ニチアサの世界に転生とは聞いていたが…!   作:よく酔うエンジン

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 透明ランキング、他のランキングに比べればあまりすごくないのかもしれないけど、順位が一つ上がってる…!ありがたい限り…!お気に入り登録や評価をくださった方、ありがとうございます!!本当に感謝してもしきれません!!

 さてさて…みなさんお気づきだと思いますが、この世界のヒトツ鬼は、我々がよく知るヒトツ鬼ではないようです。オリジナル要素として入れてみました。逆に入れなかったら、原作より一人多いメンツ(しかも他作品の力乱用できる縁結び暴太郎)でバッドエンド王国に挑むわけだし…いくらthe登場する時間間違ってるだろ悪役代表ジョーカーさんがいてもイージーゲームになりかねないからね()

 それさそうとて…ヒーローに憧れる少年は、この脅威に立ち向かうことができるでしょうか?




ほえろヒーロー

 

「なっ…あっ…あっ…」

 

 俺は、その場に尻餅をついてしまう。

 前世からずっとテレビを通してみていた、作劇上での怪人ではなく。

 時たま見に行っていた、ヒーローショーの悪者ではなく。

 コンクリート製の壁を簡単にぶっ壊してしまうほどの、本当の化け物。

 

 

「ウオワァァァァァ!!!」

 

 

 再度大きく雄叫びを上げて、「鬼険棒」と呼ばれるヒトツ鬼の共通武装である無骨な大剣を振り回して、近くにあった看板や壁を一撃で破壊する。

 

 あいつは…"ヒトツ鬼"…本来ならば、脳人レイヤーに巣食う化け物だ。

欲望が肥大化した人間に取り憑いて実体化して、思いのまま暴れ回る。

 性質としてもう一つ。大体のヒトツ鬼達は、今までの戦隊の力をなぜか会得し、それを"スキン"として鎧のように纏っている。

 

 今目の前にいるヒトツ鬼は動物戦隊ジュウオウジャーのスキンを身に纏っているのだ。

 

 奴の名前は"動物鬼"。原作では、確か看護婦に取り憑いて暴れていたはず。

 

 そう考えるとやはりおかしい。色々と俺が知っている動物鬼と違う…動物鬼から聞こえる声は看護婦どころか明らかに男性の声だ。それに、原作ではこんな場所で暴れている描写はなかった。

 

 原作外の俺が知らないだけでドンブラザーズの世界で起こっていたこと…と言われたらもう何も言い返せないが、それでも今俺がいる脳人レイヤーのようなこの空間に対して説明がつかない。

 

 そして、あのよくわからないピエロの鼻のような球体も違和感がある。あれは一体なんなんだろうか。

 

 

「っ…!今はそれどころじゃねえっ!黄瀬さん!こっちに!!」

 

「…友達なんて…」

 

 

 俺は、うわ言しか呟かなくなっている黄瀬さんを物陰に隠そうとする。ひとまず、お姫様抱っこの状態で、近くにあったポストの後ろに彼女を座らせた。あそこからなら…多分見えないはずだ。それと同時に、俺は動物鬼の様子を観察する。

 

 

「あれは……モヤを喰っている…のか…?」

 

 

 先ほどから色々な人から伸びている黒いモヤの様なオーラ。それは、よく見ると動物鬼の口の部分へと集結していた。まるで、黒いオーラを餌のように食べている…?いや、あれは…

 

 

(喰っている…と言うより、回収している……?)

 

「黄瀬さん、取り敢えず、ここにいて…聞こえないかもだけど…」 

 

「…………」

 

 

 あれはあのモヤを食っているというより、一度体の中に保存するため溜め込んでいる。俺にはそう感じ取れた。さて、俺はこれからどうすればいいのだろうか…と考えていた時だった。

 

 

「オ前…何故動ケル…?舐メテルノカ…?」

 

「っ…!?」

 

 

 しまった、気づかれてしまった。

 黄瀬さんの方は物陰に隠しているからまだバレていないはず…つまり、言葉の内容的にもあれはおそらく俺に向けて言っている。

 

 向こうの目がどこかわからないのでなんとも言えないが、ガッチリ目があったような気がするし。

 

 動物鬼がキッと、こちらに怒りを込めた視線で睨みつけてくる。さっきから舐めてる舐めている言っているが…おそらく、あれがヒトツ鬼に取り憑かれた人間の欲望の証なのだろう。

 

 "誰にも舐められたくない"という感情が暴走して、自分が少しでも気に食わない態度をとった人間は"舐めた態度をとった"として暴れ回る…とでも言ったところだろうか。

 

 いつもの俺ならもう少し冷静に分析していたことだろう。だが、今の俺はそれどころじゃなかった。

 

 

(っ…!くっ…これは…足がっ…震えっ…)

 

 

 

 

"恐怖“

 

 

 その2文字が示す感情が俺の心の中に確かにあった。

 "理性"は勇猛果敢にあいつと戦おうとしている。が、俺の生存本能に基づいた"本能"からその感情が溢れ出ていた。

 

 まるで、蛇が獲物であるカエルを前にした時に睨むときの様な、襲われる側の人間にとって恐ろしい殺気と視線。それを俺は肌で感じてしまい、ヒーローに憧れているだとかなんだとか言っている割に、体がびくりと震えてしまった。

 

 2度人を助けるために暴走する自動車に突っ込んだことはあるというのに…それとは比べ物にならない圧を感じてしまった。なぜならば、自動車に比べて、化け物は明確な"殺意"をこちらに向けているのだから。

 

 無理のない話かもしれない。俺は、前まで普通の生活を送ってきた一般人だ。転生者なこと以外なんの変哲もないガキである。

 

 視界に入ったのは、ボロボロに倒壊した一軒家のコンクリートや石の外壁。目の前の怪物が、コンクリートを簡単にぶっ壊す力を持っていると改めてわかった瞬間、本能的に恐怖の感情が湧き出てしまったのだ。

 

 方や子供、方やコンクリートを叩き壊す怪物。どちらがこの場において圧倒的強者であり捕食者側、つまり蛇側かなど、言うまでもないだろう。

 

 だから、俺の生物としての人間の"本能"が、完全に怯え切っていた。

 

 生物というものは、自分より圧倒的な存在を目の前にすると足がすくんでしまうものである。それが今の俺に起きていた。

 

 俺に変身する力があったらこんな感情湧いていなかったかもしれない。しかし、今の俺はなんの力も持たない小市民である。

 

 例え転生者だろうがなんだろうが、ただの哀れな捕食される側に立つ弱い人間でしかなかった。

 

 

「っ…くっ…落ち着けっ…俺…!今ここでやらなきゃっ…!」

 

 

 俺は、なんとか恐怖に震える心を奮い立たせ、サングラスを着け直す。

 

 なぜあの化け物がこの場にいるのか知らないが、こうやってバレてしまった以上、街の人を守るため、俺は戦わなくてはならない。

 

 

(っ…だが…俺が解放できてたのはアバタロウギアだけ…変身できるのか…?)

 

 

 いや、そんなこと考えている暇ない。もしかしたら、こうやって有事になったら変身能力が解放されるみたいなシステムなのかもしれない。そうであることを願い、手を天に伸ばして大きく心の中で叫ぶ。

 

 

(来てくれ!ドンブラスター!!)

 

 

 …しかし、何も起きない。

 

 

(頼むっ…頼むから来てくれよ…!今変身できなかったら、いつ変身しろっていうんだ…!)

 

 

 俺は、いつもよりも数倍強く来いと念じる。でも、何も起きない。

 普通考えてみれば当然だ。今まで呼び出せなかったのに、今ここではいそうですかと呼び出せるほうがおかしいだろう。

 

 ピンチの時になって変身能力が覚醒なんていうご都合展開にはならなかったようだ。

 

 

「っ…だがっ、どのみち好都合っ…このまま逃げて…」

 

 

 黄瀬さんや…他の町の人とのとの距離を離す!そう考えた瞬間、俺は、反射で相手に背中を向けて、走り出そうとする…が。

 

 

「うわっ!!」

 

 

 ずしゃしゃと、盛大に転んでしまった。

 痛い…そして怖い…生物としての"本能"から来る二つの感情が、俺の意識を板挟みして、俺の"理性"ををかき乱してくる。

 

 そして、耳から聞こえてくる足音…動物鬼の足音だろう。

 

 だんだんと近づいてくるのが分かる。

 

 

「舐メテル奴ハ…殺ス…!」

 

「っ!くそっ、早く逃げなきゃ…くそっ!」

 

 

(ヒーローなんてどうでもいい。引きつけるのなんてどうでもいい。戦うなんてもってのほかだ…怖い、嫌だ。友達なんて見捨てて逃げよう。このままだと襲われて殺される)

 

 

 っ!なんだ今の思考はっ…情けないぞ俺…!

 俺の少しでも化け物相手に足掻こうとする俺の考え…"理性"に対して、"本能"がそんな言葉を脳に訴えてくる。

 

 

(嫌だ、せっかく神様に転生させてもらったのに…!こんなところで命を散らしたくない!)

 

 

 "理性"では戦おうとしても、俺の生物としての"本能"はそれを拒否していた。さっきから頭の中に、弱気な言葉がどんどん湧いて出てくる。

 

 

 (殺されたくない。傷つきたくない。怪我したくない。逃げたい。友達なんか見捨てて逃げたい。自分の命が一番だ)

 

 

 っ…鬱陶しい…これは…俺は表面上戦おうとしても、内心は今すぐに逃げたいって思ってるってことか…?

 

 そう直感的に察してしまう程、思考に俺の恐怖心がダイレクトに伝わってくる。そのせいか、ヒーロー志望と名乗るには聞いて呆れるほど、俺の体は震えてしまっていた。

 

 

「くそっ…ここはニチアサの世界なんだろう!?俺のことはいい!だから誰か助けてくれよ…!ヒーロー!!」

 

 

 そう言うも、誰も来ない。

 今この空間でまとも己の意思で動いているのは、俺とあの動物鬼だけだろう。互いにまともと言えるかどうかは怪しいが。

 

 後で知るが、この世界に"ヒーロー"はまだ居ない。()()()()()()なら居るが、"ヒーロー"はまだ居ないのだ。

 

 

「頼む…誰かっ…友達が…危ないんだっ…」

 

 

 そう思った時だった。俺の耳に、動物鬼以外の声が聞こえた。

 

 

「……私は…もう……」

 

「っ!?あれは…黄瀬さん!?」

 

 

 声の主は黄瀬さんだ。物陰の後ろ側に寄りかかった彼女の口から、虚な言葉が飛び出している。

 

 

「オ前…舐メテル…ノカ…?」

 

 

 動物鬼の方を見てみると、奴の注意が、明らかに黄瀬さんに向いていた。よくよく考えればバレてもおかしくなかった。なにせ、アイツは俺に暴力を振るうためにこちらに近づいて来ているのだ。そして、俺の付近には思いっきり黄瀬さんがいたのだから。

 

 さっさと逃げて引き付けてれば、黄瀬さんの存在は察知されていなかっただろう。だが…バレてしまった。よりにもよって今動けない黄瀬さんのことがだ。

 

 

(っ…!俺がっ…俺がこの場であたふたしてたせいでっ…!)

 

「黄瀬さん!!逃げろ!!」

 

 

 しかし、黄瀬さんは目の前の化け物の存在に気が付いていない。俺の声すら届いていない。あれだけの至近距離にいるのにだ。やはり、意識が飛んでしまっている状態に近いのかもしれない。

 

 

「私…は…」

 

「舐メテルナァァァァ!!」

 

 

 すると、黄瀬さんのその虚な態度が癪に触ったのか、動物鬼は腕を大きく振り上げて、鬼険棒を空高くあげた。そしてそのまま、黄瀬さんに向けて、鬼険棒が振り下ろされようとしていた。

 

 

「あ……黄瀬…さん…」

 

 

 初めてかもしれない、大好きな趣味を語り合える友達。関わって数分かもしれない。それでも、一緒にショーを見る約束をした女の子。

 

 あの鬼険棒が振り下ろされたら…彼女は…どうなってしまうんだろう…

 

 

「…………っ……ぁっ………っぁぁぁ!!!」

 

 

 そう考えた瞬間、俺の足は勝手に動いていた。恐怖に屈していた俺の"本能"が、彼女の為に動けと、俺の足を突き動かしていた。

 

 

「やぁぁぁぁめぇぇぇぇろぉぉぉぉ!!!」

 

「ヌグゥ!?オ前ェェ!!」

 

 

 俺は、気がついたら動物鬼に向けて突進していた。

 

 彼女が危ない。俺のせいで彼女が傷ついてしまう。

 

 そう考えた瞬間、恐怖なんて忘れて、俺の体は勝手に動物鬼の方へと向かっていた。

 

 あの時、俺が前世で親子が車に轢かれそうなのを見て、突っ込んだ時のように。はるちゃんを守るために、トラックへと突っ込んだ時のように。

 

 勇猛果敢に動物鬼に突っ込むが、相手はぴくりとも動かない。くそっ、見た目通りガッチリしてやがる。

 

 

「ドケェ!!俺ヲ舐メルナァァ!!」

 

「ぐへぇっ!!?」

 

 

 胃の中身が全部飛び出そうになるくらい強い衝撃が腹を襲う。思いっきり奴は俺のお腹に蹴りを入れ込んだようだ。

 

 そのまま俺は後方にぶっ飛ばされる。

 

 

「オ前ェ!オ前ェ!何様ダ!コノ俺ヲ舐メテルノカァ!」

 

「うっ…ぐっ…おえっ…!!」

 

 

 腹を強打されて気持ち悪い。

 

 そのまま、俺に向けて動物鬼が威嚇を飛ばす。

 

 

(…頭じゃ分かってんだよな…勝てるわけないって…)

 

 

 方や化け物。方やびびってる変身できない小学生。無理にも程がある。

 

 でもなぁ…ははっ…なんでだろう…痛いのに…怖いはずなのに…さっきと違って、ちっとも…一人だけで逃げようなんて思考が湧いてこない。恐怖のあまり、頭がイカれてしまったのだろうか。

 

 

(いや…そうじゃねぇ…)

 

 

 黄瀬さんが襲われそうになって、俺の"理性"も"本能"もこう思ったんだ。

 

 

(自分の命なんかより…縁を結んだ…この世界の優しい人たちが…傷つく方が…よっぽど嫌だ!)

 

「何様だぁ?そうだな…ヒーローの卵様ってところかぁ?」

 

 

 俺は、腹を抑えながらも立ち上がる。

 クソ痛いけどなんとかなる。

 

 今のこの状況でマトモに動けるのは俺と動物鬼だけ。

 なら、俺が動かないでどうする。

 

 そうだ、何をビビってる。

 

 俺が憧れたヒーローは…例え変身する力がなかろうと、人を守ってきたかっこいい人間だろうが!

 

 

「はぁ…最悪だ…」

 

 

 思い出すだけで恥ずかしい。ヒーローに憧れてる人間がやっていいとは思えないくらい情けない姿を晒してしまった。

 

 転生してから…いや、転生する前からずっと思ってきただろうに…恐怖のせいで頭から抜けていた。俺がなりたいヒーローを。

 

 

(例え、どんなに弱くても…例え、ヒーローに変身する力がなくても…)

 

 

 守るものの為に、立ち上がって抗う。それがヒーローだ。

 

 

 俺は目の前に怪物がいて、人々が襲われているという時に、何も出来ずに逃げ惑うだけの人にはなりたくないって…俺はずっと鍛錬を積み重ねてきた。

 

 目の前に困っている人がいるならば助けるって…俺はずっと心掛けてきた。

 

 誰かが危機に陥ったら真っ先に救うって…俺はあの時気付かされた。

 

 俺が憧れた戦士たちの様なスーパーパワーがないのなら、俺は目の前にいるあの化け物に勝てないだろう。それどころか殺されてもおかしくない。

 だけど…それが逃げていい理由になんてならないはずだ…それに…

 

 

「女の子一人守れないで…ヒーローになんかなれるかよっ…」

 

 

 たとえ誰も助けてくれなくたって、たとえ力がなくなって、たとえ死ぬことになったって…俺は逃げたくない!心だけは…ヒーローでありたい!

 

 縁を結んで深めたみんなの()()()()()()()!!

 

 

「くらえぇぇぇ!!!」

 

 

 俺は立ち上がり、注意が向いた動物鬼に向けて渾身の拳を振るう…が。効いている様子はない。

 

 

「ウオァァァァァァ!!」

 

「ぐはっ!」

 

 

 むしろ、こっちに拳が向けられる。俺は人間、相手は怪人。パワーが違いすぎる。首の骨が折れそうな勢いの強い衝撃が俺の顔面を襲った。

 そして、俺はそのまま地面へと倒れ伏してしまう。

 

 

「うぐっ…」

 

 

 今の俺に変身する力は無い。つまりあいつを倒す力なんてない。やっていることは、ただの無駄な行為。今狙われて死ぬか後で追い詰められて死ぬかの2択のうち、今死ぬ方を選ぶ愚行をしているに過ぎない。

 

 だけど…

 

 

「上等…じゃねぇか…!」

 

 

 俺は、不敵に笑う。そして、手を地面につけて、負けてたまるかと立ち上がる。

 

 何が戦う力がないだ。何が変身する力がないだ。

 

 例え力が無くても…俺は守りたい。

 

 俺が憧れてきたヒーローなら…!たとえ戦う力がなくても…立ち上がって、みんなを守ってきた…!

 

 縁を結んできた俺の大事な人を…!傷つけさせて…たまるか…!

 

 

「はーっはっはっは!!」

 

 

 俺は、急に狂い出したかのように笑い声を出す。まるで、ドンモモタロウのように。

 

 

「呼んでも助けてくれるヒーローがいない…?なら…俺がなってやる!」

 

 

 作った縁を…縁を結んだ人たちの笑顔を…曇らせなんかさせない…!

 

 

「例え力がなかろうと…!変身できなくても…!俺が憧れた!みんなを助ける…ヒーローに!!みんなを守るヒーローに!!俺が!!なってみせるっ!!」

 

「俺は…決めたんだ!作った縁を守るって!縁を結んだ、深めた人たちの笑顔を守るって!」

 

「その縁を…大切な縁を…縁を結んだ人たちの…笑顔を壊そうって言うなら…」

 

 

「俺が許さねぇ!!!」

 

 

 そう、叫んだ瞬間だった。

 

 

 ぽんっと音が鳴り、少し大きな桃のような物が現れた。

 

 

 よく恐怖に打ち勝った。

 

 よく戦う意思を示した。

 

 

 そう頭の中に言葉が響いた気がする。

 

 そして、その桃が割れると黄色い大きな拳銃が現れた。

 

 上下二連の銃口。

 

 桃のエンブレムが刻まれた"スクラッチギア"。

 

 どデカいU字型のサングラス。

 

 そして、ギアをはめ込む為の”ギアテーブル”。

 

 

 俺はこいつが何かを知っている。

 今の俺が一番欲しかった、"力"だ。

 誰かを守り、敵を撃ち倒し、人を救う"力"。

 

 

「っ…!やっと…来てくれたか…!」

 

 

 俺は、そのまま召喚された"ドンブラスター"を手に取って、銃口を上にして構える。

 

 使い方は分かる。前世からずっと見てきたし、神様からも脳内に直接教えてもらった。そして、この日が来ることを夢見て、実物がなくてもずっと想像していた。

 

 

「ふぅーっ…」

 

 

 俺は、一つ深呼吸をする。そして、目をカッと見開き、目の前にいる動物鬼を力強く睨みつける。

 

 もう迷いはない。もう逃げない。

 

 今からなってみせる…俺が憧れた…スーパーヒーローに!

 

 そして…黄瀬さんも…みんなも…守ってみせる!!

 

 

「アバターチェンジ!」

 

『いよぉ〜!!』

 

 

 瞬間、黄金の波がどこからともなく現れる。

 

 その波は、ここら近辺を包み込み、動物鬼が近づいてくるのを防いでくれる。そして、波は一つ大きな扉を運んできてくれた。その扉は、どこかサイバーパンクな雰囲気を纏っており、俺の頭上へと移動する。

 

 

『どん!』

『どん!』

『どん!』

 

 合いの手と共に、ギアテーブルのようなスクラッチギアを回し、銃にギアのデータを読み込ませる。

 

『どんぶらこー!!!』

 

 

『アバタロウ!!』

 

 

ドンブラコ!ドンブラコ!ドンブラコ!ドンブラコ!

 

 いなせなBGMが流れ出し、俺がつけていたサングラスが勝手に外れて、俺の周りを飛翔し始める。そして、そのサングラスが赤く光りだし、大きな桃のエンブレムが付けられたサングラスへと変化した。

 

 

 ギアを回し終えた俺は、天高くドンブラスターを持ち上げ、トリガーを引く。

 

 

「はぁっ!!」

 

 

 すると、赤色のデータが詰まった弾丸が、空に鎮座していた、波に運ばれてやってきた扉へとぶつかる。

 

 そして、そのデータを読み込んだ扉が開き、巨大なアバタロウギアが現れた。それは、回転しながら俺の頭の上へと飛来し、そのまま俺の体を包み込んでいく。

 

 肩にはアーマーがつき、羽織のような衣装を着て、赤い桃のエンブレムが刻まれたベルトが腰に装着される。

 

 俺の体は、憧れの赤い戦士のスキンへとなった。

 

 そして、俺の周りを飛び回っていたサングラスは、俺の顔の方に飛来し、そのまま装着された。それと同時に、アバタロウスキンに刻まれたデータが顔を形成し、俺の体は完全にヒーローの姿となる。

 

 

『ドン!モモタロウ!!』

 

 

 真っ赤なドンまげ。

 

 胸に刻まれた桃のマーク。

 

 巨大なサングラス。

 

 人智を超えたスーパーヒーローとされる戦士に俺は"変身"した。

 

 

『いよっ!日本一!!』

 

 

 大切なものを守るために戦う"ヒロイン"達がいるこの世界にて。

 

 誰かを守る"ヒーロー"が生まれた瞬間であった。

 

 

「これで…やっと…戦える!!」

 

「ウオァァァ!!」

 

 

 身体中から力が溢れ出てくるのが感じる。憧れの戦士に変身できた感動が滲み出てくるが…それよりも、俺の心は感謝の気持ちに溢れていた。求めていた力が手に入ったからだ。

 

 

(これなら…守れる…!!)

 

 

 サングラスを光らせて、真っ直ぐ突っ込んでくる動物鬼を睨みつける。もう怖がりなんてしない…絶対にだ!

 

 

「さぁ…鬼退治だ!!」




 はい。えーと…3話構成です。これは元々想定して使ってました。つまり、前言った唯一の2話構成云々は嘘ではないってことですね(震)

 いやぁ…やっとここまできましたよ…!初変身…!
 変身シーン、かっこよくかけただろうか…

 黄瀬さんなんですが…まだ覚醒前とはいえプリキュアなのにバットエンド状態にここまで落ちたままか…?って書いてて自分でも思ったのですが、原作でもバットエンド状態を打ち破る条件が詳しく語られていないので、この作品では”まだプリキュアとしての力が原作三話時点レベルにまで目覚めきっておらず、そもそもバットエンド状態に打ち勝つほどの十分な精神力がまだ小学生なので備わってない”みたいな感じの設定で行くつもりです。
 もし私が気づいていないだげで、何かバットエンド状態に打ち勝つ条件が語られていたら教えていただけると嬉しいです。

Q.なんでドンモモタロウとスマプリ掛け合わせたの?

A.(その8)ドンモモタロウのアバター自体が陣羽織の様な服を着ている風に見えるため、おしゃれな服を見に待とうプリキュアと並ぶのにぴったりだと感じたから。(他のライダーや戦隊は、大体ボディスーツタイプやら、アーマーやらパワードスーツっぽいやらって感じのやつが多く、多分並ぶと浮く。一応服っぽい変身後の姿を持つ奴もいるにはいるが少数派)


感想お待ちしています!

いつ頃最新話投稿してほしいとかありますか?(現在迷走中)

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