ニチアサの世界に転生とは聞いていたが…!   作:よく酔うエンジン

34 / 37
 ようやく桃冴視点からまともに始まります。ここ数話まともに喋れなかった主人公ェ…

模試前の前日に急いで書き上げたから、変なところがないか不安だぜ…

雪森さん。誤字報告ありがとうございます!


煌めけ!光を取り戻せ!

 時は少し前…

 

 

『いよっ!日本一!!』

 

スチャッ!!

 

 

「よっと!ここは…前に日野とバレーの特訓した河川敷だな…」

 

 

 ワープドアを通り、アバターチェンジした俺は、見覚えのある河川敷に転送された。

 

 

『ギィィィァァァッ!!!』

 

「この声は…ヒトツ鬼はあっちだな!」

 

 

 明らかに普通の人が発しているとは思えない叫び声を聞きつけ、俺はそちらの方へと早足で向かう。そして、プリキュア達とヒトツ鬼が交戦しているのを見つけた。

 

 

「「「きゃぁあぁぁっ!!」」」

 

(何やらピンチのようだな…)

 

 

 プリキュア達がヒトツ鬼を押さえていたが、ヒトツ鬼のパワーに負けて全員倒れ伏せてしまっている。唯一動けているのは黄瀬さん…じゃなくてピースだけのようだな。

 

 にしても…遠目から見ても可愛らしい緑のプリキュアがまた1人増えているが…ま、今はそれはどうだっていい。

 

 

『家族ニ…会イタイヨォォッ!!』

 

「家族に会いたい…?そのガワでそのセリフとは随分と…!」

 

 

 あの直線的な黄色のボディ。成程、今回の相手は超新星鬼か。

 

 にしても、家族関連で一悶着あったのに、地球のために戦ったフラッシュマンの皮を被ってこのセリフ…なかなかにエグいやつだ。どこの誰が取り憑かれたのか知らないが…とにかく、中の人のためにも早く退治しなくては。それに、プリキュア達が床に倒れ伏している。側から見てもかなりピンチなのはすぐわかる。

 

 よし!ここは、ド派手に登場して倒れ伏したプリキュア達に注意が向かないようにヒトツ鬼気を引き、奴らに助太刀するとしよう!

 

 というわけで、こうして神輿に乗ってド派手に注目を集めながら登場したわけである。

 

 

「さぁさぁ!楽しもうぜ!勝負勝負!」

 

「っ…!待って!!桃太郎さん!!そのヒトツ鬼には人が…!」

 

 

 背後からハッピーの声が何か聞こえたが…俺はエンヤライドンに乗っかって高速で移動していたせいでよく聞こえなかった。

 あと、もう一つ気が付かなかった理由がある、それは…

 

 

(お前のせいでご飯食べ損ねたじゃねぇかっ!!!)

 

ドゴォォッ!!

 

『ギャァァァッ!?』

 

 

 イラついていたからである。

 

 そのイラつきの溜まった俺は、仮面ライダークウガのゴウラムが突っ込むかの如く、エンヤライドンで超新星鬼に突っこみぶっ飛ばした!

 

 

(くそっ…飯よりヒトツ鬼を優先するのは別に何も文句はないが…こいつ、変ないいタイミングで出現しやがって!)

 

 

 そう、俺はワープドアで列に並んでいたところを強制転送されたので、美味いご飯を食べるべく頑張って並んだ時間が全部無駄になった為、いつもよりも苛ついていたのだ。

 なので、イラつきの対象であるヒトツ鬼のことしか完全に見えていなかった。

 

 別に、自分の飯を優先してヒトツ鬼を放置なんてことをする気はさらさらない。俺の使命はヒトツ鬼を狩ること。その役割を放棄することは絶対にない。みんなを守ることが第一だ。そこはブレない。

 

 とはいえ、時間が無駄になったのは事実。

 割と直情的な性格の俺からしてみれば、他の人にとっては些細なことなのかもしれないが結構むかついていた。

 

 

(いや待てよ…早く倒せれば…店員さんがセッティングし終える前にヒトツ鬼を倒して店に戻ることができればワンチャン許されて、入店できるかも…?)

 

 

 可能性は低いが、トイレに行っていたとか言って離席していた理由を誤魔化せばどうにかなるかもしれない。

 

 そうなれば…やることは一つ!

 

 

(こいつを…さっさと倒す!)

 

「駄目っ…やめ「さあさあ!楽しもうぜ!勝負勝負!」

 

 

 ん?なんか今背後にいる緑色のプリキュアが、何やら声をかけてきたような気がしたが…どうしたんだ?

 

 あ、先に介抱してくれっていうことか…?いや、そうしてあげたいのは山々なんだが、今はヒトツ鬼優先だ。

 

 プリキュア達が身体能力が凄まじいのは知っている。何があったのかは知らないが、様子的に大怪我をしたというより体力が底をついている感じだろう。

 

 なら申し訳ないが優先順位は下がる。

 

 

 

「そりゃぁぁぁっ!!」

 

『ガァァォッ!!??』

 

 

 しかし、彼女達の声は満身創痍故かあまりにも小さく、俺には届かなかった。

 俺は、お構いなしに目の前の超新星鬼を横一文字に斬り裂く!

 

 

「成程…実際斬ってみてわかったが…この小柄さにパワー…お前子供だな?」

 

『家族…ミンナドコォ…』

 

 

 倒れ伏すヒトツ鬼に俺はそう問いかける。

 このヒトツ鬼、今まで戦ったヒトツ鬼よりも体格がかなり小柄だ。つまり、変身元も小柄ということ。それに加えて、パワーもかなり低い様に感じる。

 

 そう考えると…子供がヒトツ鬼にされたと見るのが間違いないだろう。家族に会いたいとか言っているし…迷子の子供にでも取り憑いたか?

 

 

「いずれにしろ…子供に取り憑くなど言語道断…!俺が浄化してやるっ!!

 

 

 俺は変わらないテンションでザングラソードを構えて駆け出すのだった。

 

 

***

 

 

 ドンモモタロウがお構いなしに暴れ回る中で、1人の少女がふるふると不安と恐怖、そして疲労で震え出す。

 

 

(今の…バイクの一撃…!もし、けいたにも届いているなら…!)

 

 

 緑川なおこと、キュアマーチの心は再度絶望の色に染まりつつあった。

目の前にいる戦士のことはよくわからない。桃太郎さんと言われていたが、今はそんなことはどうだっていい。

 それよりも大きな心配が彼女を支配していた。

 

 

(あのソノゼロが言っていることが正しいなら…けいたも…バイクに轢かれたくらいの一撃がっ!!)

 

 

 その時、彼女には、ある光景がフラッシュバックしていた。

 

 それは、彼女にとってはトラウマの様なもの。

 昔、妹が車に轢かれかけたと言う事実。

 とうごがいなければ、大切な家族が1人消えていたかもしれない。忘れもしないあの日のこと。

 

 それが、今ヒトツ鬼…"彼女の弟"にも実質起きたかもしれないと言うこと。未遂ではなく、実際に痛みが行き渡る様に。

 

 その忘れたくても忘れられない光景と、今の光景が積み重なり、彼女の気持ちがより追い詰められる。

 

 

「嫌だっ…けいたっ…けいたっ…!!」

 

「あれじゃあ…けいた君が!」

 

「桃太郎さんは…ウチら戦士が浄化したらアカンの知らへんのか…!?」

 

 

 プリキュア達は、ドンモモタロウのことは詳しく知らない。

 

 なので、ドンモモタロウがヒトツ鬼を安全に浄化できることも知らない。

 

 今まで目撃してきたヒトツ鬼もまた、超新星鬼のように人が変身したヒトツ鬼であることも彼女達は知らない。

 

 桃太郎さんこと、ドンモモタロウも、詳細はよく知らないが自分たちと同じ戦士だと彼女達は考えている。言ってしまえば、ドンモモタロウとプリキュアも力の本質は変わらないと彼女達は考えている。

 

 

「そりゃそりゃそりゃぁっ!」

 

ザシュゥッ!ザシュゥッ!

 

『痛イヨッ…!オ姉チャン…!助ケテ…痛イィ…!!』

 

「あっ…あああっ…!」

 

 

 変貌してしまったとは言え、弟の肉体から火花が出るたびに、弟が痛みの叫びを上げるたびに、マーチの目から涙が溢れ出そうになる。

 

 何故ならば、ドンモモタロウの攻撃が、中にいるけいたまで傷つけていると考えているからだ。ソノゼロがでっち上げた嘘ではあるのだが、今の彼女達にそれを知る手段はない。

 

 加えて、彼女達はこう考えている。私たちと同じ力持つ…ならば

 

 

 桃太郎さんが浄化すればけいたは死ぬ。

 

 

 だから、今すぐに動かなければ。桃太郎さんを止めなければ。そう思っても足がいう事を聞いてくれない。

 

 

「あっ…ああああっ…嫌っ…やめてっ…やめてっ…!」

 

 

 そして、思ったように大きく声も出ない。

 初変身の疲労、そしてキメ技での疲労、今までの戦闘での疲労、蓄積された疲れは想像異常のものであり、思うように体を動かせないどころか声も出ない。

 

 

「桃太郎さん!やめてっ!」

 

「あかん…!お願いや!やめてくれ桃太郎さん!!」

 

「けいた君が…けいた君が死んじゃうっ…!!」

 

 

 他のみんなも声をかけるが桃太郎さんは何故か聞く耳を持たない。声が小さいからと言うのもあるだろう。

 このままだと、けいたはどうなってしまうのだろうか。そんな不安が、絶望が、彼女達の心により影を纏わせるのだった。

 

 

***

 

 

『痛ィィ…オ姉チャン…』

 

 

 ん?こいつ痛覚が存在するのか?ヒトツ鬼は基本ストレスのせいで暴走状態にあってこうやって痛がることはない気がするのだが…

 いや、これは嘘だな。タロウ持ち前の嘘を見抜ける洞察力を持ってすれば見てわかる。演技で言っているな。油断を誘う為か…?いや、そんなことはどうだっていい。

 

 

(にしても姉ちゃんか…このヒトツ鬼の変身元には姉がいる様だな…なら、そのお姉ちゃんを心配させないためにも!)

 

「さっさと退治してやるっ!!」

 

ザジュウゥッ!!

 

『ギィァァァッ!!!』

 

 

 ドンモモタロウの攻撃により、今までで1番大きな火花がヒトツ鬼から飛び散る。

 

 

「ああっ…だめっ…だめっ…!」

 

 

 その様子を受けて、無理やり動けと命令する脳の指令に、彼女の肺がようやく聞いてくれるようになった。

 力を振り絞るように、彼女は息を大きく吸い込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お願い!!やめてぇっ!!!!」

 

「っ!?」

 

 

 俺は、ようやくここでプリキュア達の声に気がついた。

 何故気づけたかというと、その声の異常さからである。

 

 

(今の叫び…なんだ?何事だ?さっきは介抱して欲しいからだと思ってたが…)

 

 

 それにしては、緊急事態の時に出す、力を振り絞って出すような声だ。それに…

 

 

(この声…なんか聞き覚えあるような…)

 

 

 俺は、あの女の子の声と似たような声を聞いたことがある。まるで…あの事故の時のなおみたいな…

 

 

「違うのっ…!ヒーローさん!そのヒトツ鬼は倒しちゃダメッ!!」

 

「お願いや桃太郎さん!そいつを傷つけるのだけはやめて欲しいんや…!」

 

「……?」

 

 

 ボロボロのピースとサニーがそんなことを語りかけてくる。

 何だ?このヒトツ鬼、何か特殊な事情があるのか?いやだが…他のヒトツ鬼とはそんな変わりがある様には見えないか…強いて言えばさっき言った小柄である点やパワーが低いくらいだが…

 

 その時、俺にとって衝撃的な言葉がハッピーの口から飛び出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そのヒトツ鬼は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緑川さんの弟なのっ!!」

 

「……………っ!!?な、なんだとっ!!?」

 

 

 緑川さん…?おいまさか…なおのことか!!?

 

 

「ハッピー!それじゃ伝わらへん!桃太郎さんはなおのことしらんで!」

 

「あっ!と、とにかく!私の友達の大切な人なの!お願い、傷つけるのはやめてっ!!」

 

 

 なおの…弟だと…?このヒトツ鬼が…なおの…?

 

 そう思い振り返って超新星鬼の方を振り向く。

 そう言えば、確かにここはなおの家から近い。よく緑川家がサッカーしに遊びに来る場所だ。となると…本当に…

 

 

『ァッ…ァァァァッ!!』

 

ピィィィン…ピィィィン…

 

「っ!?」

 

 

 そう考えると、超新星鬼がその場に蹲り、体を覆う眩しいほど黄色い装甲の色がどんどん薄れていく。なんだ?何が起きている?明らかに様子がおかしい。

 

 

『オ姉チャン…俺ハ…俺ハ…!』

 

「クルッ!!?みんな!!目を閉じるクル!!」

 

「えっ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

『俺ハココダヨォォォ!!!』

 

ビカァァァァッ!!!

 

「「「「きゃぁぁっ!!?」」」」

 

「うおあっ!!?」

 

「クルー!!!!??」

 

 

 瞬間、猛烈な光が俺たちの目を襲った。

 おそらく、超新星鬼が持つ、原作にはない能力だろう。どうやら猛烈な光を放射できる発光能力を身につけているらしい。

 

 その光の強さは、閃光弾程度の強さは確実にあるだろう。常人が目に入れて仕舞えば一瞬で失明してもおかしくないものである。

 

 

「な、なにこれ…目が…痛い…!」

 

「目が見えへん…!!」

 

「み…見えない!けいたっ!どこっ…!」

 

「みんな!!大丈夫クル!?しっかりするクル!!」

 

 

 プリキュア達はモロに喰らってしまったらしい。キャンディが目を閉じるように事前に言っていたが、間に合わなかったようだ。

 

 事前に指示を出していたキャンディ以外全員が目を押さえ、その場にへたり込んで動けなくなっている。あれではしばらく歩くことすら難しいだろう。ただでさえ披露し切っているだろうに、泣きっ面に蜂だ。

 

 

で、肝心の俺はと言うと…

 

 

 

 

 

「そんな子供騙しが効くかぁぁぁっ!!」

 

ザシュゥッ!!

 

『フラァァァッ!!?』

 

「よくもなおの家族を!!せやぁっ!!」

 

『ギィィッァァッ!!??』

 

 

 ほとんどノーダメージである。そして、勢いが衰えることなく、そのまま突っ込んで超新星鬼の腹を切り裂いた。

強烈な光を喰らったと言うのに、なぜなんの問題もなく動けるのか…それは別に事前に予測して目を閉じていたからだとかそういうやつではない。

 

 

(サングラスつけててよかった〜!!)

 

 

 ドンモモタロウのバイザー部分は、サングラスが変形したものだ。アバターチェンジをした後でも、サングラスの機能は残っているのである。

 

 これは、実際に原作ドンブラザーズにおいても手裏剣鬼との戦いにて、諸事情で戦場に大量の塩が舞うことになってしまい、手裏剣鬼は目に塩が大量に入りダメージを受けて隙を晒してしまう場面があるのだ。

 

 この場面の時に、ドンブラザーズの面々はサングラスをつけていたからと言うことで塩が目に入ることなく、何の影響も受け付けなかった。そして、そのまま手裏剣鬼の退治に成功している。

 

 サングラスといえば元々強い日光を遮るもの。

 しかも、俺のサングラスは変身能力が搭載されている神様の特別製。

 

 つまり、今サングラスをつけながら戦っているも同義の俺にとってこの強い光はほとんどノーダメージというわけだ。無論、光である以上完璧に防げたわけではないため、ある程度眩しいとは思ったが、そんな閃光弾を喰らうレベルの衝撃ではない。

 

 

「そりゃそりゃそりゃぁぁぁっ!!!」

 

『ギャァッ!ァァッ!!?』

 

 

 袈裟斬り2連。そして面打ち一閃。

 俺はザングラソードを振り回し、相手に着実にダメージを与えていく。

 

 

「セイヤァァァッ!!」

 

ズバァァン!!

 

『オネェェアッ!?』

 

 

 ハッピー達の話を聞く限り…成程、大切な人がヒトツ鬼化して手を出せないとかそういうパターンだな?特撮でもよくある事だ。そう言う展開では、確かに躊躇って倒すことができなくなる。

 

 なおの弟…まともにヒトツ鬼化して暴れられる肉体を持てる子は、年齢的にけいた君か。

 

 浄化の力を持つもの同士、別に普通に浄化すればいいと思うだろう。だが、家族や身内となれば話は別…私情の一つや二つ、挟んで攻撃できないなんて、人だから当たり前にあるだろう。

 

 

(俺と縁を深めた男の子…しかもよく知るけいた君をヒトツ鬼にするとは…絶対許せん!!)

 

 

 だからこそ!プリキュア達にできないならば!俺が代わりにやってやる!!

 

 

「これで終幕だ!!」

 

 

 俺は、怒りと共にドンブラスターを取り出して、上面にあるボタンを押す。超新星鬼は斬撃のダメージの蓄積でふらふらだ…今がチャンス!

 

 

『オ姉チャン……痛イヨォォ…!助ケテ……!ナオ姉チャン……!!!』

 

『パァァァリィィィタァァイム!』

 

ブブブブブーン!

 

『ドンモモタロウ!』

 

 

 ボタンを押した俺はスクラッチギアをDJのレコードのように前後に回す。ジャカジャカとDJが掻き鳴らすような音が鳴り、必殺技の準備状態へと移行する…!

 

 

『ヘイ!かもぉん!』

 

「狂瀾怒桃!ブラストパーティ!!」

 

 

 そして、膨大な七色のエネルギーが銃口に溢れ出し、大きな弾丸へと変わった。銃口を向け、超新星鬼に狙いを定める。これで…終わりだ!そう、引き金を引く!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嫌だっ…だめっ…だめっ…!」

 

 

 家族を守る長女の執念で、最後の力を振り絞ってマーチが立ち上がる。

 

 先ほどの光のせいで目がぼやけてしまい、よく見えないが、派手な七色の光や桃太郎さんと呼ばれた存在の真っ赤な派手な姿は、たとえ目がぼやけても見える。

 

 

(あのままじゃっ…けいたがっ…!)

 

 

 彼女は、最後の力を振り絞って、地面を蹴って、突っ込む。大切な家族を守る為。あの時のように走れない自分にはもうならないと誓ったから。なんとしてでも止める。もうこれ以上、家族は傷つけさせないと!

 

 

(絶対に…殺させなんてさせない…死なせないっ!!!)

 

 

 

 

 

 

 

ドォォォン!!!

 

 

 

 

 

 

「やめてぇぇぇぇっ!!!」

 

ドゴォッ!!

 

「のわぁぁぁぁっ!!!??」

 

 引き金を引くその瞬間、背後から誰かに思いっきり凄まじい勢いで体当たりされてしまい、体勢が崩れてしまう。

 

 

ヒュォォッ!!

 

 

 俺は、衝撃を受け止めきれずにバランスを崩してしまい、原作ドンブラザーズにて対魔進鬼でキジブラザーが邪魔した時のように、あらぬ方向へと弾丸が飛んでいってしまった。

 

 

「っ…てて…おい!緑の!何をする!!」

 

 

 俺は、慌てて起き上がり、突っ込んできた人間の方を見る。

 そこにいたのは、緑の新しいプリキュアの子だった。必死そうな表情で、側から見ても満身創痍だとすぐわかるというのに、彼女はヨロヨロと立ち上がり、俺の肩を掴んで押さえてくる。

 その手に伝わる力はあまりにも弱々しいものだった。

 

 

「お願い…!あの怪物を撃たないで…!あれは…あれは…!」

 

「わかっている!お前達の知り合いの弟なんだろう!?ならば早く浄化しなくては!」

 

「やめてっ…そんなことしたらっ…!」

 

 

 そのまま、彼女にガシッと手を握られてしまった。これではドンブラスターが撃てない。振り払おうとするが…その瞬間彼女の顔が目に入る。俺の顔を、先ほどの強烈な光を喰らったからと言うのもあるが、今にも泣き出しそうな目で見てきていた。

 

 酷い顔だ。笑顔とは最も遠い、絶望した少女がする顔だった。

 そして、彼女は震えた声でこう告げてきた。

 

 

「あれはっ…あたしの弟なの…!」

 

「っ!?」

 

 

 俺は、その必死そうな形相と声…ここでようやく頭の中で一つ気づいたことがある。今の言葉、先ほどの"なお姉ちゃん"というヒトツ鬼の言動…さっきの声…まさか…

 

 

(この緑髪のプリキュア…なおか!!?)

 

 

 お、幼馴染がプリキュアだとぉ!!?なんだその展開は!?いや、今はそんなことよりだ!

 

 

「だったら尚更だ!今ここで逃げる前に浄化しないと!だから離せっ!取り返しのつかないことになるぞ!」

 

「違う…違うの……!」

 

「…何がだっ!!いいから手を離せ!」

 

 

 俺は、プリキュアとは思えないほど弱々しい手を無理やり払い除けようとしたその時…彼女の口から飛び出た衝撃的な言葉を聞いた。

 

 

 

 

 

「違うの…あたしたちが浄化したら…!けいたは…けいたはっ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けいたは死んじゃうんだよっ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………何?」

 

 

 死ぬ?今死ぬと言ったか?

 

 どういうことだ?浄化したら死ぬ…だと?いや、今までそんなことはなかったはずだ。

 

 今まで倒してきたプレーンのベニツ鬼や動物鬼、爆上鬼、騎士竜鬼、魔進鬼といった鬼達は、俺が倒したら全員元の人間の姿に戻っていたはず。例外なんてなかったはずだ。

 

 ドンブラザーズで登場したヒトツ鬼を消去して周る存在である脳人が、ヒトツ鬼にトドメを刺せばこの世から存在が消えると言うのは間違いない。

 

 つまり、このヒトツ鬼は例外、浄化してしまうと中にいる変貌した人間も死ぬということか?

 

 

(いや…確かにいつも戦ってる鬼より小柄だしパワーは低いが…それはあくまでも素体が子供だからだ。何度か子供が変身したヒトツ鬼を討伐してきているしそこは間違いない。だから別に特段死ぬなんて重たい事柄が出るほど特殊な事例ではないはず…ならなんで…いや待てよ?)

 

 さっき、なおは"あたしたち"って言ってたよな?

 もしかして、こう考えることができるんじゃないか?

 

 

(プリキュアが浄化したら…脳人がヒトツ鬼を消去するのと同じように、()()()()()()()()()()()()()()!?)

 

 

 その考察が頭から飛び出てきた瞬間だった。彼女が、弱々しい声で頼み込んでくる。

 

 

「だから……お願い……やめて………撃たないで…」

 

「……………手立てはあるのか。他に」

 

 

 俺は、無理に振り解こうとするのをやめて問いかける。

 しかし、なおは項垂れたままだ。そして、彼女の汚れた変身体のスカートに、ポタポタと水滴が落ち始める。

 

 

「…………………何も無いんだな」

 

 

 俺は、なおの様子を見て、そう結論づけた。反論する声はない。

 彼女はただ、どうすることもできない現実に打ちのめされてしまっている。そんな風に思えた。

 

 

「わからないよ…あたし、わかんないよ…」

 

「……………お、おい!?」

 

 

 すると、なおが俯き、絶望し切った声を出す。

 いつものなおじゃ、到底考えられないその様子に、俺は思わず彼女の肩を抑えてしまった。そして、そのまま弱々しい声でこう語り出す。

 

 

「はは…前もそうだった…はるが危なかった時、何もできなかった。だからこそ…絶対もう、家族は危険な目に晒さないって決めたのに…」

 

「……………」

 

 

 俺もよく覚えている。はるちゃんが死にそうになったあの日のことを。成程、あの日の俺の説教はちゃんと響いてたんだな…れいかが言ったみたいに、誰かに道を示せていたようだ。

 なおのことだ、愚直に、もうあんな危険な目に家族を合わせないと心の中で誓ったのだろう。家族の危機には絶対駆けつけると決めたのだろう。

 

 だが、今見ればどうだろうか。

 

 家族の危機だというのに、何もできない現実が、彼女の前にある。

 

 

「あたし…走れる力も手に入れたのに…結局、何もできなくて…結局無力で…」

 

「………………」

 

「弟1人すらどうもできなくて…あたし、家族が大好きなのに…なにもできない…」

 

「………………」

 

 

 そして、彼女自身を否定してしまうような言葉が、口から飛び出てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あたし…お姉ちゃん失格だよ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ああ…くそ…イライラする…!)

 

 

 状況は大体わかった。整理すれば、けいたがヒトツ鬼化するも、プリキュアの力じゃどうしようもできずに絶望していた。そういうことだ。そして、俺がよく知る、家族思いで真っ直ぐななおは、こうになるまで打ちのめされてしまっていた。何もできないのだから。

 

 

 だからこそイラつく。

 

 飯?急いで倒して帰る?そんなんどうだっていい。

 

 幼馴染がこんなになるまで何もせず。

 

 ただ呑気に飯のことだけを考えていた自分に心底腹が立つ。

 

 今考えてみれば、なおにとって、俺はお構いなしに弟を斬りつけていたこととなる。

 

 つまり、俺も彼女を絶望させる一助をしてしまったということだ。

 

 

 何がヒーローだ。何が縁を結んだ人間を守るだ。1番身近な幼馴染を、こんなになるまで放っておいて、しかも間接的にこうなるまで手助けして…なにがヒーロー志望だ。バカらしい。

 あの時飯のお誘いを受けていれば。みんなと一緒にいれば、こんなことにはならなかったのかも知れない。そして、俺がもっと自分のことを早く話せていれば、なおがこんな気持ちになることなんて無かったかもしれない。

 

 

「………………いや」

 

 

 違うな。こうやって俺までネガティブになっちゃ話にならねえ。逆に考えるんだ。取り返しのつかない事態になる前に、俺が間に合ったのだと。俺という、この状況を打破できる存在が来れたのだと。

 

 そう考えると、俺となおにはやっぱりいい縁があるようだ。こうして、手遅れになる前に引き寄せてくれたのだから。

 

 

「ハーッハッハッハ!!」

 

「っ!?」

 

 

 俺は、イラつきを吹き飛ばすように大声で笑う。反省や後悔は後だ、してしまったこと、起きてしまったことを無かったことにすることはできない。絶望をなかったことになんてできない。だからこそ、俺がすることはただ一つ。

 

 なおを、絶望から救い出してやることだ!

 

 

「笑い事じゃないよ…!あたしは…家族がっ…」

 

「そんなことは百も承知だ!だからこそ笑うんだ!

 

「えっ…?」

 

「笑う門には福来るだ!!そんなんじゃ救えるものも救えないぞ!笑えないっていうなら、俺が笑わせてやる!」

 

 

 そう言って、俺はすっかり力の抜けてしまった彼女の手を外して立ち上がり、超新星鬼の方へと一歩前に歩み出す。

 

 

()()()()!俺とお前に縁があって良かったな!俺と結んだ縁が、俺という名の奇跡を呼んだんだからな!」

 

「何…言って…」

 

『オ姉チャァン…ァッァッ…!』

 

「ここは俺に任せな!()()()()()()()()()()()()()()()()()だ!」

 

「えっ…?」

 

(今の…今の言葉って…!あの時の…!!)

 

 

 俺は、なおにはるちゃんとの一件で語りかけた言葉を再度投げかける。

 他のプリキュア達もそうだ。星空さんも、日野も、黄瀬さんも、全員笑顔が1番よく似合う。だというのに、さっきの表情を思い出せば…みんな全員、絶望のせいで曇っている。

 

 光なんてどこにもない。絶望が全てを覆ってしまっている。

 

 

「あいつを浄化すればけいたも死ぬ?そんな不条理、俺の前じゃ通じはしない!」

 

「っ…!?」

 

 

 説得力などない言葉だろう。だが、それでもいい。一筋でも希望を感じてくれればそれで十分だ。

 この曇り切った空。あの曇り切った空気。そして、幼馴染の絶望し切ったその顔。何もかも、俺がこの場で晴らしてやる!

 

俺の光で全部浄化してみせる!!

 

 

(なんだろう…この雰囲気…縁って言葉に今の言葉…あの時言ってくれたこと…この人、まるで…桃冴…みたいな…)

 

『ガァァァッ…』

 

「丁度いい…最近手に入れたギア…同じ宝石モチーフが込められたモノ同士…成程、何か縁を感じるな」

 

 

 俺は、あるギアをドンブラバックルから取り出す。それは、あるキラめく戦士の力が込められたギアだ。

 

 絶望に染まり切ったこの空間を照らす為…力を借りるぜ大先輩!

 

 

「さぁ…祭だ!!もっと煌めこうぜ!

 

 

 俺は、ドンブラスターを拾い上げて、ドンモモタロウギアを外して、その戦士のギアを嵌め込む。任せろと言わんばかりに、そのギアが光ったような気がした。そして、その決意を胸に、思いっきりスクラッチギアをぶん回す!!

 

 

『いよぉ〜!!』

 

『どん!』

『どん!』

『どん!』

 

『どんぶらこー!!!』

 

 

 合いの手と共に、スクラッチギアを回し、銃にギアの煌めく若者達の物語のデータを読み込ませる。そして、読み込みが完了し、変身待機状態へと移行する。

 

 

『キラメイジャー!!』

 

 

大先輩!大先輩!大先輩!大先輩!

 

「キラメイ…アバターチェンジ!!」

 

 

 そう言って、俺はスクラッチギアを回しながら、腕を引いてトリガーを引き、煌めくデータが詰まった弾丸を射出する。

 

 

ピキィッ!!!

 

 

 巨大なアバタロウギアが俺の体を包み込むにつれ、俺の体は宝石に覆われる。

 

 

バキィィン!!

 

 

 そして、身体を覆っていた真っ赤に輝く宝石が砕け散り、新たな赤い戦士のスキンがその姿を現す。

 そして、"魔進ファイヤ"と呼ばれる、創の戦士の相棒として共に戦い抜いた消防車型のキラメイ魔進が俺の周りに現れ走り始める。

 

 

『キラメこうぜ!』

 

 

 肩にタスキのようにかけられたその道路に魔進ファイヤが停車して、赤い宝石のレリーフと変わる。そして、頭を覆うフェイスパーツが俺の顔を包み込む!

 

 

「閃きスパークリング!」

 

「キラメーーイ!レッド!!」

 

 

真っ赤なキラキラボディ。

 

頭に輝くルビーのような宝石。

 

道路をモチーフにしたタスキのような装飾。

 

 

 スーパー戦隊シリーズ第44作"魔進戦隊キラメイジャー"に登場した、秘めた"キラメンタル"を胸に、相棒や仲間と共に、持ち前の想像力と閃き力を活かして輝き続けた創の戦士キラメイレッドの姿に俺は変わった。

 

 

『オ…姉チャァン……!!!』

 

「お前達の絶望…俺が晴らしてやる!!」

 

 

 俺の輝きで、なおもけいた君も!プリキュアも空も!素敵なみんなの笑顔の煌めきを!

 

みんなの輝きを!俺が取り戻す!!!




 はい。もう1話続きます。すみませんでした(おい)

 いや…実を言うと、このお話で書き上げようと思ってたんですが…筆が進んで15000字超えてしまったので…文字数調整のためまた分けます…

 本当はもっとドン曇りする展開にする予定でしたが…文字数調整のために断念…展開を変えることに…畜生…くうっ…

 1話1話が重いと進行速度に難が出るからもっと文字数減らしたいのに…なんでこう私はいつも10000字を越して書いてしまうんだ…(泣)

Q.最近、ドン1話につき話数多くない?

A.ノリで後先考えずに書いてる影響です。筆がのったり、この展開いいかも!ってなると文字がどんどん増えてお話分けざるを得ないんです。許してください…

感想、お待ちしています!

サルブラザーって見た目だけならかっこいいと思いますか?

  • 思う!
  • かっこいい…とは思わんかな()
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。