ニチアサの世界に転生とは聞いていたが…! 作:よく酔うエンジン
ならばより一層わかりやすく書かないといけないですね…頑張らないと!
えーと…実を言いますと、またもややらかしまして…気がつけば17000字とか行ってたので前後編に分けますね()
オリジナル展開含めたせいでドン3話だけ異様に話数が多くなってしまってるよぉぉぉ…!
雪森さん。誤字報告ありがとうございます!
「だ…誰やあんた…」
「こ、この怪獣人間は誰オニ!!?」
いやいや待て待て待ってくれ。
何がどうなっている。俺が聞きたい。
魔進鬼の攻撃に押し出されて校舎の外に放り出され、瓦礫の山から抜け出したら…学校の外に全く予想していなかった光景が広がっていた。
見てみると、転んで泣き出しそうになっている黄色い髪の少女に、それの近くで俺の方を驚愕した表情で見つめるオレンジ色の髪の少女。そして、桃髪の少女に小さな羊のような生物、なんか赤い肌の大柄な男にピエロのような顔をした巨大な生物……ああもう!文字に表すと状況が意味不明すぎる!!
えっと…桃髪の少女って表現はしたけど…この子は確実にプリキュアの子だ。違いない。
即ち前々からずっと会いたいと思っていたプリキュアがこの場にいると言うことになる。俺はめでたく邂逅できたと言うわけだが…
(でも…今じゃないだろ……!)
確かにプリキュアには会っておきたかったけど…!
いや、そういう問題じゃない。やばい、俺の頭も情報量の多さに状況が追いついていない。目の前の敵と戦ってたらよくわからん状況に放り込まれて俺の脳は混乱を極めていた。
(え、えーと…………)
取り敢えず状況を整理しよう。
えーと、まず目の前にいるのが…キュアハッピーだ。このピンク色の可愛い見た目…間違えるわけがない。
そして、その足元にいるのはキャンディだ。このちっこいもふもふ…こっちも見間違うわけがない。
で、後ろで俺の方を舌を出しながら見てるこのデカブツ…おそらくアカンベェだ。前にも言ったプリキュア世界における毎週変わる敵キャラだ。
で、後ろにいるのは…鬼か?
なんか、鬼って言ったら真っ先に思い浮かべるような金棒持って虎柄の衣に身を包んでつのが生えた真っ赤な皮膚の大柄な男がいる。
そいで…なんだこの2人…
「な…なんや…?」
「ひっ…」
俺は地面に倒れていた黄色の髪の女の子と、オレンジ色の髪の少女に目をむける。
(キュアハッピーのようなリボンに衣装…色は違うけどほぼ一緒のフォーマット…まさかとは思うが新しいプリキュアか…?)
「な……なんや…自分ジロジロ見て…」
「な…何?こ、怖い…」
かっわいいぃぃい〜!!!
え、めちゃめちゃ可愛い!
方やオレンジ色を基調にしたボーイッシュなデザイン…!とても明るそうで快活そうな印象を受ける。こう言った子は大体人当たりが良くて同年代男子から性別関係なしに話せる事も相俟って無自覚に誰か1人恋に落としてるんだよなぁ。
んでもう片方はどこかあざと可愛い雰囲気を纏って、庇護欲を掻き立てられる。ちょっと涙目なのが…なんと言うか、下品だが男心を擽られる。両手でダブルピースとかして笑顔向けられたら心射抜かれる気がする。
そして両方とも笑顔が似合いそうな可愛らしい少女…何よりめちゃめちゃ可愛い!
俺は幼い頃から確かにスーパー戦隊や仮面ライダーといった、THEかっこいいものばかり見て育ってきた。なので、かっこいいもの系にしか興味がないように思われるかもしれない。が、別にそんなことはない。
普通に可愛い女の子とか動物には素直に可愛いって俺は言う。
それに、ヒーロー目指して努力してきたとはいえ可愛いものに対して理解がないわけではない。マスコットキャラとかぬいぐるみ系に対するセンスは姉やなおからも酷評されたことがあるくらいにはないが、人の顔面に関してはまだ理解はある。
幼い頃から美男美女まみれの特撮作品に触れて、今も美容にはある程度気を使ってるからこそ…彼女達の可愛さが素人目でもよくわかる。
プリキュアシリーズ全然見たことないけど…やはり女児向けに制作されてたヒーローな訳だしめちゃめちゃ可愛くデザインされてるのか…!くーっ!いいセンスしてるよ!多分大人が見ても可愛いって思うよこれ!
「なんや…目見えへんからわからんけど…なんかごっついやらしい目線で見られてる気がする…!」
「そ、それに全く喋らないから…こ…怖い…!ていうか…そもそも誰なの…?」
「わ…わからない…!私もあんな怪獣さん見たことないよ…!」
はっ…やばい、トリップしすぎた。2人の目線が明らかにヤバイものを見る目線だ。気のせいかもだがなんかハッピーからの目線もキツくなってきてる気がする。
とは言え、人生2周目とは言え思春期真っ盛りのこの多感な時期と体にはプリキュア達の姿は、ハッピーな時もそうだったがいささか刺激的すぎる…
まあそれは置いておいて。とりあえず一旦落ち着くとしよう。
この状況…もしかしなくてもプリキュア達とあのアカンベェ、そして赤鬼と戦っていたのだろう。とりあえず…彼女達の言葉に返しつつ、あの赤鬼に関して情報を探るか…
「お前らこそ誰だ…特にそこの赤鬼」
「オニ!?何故貴様俺の名前を知っているオニ!」
「えっ…………え?」
え?どう言うこと?
どこに名前の要素あった?俺赤鬼としか言ってな…まさか、名前も赤鬼ってこと?*1
ちょっ………とまって、もう頭の整理が追いつかん…ああもう、ただでさえ状況把握に必死だって言うのに…!
「このアカオーニ様の名前を知っているとは…中々見る目があるオニ…!だが…貴様からはプリキュア達のような浄化の力の気配を感じるオニ!」
「えっ…?そうなの…?」
「じゃあ…もしかして味方なん…?」
「もしや4人目のプリキュアオニか…?よくわからんが…やれ!アカンベェ!」
『アカンベェ!!』
「っ…!?」
必死に頭の中で色々考えていると、掃除用具のような鋭い武器を持ったアカンベェが俺に襲いかかってきた…が。
「効かん!!」
『ベェッ!!?』
今の俺はカタソウルを竜装している。
右腕のリュウソウケンで軽々と受け止めて、そのままフリーの左拳でアカンベェの腹に追撃を加える。
初めて戦ったレンガのアカンベェに比べれば柔らかいが…ダメージが通った感覚がしねえな…
「怪獣さんにアカンベェが!」
「よくわからんけど…ウチらも戦うで!」
「あっ……ううっ…」
そう言って、こちらを見ていたハッピーともう1人がこちらに加勢しようとしてくる。黄色い子は様子見だろうか…なんか半泣きになりながらタジタジしてる。
(あの女の子…なんか黄瀬さんみたいな雰囲気を感じるな。なんか泣いてるし、髪も黄色いし…というか、あの関西弁、まるで日野みたいな…)
『キラメキ…煌メキィィィ…!!』
「っ…!??」
その瞬間、俺が校舎に開けた大穴から1人…いや一匹大柄な人影が現れる。キラキラと歪な光を宿しながら、邪魔な校舎の瓦礫を弾き飛ばしながら1人のメイジが現れた!
「何?何か声が…きゃぁぁぁっ!!!?」
「っ…なんや?ってぇっ!?なんかまだもう一匹おる!!」
「また!?今度は誰!!?」
『キラキラカラァガァァァッ!!』
(っ!やっぱり追いかけてきてたか!)
そう、俺をプリキュアと邂逅させたメインの原因である魔進鬼である。俺がまだ倒れてないと思い追撃しにきたのだろう。宝石の弾丸をぷかぷかと浮かべながら周りをキョロキョロ見渡している。
「クルー!?"ヒトツ鬼"クルー!!」
『閃キ煌メキ輝キィィ!!!』
プリキュア達の近くにいたキャンディの悲鳴が響き渡る。
その悲鳴に気がついた魔進鬼が体をぐいっと曲げて、プリキュア達の方をじっと見つめ出した。まずい、一番起きてほしくない事態が発生している。人知れずこの世の異物であるヒトツ鬼を退治しようとしてたのに…思いっきり面と向かって出会わせてしまった。
「ひ…”ヒトツ鬼”?なんやそれ…?」
「”ヒトツ鬼”はバッドエンド王国が操っている悪い魔物クル!キャンディの世界もヒトツ鬼のせいで…!」
「よくわからんけど…つまり敵ってことやな…!」
「うん、私もよくわかんないけど…さっきの怪獣さんが飛び出てきた穴から出てきたし、あの怪獣さんはこの魔物と戦ってたんだと思う!」
『キラァ…カラァ……!!』
「どのみち、戦うしかなさそうやで…!」
何…今なんて言った…?
嘘だろ!?元からキャンディやプリキュア陣営はヒトツ鬼の存在を把握していたのか!?もしや…俺が想像していたよりもずっとヒトツ鬼は既にこの世界に影響を与えていたっていうのか!?
「あっ……あっ……あああっ……!」
『ギラァァァッ…!!』
そして、俺の驚愕など知ったことかと魔進鬼とプリキュア達が戦闘が始まろうとしている。
1対3…いや、後ろで黄色い髪のプリキュアも悲鳴をあげて座り込んだまま今にも泣き出しそうな顔で後退りしているし、1対2か。数的に有利だし、元々魔進鬼を俺がかなり消耗させてるし、プリキュアは身体能力が高いから負けることはない…と思ったが、色々とまずい気がする。
まず一つ、あの戦いは思いっきり確実に本来の彼女達には存在しなかったであろう戦いである。この世界に本来ならば存在し得なかったヒトツ鬼との戦いな訳だし。それ即ち…この戦いの勃発により本来あるべき未来の姿から、バタフライエフェクトで未来が悪い方向へと変わっていく恐れがある。
それに、かろうじて残り二人のプリキュアはファイティングポーズをとっているが…あの二人、肩で息をしている。それにやけに黄色い髪のプリキュアよりも服が汚れている…相当のダメージが体に蓄積しているのは来たばかりの俺にもすぐわかった。あの黄色の髪の女の子が戦力として期待できなさそうな今、魔進鬼相手にも負けておかしくない。
こんな状況下…未来のためにも、彼女達のためにも、戦わせるのは色々まずい……!!
そう思って俺は彼女達の元へと駆け出そうとするのだが…
『アカーンベェ!!』
「うおっ…この野郎……!!」
アカンベェが俺の行手を阻むため、思ったように動けなかった。やけに体とパワーがでかいので、こいつの相手をせずにプリキュア達の元に駆けつけるのはおそらく不可能だ。
「良いところに来たオニ!ヒトツ鬼!プリキュアごとまとめてやっちまうオニ!」
『ギグッ…』
そして、俺の願望とは逆に赤鬼が魔進鬼に向けてプリキュア達に向けて攻撃命令を出す。
その言葉を聞いた瞬間、ヒトツ鬼がビクッと体を揺らして宝石が不気味な光を灯し始める。
キラーン!カラーン!
「っ…!何!?」
『ガァァァッ!!!』
「っ…!来るで!!」
そして、光り輝いた宝石達は魔進鬼の雄叫びと共にまるで蛇の様にグネグネと曲がりながらハッピー達の元へと発射される。
さっきから俺を苦しめてきた魔法による宝石の弾丸である。
「っ…!!多すぎっ…!きゃぁっ!!」
「なんやコレ!ぐっ…うわぁぁっ!!」
ドドドドド!!!
「ハッピー!!サニー!!」
1.2個は叩き落として迎撃できた様ではあるが、流石に変幻自在に動き回る宝石…しかもあの量を全部捌き切る事はできなかった様であり、何発か被弾してしまい、2人とも地面に倒れ伏してしまう。
残りは、後ろの方であたふたしていた黄色の髪の子だけだ。
弾速は遅いが、俺でさえ全弾命中したら膝をつくレベルの威力…しかも、疲弊している体に被弾したのだからダメージが相当蓄積してしまっている様に見える。
さっきの状況整理の時に彼女達の姿を見た際、やけに服が汚れてたり顔が疲れていたので、俺が現れる前の戦闘で疲弊しているのは素人目でも丸わかりだった。その体にあの宝石による攻撃…泣き面に蜂もいいところだ。
後ろにいる黄色の髪の少女はかろうじて無事だが…さらに泣き出しそうになっている。
何してるんだ…?なんであの子だけ戦わないんだ!?仲間の危機だろう!?なんですっと泣いて…あ、後方支援系とかそういう奴か…?いや、というよりあれは…
(まさかとは思うが…プリキュアに初めて変身してまだ勇気が出ないとかそういうパターンか…!?)
何年もヒーローものを見てきた経験による俺の直感が、彼女の様子を見て感づかせてくれた。
あのタジタジした様子に、戦いたくても戦えない…と言った様子だ。間違いない。プリキュアだって女の子だ…いきなり戦うのも難しい話だろう。ライダーや戦隊でさえはじめは戦うことを躊躇う人もいるくらいだし…
ならば、今すぐあの子の元に行かないと…あのままじゃやられる!!
『アカンベェ!!』
「ぐうっ…こいつ!邪魔しやがって…!」
さっさと加勢しに行きたいと言うのに…目の前のこのアカンベェがあまりにも邪魔だ。
取り敢えず、一旦コイツをどうにかしないといけない。しかし、このままカタソウルってなるとどうしても持久戦になって時間がかかるだろう…ここは…
バキーン!
俺は一度自分のカタソウルによる竜装を解除し、新しいリュウソウルを取り出して、から、"ナイトモード"へと変形させる。
そして、カタソウルの時と同じ様にリュウソウケンの口を開け、そのソウルをそのままセットする。
『ツヨソウル!!』
バキバキとレバーを操作して、2回ソウルを噛み付かせる。すると今度はソウルに込められた怒りのパワーが剣に伝わってくる。
『リュウ!』
『ソウ!』
『そう!』
『そう!この感じ!!』
合いの手と共にレバーを操作し、十分なパワーを引き出し終えると、その溢れ出たパワーが俺の右腕のアバターへと伝わり、金色の鎧と白い顎が目立つ怒る巨竜の顔の様な鎧が竜装された。
『ツヨソウル!!』
コイツは"ツヨソウル"。身体能力や攻撃力を底上げする先程のカタソウルとは違って攻めは最大の防御と言わんばかりに勇猛果敢に攻め込むのに打ってつけなリュウソウルだ。
「さあて…派手にいくぞ!!」
『ベェェッ!!』
俺は、目の前のアカンベェに向けて、リュウソウケンを構えて走り出した。
***
「ぐっ…ううっ…」
「うっ、立てへん…!はぁっ、はぁっ…」
(星空さん…!日野さん…!)
黄瀬やよいことキュアピースは、目の前に広がる光景に対し申し訳なさと自己嫌悪の気持ちが溢れてくる。
大切な友達を守ると決めたのに、結局怖くて、泣いてしまって、戦えなくて。
こうして、目の前にいる化け物の好きなようにさせて、結局さっきと変わらず、自分は友達を守るどころか恐怖のあまり叩くことすらできず、友達が傷ついて倒れ伏すのをみていることしかできなかった。
「ハッハッハ!お前らは後で纏めて始末してやるオニ!まずは泣き虫のお前からオニ!」
「っ……あっ……!」
『ギギッ…ヒラメキング……!!』
キラーン
「ひっ……いやっ……!!」
アカオーニと自称した赤鬼が、棍棒を自分に向けて目の前のヒトツ鬼に指示を出す.
それと同時に、目の前の化け物は自身の体についていた宝石を外して、鋭利な刃物へと変えてのそのそとこちらに向けて歩いてくる。あの刃物が自分の体に当たって仕舞えば…そう考えるだけで体の震えが止まらなかった。
「ピース!まずいクル!戦うクル!」
「っ…戦わなきゃ…戦わなきゃなのにっ…!」
『オマエノ絵ノセイデ…僕ハ…!!』
「ひっ…!いやああっ…!!」
キャンディの言葉を受けて、友達の危機を目の前にしてなんとか立ち上がるものの、完全に腰がひけてしまっている。
元々、彼女は平和な生活を今まで営んできた女子中学生だ。いくら友達が危ないからと言って、戦えと言われたって、はいそうですかと急に戦えるかといえば無理な話であり、むしろ彼女の恐怖に染まった反応が正常な反応と言っても過言ではなかった。
加えて、彼女の恐怖心をさらに掻き立てるものが一つあった。
(化け物…
彼女は、一度
本人は夢だと言い聞かせていたが…星空みゆきの言葉を受けて、その夢と同じような空気に包まれて、そしてまた目の前に
『ギィィ…アッ…!』
「ピース…!逃げて…!」
「ピース!!」
その化け物は、彼女が殺されかけた…彼女を殺そうとした悍ましい化け物にそっくりだったのだ。
上半身は全く違うが、下半身やその化け物が持つ悍ましい雰囲気…何もかもが同じだったのだ。
そんな存在を前にして…平静でいられるだろうか。答えはNOだ。
『殺ス……コロコロコロキラキラキラキラ…!!』
「あっ…いっ、嫌っ…!!」
気がつけば、
『ダァァァッ!!』
「いやあぁぁぁぁぁっ!!!」
無論戦うことなどできず、彼女は思わずしゃがみ込む。
彼女の悲鳴が学校中に響き渡り、彼女は思わず昔のように助けを呼んだ。
今度は言葉にして。
「
小さく呟くが、そんな命乞いなど目の前の欲望を貪り食い尽くす化け物に聞く耳など無い。
無慈悲にも、なんの躊躇いもなく、殺意や暴走した欲望に汚れ切った光を放つ宝石のナイフが、彼女の泣き叫ぶ姿をまるでこれから切り刻む獲物だと言わんばかりに映し出す。
『死ネェェェ!!!!』
そして、例え変身していたとしても少女の命ひとつ刈り取るのに十分鋭利な刃物が、一直線に振り下ろされた……!!
キィン!
が、その攻撃が少女に届くことはなかった。
「…………………え?」
涙に溢れた目を開けて、しゃがみ込んだ姿勢から空を見上げると、一人の真っ赤な衣装に身をつつんだ戦士が彼女の前に立ち、ヒトツ鬼の攻撃を受け止めていた。
「
「……!」
「
『グギィッ!!?』
目の前の怪獣…いや、騎士竜の力を宿す戦士の装束を身に纏った青年は、そのまま目の前の怪物に対して横一文字斬りを叩き込んだ。その斬撃は、まるで怪獣が爪で切り裂いたかのようなエフェクトを纏って、その化け物の腹を切り裂き大きく吹き飛ばした。
「わ〜!!すごいクル!怪獣さんありがとうクル!!」
「礼はいらん…それよりもあいつらを!」
「クル!そうクル!ハッピー!!サニー!!」
「ううっ…」
ハッピーやサニーの方を指差してキャンディに指示を出す赤い戦士に、彼女は思わず目が離せなくなっていた。
(今の……今のって……!)
彼女は、今の言葉を受けて、あることが頭の中に思い浮かんだ。
それは、数年前に起きた夢のような出来事。
とっても不思議で、とってもロマンチックな出来事だったから、ずっと夢だと思い込んできた、かけがえのない大切な記憶。
暇があったら思い出したり、絵に描いたりしていた。
初めてできた異性の友達と共に太陽マンショーを見るために歩いていたとある朝。
気がつけば自分はおどろおどろしい不気味な…今自分がいるこの空間に似たような空気に包まれた七色ヶ丘の町にて、彼女は不思議な経験をした。
ふと気がついた時に、彼女はサメの皮を被り、象の牙が胸から生えた悍ましい化け物に襲われそうになった。先ほども言った、彼女を殺しかけた悍ましい化け物だ。
あの時は夢だと信じていたが、夢だと思ってもあまりにも恐ろしく悍ましくて。
溢れ出る殺気や自分を傷つけようとする意思を初めて体感し、夢だと言い聞かせても自分は殺されてしまうのかも知れないと本能が感じて。
今でも思い出すだけで体が震える。
怖かった。でも逃げ出せなかった。
そんな自分は、気がつけば”ヒーロー”を呼んでいた。
ヒーローなんているはずないのに。テレビの中にしかいない、空想上の存在でしかないのに。
夢の中だから、誰もいるはずなんていないのに。
『力の無い女の子に手を出すとは…言語道断!』
でも、彼が来てくれた。
真っ赤な装束に丁髷に、黄色い刀。何も知らない人が見れば変質者に見えるかも知れないその姿。
今でも鮮明に思い出せる。
あの化け物のことを思い出してもヒーローのあの背中を思い出せば震えなんて直ぐに止まった。
あの時の彼の背中は、
何よりも勇ましくて
何よりも安心できて
何よりも頼りになって
『その身を持って償いな!!』
何よりもかっこよかった。
そんな彼女が憧れたヒーローの背中が。彼女がまた会いたいと願ったその姿が。
(今の言葉……嘘、もしかして……!)
「大丈夫か?」
「あっ…!あっ……!!!」
その勇ましくもどこか聞くと安心感を覚えるその言葉。さっきは恐怖と驚愕のあまり思い出せなかったが…彼女の心は、半ば確信のようなものに変わった。この目の前にいる戦士は…あの時、自分を守ってくれた…!
『グッ…ギイッ…』
「運のいいやつオニ…ならば次は2人がかりオニ!アカンベェ!立ち上がってそのまま一緒にやっつけるオニ!」
『殺ス…絵ガ下手ナ…凡人ハ…殺スゥ…!!』
『アカンベェ……!』
「っ…二対一か…!アイツ…焦りすぎてうまいこと攻撃が通ってなかったか…!」
目の前の戦士に釘付けになっていると、アカンベェがこちらに合流し、今度は魔進鬼と一緒にのっそのっそと武器を構えながら歩いてくる。
アカンベェの方を見てみれば、腹に大きな傷を負っている。きっと、目の前の赤い戦士が斬りつけてこの場に駆けつけてくれたのだろう。それでも、まだ動けるようで、ヒトツ鬼と共にのそのそとこちらに向けて歩いてくる。
「下がれ!俺の後ろにいろ!」
「っ…!」
しかし、下がれと指示する戦士の心とは裏腹に、彼女はあることを思っていた。
(私も……
彼女の心からは、恐怖という感情など抜け落ちていた。
むしろ、何もせず動けなかった自分への怒りや、大切な友達を傷つけられた怒りに燃えていた。
さっきは恐怖がフラッシュバックしていたが…
大切なものを守るためにも
大切なものを傷つけさせないためにも
自分を守ってくれたヒーローさんと同じように。
そう思いながら彼女が涙を振り払った時、彼女の心から溢れ出た勇気が全身の筋肉に電気を流して動けと命令し、気がつけば彼女は赤い戦士よりも前に立っていた。
「……なっ、おい!?」
「ピース…?」
戦士が静止の声をあげ、キャンディが困惑の声を上げるが、お構いなしに彼女は先ほどと違って勇ましい顔つきと足取りで、二人の怪物の前に立つ。
「泣いてなんか……いられないもん!!」
「……!」
そうだ。私が憧れたヒーローは。みんなの笑顔を守るスーパーヒーローだ。今の自分はそんなヒーローとは程遠い。
今また助けられたことで、はっきりと思い出したし、勇気も湧いて出てきた。
こんなところで泣いてなんていられない。確かに怖い、今すぐに逃げたい。けど、大切な友達を傷つけられて泣き喚くだけなんて…そんなままでいいわけない!!
さっき、あの時と同じように戦士に守られたことで、再度ヒーローを目の当たりにしたことで改めて触発された彼女は、改めて怪物二人に向き直る。
「私も…ヒーローさんみたいに…戦う!!」
ビリリッ
「ん…?なんだ…?」
その強い心に、スマイルパクトが呼応して彼女の周りに力強い黄色の雷がほと走り始めた…!
「私も…ヒーローさんみたいな…みんなを…守れる…!」
ビリィィィィィ…!
そして、瘴気の中一つの雷鳴が迸る!
「ヒーローになるんだぁぁ!!」
ビリィィィィィ…!
『アガカガガガガガ!!!?』
『ギラギラァァァッ!!!?』
なんと、彼女の叫びに反応して、凄まじい落雷がアカオーニが使役する化け物二体に向けて襲いかかったのだ。予想外の一撃にあっという間に感電して二体とも筋肉が萎縮してしまい、地面へ膝をついてしまった。
「な…何が起こったオニ…!?」
「これは…!こんな力があるのか…!?」
「すごいクル!!ピース!かっこいいクル!!」
アカオーニは、思わず口を大きく開けて驚愕する。
一番弱いと思っていた少女の声と共に、いつの間にか自分の仲間がまとめて膝をついたのだ。
元々普段の言動からわかるが頭より筋肉タイプでそんなに賢いとはいえないアカオーニの頭は困惑の一言に染まっていた。
「キュアピースの浄化の力は…雷クル!」
「かみなり…?」
自分が今無意識で放った力に彼女も驚きを隠せない。
キュアハッピーが光を放つように。キュアサニーが炎を纏うように。
キュアピースにも、雷を繰り出す能力が備わっていたのだ。
そして、今回の場合奮い立った彼女の心に呼応して、本来の威力とは数倍あると言っても過言ではない凄まじい電圧の雷撃が怪物二人に襲いかかったのである。
二体とも感電して動けなくなり隙だらけ…こうなればやることはひとつだ。
「スマイルパクトに気合を込めるクル!」
「えっと…これのこと?」
言われるがまま腰のポーチから、先ほど変身に使ったスマイルパクトを取り出し、キャンディに見せる。するとキャンディは頷いて指示を出した。
「思いっきり力を込めて、アカンベェたちを浄化するクル!」
「…成程、必殺技ってやつか」
「違うクル!キメ技クル!!」
「よーし!あ!だったら!」
赤い戦士がそういうものの、キャンディは否定する。
彼女の好きな特撮でも最後は必殺技で締めるのはお決まりの展開だ。そう思い、彼女はスマイルパクトを突き出して、横にいる赤い戦士に声をかける。
戦士が二人いるのならば…同時必殺技で決めてこそ!
そう彼女は思ったのだった。
「ヒーローさん!一緒に!」
「…!成程な!いいだろう!派手な祭りと行こうか!」
「うん!いっくよー!はあぁぁぁ…!」
赤い戦士もどうやら同じ意見のようである。無論二人は知らないが、中身の趣味は互いに似通っているのでこういう時にやりたいことは共通していた。
そして、彼女がまるで正拳突きの様な構えをしてスマイルパクトと呼ばれた化粧用具の様なアイテムを前に突き出すと、黄色いオーラが集まり出した!
「わっ…!」
「そのままクル!」
力を吸い取られる感覚がして驚くが、キャンディの指示通りにその行動をそのまま続けて気合いを込め続ける。
赤い戦士は、リュウソウレッドの姿のままザングラソードを取り出して、ドンブラスターの上部にあるボタンの上にザングラソードの鍔の部分を押し付ける。
『パァァァリィィィタァァイム!』
ブブブブブーン!
『リュウソウジャー!』
やかましい音が鳴り響き、鍔の部分へとドンブラスター越しにデータを受け取ったザングラソードが真っ赤に光り出す。そして、アバターに宿った騎士竜のソウルが刀に宿り溢れ出す…!
「騎士竜一桃…!」
すると、リュウソウレッドの相棒騎士竜である"ティラミーゴ"がオーラとなって背後に現れ、光が溢れ出るザングラソードにそのオーラがまとわりつく。そして剣は巨大な顎を模したような大剣へと変化した!
そして、横にいたピースも十分気合いを貯め終えて、天高くピースサインを作った指を掲げて雷を呼ぶ…!
ビリッ!
「プリキュア!うわぁぁっ!」
そして、自分の力の大きさに驚いた様で、若干涙目になってしまうが、そのままクルクルと回り出して手をピースにしながらその力を前方へと放出する。
それと同時に、横にいた赤き戦士も掲げた大剣を縦に振り抜いた…!
そして、そのまま二つの浄化の一撃が空を切り裂いた…!
「リュウソウ斬!!」
「ピースサンダー!!」
方や巨大なティラミーゴの顎を模したオーラが、勇猛果敢に真っ赤なオーラ状の牙となってヒトツ鬼へ!
方や両手にピースで作り出した雷撃が真っ直ぐ凄まじいスピードで迸りながらアカンベェへと迫る!
『ウッ…芸術モ最期モ…爆裂ダァァァッ!!』
『アカンベェ…///』
ボガーン!!
二つの浄化の光によって2人の怪物の肉体は跡形もなくなり、各々のドロップアイテムを残して浄化が完了したのだった。
「やったクルー!!」
「ぐうっ…プリキュア…そして怪獣人間…!次は容赦しないオニ!!」
キャンディが喜ぶ一方で、アカンベェと魔進鬼を操っていたと思われる赤鬼はどこかへと消えてしまったのだった。
***
「はぁっ…はぁっ…」
「すごい…!すごーい!!ピース!すごいよ!」
「ウチら最後の方ほぼ何もできんかったな…めちゃめちゃかっこよかったで!」
「かっこよかったクル〜!!」
「えへへ…」
敵2体を何とか退治し、一件落着である。で、今なんとか立ち上がったハッピーたちが今必殺技を出してアカンベェを撃破したピースを労ってる。
いやー…完全に予想外だったけど…俺もなんか同時必殺技っぽいことできて満足…って、なんか、俺が助けたあとあのピースって子、なんか別人みたいになってたけど…もしかして、俺のせい…なのか?まあ、一先ずそれは置いておいて…
(よし…トドメ刺していい感じになってる内に…お先に失礼するか。ちょっと今は情報の整理がしたい…)
前まではプリキュアと戦闘が終わったら接触する気満々だったが…人数が増えたりよくわからん新しい赤鬼みたいな敵もいたり、プリキュアの能力の一端が知れたりとかでぶっちゃけ情報過多なので一旦帰らせてもらおう。そう思ってそそくさとその場から離れようとした時だった。
「待って!怪獣さん!!」
「っ……!」
いや…やっぱ呼び止められるよな…クソッタレ。
後ろからハッピーの声が聞こえた。思わず反射で止まってしまったが…このまま無視してワープドアで帰ればよかった。
「ごめんなさい…引き留めて…でも、色々話したいことがあるの…!」
「自分、一体誰なんや…?桃太郎みたいなヒーローがおるんは聞いてたんやが…その見た目…ハッピーの言う桃太郎さんじゃないんやろ?」
「助けてくれて本当にありがとう!でも、あなたが誰なのか知りたいの…」
「…………………」
さて、どうするべきか…
前々から保留とは言っていたが…こうなった以上決断せねばなるまい。
アカオーニさん、ドンモモタロウの存在を知ることができずに一旦退場…まあ、ここで桃太郎云々やってると収拾つかないしね!うん!
こういった昔助けてくれたヒーローが…!的な展開、ずっと書いてみたかったのでこうしてみました。
みゆきとあかねがほぼ空気になっちゃってたけど…許してください(泣)
やばい…可愛い枠のはずなのに、ピースがめちゃくちゃかっこよく見える…気がする。うん。
さて……次回、どうなる…!?
Q.なんでドンモモタロウとスマプリ掛け合わせたの?
A.(その21)単純に構想を練る当時にまともに作者がある程度知っていたのがスマプリしかなったから。
感想お待ちしています!
読者層調査です。この小説を読んでいる皆様に質問なのですが、どの作品を見た上でこの小説をお読みになっていますか?
-
ドンブラもスマプリも見たことあるよ!
-
ドンブラは見たことあるけどスマプリはない
-
スマプリは見たことあるけどドンブラはない
-
実は両方とも見たことない