァ!!!』
「勇猛の騎士…!リュウソウレッド!!」
俺が今新しく変身したのは、スーパー戦隊シリーズ第43作目である、”騎士竜戦隊リュウソウジャー”の、勇猛果敢で荒々しい、気高き騎士の誇りを持ち、相棒の騎士竜と共に今地球に生きる者達を守った”リュウソウレッド”という赤き戦士だ。
ソウルを一つに巨大な意志に立ち向かい、人々を守った先輩である。
「人を思いやる気持ちのないお前に…」
『ギラァァァァッ!ギラァッ!』
奴は再度眩く発光し、体からぼこぼこと大量の宝石の弾丸を生み出して射出してくる。
それに対して、俺は手元に召喚された、恐竜の頭部を模した鍔を持つ騎士竜の魂を宿すリュウソウケンを構えて飛んでくる宝石弾を見据える。
「俺の騎士道…見せてやる!」
キィン!キィン!
『ギィッ!!?』
無数に俺を取り囲むように弾丸が飛んでくるものの、俺はリュウソウケンを回転させるかのように振り回して体にあたる前に全て叩き落とした。
どんなに強く硬い宝石の弾丸でも流石に直接剣で横から衝撃をぶつけたら止まるだろう。そう踏んで迎撃してみたが、正解だったようである。俺の周りに勢いが落ちた石が次々とぶつかり、俺の体には1発も当たることはなかった。
俺の変身した戦士、リュウソウレッドは劇中でも飛んでくる弾丸をこうして弾き飛ばしていた。
例を挙げるならば、前作である第42作目「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」とのバトンタッチムービーにて、二人のレッドが放った高速の弾丸を軽々と弾いていた。
そのリュウソウレッドの力を借りればこれくらい朝飯前である。
『ウッ…ガァ…!』
「驚くのはまだ早いぜ!」
そう言って、俺は、
(宝石モチーフのヒトツ鬼相手には…宝石モチーフの"リュウソウル"の出番ってところかな)
「ソウルを一つに…いくぜ!"カタソウル"!」
バキーン!
そのまま、もう片方の手で"リュウソウル"と呼ばれたそのアイテムを弾くと、恐竜の頭部を模した形態"ソウルモード"から、"ナイトモード"へと変形した。
そして、リュウソウケンの鍔の部分である騎士竜の口を開け、そのソウルをそのままセットする。
『カタソウル!!』
バキバキとレバーを操作して、2回ソウルを噛み付かせる。すると同時に、ソウルに込められたパワーが剣に伝わってくる。
『リュウ!』
『ソウ!』
『そう!』
『そう!この感じ!!』
合いの手と共にレバーを操作し、噛み付かせると同時にそのパワーがますます大きくなる。
十分なパワーを引き出し終えると、その溢れ出たパワーが俺の右腕のアバターへと伝わり、水色の宝石が煌めくカチカチな鎧が竜装された。
『カタソウル!!』
これは、リュウソウジャーを代表する能力である"竜装"と呼ばれる能力だ。
リュウソウケンにリュウソウルと呼ばれる騎士竜の能力や
俺の右腕には、"カタソウル"と呼ばれるソウルから引き出した、水色の大きな宝石の盾の様なパーツが着けられた鎧が着装されている。
「さあて…いくぞ!!」
俺は竜装を着込んでリュウソウケンを握った右手を前に出しながら奴に突貫する。
『グゥゥゥァッ!!』
ギラッ!ギラッ!
近づかせるものかと奴も宝石を再度生み出し、俺に向けて大量に発射してくる…が。
「ハーッハッハッハ!!そんなもの…」
『キィッ!?』
「"カタソウル"の前には無力だ!」
カタソウルの能力により、俺の体は右腕を中心に先ほどとは比べ物にならないほど頑丈になっていた。
もろに全弾直撃するが、痛みは軽微なものだった。
奴がどれだけ弾丸を曲げてこちらの不意を突いてこようが頑丈すぎる装甲の前では無力だ。
これが竜装だ。
ソウルの力を引き出して能力を強化することができるリュウソウジャーの最大の特徴である。これがあれば弾幕の中を正面突破など容易い。
「そりゃそりゃぁ!!」
『グガァァァァッ!』
俺は、そのまま肥大化した右腕で持ったリュウソウケンをぶん回し、懐に飛び込んだ奴の装甲を斬り裂く。
「メイジが物理攻撃には色々な意味で向いてないのはお約束だからな…!そりゃあ!」
『ギッ!!?ガァッ!!』
そのままリュウソウケンで追撃を加える。
装甲に使われていたキラキラな宝石を先ほど俺への攻撃に使ったばっかなので、奴の体を守る装甲は薄くなっていた。
それ故か、俺の攻撃はさっきに比べれば驚くほど通り、斬り裂く度に奴の体から火花が散る。
『ギィッ…ァァッ…!ヒラメキーング!!』
「っ…!」
ただ、奴もただで攻撃を受けている訳ではないようだ。
斬ってぶっ飛ばした先で再度何かを思いついたらしく、攻撃されている中で再度宝石を生み出し、周囲に浮かせた。
なんで何かを思いついたとかわかるかというと、今の台詞がそれを物語っていたからだ。
今のセリフは、キラメイレッドこと”熱田充瑠”が何かを閃いて想像する時に出るセリフだ。原作ではその類まれなる発想力でピンチをなん度も切り抜けてきた。奴が腐ってもその戦士たちの力を持つと言うのなら同じように何かを思いついて想像してもなんらおかしくない。
(何をする気だ…?)
何がきても良いように様子を伺っていると、奴が手をグルグルとパントマイムのように動かして宝石を一箇所に集め出した。
そしてその宝石はみるみるうちに大きくなり、ずんずんと膨張を繰り返してあっという間にとんでもないことになった。
『ガアアッ!!』
キラーン!!
「うっわ…
気がつけば、その宝石は俺ら以上の巨大なサイズになっていた。
奴の魔法によって、教室の床から天井までギリギリのキラキラ輝く不気味な宝石が俺の前に現れたのだ。
『ギィヤァ!!』
ヒュオオッ
「なっ…!!?うおっ!!」
そして、不気味な光を纏って俺の方へと飛んできた。
いくら俺がカタソウルで頑丈になっていても、パワーや足腰の強さが上がっているわけではない。ダメージを受けることはないだろうが、巨大な質量の前じゃ簡単にぶっ飛ばされてしまう。
何とかしてリュウソウケンで受け止めるも、勢いを完全に殺し切ることはできなかった。
「うっ…ぐうっ…!」
腕に伝わる力が段違いだ…踏ん張るので限界…いや無理だ…押される…!!
ミシッ…ミシッ…
『押セェェ!!パワー全開ィィ!!行ケェ!!忌マワシキ記憶ト共ニィィ!!!』
「アクシズかよっ……うわっ…!?」
気がつけば、鍔迫り合いに押された俺はそのままジリジリと勢いに負けて押し出され、そのまま校舎の壁と宝石のサンドイッチになってしまった。
気のせいか、どんどん宝石が押し出すパワーがあがって行ってやがる…!奴の感情が乗っているのか…?
そして、そのまま俺は抗うことができず押しつぶされてしまい…
ドゴォォン!!
「うわぁぁぁっ!!!?嘘だろぉっ!??」
宝石と共に壁を突き破って空き教室の外へと放り出されてしまった。
***
そして、もう一方の戦場にて…
『アカンベェ!!』
「ふん!」「はあっ!!」
掃除器具を持ったアカンベェの巨体が迫るものの、ハッピーとサニーは軽快に飛び上がって回避をする。
「「やぁーっ!!」」
そのまま飛び蹴りを喰らわせようとするものの…
『アカンベェ!!』
「きゃぁっ!!」
アカンベェの武器にて簡単に迎撃されてしまう。
なんとかして迎撃されても着地には成功するものの…
『アカン…ベェ!!』
「うわっ!!」「きゃっ!!」
デッキブラシで掃除をするかの如く二人を押し出すようにアカンベェが腕を伸ばし、反撃されてしまった。
思わず二人も吹き飛ばされてしまった。
「ううっ…」
「強いな…」
流石アカンベェとでもいうべきか、一筋縄で倒せる相手ではないのは彼女達の目で見てもわかった。
「もー…こーなったら!」
「よっしゃ!うちも!」
もっと追い詰められる前に決め技を使って早く決着をつける。
そう思って二人は立ち上がり、スマイルパクトに力を込め始めた。
「んー…!!気合いだ気合いだぁぁ!!」
キュワン!
溜まり終えた力が彼女の手に集まり、彼女は気合を込めて大きく叫ぶ
「プリキュア…!」
大きなハートを手で作り、そのままその光を放とうとするが…
『ベェッ!』
「きゃぁっ!!」
そうはさせるかとアカンベェが追撃を加えてきた。
慌てて屈んで避けるも、彼女の意識は
「ハッピーシャワー!!」
まずい、すぐ近くにアカンベェが来ている。そう思って慌てて発射するも…
シュン…
「ええーっ!!?渾身の…一撃が…」
なんと、発射モーションを妨害されてしまったからか、途中で光が消えてしまったのだ。
「ハッピー!?」
「ハッハ!間抜けオニ!」
「ハッピーがあかんのなら…ウチがやらんと…!」
そうサニーは思い立ち、彼女も踏ん張って気合を込め始める。
ボワッ!
「プリキュアッ……!!」
燃えたつ炎の玉を召喚し、低く屈んで大空へとジャンプし、手を大きく引いて、スパイクの構えを取る。
「サニーファイヤー!!」
その炎の弾丸は、アカンベェの巨体を包み込んでトドメを刺した…!
ボウッ…
なんてことはなく、こちらもアカンベェに当たる前に消えてしまった。
「え…なんでや…?」
「ちゃんと力を込めてないからクル〜!!」
キャンディが慌ててそう指摘するものの、もうすでに時すでに遅しであった。
二人の必殺技は当たることなく、アカンベェにはダメージ一つ与えることもできなかった。
「そんなぁ…」
「しもた…これ撃ったらバテバテになるんやった…」
しかも、ハッピーもサニーも、今ありったけの気合いやパワーを注入したため、体に一気に疲れが襲いかかってきてしまい、互いに肩で呼吸する羽目になっていた。
キラン!
『アカン…ベェ〜!!!』
すると、チャンスは逃さないと言わんばかりにアカンベェは口から紫色の巨大なビームを吐き出した!
「きゃっ…!わぁぁぁっ!」
「わっ…おわぁぁっ!!」
「ハッピー!サニー!」
隙だらけだったところを思いっきり直撃したため、彼女達はその場に倒れてしまった。
「ぐあっ…」
「っ…いってて…」
「ハッハ!弱い奴がいくら努力したって無駄オニ!」
アカオーニがそう侮辱する。まるで、やよいのポスターを嘲笑った時のように。
その言葉がハッピーの耳に届いた時、彼女は思わず口を開いてしまった。
「無駄かどうか…」
「ん?」
「…私にはまだわかんないけど…」
彼女はボロボロになりながらもなんとか立ち上がり、アカオーニに向けて叫んだ。
「黄瀬さんの努力を馬鹿にするのは…許せない!」
(努力……努力…)
そして、その声は、バッドエンド状態となって行動不能になっていたやよいの耳にも届いていた。
そういえば、自分も誰かのため、期待してくれたみんなの為に絵を描いていたのだっけか…そう考えると、頭の中にビリッと何かが迸ったように感じた。
(努力……どりょ…く……?)
キュアハッピーがはなった言葉を思い出したことで、彼女のバッドエンドに沈められた弱気ながらも真っ直ぐな意志を呼び起こしたのだ…!
「えっ…何これ…」
「っ…!黄瀬さん!?」
そして、黄瀬やよいの目に
「えっ…その声…もしかして星空さん!?」
「うぇっ!!?うわわわそ、それは秘密なの〜!!」
「だからそんなん言うたらバレバレやろ!!」
「えぇ…?」
だが、日野あかねの時のように彼女も状況が掴めなかった。
当然といえば当然だろう。目の前に化け物とあまりにも姿が変わりすぎな友人と思わしき人たちがいるのだから。
だが、彼女はそれでも目の前にいる少女が星空みゆきだと見抜いて見せたのだ。
まあ、本人たちの様子から、おそらくやよいがわかってなくてもすぐさまボロを吐いていそうではあるが。
『アカンベェ…!』
ズシンズシン!
だが、アカンベェはその状況を理解できていない少女にまで狙いをつけたのだ。
邪魔者は排除すると言わんばかりに睨め付けながらハッピーたちから進行方向を変えてデッキブラシを振り回している。
「嘘…え…え……!?うわぁぁぁっ!!」
攻撃される。
そう素人ながら感じた彼女は思わず顔を伏せてしまう。
このまま、彼女はアカンベェの攻撃の前に押しつぶされ…
ることはなかった。
「うっ…くうっ…!」
「んっ……!!!」
何故ならば、すんでのところでハッピーとサニーが彼女を守るべく立ち上がり、攻撃を受け止めていたからだった。
「黄瀬さんには…指一本触れさせない…!」
「星空さん…?」
確かに戦う力はもうほとんど自分達には残ってない。けど、それを理由に友達が傷つけられそうだと言うのに黙って見ているほど彼女達は醜い人間ではなかった。
『アカン……!』
「「うわっ!?うわぁぁぁぁぁ!!!?」」
しかし、じゃあアカンベェに勝てるのかと言われれば話は別であり、アカンベェは邪魔だと言わんばかりに自身の武器を握ったプリキュア達を持ち上げて、二人は宙吊りの形になってしまった。
『ベェッ!!』
ベチーン!
そしてそのまま思いっきり地面に叩きつけられてしまった。
『アカンベェ!!』
「うおわぁぁぁっ!!」
『ベェッ!』
「きゃぁっ!!」
『アカーン!!』
「「きゃぁぁぁぁぁっ!」」
そして、思いっきり叩きつけられて怯んだところを狙われて、アカンベェによる何度も攻撃を許してしまった。
その攻撃に耐える体力など二人には残っておらず、ついに地面に倒れ伏してしまう。
「うへぇっ!」「ぐべっ…!」
「わっ…わううっ…」
自分のせいだ。自分がモタモタしていたから二人はこんな目に…
やよいの心は、そんなネガティブな思考に染まり、申し訳なさと恐怖が心を支配していた。
絵を否定された時のように。
「今だアカンベェ!!トドメを刺すオニ!」
『アカン!アカーンベェェェェ!!』
アカオーニの指示を受けて、再度合体した武器を振り回しながら、ズシンズシンと二人の元へと近づいていく。
「はっ…ああっ…はあっ…」
逃げないと、折角二人が庇ってくれたんだ。
逃げて誰かを呼んでこないと。
ボロボロと滝のような涙を流しながら、そう思って足を動かそうとする…が、彼女の足は思い通りに動かなかった。
(っ……なんっ…でっ!うごっ…動いて!私の足!)
何故ならば、表面では逃げたいと思っていても、彼女の真意はそうではなかったからだ。
彼女の心の底では、
思い出すのは、二人と一緒に絵を描いたかけがえのない放課後の時間。
他にもいろんな人に手伝ってもらったが、最初に自分を指名してくれて、手伝ってくれたのは本当に嬉しかったのを今でも覚えている。
絵を馬鹿にされた時も言い返してくれた。さっきのように努力を馬鹿にする言葉を許さないと言ってくれた。
だが、今彼女が取ろうとしている”逃走”という行為はその友達に対してどういう行動だろうか。
「っ……!!」
気がつけば、彼女は走り出していた。
校舎の方ではなく、倒れ伏す二人の方へと。
「2人は私の…私の大切な…!」
自分には力はない。彼女達を助ける力はない。それでも、それでも。
気がつけば、アカンベェと二人の間に彼女は立っていた。
「っ…黄瀬さん!?」
「なんだお前は…弱虫は引っ込んでろオニ」
アカオーニが馬鹿にするような目線を向けるも、彼女は
「私は泣き虫だけど…すぐ泣いちゃうけど…2人は…私が勇気を出すきっかけをくれた…大切な友達だもん…!」
怖い、今すぐ逃げたい。
そんな気持ちに蓋をして、足が震えながらも彼女は目の前の怪物に向けて啖呵を切った。
今までの自分じゃ考えられない行動をしているのは本人にも理解できた。
それでも、心に電気が迸るかのごとく流れる勇気に従って、彼女は無我夢中で叫んでいた。
「黄瀬さん…」
「やよい…」
「2人を傷つけるのだけは…」
その勇気が彼女の心を震えさせ、今までの弱気な自分を突き破り、勇気を振り絞って声を上げた。
その勇気ある心が…奇跡を起こした。
パキーン
その時、黄色のまばゆい聖なる光が彼女を包み込んだのだ。
「おわっ…!?」
「これって…!?」
キュアハッピーも、キュアサニーも、その光景に見覚えがあった。
伝説の戦士が誕生した時の、聖なる光だった。
「わあっ…!?」
驚く彼女を尻目に、戦う力が”スマイルパクト”と言うアイテムとなって現れる。
「何これ…?」
「"スマイルパクト"クル!」
ぴょこっとどこかからキャンディが現れて彼女の頭の上に乗っかった。
「キャンディ…?て、オモチャじゃなかったの!?」
「そんなことはいいクル!早くキュアデコルをスマイルパクトにセットして、"プリキュアスマイルチャージ"って叫ぶクル!」
「よくわかんないけど…やってみる!」
そう思い彼女は勇気を振り絞り、その手に持ったキュアデコルをセットし大きく叫んだ…!
『Ready…?』
「プリキュア…スマイルチャージ!!」
『GO!!』
瞬間、スマイルパクトから光が溢れ出し、一直線に天へと射出された。
『GO! GO! Let's Go Peace!!』
その光が一箇所に集中し出し。化粧用具に扱うポンポンと軽く叩いて扱う”パフ”が現れた。
それを手に取り…
PON!PON!PON!PON!
拍手をするかの如くパフをたたくと、パフから黄色いオーラが溢れ出て、手、足と光が彼女の体を包み込み…
ビリッ…!
黄色の綺麗な可愛い洋服。
羽の様な肩の装飾。
そして、大きなきいろのリボン。
そして、最後と言わんばかりに髪がポンっと大きくなって、ふわふわの大きな髪が露になる。
PON!PON!!
「ピカピカぴかりん!じゃんけんポン♪」
右手でピースを作りながらまた一人新しい伝説の戦士がまた1人名乗った…!
「キュアピース!!」
この世の笑顔を守るスマイルプリキュアの一人…キュアピースが誕生した瞬間であった。
「キュアピース可愛い〜!!」
「じゃんけんぽん…?なんやそれ…」
「3人目のプリキュアだと…?」
3人それぞれ違った反応を見せる。そして、当の本人はというと…
「これが…私…?すっごーい!本物のスーパーヒーローみたい!」
目を輝かせて興奮していた。
自分も憧れだったテレビのスーパーヒーローのようになれたのだ、興奮するなと言う方がおかしいだろう。
『アカンベェ!!』
「はっ…!っ…!」
そんなピースの前に、好きにさせるかとアカンベェが立ちはだかる。そして、グルグルと再度武器を合体させて振り回し始めたアカンベェに対し、ピースは構えを取る。
「おお……!」
「これは…」
その構えは中々に様になっている。流石ヒーロー志望といった所だろうか。
目はキリッと相手を見据え、弱きを守り強きに立ち向かう立派なヒーローたる姿をしていた。
ハッピーやサニーは、固唾を飲んで彼女の次の行動を見守る。一体どんな攻撃ができるのだろうか。そう期待しながら目を向けた時だった。
「いっ…やぁぁぁぁぁ!!!」
「「えっ…ええぇぇっ!!??」」
なんと、泣き叫びながらアカンベェがいる方向と真逆の方向にピースは走り出してしまった。
あまりに突然のことだったので二人は置いてけぼりにされてしまうが慌てて追いかける。
敵前逃亡などヒーローと名乗るには鼻で笑える所業ではあるがどこぞのハッピーも最初は逃げ出したのだ。ある意味で当然の反応といえば当然の反応だった。
ましてや普段から泣き虫のやよいにとっては、正直な話、アカンベェの前で啖呵を切った時点で既に逃げ出したがってたのだ。急に戦えだなんてハッピー以上に無理がある話だった。
「逃げちゃダメクル!プリキュアは伝説の戦士クル!」
「そんなこと言われたって…怖いんだもーん!!」
キャンディが慌てて呼び止めるも、やよいは顔を真っ赤にして泣き叫びながら足を止めることはなかった。
「追いかけるオニ!アカンベェ!」
『アカンベェ!!』
「やぁぁぁっ!!!嫌あぁぁぁっ!」
アカオーニからの指示を受けたアカンベェも走り出す。
いくらプリキュアとなって脚力が強化されているとはいえ、体の大きさによる歩幅の違いでアカンベェの方が速かった。
「あ、あかん!このままだと追いつかれんで!!」
「黄瀬さ…じゃなくてピース!待って!」
「嫌だ嫌だ怖いぃぃぃ!!きゃっ!?」
コケッ
あろうことか、ピースはその場で転んでしまった。
そして、チャンスと言わんばかりにアカンベェも立ち止まって攻撃武器を振り上げる。
「っ…!まずいで!ハッピー!!」
「あっ…!!ピース!逃げてっ!!」
「あっ…あっあっ……!」
さっきの攻撃で満身創痍ながらもなんとか立ち向かおうとする二人だったが、次の攻撃を受け止められる保証はなかった。
やよいも必死に何かしようとするが恐怖のあまり足が動かない。今にも泣き出しそうになっていた。
ピースが泣き出している今状況は絶望的……プリキュア達がここから逆転して勝つには今のままでは厳しいものがあった。
とにかく次来る攻撃を受け止めないと…
そう考えていた時だった。
ミシッ…ミシッ…
「え?なんや…?この音…?」
『ベェ…?』
「ん?どうしたオニ?アカンベェ!早くトドメを刺すオニ!」
攻撃が繰り出されるその瞬間だった。
校舎の方から嫌な音が聞こえてくるのをサニーやアカンベェは感じたようだ。
それは、まるで校舎が壊れる音のような……
ドゴォォン!!
「「「きゃぁぁぁあああっ!!!」」」
『ベェッ!?』
「クルー!!?」
「な、なんだオニ!?」
すると、校舎の壁が急に崩れ、彼女やアカンベェの真横の部分に瓦礫の山が形成される。
とんでもない音を立てて急に大穴が空いたので、思わず攻撃しようとしていたアカンベェまでその手を止めてしまった。
全員その場を振り向くと、ドでかい宝石のような物体と、何やら蠢く影があった。
「いってて…あの野郎…」
その影は、何かを呟きながら瓦礫をどかして立ち上がった。立ち上がったその青年の全貌を見ると赤いスーツに身を纏った、恐竜のようなヘルメットを被った戦士であるのが目に見えた。
この青年、彼女たちは本来なら
「だ…誰!!?」
「な、なんや…!?あ、新しい敵か!?」
「も、桃太郎さんじゃない!!誰!?こ、今度は怪獣さん!!?」
「クルー!?か、怪獣さんクル!!?」
「お前誰だオニ!?」
「えっ……えっ!?えええぇぇぇぇ!!!??なんだこの状況!!??」
そう、それは思いっきりさっき魔進鬼の攻撃で吹き飛ばされたリュウソウレッドこと赤峰桃冴だった。
全く予想していなかった存在の登場により、場は混乱に陥った。
同じとある少女のために二つ別の場所で起こっていた戦闘が、なんの縁かまるで運命の抱き合わせかの如く合流してしまったのだった。
リュウソウジャー…説明や変身も交えてるからとはいえ画面が忙しいな…おい…
キュアピースって可愛いですよねぇ…
なお、せっかくの邂逅だがドンモモは今リュウソウレッドの姿という()
ちなみに余談なのですが、曲がる弾丸に対してブンレッド姿の桃冴がこちらも曲がる弾丸で対応する戦闘シーンが存在したのですが、文字数が17000字を超えそうだったのでカットしました(おい)
Q.なんでドンモモタロウとスマプリ掛け合わせたの?
A.(その21)スマイルプリキュアの衣装には統一感があって、戦隊キャラ捩じ込むならこの戦隊かハピチャかなとなったから。
感想お待ちしています!
読者層調査です。この小説を読んでいる皆様に質問なのですが、どの作品を見た上でこの小説をお読みになっていますか?
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ドンブラもスマプリも見たことあるよ!
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ドンブラは見たことあるけどスマプリはない
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スマプリは見たことあるけどドンブラはない
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実は両方とも見たことない