ニチアサの世界に転生とは聞いていたが…! 作:よく酔うエンジン
ようやく投稿できました…ちょっと久しぶりに文章書いたせいでクオリティが落ちているかも…これからどんどん戻していかないと!
雪森さん。佐賀らしんさん。誤字報告ありがとうございます!
見よ!緑の心!
キーンコーンカーンコーン…
チャイムがなって、昼休みとなった。
さっき反省文も出して、説教も受け終えたので今日中にやらないといけない事は全て終えているも同然。普通なら友達と弁当を食っているのだが…今日は俺は中庭に来ていた。
ここには、屋根付きの四角にベンチが設置された休憩所のような場所があり、部活終わりの人が休憩に使ったり、お昼休みに色々な人がお弁当を食べに来たりすることが多い。
で、そんなところで今俺は何をしているのかと言うと。
「「「いっただっきまーす!」」」
「いただきますクル!」
(見つけたっ…!)
プリキュア達の覗き見である。
俺は、付近の建物の影に隠れて、その屋根付きのベンチでお弁当を広げあっている星空さん、日野、そして黄瀬さんのことを観察していた。
いや、あの、最初に言わせてくれ。
俺は断じてストーカーなどではない。
こんな影に隠れて様子を観察だなんて行為をしているのには明確な理由がある。
(俺は…彼女達に俺のことを話さなくてはならん…)
俺は昨日プリキュア達と共に戦ったことで彼女達の正体をなんとなく察せた。そして、あのプリキュアのマスコット的キャラのキャンディも一緒に仲良く弁当を食べてるので彼女達がプリキュアである事は間違いない。
で、ここからが問題なのだが、俺はプリキュア達に俺…ドンモモタロウに関することを一つも言っていなかったのだ。今俺はドンモモタロウに関することやらを色々いうために彼女達を探していたのだ。
いやまあ、色々あってあの時は去ってしまったが…ある程度は関わっていくと決めた以上、情報交換をしておいた方がいいだろう。やべー事態になった時にその方が連携もとりやすいだろうからだ。
ヒトツ鬼という物語本編には登場しない異物の存在がある以上、不測の事態に備えておかなければならない。なぜ戦っているかとか何ができるかとかを互いに知っておくのは後々そう悪いことにはならないだろう。それに、俺は向こうの正体を知っているが、彼女達は俺がドンモモタロウであることを知らない。それはなんかフェアじゃなくて嫌だしな。
なので、こうして俺は彼女達を探し回って教室やら屋上やら色々探し回り、今こうして中庭にて談笑しながらお弁当を広げて食べてるところを見つけた。そして、こうして建物の影に隠れて様子を観察しているのである。
え?んな目的あって、見つけたんならさっさと話しかけて説明しにいけって?
いや、そうしたいのは山々なんだが…
「えーっ!?やよいちゃんのお弁当って…"キャンディ"?」
「キャンディクル!」
「えへへ…作ってみたくって」
「自分で作ったの!?」
「すごいクル!」
「あっじみ♪あっじみ♪あーんむ!」
「あーっ!キャンディを食べちゃダメクルー!!」
「おっ!めっちゃ美味しい!」
「本当?」
「キャンディも食べるクル!」
「私も!」
「どうぞどうぞ!」
うん…いや、そのね…一言言わせてほしい。
めっちゃ会話がキャピキャピしてて話しかけに行きづらい。
何あのテンション…いや、あそこに男1人で話しかけるのは…ちょっと無理がある。思春期男子にはきついものがある。
いや、黄瀬さんのお手伝いの時は平然と話せてたけど…あれは最初は他にも男子メンツがいて、そこから派生したからであって…初っ端から男子1人で話しかけに行くのは…なんというかその…きつい。普段なら怪物相手に勇猛果敢に突っ込めるというのに、こんな特に命の危機など特にない場面で足踏みしてしまうとは…情けない限りだ。
そう言えば昔、奏凪に百合百合しさがある空間には男が入り込めないオーラがあるとか云々とか言ってた気がするが…まさかそれか?
いやそれはそうとて…どうしよう。ためらってる暇なんてねえのに…どう話しかければ…と考えていた時だった。
「ちょっとあなた達」
ふと見てみれば、2人の女子生徒…確か三年生の人かな?遠目だからよくわからないが、二人組の女子生徒が星空さん達に向けて話しかけていた。
「悪いけど、移動してくれない?」
「ここは私たちの場所なの」
「えっ…?」
「私たち、いつもここで食べてるの」
なっ…まさか、立ち退きの要求か!?
おいおい、中庭はみんなのものだろう!?何言ってるんだ!?いやまあ、言いたい事はわかる…いつも食べてるお気に入りの場所が取られていたら、嫌な気持ちになるだろう。俺だって多分そうなる。嫌だが…流石にそれを口に出して立ち退き要求するまでって…
「そんなん!早い者勝ち違うんですか!?」
すかさず、日野も反論する。だが、3年の先輩達も負けじと言い返してくる。
「ここは!いつも私たちが使ってるの!」
「あなた達2年でしょう?」
「なんですかそれ…そんなに2年も3年も関係ないんと違います?」
「いいから退きなさいよ!」
あああ…まずい!なんか騒ぎが大きくなりそうな気がする…それに、日野も向こうの圧に言い負けそうになってる。
くそっ、予定変更だ。流石に黙っていられん。身勝手な振る舞いを見ると修正したくなってくる。こうなったら俺も会話に…と思った時、俺の足が止まった。
(待てよ…?)
俺は今、暴力事件を起こした悪い意味での時の人である。そんな人間。しかも彼女たち目線年下の人間がズケズケと会話に挟まって説教なんてしたらどうなるだろうか。
なんか、余計に面倒くさくなる気がする。
"あんた人のこと言えないでしょ"云々とか言い返されて余計面倒くさい事態になる気がする。
(……………………)
どうしよう。
ここで見て見ぬ振りは男が廃る。だが、介入したとて面倒くさくなる。どうするべきかと頭を悩ませ考えていた時だった。
「先輩!」
すると、奥の方から凛とした声が響いた。
緑色の髪をポニーテールにした、俺のよく知る幼馴染。緑川なおがそこにいた。
「あっ…?緑川さん?」
「たとえ先輩でも、後から来て場所を横取りするのは、おかしいと思います!」
なおは、真っ直ぐとした目つきで先輩達を見つめながら、はっきりとそう述べた。
「横取りだなんて…!」
「中庭はみんなの場所です。先輩達の言うことは、少し筋が通っていないと思います」
「っ…」
その様子を見て、先輩達も思わず身を引いてしまう。その目つきと正論を前にして、何も言い返せないのだろう。さすが曲がった事は大嫌い。星空さんの自己紹介の時に番長と称されたなおである。
「わあっ…!」
(勇気ある…かっこいい…!)
「アンタねぇ…」
星空さんがなんか目を輝かせているが…それは置いといて、たまらず何かを言い返そうとした矢先だった。また別の人間が二人組の後ろに現れた。
「はっはっは!そうだねぇ」
「「っ…!入江生徒会長!」」
それは、この学校の生徒会長である入江生徒会長だった。
甘いフェイスで女子生徒から人気があり、多分学校内で一番モテてる人と言っても過言ではない人だ。そして、人格者でもあり、生徒会長なだけあってとても真面目な人である。
きっと、近くにいて騒ぎを耳にして来てくれたのだろう。
「確かに、君の言うとおりだ。ここは学校のみんなの場所だもんね。ね?」
彼は、二人組の女子にぽんと肩を置いてそう諭した。
2人に向けて、優しい笑みを浮かべると、2人の顔はさっきまで不快そうな顔だったのに一気に和らいだものになった。
「そ、そうね…」
「い、言いすぎたわ…」
「ごめんなさいね?」
「あっ…いえいえそんな…」
…すごい変わりっぷりだな。あんなすぐ星空さんに謝るなんて…ありゃ、きっと入江生徒会長に元から惚れてた口だ。その入江生徒会長を見て毒気が抜かれてしまったのだろう。これが恋の力…と言うよりイケメンの力か。恐るべしである。
俺もあんな感じで蘇我先輩諭せば暴力事件…いや、そんなことしたら多分むしろ別の意味で事件になりかねんわ。うん。何言ってるんだろう俺。
「それじゃあね」
「会長も中庭でランチですか…?」
「いやぁ、僕は美化週間で…」
変なことが頭によぎったが、それはそうとて二人組のカップルは入江生徒会長に着いていってしまった。すごいな…なおのやつ、俺と大違いだ。正論だけ言ってきっぱり場を収めやがった。
「緑川さんありがとう…!」
「お陰で助かったで!」
「アタシは、当たり前のことを言っただけだよ」
(…相変わらずだな)
さっきも言ったが、なおは曲がったことが大嫌いな少年漫画の主人公顔負けの真っ直ぐな性格をしている。そして、今みたいに間違った事はずばっと言える勇気もある。
繊細な面もあったりするが…常時はめちゃくちゃかっこいい。そんな性格なせいもあってか、男どころか同性の女子にめっちゃモテたりしている。多分、星空さんもさっき目を輝かせてたけど、アレ堕ちたのかな…?いや、堕ちたというより純粋にすごいって憧れてるような目線だった気もするな。
「じゃ!部活の自主練あるから行くね!」
「わぁ…いい!」
「きーめた!」
お…なお行っちゃうのか…って、あっ、忘れてた。
ついつい今の騒動に見入ってしまっていたが、当初の予定は俺のことを彼女達に話すことである。騒動もひと段落ついたし、今はそんなキャピキャピした雰囲気じゃない。今ならいい感じに話しかけるタイミングだろう。
よし、取り敢えずまずはドンモモタロウの事から…
「なーにしてんのっ!」
「ほああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
背後から肩をポンっと叩かれて、予想外の衝撃に変な叫び声が出た俺は慌てて振り返る。そこには、カメラを構えながらニヤニヤした忍が立っていた。
「おまっ…いつの間にっ…!?」
こいつ…いつのまに背後に…!?ていうか…なんでここに!?
「ふふーん、自称抜き足差し足忍び足。急ぎ足一寸足逃げ足ナンバーワンな僕の手に掛かれば背後を取るなんてラクショーなのでござる」
ぶっちゃけて言うと、俺の気配察知スキルはヒトツ鬼の戦闘していく中で成長し、かなりのものになっている…というのに、なぜかこの犬上忍という人間は気配を消すのがあまりにも上手い。こうして何度も俺は今まで背後を取られたことがある。
って…いや、そうじゃない。変に驚いてしまったが、俺の今の目的はプリキュア達に俺のことを話す事である。今はしのぶに構ってる暇など…
「っ…て!あ、そうだ!お前にも言いたいことがあるんだった!ありがとうしのぶ!ほら、昨日のこととか色々!」
俺はガバッと頭を下げた。
物陰から飛び出そうとする直前、俺はとあることを思い出したのだ。そう、ついさっき高林先生に言われて知ったが、俺が起こした事件のほぼ一部始終をしのぶがビデオカメラで撮影していたことで俺の罰は軽くなったのだ。しのぶにもどこかのタイミングで謝りたかったので、今この場を借りてせっかくなので感謝の礼を述べさせもらおう。
プリキュアに関しては…今謝ってから話に行けばいいや、うん。
「わわっ!頭あげて頭あげて!友達としてこれくらい当然だからね!にしても全くもー…本当、あの時びっくりしたんだから。当然とは言ったけど、一応感謝してよ…?新聞にも事細かく経緯書いたりして、とうごが悪いやつに見えないようこっそり印象操作するよう仕組んだりしたんだから」
ま、といっても記事の大半書いたのは喜島さんだけどね。とウインクしながら付け加えた。
マジか、どうやら気付かぬうちに相当な借りを作っていた様だ。
「そうだったのか…とにかく、この借りはどこかで返させてくれ。」
「えっ…?うーん…じゃあ、今日の放課後新聞部に来てくれない?ちょっと人手が欲しくて、それでチャラってことで」
「わかった。…というか、言えた立場じゃないのは分かってるが…あの場にいてくれたなら俺がぶん殴る前に止めてくれてもよかったんじゃ…」
「いやいや無理無理!ブチギレた桃冴のこと止めるなんて僕には無理だよ!かなぎじゃあるまいし」
「いや…別に力づくで止めろとまでは…」
「いやーでも、あぁなっちゃったら言葉じゃ止まらなさそうだもん。変に頑固なんだから。何言っても僕の言葉なんて届かないってオチで終わりだよ」
ウッ…否定できん。俺は嫌なところで感情的になって頑固になる一面がある。確かにあの時ならしのぶの言葉を聞き入れてない可能性もあるな…
「そ、れ、よ、り、も〜…驚いたよっ!」
「あん?」
「桃冴がストーカーだなんてぇ」
すると、ニヤニヤしながらしのぶが俺が星空さん達を壁越しから見つめる様子を収めた写真を見せてきた。
「あっ…おまっ!!?」
まさかこいつ…俺が物陰から彼女達のこと観察してたのずっと見て撮ってやがったのか…!?写真を見てみれば、言い逃れできないレベルでストーカーとしか言いようがない構図と視線をした俺が写っていた。
「ふふーん、どうしちゃおっかな〜この写真。新聞のネタにしたら面白くなっちゃったり〜?」
「おいバカよせって!洒落にならないから!と言うより誤解だ!これには訳があったんだよ!」
「ほーん?その訳とは…?」
「っ…えっ、えーっと…」
(い…言えねえ…)
しのぶはプリキュアやヒトツ鬼の事など知らないはず…馬鹿正直に俺がドンモモタロウで云々なんて話しても意味がない…と言うよりまず信じてくれないだろう。くっそ…どうすれば…どう言い訳すれば…!
「あ、もしかしてぇ〜…星空さんのこと、やっぱり好、き、なの?うーん!青春だねぇ!」
「……………」
おまっ…こっちが言えないからって、好き勝手言いやがってぇ…!
こいつのことだから、本当に写真を新聞に載せるなんて事はしないだろうが…あの写真を撮られてしまった以上、恐らくしばらく絶対この件でイジられる。どうにかして言い訳して写真を消させねえと…絶対後々面倒な事になる…!どうしよう…どうしよう…!
と考えていた時だった。
「バカかお前は」
ごちーん
「アダッ!?」
今度はしのぶの背後に人影が現れた。
「流石に弄りのライン超えてるだろう。写真は消してやれ」
「うぅ…まあ元々消すつもりだったからいいけどさぁ…でもちょっとくらいいじゃんせっかく撮ったんだしぃ…」
それは笊畑奏凪ことかなぎであった。
かなぎがしのぶに一発小突くと、小突かれた頭部を撫でながらしのぶがカメラを操作して写真を消し始めた。
にしてもお前…写真消させるようにしのぶに言ってくれるなんて…いい奴すぎるだろう…!おかげで悩みの種が一つなくなった。
「俺は良くねぇよ…すまん奏凪、助かった」
「ん?あぁ、安心しろ。オレもバッチリ見てたからな。ここ暫くは話のタネが尽きなさそうで満足してるぞ」
前言撤回。コイツもコイツだった。
コイツら、いい奴らではあるけど性格悪いな…って、俺も人のこと言えないわ。うん。蘇我先輩の口論であんなことしでかしたし。
「ま、いいや!とりあえずさ、桃冴ご飯まだでしょ?一緒に食べない?僕たちもこれからなんだよね〜」
「えっ…あっ、まあいいか」
「あ、もしかして星空さん達のこと気になるの〜?」
「いやっ、違っ、そんなんじゃ…」
「まあ、ともかく百合の空間を汚そうとしてるなら俺も黙ってられん。ほら行くぞ」
「イダダダダッ!?おまっ!?握力いくつあるんだよっ!?」
「90キロは超えてる」
「嘘だろっ!??」
俺より強くないか!?それ!?
そんな驚愕の念を抱きながら、俺は首根っこを掴まれてひきづられていくのであった。
(って…プリキュアに俺の事結局言えなかったな…放課後も新聞部の手伝いで時間が潰れるし…仕方ない、また今度の機会に話すとするか…)
明日から土日で休日だし、星空さん達とまとまってエンカウントすることもないだろうしな…日野と黄瀬さんの家は知ってるから個別に周りに行って言うのもアリではあるが、ぶっちゃけ三人分やらないといけないので面倒臭いし…うん、また月曜話すか。
俺は、とほほと肩を落としながら、そんなことを思うのだった。
***
そして、まだ朝日が眩しい、休日のお昼前に俺は風呂敷を持って外を歩いていた。
「ふーっ…バイト後にまさかまた出かけることになるとは…」
今俺はお使い中である。
俺が今右腕に持っているのは、今朝親父さんが作った卵料理のタッパーを風呂敷に包んだものである。本人曰く、作りすぎたし、折角なので緑川さん家に届けて欲しいとのことだ。
丁度外を歩きたい気分だったので、二つ返事で受け入れて今こうして俺は外を歩いている。
「ふう…お、見えた見えた」
テクテクと歩いていると、右に鳥居が見えた。
ここは"七色ヶ丘神社"と呼ばれるうちの街でも有数の高い神社である。小高い丘の上に立ち、ここを通っていくのが、緑川家への近道なのだ。
境内は通り抜けOKであり、敷地も広く、子供達が遊ぶのもOKだったりする。昔、れいかやなおと一緒に遊んだりしたっけな…
「ふうっ…ふうっ…よっ…と」
急な階段を登って、丘の上にある鳥居を潜って俺は境内に入る。まだ桜が咲いており、割と都会な七色ヶ丘町の景色を忘れてしまうほどの幻想的な景色が広がっていた。
「さーて…向こうの方に…ん?」
俺はそのまま神社の中を通って、緑川家の方向に向かおうとしていると、とある建物…と、看板が目に入った。それは、端の方にある、普段は閉じられてる筈のこの神社の宝物殿だった。
「入場無料…一般公開中…か、へぇ」
昔は、確かここは一般向けに解放されていなかったと思うんだが…何の縁か、参拝客向けにその扉は開かれていた。
(暫くの間来てなかったが…いつの間に…)
「これも何かの縁かもな…よし。少し寄ってくか」
別に昼飯前までに届ければいいので、まだ時間はある。
たまたま宝物殿の一般公開の案内を見つけた事に縁を感じた俺は、折角なので宝物殿に入ることにしたのだった。
***
中は、赤を基調とした絨毯で和風ながら豪華な雰囲気があって、かなり綺麗だった。タイミングよく中に他の見物客はおらず、自由に展示品を何にも邪魔されることなく見ることができそうである。
(古文書…掛け軸…刀…すごいな、歴史が好きな人が見たら興奮しそうなもので沢山だ)
この神社は、確か古来日本から伝わる戦士達を祀っている神社だったはずである。それもあってか、古びた刀剣や槍のような人が扱う武器であったり、人が化け物と戦っている掛け軸なんかが飾られてたりする。
素人目で見ても貴重なものだとわかる物品まみれだ。
「ふぅん…まあでも、そんな珍しいものは…」
と思って見ていると、俺は一つ気になるものを見つけた。
(なんだこれ…枝?)
古びた掛け軸やら絵やら刀剣やらが飾られている中で、侵入禁止の白線に囲まれて一つポツンと枝が飾られていた。何かの棒とかではなく、マジで文字通りの木の枝である。
明らかに異質な物品だったので、俺は思わず目を引かれてしまった。
(……なんだ……これ……)
なんだろう。ただの木の枝だというのに、どこか心が惹かれてしまう。なんか…滅茶苦茶気になる…なんだこれは。
「こらっ!!」
「っ…?」
つい見入っていると、背後から可愛らしい怒鳴り声が聞こえた。
振り返ると、巫女服姿の小柄の可愛らしい女の子が箒を持ちながらこちらの方を見ていた。
「桃冴さん!侵入禁止の白線を飛び出てますよ!」
「おっと…すまん。夢中になって気がついてなかった」
足元を見てみれば、靴が作品保護の為に立ち入り禁止にしている領域にはみ出していた。どうやら夢中になって見ていていつの間にかはみ出していたようである。俺は慌てて下がって頭を下げた。
「ふう…すみません。私も急に怒鳴ってしまって。でも、最近白線に気づかない人が多くて」
「いや。完全に今のは夢中になってた俺が悪かったから気にしないでくれ…縁があるな。唯愛ちゃん。にしても偉いな、館内の掃除中か?」
「はい。にしても、桃冴さんが来てくれるなんて珍しいですね…ふふっ、今日はいい縁に恵まれそうです」
この子の名前は"
クラスメイトであり、小学校時代から縁のある子である。
落ち着いた雰囲気と柔らかな笑みが特徴的な、誠実で優しく常識的かつ清楚な子である。
奏凪とは幼馴染であり、平時はこの神社で巫女として働いている…というよりかは、彼女のお父さんがこの神社の神主さんなので働いていると言うより手伝っていると言った方が正しいか。
「にしても、この時間にどうしてここへ?桃冴さんは、こう言ったものにも興味があるのですか?」
「いや、たまたま近くを通りかかった時に看板を見てな…宝物殿が開いてるなんて知らなくて、ちょうど時間もあったから見ていこうかなって」
「成程…にしても、随分と夢中になって見てましたね、何か気になるものでもありましたか?」
「ん、まあちょいとこの枝にな…なんか珍しいと思ってな」
「ふむ…?あぁ、これは…"こころの大樹の枝"ですね」
「こころの大樹?なんだそれは」
聞きなれない言葉に俺は耳を傾ける。
「こころの大樹…私もあまり詳しく知っているわけではないのですが…都市伝説の一つとしか見られていませんが…この世のどこかに存在しているとされる、全ての心を司るとされる御神木のことです」
「全ての心…?随分と壮大な話だな」
「はい。全ての心がその大樹と繋がっていて、人々のこの枝は、その木の枝をとってきたもの…と言い伝えられている物品ですね。本当かどうかはわかりませんが…」
「ふーん…」
まあ、実在しているかもわかりませんけど、夢があって面白い話ですよね。と付け加える唯愛ちゃんを尻目に、俺は一つ変なことを思い浮かべていた。
普通なら、へーっと言って聞き流すなら、夢がある話だなって妄想を膨らませたりするもんだろうが…俺は別の感情が思い浮かんでいた。
(……
心を司る。全ての心が繋がるねぇ…なんというか…恐ろしい。
何でそう思うのかというと…単純に経験上の話だが…もしそういう木が実在したとしたらどうなるだろう。なんか、犯罪とか悪事に利用されそうな気がしてならない…それに…
そんな不安が、俺の頭の中に駆け巡ってしまったのだ。
「桃冴さん…?どうしました?」
「っ!?あ、いや、なんでもない。少し考え事をな」
いやいや。実際にあるわけでもないものにそんな想像したって無駄よな…軽い雑談だって言うのに、こうやって変な考察するのもいただけん。俺の悪い癖かもな。最近戦ってばかりで脳が戦いのことしか考えてないのかもしれん。直さないと。
「まあいいや、そろそろお暇させてもらう。粗方見終わったしな…ありがとうな、忙しい中説明してくれて」
「あら…折角ならお茶でも淹れようかなと思ってたのですが…」
「いや、大丈夫だ。実を言うと今お使い中だったんだ」
「そうだったのですか?ならすみません…わざわざ引き留めてしまって」
「いや、俺も話せて楽しかったし別にいいぞ。時間も全然あるし…ま、そろそろ行かないとまずいかもしれないから何とも言えんが。とりあえず、また縁があればどこかで!」
「ふふ、またどこかで。戦士様のご加護がありますように」
俺はそう言って神社を離れるのであった。
***
そうして、神社を離れて、暫く街の中を歩いていると、よく知る道へと出た。この道をまっすぐ行けば、なおの家に着く。
俺は、風呂敷に包まれたタッパーの蓋が開いて中の物体が溢れたりしてないか確認しながら、再度歩き始めた。
そして、縁側や小さな庭などが備わった一軒家であるなおの家が見え始めた…その時だった。
「クル……」
「ん?」
すると、なおの家の入り口から、目を回しながら何かが出てきた。
「クル………クルクル…お目目クルクルクル…」
すると、ぴょんぴょんなんかおぼつかなさそうな足取りで飛び跳ねながら小さな羊のような生物が俺の横を横切った。
(なんだ…キャンディか…………
キャンディだと!?)
思わず二度見してしまった、気がついた時はもうすでにどこかに行ってしまった様であったが、俺は思わず今キャンディが出てきた場所を見つめる。
今すれ違ったのは…見間違うはずがない。キャンディだ。あのプリキュア達と一緒にいるマスコットの。星空さんと行動を共にしていた気がするのだが…
「ここ…なおの家だよな…?」
待ってくれ…なんで…なんでキャンディがここから出てきたんだ!?
星空さんの家ならまだしも…ここはなおの家だぞ?
居ても立っても居られず、俺はピンポンすら鳴らさずに慌てて家の敷地内に入った。すると、庭の方からガヤガヤと声が聞こえてきた。俺の足は、気がついたらそちらの方向へと進んでいた。
そして、そこには…
「いくぞみんな!桃冴兄ちゃん直伝!ブラザーシップアタックだ!」
「「「「りょうかい!!」」」」
「ひえ〜…助けてぇぇ…」
「…星空さん?なにやってんだ…?」
俺は、なぜか目をぐるぐる回しながら縁側へとぶっ倒れて、今にもトドメを刺されそうになっている(?)星空さんに目を向けるのだった
もうみなさん薄々察していると思いますが、この世界は過去プリキュアの世界線と繋がった世界です(いわばオールスター時空)。書いているうちに設定の矛盾は…発生するとは思いますが、しっかり理由やら矛盾が起きないよう調整しつついい塩梅を見つけていくつもりです。もし何か変な点があれば教えていただけたら嬉しいです。何せ作者はプリキュアに関してはさほど知識が深い訳ではないので…
Q.なんでドンモモタロウとスマプリ掛け合わせたの?
A.(その23)ヒトツ鬼の設定が色々便利だと思ったから。
感想お待ちしております!気軽にどうぞ!
サルブラザーって見た目だけならかっこいいと思いますか?
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思う!
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かっこいい…とは思わんかな()