ニチアサの世界に転生とは聞いていたが…!   作:よく酔うエンジン

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やっと…やっと書けた…お待たせしてすみませんでした。

お気に入り登録者1300人突破ありがとうございます!

雪森さん。誤字報告ありがとうございます!


巨人大戦争

 

『爆裂ゥゥゥ!!爆裂ゥゥゥ!!』

 

 

 周囲にある建物を破壊しながら、ジェット機のような青い大剣を構えてのしのしとその巨体を揺らして魔進鬼ングがこちらに突っ込んできた。

 

 

「よっしゃ!正々堂々剣で戦おうぜ!」

 

 

 俺はコックピット内部で扇子を取り出して、ドンゼンカイオーの右手に着装された"アバターソード"とリンクさせて、ソードを構える。

 このドンゼンカイオーは、基本的に俺の思念で歩行したりするが、コックピット内にいる俺のモーションをトレースすることによって動かすこともできるのだ。

 

 

バチィン!

 

 

 互いの青い剣同士がぶつかり火花が散る。ドンゼンカイオーのアバターソードとリンクした扇子越しにその衝撃が伝わってくる。なるほど、巨大化しただけあってなかなかにいいパワーをしている。

 

 

「そいよっと!」

 

『ウッ!グゥゥ!!』

 

「俺の方が一枚上手の様だな!」

 

 

 しかし、逆に言えばパワーだけしか取り柄がないな。剣の振り方に関して言えば素人そのものだ。まだ前に戦った動物鬼の方がマシだ。

 

 欲望に支配され感情そのままに武器を振り回しているだけなのだろう。防ぐのは実に容易い。ならば、こちらは的確に攻撃を防いでその攻撃の後隙を狙った突き攻撃を主体に着実にダメージを与えていく。

 奴も青いジェット機の様な剣で応戦しようとするが、奴の剣は巨大だ。俺の腕についたアバターソードよりもでかい。なので、取り回しにくいのだろう。俺の攻撃を剣で上手いこと捌けず、次々と体に傷をつけていく。

 

 すると、急に魔進鬼ングが後退し、体を煌めかせ始めた。

 

 

『ウッ…ゥァァァ!!』

 

キラーン!カラーン!

 

「おっと危ない!!」

 

 

 歪に宝石が輝き出したかと思えば、俺に向けて何個もの宝石の弾丸が飛んできた。俺は剣を納めて慌てて脚部のスラスターを吹かせて後方へと加速。左手に備えられた盾で防ぎながら再度後方のビルの上に立つ。

 

 

「いいぜ!今度は射撃戦と行こうか!!」

 

『ァァァァァァァ!!』

 

キラーン!カラーン!

 

「よいしょっ!!」

 

 

 俺は脚部のバーニアに火を入れて、ビル間を高速で飛び回りながら相手の弾丸を回避する。さっきまでと同じように変幻自在な軌道をしているが、ドンゼンカイオーのスピードの前では無力である。

 

 

「今度はこっちの番だ!」

 

 

 攻撃を一通り回避し終えると、ドンゼンカイオーを空高くあげて、右肩についた"ドンブラザーズギア"を、"エンヤライドン"が変形して、現在は右足を構成している後輪部分へと取り付け、回転させる。

 

 

「ドンレッグバスター!!!」

 

ズドドドド!!

 

 

 すると、無数の弾丸の雨がエンヤライドンではマフラーとなっていた部分から飛び出る。奴の弾丸のように変幻自在に曲がるなんて事はないが、その威力と勢いは射撃戦を行うには申し分ない。

 

 

『ァァァァガァッ!』

 

 

 さっきまでの攻撃で装甲になっていた宝石を使っていたこともあって、奴を守る鎧は薄くなっていた。その為、レッグバスターの弾丸の雨が気持ちいい程よく通る。

 

 そのまま、全弾奴の体に着弾し、奴は膝をついてしまった。手に持っていた青いジェット機のような剣を思わず落としていたので、見る限り相当ダメージが蓄積している。

 

 

「射撃勝負は俺の勝ちだな!」

 

 

 俺はバーニアを吹かせながら地面へと着地し、奴の前に改めて向き直った。コイツ、俺が思った通りに動いてくれる…ぶっつけ本番で初陣だったのでちゃんと戦えるが少し不安だったが、割と何とかなるもんだ。

 

 このままトドメ…と思ったが、奴は落とした剣を拾って立ち上がり、俺の方を睨みつけてくる。目には闘志や怒りを感じ、ダメージがデカかろうとまだまだやる気の様である。

 

 

「いいぜ!乗ってやろうじゃないか!まだまだいくぞ!」

 

 

 もう一押しすればトドメを刺せるだろう。そう思いながら、ドンブラザーズギアを肩に戻して、盾を前面に構えながら再度奴に向けて突進した。

 

 

***

 

 一方その頃、地上では…

 

 

「わー!すごい!あれなら、あんな大きいヒトツ鬼ングに勝てそうだよ!」

 

「ウチらもう応援しかできひんな…と、とにかく頑張れ!桃太郎さん!!」

 

「頑張るクルー!!桃太郎さーん!」

 

 

 空を見上げて、2人の巨人の激闘を観戦し、ひたすら声を上げて応援しているプリキュア達がいた。

 

 

「わあわあ!!すごい!すごいよ!!すごいすごい!!!本当の!本物のスーパーロボットだぁっ!あっ、あんなところから射撃武器が!!バイクの機構をうまく活かしてる…!すっごーい!!」

 

「ピースむっちゃ興奮しとるな」

 

「それはそうだよ!だって私ロボットアニメ大好きだもん!!」

 

 

 そう、やよいは特撮ヒーローものだけではなくロボットアニメも毎週欠かさず見るファンであった。大好きなヒーローが巨大ロボットに乗って戦うなんて彼女からしたら卒倒案件であり、興奮が止まらなかった。

 

 

「わー!すごい!恐竜の口がパカっと割れて、バイクと合体だなんて斬新!しかも合体方式が珍しい半身同士構成!なのによくデザインがまとまってる!それに、半身同士微妙に色が違うしデザインも大きく違うからちゃんと合体ロボだってわかる!色が真っ赤だから赤の戦士のヒーローさんのロボットってすぐに気づけるし。で、恐竜モチーフなのにデザインは近未来!サイバーチックなビームサーベルとビームシールドみたいな武器を標準装備なんて…それに、目もバイザー形式だからロボアニメ見慣れてる人なら一発で正義サイドのロボットだってわかっちゃう!というか、あの半身を構成してる恐竜さん、頭みたいなパーツがあったけどもしかして単独で人型形態になれたりするのかな?というか、もしかして半身同士合体できるなら同じ規格のパーツがあれば別の合体もあったりするのかな?わー!すごいすごい!!あ、また空飛んだ!!バイクモチーフで空まで飛べちゃうなんて!一体何馬力あるんだろう!」

 

「あ、あかん…ピースがもうウチらじゃついていけん領域に行ってもうてる…」

 

「変身前よりずっと早口…!というか長い…!」

 

「クル…?何言ってるかわからないクル…」

 

 

 ピースは完全に目の前の状況にトリップしてしまい、他のメンバーは完全に置いてけぼりになってしまっていた。

 

 興奮して彼女達目線理解不能の領域に旅立ってしまったピースは一旦置いといて、空を見上げてみると、再度勇猛果敢に接近戦を仕掛けるドンゼンカイオーの姿があった。魔進鬼ングも負けじと宝石の弾丸を射出し続けてドンゼンカイオーの足を止めようとしているが、止まらずそのまま魔進鬼ングに向けて突っ込んでいた。

 埒が明かないと思ったのか、魔進鬼ングは急に宝石の弾丸を撃たなくなり、別のものを操作し始めた。

 

 

『ァァァァガァッ!』

 

「あっ!建物が!」

 

 

 なんと、上空の脳人レイヤーに存在する建物を操作し始めて、ドンゼンカイオーとの間にまるで壁になるように移動させたのだ。その数は多く、何枚もの壁が二体の巨人の前に現れる。

 普通ならば、建物を傷つける訳にはいかないドンゼンカイオーが不利になる良い策であった。壁に隠れながら宝石の弾丸を撃ち続けるだけで、ドンゼンカイオーは手出し出来ずに一方的にダメージを与えられていくことになってしまう…のだが。

 

 

「壁に隠れたって無駄だぜ!!」

 

 

 なんと、ドンゼンカイオーは意図も介さずバーニアを全開にして建物を突き破って破壊しながら最短で距離を詰めた。

 

 

『ィィギィッ!!?』

 

「とりゃぁ!!」

 

ドォン!!

 

 

 流石に壁を突き破ってくると思ってなかった魔進鬼ングは驚愕のあまり動けず、思いっきりドンゼンカイオーの体当たりを喰らってしまい、大きく吹き飛ばされて倒れてしまった。

 

 

「わーっ!!馬鹿!なにやっとるんや!あんなぶっ壊しながら進んでもうたら、こっちの町の建物も…って、あれ?」

 

 

 頭を掻き回しながらサニーが街を見ると、どこにも壊れたような部分は見当たらない。強いていうとすれば、さっきから魔進鬼ングが壊した部分しか破壊されていないのだ。

 

 

「あれ?あんな建物ガンガンぶっ壊しとったのに、どこも…」

 

「きっと、桃太郎さんのあのロボットが壊しても街には何も起きないクル!」

 

「ええっ!?そんな便利なことあるん!?」

 

「浄化の力のお陰クル!」

 

「いや、もうそれ浄化の力云々を通り越してすごいパワーな気がすんけど…まあええか、壊れてないんやし」

 

「つ、ツッコミ放棄しちゃった…!」

 

 

 サニーは深く考えるのをやめた。しかし、サニーの指摘する通り、ドンゼンカイオーが破壊した建物へのダメージが現実世界の建物にフィードバックされておらず、被害はヒトツ鬼ングのもののみであった。これは原作ドンブラザーズでも同じであり、彼がド派手に建物を壊しながら突き進めたのも自分が壊しても被害が出ない事を知っていたからである。無論、彼女達がそんなこと知る由もないが。

 

 

『………ァッ』

 

 

 何はともあれ、魔進鬼ングは大きな衝撃を受けたことで、今まで蓄積していたダメージも相まって立ち上がれなくなっていた。

 

 

「よし!トドメだ!」

 

 

 ドンモモタロウがそう叫ぶと、肩に戻した巨大なドンブラザーズギア回転し、ドンゼンカイオーが天に向けてアバターソードを構えると、剣にまるで雷撃のようにオーラが集まり出した。それと同時に背後に()()()()()()()()()()()()が出現する。

 

 

「ドン・ゼンカイクラッシュ!!!」

 

 

 黄金に輝く浄化のエネルギーが集まったアバターソードを掲げて空に飛び上がり金色のドンブラザーズギアを背にオーラを真っ二つに切ると、その瞬間、赤い巨大なドンブラザーズギアが魔進鬼ングに向けて飛んでいった。

 

 

『ギィィィィィィ!』

 

「これで終わりだぁぁっ!!」

 

 

 ドンブラザーズギアが丸鋸のように回転して奴の装甲をこじ開けたところにフルスロットルで突っ込み、アバターソードで切り裂く。すると、魔進鬼ングの装甲内部の皮膚にその刃が突き刺さり、浄化のエネルギーが奴の体に溢れ出す!

 

 

『結局…イツデモ最後ハ爆裂ゥ!!』

 

ボガァァァン!

 

 

 浄化の力を受けてド派手な爆発が起こり、悪しき感情や力が抜け落ちていく。奴を形成していた紫色の強い欲望の炎は完全に消えて、浄化の光が町中を包み込んだ。 

 

 

「わぁっ!!やったぁぁっ!!」

 

「よっしゃ!ナイスや!」

 

「いーっやったぁぁぁ!!!」

 

「かっこいいクルー!!」

 

 

 地上で少女達の喜ぶ声が聞こえると、空に浮かんでいた脳人レイヤーに似た街が、主人を失ったことで、まるでデータの消去かの如く粒子となって消えていく。それと同時に、空を覆っていた赤黒い悍ましい空も晴れて、破壊された学校も元通りになり、街が俺たちの知る景色へと戻って行った。

 

 

「ハーッハッハ!!あ大勝利ぃ!!」

 

 

 コクピット内のドンモモタロウは扇子で仰ぎながら、ドンゼンカイオーの初陣の勝利を讃えるのだった。

 

 

***

 

 

「…8、9、10…よし。反省文十枚、確かにあるな」

 

「ハイ…」

 

 

 そして、戦いも終わって翌日…俺は職員室に来ていた。

 

 で、俺の所属する部活の顧問でもあり、生活指導部の教師でもある高林先生の机の前で立っていた。

 

 

「にしても…お前が暴力沙汰を起こしたって聞いた時は本当に驚いたぞ?」

 

「いや…ハイ、すみませんでした本当に」

 

 

 なぜこの場にいるのか。というのも、思い出して欲しいのだが、いくら向こうが先に殴ってきて、ヒトツ鬼騒動云々があったとはいえ、俺は曲がりなりにも蘇我先輩と殴り合ってしまった、暴力事件の当事者である。数多くの生徒に見られていたので当然指導部の先生に呼び出されてお説教された。

 

 てなわけで、反省文を書いてくるよう指示されたので、こうして書き上げた原稿用紙を提出しにきた次第である。

 

 

「全く…犬上に感謝した方がいいぞ?犬上がお前の喧嘩のほぼ一部始終を新聞部持ちのビデオカメラで撮影して提出してくれなきゃ、もう少し罰は重かったからな。先に殴ったのは向こうだって確かな証拠になって、蘇我よりかは罰は軽いぞ」

 

 

 …マジか。そういえば、あの人混みの中でちょくちょく忍の声が聞こえてるなって思ったら、そういうことだったのか。

 これは、借りが一個できちまったな…

 

 

「まあ、友達の絵を馬鹿にされたからキレたってのがなんともお前らしいと言うか…お前が怒る気持ちもよーくわかる。それに、先に手を出したのは向こうだからな…情状酌量の余地は十分にある。映像を見る限り、お前も別にやり返したと言うより向こうの暴力を取り押さえたって言う形だからな」

 

「えっ…!じゃあ…!」

 

 

 もしや、温情で許される…とか…!!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし!挑発して殴らせたのはお前だ!それに、ちゃっかりスマホを使っていたらしいじゃあないか!それも含めて罰としてしばらくの間部活に出ることを禁止する!当分しっかり反省しなさい!」

 

「す、すみませんでしたぁぁ!!」

 

 

 やっぱり人生そんな甘い話あるわけないですよねぇぇぇ!!!

 

 

***

 

 

 そして、赤峰が退室した後の職員室。説教を終え、コーヒーを淹れて一休みする高林に1人話しかける女性がいた。

 

 

「ふう…」

 

「すみませんね、高林先生。ウチのクラスの赤峰君が迷惑をかけて…」

 

「別に構いませんよ、仕事ですからね」

 

 

 それは、赤峰が所属するクラスの担任である佐々木先生だった。

 

 

「にしても、私も彼が暴力沙汰と聞いた時は驚きましたよ。彼程お人好しな人間は見たことなかったですし、一番こう言うのとは無縁だと思っていたので」

 

「そうですな…頭はいいのに、良くも悪くも感情的な意味で突っ走ってしまうこともあって…本当に手間のかかる部員ですよ」

 

「ふふ、とは言え、黄瀬さんの絵のことで怒ったと言うのが何とも彼らしいと言うか…」

 

「ですなぁ。日頃からお節介焼きの底抜けのお人よしな桃冴らしいです」

 

 

 軽く笑みを浮かべながら、高林先生はそう佐々木先生に答えた。

 

 

「ところで、蘇我君とはもうお話はしたのですが?」

 

「ええ、既に」

 

「蘇我君…生徒達の間であまりいい噂は聞いていませんでしたが…何と言うか、()()()()()()()()()

 

「そうですね…きっと、あいつのお説教がよほど心に響いたのでしょうな」

 

 

 彼は、蘇我の出した反省文の束を取り出しながらそう呟いた。

 

 

「美術部顧問の先生が言ってましたよ。"蘇我の性格が嘘のように変わった"とね。横暴な振る舞いもちょくちょく見受けられてたので指導対象として手を焼いていたのですが…まさか、今まで悪口を言った人達に謝罪して回るようになるとは…」

 

 

 そう、実はヒトツ鬼状態から浄化された蘇我は、ドンモモタロウの浄化の副作用ゆえか、元々持っていた傲慢さや態度の悪さがすっかり抜け落ちていた。それに加えて、やよいや桃冴どころか今まで酷い態度をとってしまった人達全員に向けて、頭を下げて回っていたのだ。

 

 元から女性陣の評価が地に落ちていたであろう彼の評価は、その真摯な挨拶回りや、嘘のように変わった彼の性格を見て段々と評価を改めつつあった。

 

 本来ならば、ヒトツ鬼に関することだとか知らない生徒たち目線、急な変貌すぎて受け入れられないのがオチだが…桃冴が直前でドギツイ説教をかましたと言うのもあって、仮にヒトツ鬼に関することを知らなくても生徒たちはその変貌ぶりに納得することができたのだ。

 

 そして、桃冴も桃冴で暴力沙汰を起こした人間として評価が落ちかねなかったが…あの蘇我を改心させたのだからと言うことで逆に話題になって元々妖怪縁結びとして変人だが良い人として思われていた彼の評価もまた上がっていた。

 

 そして、先生達も赤峰の説得によって蘇我の人柄が大きく変わったのだろうと考えていた。あんな大勢の前で説教されれば何か心に響くものがあってもおかしくないと考えたのだ。まあ、実際のところは、ドンモモタロウの浄化行為によるところが大きいのだが。

 

 

「ふう…教師として情けない限りですな。教え導く筈の教師ではなく、本来教え導かれる側の生徒が彼を改心させたのですから。手段はどうあれ指導部の名前聞いて呆れる」

 

「まあ…とはいえ、彼は色々な意味で影響力がありますからね。この学校どころかこの街で知らない人の方が珍しい子ですし…」

 

「かもしれませんなぁ…おっしゃる通りまるで物語の主人公ですよ。だからこそ、ああいう子には変に捻じ曲がらずまっすぐと育って欲しいものですな」

 

 

 そう言って、高林は目の前の書類業務に戻るのだった。

 

 

***

 

 

「はあ…」

 

 

 さてと、当分部活禁止か…まあ、しょうがないよなぁ。

 よくよく考えてみれば、感情に突っ走ってあんな挑発行為とかまでしてしまったし…ヒーロー失格にも程がある。あれじゃどっちかというと"仮面ライダー555"の"草加雅人"みたいな全くヒーローらしくないヒーローじゃあないか…まあ、別に草加が嫌いなわけではないけど…けど、あれに進んでなりたいかと言われるとそうでもないし…何はともあれ反省しないとな…

 

 と、思っていた矢先、目の前から声が聞こえた。

 

 

「あっ!いた!!」

 

「ん?」

 

 

 顔を上げてみると、そこには息を切らせた黄瀬さんがいた。

 額には汗が光っており、その様子から見て学校内を走り回っていた様に見受けられる。

 

 

「黄瀬さん?どうしたんだ?そんな息切らして…何かあったのか?」

 

「うん!…その…私、犬上君に聞いたの!それで…謝りたくって…」

 

「謝る?」

 

 

 すると、彼女はガバッと頭を下げた。

 

 

「ごめんなさい!その…私の絵のせいで…!暴力事件なんて…!」

 

 

 一瞬、その光景を見た俺は、困惑と驚愕て一瞬思考停止してしまった。

 

 

「…?お、おい、何謝ってるんだ!?頭を上げてくれ!むしろ謝らないといけないのはこっちの方だ!」

 

 

 多分、黄瀬さん、自分の絵のせいで俺が暴力事件をどーたらこーたらとか思ってるのだろう。はっきり言って筋違いである。俺が勝手にキレて勝手に起こした事件なので、彼女が謝る筋合いなど何もない。むしろ、勝手に望んでもいないであろう暴力事件に間接的に関与させる形になって巻き込んでしまったこっちが謝らないといけない。

 

 

「うっ…でも…!」

 

「いや、確かに君の絵に関することで怒りはしたが…黄瀬さんが悪いわけないだろう?俺もついかっとなって色々やりすぎてしまって…本当にすまなかった!別に望んでもなかっただろうに!」

 

「あっ、や、やめて赤峰くん!赤峰くんも頭あげて!」

 

 

 俺もこの場を借りて謝らせてもらおう。必要以上に騒ぎを大きくしてしまい、彼女にも幾らか迷惑をかけたに違いないからだ。

 

 

「そう言う訳にはいかない。本当にすまなかった。この埋め合わせはどこかでさせてもらう」

 

「う、埋め合わせ!?いいよ!そんなの…!むしろ私が…」

 

「いや、そう言う訳にもいかない。勝手に抑えていれば良い怒りをぶちまけて申し訳なかった。」

 

(う、埋め合わせ…ど、どうしよう。赤峰君のことだし、こういう筋通さないと気が済まないだろうし…うーん…えーと…あ、そうだ!)

 

 

 俺の頭を下げる様子を見て、黄瀬さんがふうとため息を吐いて俺にこう問いかけた。

 

 

「なら、一つだけ聞きたいことがあるの。それを聞いても良い?」

 

「勿論」

 

「なんで赤峰くん、そんなになるまで怒ってくれたの?」

 

 

 ふむ…それを聞いてきたか。

 

 

「なんで…?というと?」

 

「ほら…その…私、努力賞で蘇我先輩の絵より劣ってたのは事実だったし…私の絵なんて、いくらでもバカにされて当然だから…私…私の絵なんかの為に怒る必要なんて…」

 

「何言ってる。バカにされていい絵なんてある筈ないだろう。それに、俺は絵をバカにされたから怒ったんじゃない。()()()()()()()()()()()()()()怒ったんだ」

 

「え?」

 

 

 俺は彼女に向き直って、キッパリと言い切った。

 

 

()()()()()の絵を、努力を馬鹿にされたんだ。悪いが俺は黙ってなどいられない」

 

「っ……!///」

 

 

 キレたのは確かに悪い。挑発したのも悪い。口に出してバカにした俺もあの時の蘇我先輩と同類だ。殴ったのも確かに悪い。そこは言い逃れがなく俺が悪い。確かに絵は向こうのほうが上手いのだろう。けど、だからって、努力まで馬鹿にして良いはずがない。友達が馬鹿にされて何も言い返さない程俺はお人好しというわけでもない。

 

 そこだけは悪いけど譲れない。

 

 

(まあ、そんな頑固な面が前世でも友達がいなかった要因なんだろうな。うん)

 

「………って、黄瀬さん、どうしたそんな顔真っ赤にして…」

 

「いやっ……な、なんでもないよ!!なんでもない!!」

 

「っ…?もしかして熱か?なんなら保健室に…」

 

 

 俺はずいっと黄瀬さんの近くに歩み寄った。

 

 

「っ〜〜〜〜!!!なんでもない!なんでもないから!!」

 

「えっ?」

 

「ご、ごめんなさい!あと、ありがとう!じゃ、じゃあっ!!」

 

「あ、おい!!?」

 

 

 すると、黄瀬さんは顔を手で覆い隠しながら踵を返してとんでもない勢いでどこかへと行ってしまった。

 

 

(ううっ…ダメダメ…!私にはヒーローさんが…!)

 

 

 実を言うと、黄瀬やよいという少女は、ずっと友達を欲しがっていた。自分から友達じゃないかなと思う人間は今までも何人もいたが、自分じゃ釣り合わないだとか、きっと向こうは友達と思ってないとか心のどこかで考えていたのだ。

 そんな中、キッパリと大切な友達と言い切った赤峰とうごという少年に、何も思わない訳がなかった。すでに、昨日戦いの後自分のことを友達と認めてくれた日野あかねや星空みゆきに対して、感謝と歓喜の気持ちでいっぱいだったというのに、更にこれである。その溢れ出る感情を彼女自身も制御できず、思わず逃げ出してしまったのだった。

 

 まあ、今の俺が気づくはずなどなかったが。

 

 

(どうしたんだろう急に…顔真っ赤にして…)

 

 

 あ、もしや何か恥ずかしいことでもあったのか?でも、今別に黄瀬さんなんか特に恥ずかしいと人に思われる様なことしてなかった気がするけど…

 

 

(っ…!まさか、黄瀬さんじゃなく俺が恥ずかしい事をしたからってことか!?)

 

 

 よくよく考えてみれば、今のセリフ、なんかカッコつけたように見えて聞いてる人目線恥ずかしいかもしれない。やけにドヤ顔で言っていた可能性がある。いや、というか、熱があるかと勘違いしてあんなに近くに急に女の子の近くに行ったし…気持ち悪がられてもおかしくない…くそっ、素でやってしまったが…言葉遣いと行動には気をつけないとだな。

 

 

「にしても、あの黄瀬さんが…"プリキュア"か」

 

 

 どこかへ行った彼女の背中を見て思い浮かんだのは彼女の変身後の姿だ。俺は、あっという間にどこかに行ってしまった黄瀬さんのことも含め、星空さんや日野のことも思い出していた。

 

 結局、魔進鬼ングを倒した後、あの暗い空間がすぐ解除されたということもあって、彼女達とまた話すことなく姿を消させてもらった。

 

 というのも、プリキュア達のところに戻ると、おそらく他の生徒達の前でこの姿を晒すことになると思ったからだ。

 魔進鬼ングを倒し、あのどんよりした空間が解除されたことで、次々とネガティブになっていた生徒達が目覚めるだろう。そんな中でプリキュア達とぺちゃくちゃ喋っているとどうなるだろう。

 おそらく、生徒達に俺の姿を見られてしまう。

 

 どこかで言ったかもしれないが、ヒトツ鬼やら俺の存在はできれば秘匿しておきたいのだ。というのも、仮に知られて仕舞えば世間を騒がせることになるのは間違い無いからだ。

 

 人を襲う化け物の存在が居るって知られるだけでも、おそらく社会にとんでもない影響が出る。化け物の存在が怖くて外に出れないとか言って経済が滞るとか、国がヒトツ鬼退治をするから自衛隊が出動するだとかどーたらこーたら…とかなって面倒臭いことになるに違いない。

 

 だから、極力俺やヒトツ鬼の存在は晒さないようにしたいのだ。無論、初めて戦闘した時の黄瀬さんの時のような仕方のない時もあるが…その時はその時だ。大勢にバレなければ問題ない。多分。

 

 本当は欲望全開で言うなら、目立ってヒーローって言われてチヤホヤされたいところだけど…今回の件も鑑みると、暴力事件を起こすような俺はまだ人にヒーローと称賛されるような男ではないと思っている。

 まだまだ人に隠れて悪を斬り、己を磨いて人前にヒーローとして胸を張って出れる様な男になってから姿を晒す様にするべきだ。

 

 

(いや、待てよ…?変身解除して普通に立ち会えばよかったんじゃ…そしたら、ドンモモタロウの存在は一般の人には知られず普通に情報交換できてたんじゃ…)

 

「いや、もう時すでに遅しか…まあ、何はともあれ…今後は友達としてではなく、プリキュアと戦隊レッドとして仲良くしていかないとだな。何はともあれ、これからどうなるかな…プリキュア原作…全く知らないけど…頑張らないとな」

 

 

 俺は、彼女達の顔を思い浮かべながらそんなことを呟くのだった。

 




ロボ戦、本当はガッツリもっと色々書こうかと思ったんですが、文字数調節の為今回は控えめです。また次の戦闘でしっかり活躍させていこうと思うのでお楽しみに。

高林は完全にオリジナルの先生です。私の小中学校時代の恩師の名前をそれぞれ二つとって合体させたオリキャラですね(?)

怪人ファイル
魔進鬼
身長/195cm
体重/234kg
スキン/キラキラのメイジ
むかしむかし/蘇我はキラキラ絵の世界で輝くために美術と巡り合ったそうな…
願望/『自分の絵や自分自身の凄さを知らしめる』
外見(ヒトツ鬼ング時)/正体不明の少女の介入でヒトツ鬼ングとなった姿。

ヒトツ鬼ング共通のデザインは踏襲しつつ、頭部に五色に光る兜を装備している。

胸にはピンク色の特記のような装飾が存在し、青いジェット機のような剣を振り回すなど、その風貌は正にキラメイジャーの1号ロボである"キラメイジン"に酷似している。

概要/自分勝手な美術部部長である"蘇我"に取り憑いたヒトツ鬼。

原典のモチーフヒーローであるキラメイレッドは、
「類稀なる想像力を持っているものの自分に自信が持てず、リーダーとしてふさわしくないと言われるほど気弱だが、他人の煌めきを大切にする立派な少年」
なのだが、それに比べて
「絵の実力はあるにはあるが自分への自信に満ち溢れており、他人の才能なぞ目にも止めず自分の才能を知らしめることを重視し、他人を平気で馬鹿にする人として最低な男」
である蘇我に取り憑くという、何とも皮肉な事態に陥ってしまった。

原典のヒトツ鬼が持ち得なかった特殊能力として、自身のスキンについた宝石を周囲に浮かせて変幻自在の弾丸として操作することができる、まさに"メイジ"に相応しい能力を持ち合わせている。

自身の装甲を武器に直接変えているので、自身の防御力が減ってしまう欠点はあるものの、近づかせなければどうということはないと言わんばかりに暴れ回り、2人のプリキュアとドンモモタロウを追い詰めた。

元々かなり前から取り憑いていたらしく、本人の欲望の強さや性格の悪さも相まって、部分的に実体化しかけていたらしく、日頃から口が悪くなっていたのもそのせいではないかと予想されている。その影響は周囲の部員にまで出ていた模様。

黄瀬やよいの努力をバカにされたことでブチギレた桃冴の説教で強いストレスを感じてしまい、実体化する事態に陥った。つまり、桃冴は原作タロウの様に皮肉にもヒトツ鬼事件の引き金となってしまった。

前述の通りプリキュアやドンモモタロウを追い詰めるも、かつて助けられたドンモモタロウの姿を見て触発されたピースの雷撃を喰らったことで連れのアカンベェと共に筋肉が硬直し行動不能に。そこに、キュアピースとの"プリキュアピースサンダー"と共に放たれた必殺兵装"騎士竜一桃・リュウソウ斬"を受けて浄化された。

しかし、謎の少女の介入で本来ならばこの世界に存在し得なかった筈のヒトツ鬼ングへと変貌。プリキュア達が手を出せない領域で暴れ出し、ドンモモタロウがいなければ壊滅的な被害をもたらす可能性があった。

しかし、ドンモモタロウには巨大戦力"ドンゼンカイオー"が存在したことも相まって、難なく対応されて"ドン・ゼンカイクラッシュ"を受けて敗北。今度こそ完全に浄化された。

しかし、今までなぜ他のヒトツ鬼は今回のようにヒトツ鬼ングにならなかったのか。ジュランティラノを呼び出した戦士は何者か。ヒトツ鬼をヒトツ鬼ングにした少女は何者なのか。と言った、様々な謎を残して退場していく形となった。

浄化された後、絵の才能や自分の実力に対する高い自信は残りつつも、かなりマイルドになった。加えて、しっかりと反省したのか、酷いことをした生徒達に謝罪まわりを行った。

桃冴の説教で彼に対する評価は元から低いのに地に落ちていたが、その真摯な謝罪回りが"あ、桃冴の説教効いたんだ"となって、今までとまるで違う姿のそのギャップ差もあって受け入れられ、徐々に良き人格者として成長していく。

人の絵を見下す事はなくなり、むしろ他人の絵を研究し、良いところを真似しつつ、他人からの評価も素直に受け入れ、部員にも絵を教える優しい部長にまで成長した。

そして、そのまま最後の全国コンクールにて無事金賞を取ることになり、絵の世界の大物として煌めいていくのだが、それはまた別のお話。

元々、アニメじゃ特に何のお咎めもなかった、蘇我に色々と反省させたかったので、今回のようにヒトツ鬼させる形となった。その際、美術部部長ということもあって、キラメイレッドが適任だろうと言うことで魔進鬼をチョイスした形となる。この後のお話的に早めにキラメイレッドの力は手に入れといて欲しかったので作者的にも良かった


じかーいじかい…


「いやー色々とすごかったな桃太郎さん!一体どこの誰なんやろな」

「うーん、結局ちゃんとまた喋れなかったし…でも、きっとまた会える!うん!」

「みゆき、四人目も探すクル!」

「みゆきちゃん、いい感じの人はいる?」

「うーん、あ、1人いるよ!」

「え?誰?どんな人?」

「それはね…曲がったことは大嫌い!義理堅くって情に脆い緑川さん!」

「え?星空さん…!?いきなり何?」

「ちなみにお化け嫌いで少女趣味で大食いで…」

「ちょちょちょ!!とうご!いきなりあんたも何!?てか、お化け嫌いなこと言わないでよ!」

(2人ともいつの間におったんや…?)

「そして、兄弟思いで優しいお姉さんクル!」

「し、喋った!?何このぬいぐるみ!かわいいね!」

「決めた!緑川さん!一緒にプリキュアやろ!ね?」

「プリキュア…?さっきから一体何の話…?」

(なるほど、プリキュアってこんな感じで増えてくのか。割と軽いな)

「てなわけで、次回、『マーチのヒーロー』!お楽しみに!」


『みんな笑顔でウルトラハッピー!』












「あれはヒトツ鬼!?なら、私のハッピーシャワーで!」

「いんや!ここはうちの出番やで!」

「私も!」

「ダメクル!ハッピー!みんな!そのヒトツ鬼はダメクル!」

「えっ…キャンディ!?どうして止めるの?」

「そのヒトツ鬼は、そのヒトツ鬼は!ーークル!」

「えっ!?そんな、じゃあ!」

「それって…ウチら…」

「って!待って!あれ、桃太郎さんじゃない!?」

「えっ…?あっ、ああっ!!」

「っ…!待って!桃太郎さん!そのヒトツ鬼は…!嫌っ!だめっ!駄目!!それは…あっ…ああっ…!」


「だめぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

『さあ楽しもうぜ!』

感想お待ちしております!

読者層調査です。この小説を読んでいる皆様に質問なのですが、どの作品を見た上でこの小説をお読みになっていますか?

  • ドンブラもスマプリも見たことあるよ!
  • ドンブラは見たことあるけどスマプリはない
  • スマプリは見たことあるけどドンブラはない
  • 実は両方とも見たことない
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