ニチアサの世界に転生とは聞いていたが…!   作:よく酔うエンジン

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 あかん…一万字超えてしまいそう…まあいいか!初戦闘回だし!本編入ると一話あたりの文字数減ってくだろうから!

 先に謝っておきますと、夜モード(夜に読むときになるページが黒色の状態)でお読みの皆さまへ。色の変換がおかしいことになっており、見にくい色が生じている可能性があります。誠に申し訳ございません!


あばたろう

『ヴァァァァァ!!!』

 

 

 大きな雄叫びを上げながら迫ってくる動物鬼。さっきまでなら、俺はビビって逃げてただろう。だが、今の俺には力がある!

 

 

「さあさあ!楽しもうぜ!勝負勝負!」

 

 

 俺が念じると、真っ黒い刀身を主軸に、黄色に輝く刃が光専用武器。"ザングラソード"が手元に現れる。

 俺はその武器を片手に、逃げることなく、むしろ堂々と真正面から動物鬼にぶつかりにいく。

 

 

『舐メルナァ!!』

 

「ほう……いいパワーだ!」

 

 

 鬼険棒とザングラソードがぶつかり合い、火花が散り、激しい鍔迫り合いとなる。

 

 腕にビリビリと相手のパワーが伝わってくる。凄まじい力だ…体格の差が大きいだろうが、奴の方が単純なパワーならば上だろう。そう考えると鍔迫り合いは不利だ。

 

 そう思って、俺は後方に下がり、少し間合いを広げて相手の攻撃を待つ。

 

 

『ヴァァァァァ!!』

 

「大振りだな!戦い方がなってないぞ!」

 

『ァァガッ!?』

 

 

 逃がすものかと振り下ろしてくる鬼険棒の一撃をザングラソードで受け止め、そのままガラ空きになった胴体に蹴りを喰らわせる。

 

 剣を両手を使って至近距離で振り下ろしていたので、相手に俺の蹴りを防ぐ手段はなく、そのまま大きく後方にぶっ飛ばされる。

 

 戦ってみてわかる。こいつ素人だ。それと同時に一つ驚いたことがある。

 

 

(こっちもこっちですごいパワーだ…!)

 

 

 先程まで、渾身のタックルでも全く動じていなかったヒトツ鬼を、軽い蹴り一つでぶっ飛ばせるこのパワー…流石、スーパーヒーローの力とでも言ったところか…!

 

 

「ほらほらどうした!祭りだ祭りだ!」

 

『舐メルナァ!!』

 

「おっと危ない!」

 

 

 再度鬼険棒を振り回してくるが、ドンモモタロウへとアバターチェンジしたことで動体視力も強化されている様であり、見てから余裕で回避できた。

 

 

「どうだどうだぁ!!」

 

『アッ!!ガァッ!!』

 

 

 一撃二撃とザングラソードを振り回して、相手の体にダメージを与えていく。

 戦ってみてわかるが、相手は素人だ。まるで戦い方をわかっておらず、大振りで立ち回りもぶれっぶれだ。だが俺は違う。

 

 

(何度も…みてきた!ずっと鍛えてきた…!)

 

 

 この日のため…この時のため…!俺は前世からずっと鍛えて、ずっと学んできた!実際の戦闘は初めてではあるが…

 

 

(今の俺は…!かーなーり強いぞ!!)

 

「とりゃあ!!」

 

『グギャァッ!!』

 

 

 ザングラソード一刀両断。手応えあり。

 憧れの戦士に変身できて、ハイテンションになっているからと言うのもあるだろうが、今の俺は自信に満ち溢れていた。

 戦いはノリのいい方が勝つ。その言葉を体現するかの如く、俺は目の前にいる動物鬼を圧倒していた。

 

 

『ァァガッ……ナァ………』

 

「はーっはっは!!どうしたどうした!こんなもんじゃないだろう!」

 

 

 膝をつく動物鬼に対して、俺は挑発の言葉を投げかける。

 

 にしても、自分で言うのもなんだが、さっきからやけにハイテンションだ。おそらくだが…実を言うとドンモモタロウは、原作でも変身すると豹変したかの様に性格が変わる性質がある。

 

 元々あった勢いある性格がさらに拍車がかかり、人格も非常に大胆な言動の自信家へと変貌するのだ。原作の様にその影響を俺も受けているのだろう。

 

 そう思いながら、動物鬼に目を向けていた時だった。

 

 

『ウァァ!!舐メヤガッテェ!!』

 

 

 鬼険棒を振り上げて、俺の方とは違う方へと急に走り出した。

 

 

(なんだ?恐れをなして逃げたか…?いや…)

 

 

 あっちの方には…黄瀬さんがいる!あの野郎まさかとは思うが…!!やらせるかっ!

 

 

***

 

 

「う……ううん……んんっ…ん?」

 

 

 少年が鬼と対峙している間、黄瀬やよいが眼を覚ます。

 

 

「あれ、ここは…?」

 

 

 黄瀬やよいは、目の前の状況に困惑していた。

 

 確か、初めてできたクラスの異性の友達である赤峰と、太陽マンのショーに向けて雑談しながら歩いていたはず…なのに、自分はポストの裏に気がついたら座っていたのだ。

 

 

(なんだろう……すっごい暗い、怖い夢を見てた気がする…)

 

 

 ぽやぽやする目をこすりながら、周りの状況を見渡す。記憶が正しければ、自身はついさっき友達になった赤峰君と一緒に街に歩いていたはず。だと言うのに目の前に広がる景色は…

 

 

(真っ暗…何これ……?まだ、夢の中…?なんか…怖い…!)

 

 

 やけに暗くなった空。

 

 自分が知っている街の景色とは違う異様な風景に、彼女は恐怖を隠しきれなかった。

 

 わずかながらに、目に涙が浮かんでいた。

 

 

 本来ならば、この景色を普通の人間が視界に収めてしまうことなど滅多にない。

 

 なぜならば、一度黒いオーラの様なものを出すあの状態に陥ってしまっては、自力で解除することはほぼ不可能に近く、その状態になると意識が飛んでいるもの同然なのだから。

 

 なら、なぜ彼女は自力でその状態から脱出できたのか。それは()()()()()()()()()()()()()()()()と言うのが理由の一つにある。

 

 

(でも…ううん、さっきまで歩いていたところだ…夢じゃないのかな…でも、なんでこんなに暗いんだろう…)

 

 

 しかし、今の彼女にはそんなことを知る由も無いし、それよりも自分がなぜここにいるかの方が不思議だった。

 

 

「夢じゃないのなら…赤峰君、どこに行っちゃったんだろう…」

 

 

 そう辺りを再度見回してみた瞬間だった。

 

 

『ガアアアアアァァッ!!!』

 

「えっ……えっ……?」

 

 

 大きな、人間の声とは思えない奇怪で恐ろしい叫び声が聞こえた。

 

 ふとそちらの方を振り返ると、見たことのない化け物が立っていた。

 

 

(ばっ…化け物…!)

 

 

 彼女の目の前には、動物の皮を被った悍ましい化け物が映り込んでいた。しかも、こちらに向けて一直線に突っ込んでくる。

 

 それは、いくらヒーロー好きの少女だろうと、視界に入れてしまったら恐ろしいことこの上ないものだろう。

 その恐ろしさ故、夢か現実か判別がつけられていない彼女でも、まるで本物の様に映ってしまっていた。

 

 

(に、逃げなきゃっ…あっ…赤峰君は…!)

 

 

 夢にしてはやけに悍ましく、怖い。反射的に逃げなければと足が動く。

 そう思いながらも、先程まで一緒にいたはずの少年を探して自身が座り込んでいた周りを見る…が、誰もいない。

 

 

『オマエェェェ!!ナメテタヨナァ!』

 

 

 その声を聞いて、彼女はハッとなった。化け物は自分が想像していたよりも素早かった。

 

 いつの間にか、目の前に立っていたのだった。

 

 手には巨大な凶器を持っており、当たったらひとたまりもないことは争いごととは無縁の人生を送ってきた彼女でもわかることだった。

 そして、たった今その凶器が自分に向けて振り下ろされようとしている事も、目に入ってしまった。

 

 何故かはわからないが、目の前にいる化け物は自分に向けて怒りの声を上げて、自分を傷つけようとしていたのは明白だった。

 

 

「きゃああっ!!!」

 

 

 慌てて目を閉じる。その目には涙が浮かんでいた。

 

 なんで、どうしてこんなことに。夢ならば早く覚めて欲しい。

 

 死ぬのならば、もっといっぱい友達を作ってから死にたかった。

 

 そんな思考がふと頭をよぎった。

 

 

(助けて…!お母さん…!太陽マン…!ヒーロー…!!)

 

 

 

 

 

ガキンッ!!

 

 

 

 

 

 

 …だが、その凶刃が彼女に当たることはなかった。

 

 

「え……?」

 

 

 恐る恐る目を開ける。

 

 

 本来ならば、振り下ろされているはずだった大きな鈍器が空中で止まっていた。

 なぜならば、別の人間が彼女とその化け物の間に入り、その鈍器を受け止めていたからだ。

 

 そこには、真っ赤な衣装を見に纏った、丁髷の様なものが生えた一人の戦士が立っていた。

 

 

「力の無い女の子に手を出すとは…言語道断!」

 

『ヌァァァァ!!』

 

「その身を持って償いな!!」

 

 

 その赤い戦士は、自分を庇う様に受け止めていた怪物の刃を跳ね飛ばし、相手のガラ空きになった胴体に渾身の横一文字斬りを叩き込む。

 

 

「話している暇はない!早く物陰に逃げろ!」

 

 

 その戦士は、そのまま相手の巨大な武器に自身が持っていた派手な刀を絡める様に相手の腕と自分の腕を交差させて、座り込んでしまっている自分からバケモノの距離を離していく。

 

 

『離セェ!!!』

 

「ハッ!!いいだろう!離してやるよ!おらぁ!!」

 

『ガッ…!?』

 

 

 その戦士が化け物に向けて頭突きを繰り出し、化け物が怯んだ。その瞬間を逃さず、赤い戦士は刀を振い、化け物を圧倒し始める。

 

 

「…もっ…もしかして…ひ、ヒーローさん…?」

 

 

 黄瀬やよいは、目の前に広がる光景にぼそっとそう呟く。

 目の前にいるあのサングラスをつけた赤い戦士は、確かに自分を守ってくれた。

 

 

「あっ…!」

 

 

 そうだ、あのヒーローが言っていた通り逃げなければ。

 ひとまず、壁際から近くの物陰に避難する。

 

 あのヒーローが戦っているところを見れる様に。

 

 

「わぁ…!」

 

 

 危険な状況にも関わらず、この黄瀬やよいというのは、普段から特撮作品を見ているからなのか、芯が強い女の子だった。

 彼女は、物陰からその戦士が戦う様を見ていた。

 

 

「かっこいい…!」

 

 

 彼女の視界は、自分を守ってくれた赤い戦士に釘付けだった。

 

 

***

 

 

 黄瀬さんに手を出されかけた時はヒヤヒヤしたが、間一髪で間に合った。そのまま、彼女との距離を離しつつ、相手に攻撃を叩き込んでいく。

 

 

「よくも…俺の友達を…許さんぞ!!」

 

『グベアッ!!?』

 

 

 友達を傷つけようとした目の前の敵への怒りを拳に込め、そのまま相手の鳩尾に突き刺す。

 

 そして、そのままザングラソードで袈裟に相手を斬りつける。

 

 

『舐メッ……アアッ』

 

 

 奴は、完全に俺の攻撃に対処できずにいた。

 

 そのまま地面に倒れ伏してしまう。体力の限界なのだろう。

 

 

「さて…そろそろトドメと行こうか…」

 

『ウッ…グゥッ…!!』

 

 

 俺はザングラソードを構え直し、鍔の部分についているスクラッチギアに手をかける。

 

 

「剣よ…光を呼べ…!」

 

 

 俺は、ザングラソードに取り付けられたスクラッチギアを回し、必殺技を起動しようとする。

 

 その名前は"桃代無敵・アバター乱舞"。レインボーフラッシュと呼ばれる七色に光り輝いたザングラソードを用いて、必殺斬撃を無数に浴びせるド派手なキメ技である!

 

 スクラッチギアを回すことで『どん!どん!どん!どんぶらこ!!』の音声が流れ出し、剣に力が集まっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………あれっ?」

 

 

 はずだったのだが…あれ…?音が鳴らない…?一回回すごとに『どん!』って言ってくれるはずなんだけど…

 

 

「お、おいっ!ほら!アバター乱舞だよ!」

 

『……………』

 

「あれ!?早く回さないとダメな感じか?」

 

『……………』

 

「何も鳴らない…え?どうなってるの?もっと強く回すとか?えいっ!」

 

『……………』

 

「ちょっと!?アレ!?おい光れって!おい!はい光ったー…うーっ!!光れって!おい!」

 

『……………』

 

『……ナニシテイル…』

 

 

 おかしい、一向に必殺技待機の状態に移行しない。

 てか、なんか動物鬼からも呆れられた視線送られてるんだけど!?

 なんで!?なんで発動しないの!?

 原作みたいにお供がいないとダメとかそう言うことか!?いやでも、一人で発動する時もあったはず…なんで…?

 

 

(まさか……)

 

 

 必殺技も()()()()()()()()使()()()()…のか?

 

 

(……………………マジ?)

 

『オマエ…ナメテルダロオレノコト……!!』

 

「あっ…」

 

 

 動物鬼が怒った様子で立ち上がる。

 しまった、必殺技が使えないなら今のうちに斬りつけまくってトドメを刺せば良かったかもしれない。

 そう思った瞬間だった。

 

 

『オレヲ……ナメルナァァァ!!!本能覚醒!!』

 

「ッ!!?」

 

 

 俺は、とてつもない圧を動物鬼から感じて、一瞬のうちに距離を取る。

 その瞬間だった。

 

 

『ァァァァァァァァァァァァァ!!』

 

バサッ!!

 

「これはっ…!」

 

(ジュウオウイーグルの…翼…!?)

 

 

 巨大な翼が、動物鬼の背中に生えたのだ。

 その翼は妙に禍々しく、羽一枚一枚が赤黒く染まっていた。だが待て…原作暴太郎戦隊ドンブラザーズの動物鬼にはこんな能力なかったはず…!

 

 

(やっぱり…コイツ…俺が知ってるヒトツ鬼じゃない…!?)

 

『ァァァァァァァァァァァァァ!!』

 

「ッ!ドンブラスター!!」

 

 

 呑気に考察していると、動物鬼がその翼を使って力強く飛び上がり、空を飛び始める。

 俺は慌てて手元にドンブラスターを召喚して、空を飛来し出した動物鬼に向けて"キビ弾丸"を連射する。

 こいつは変身だけでなく、遠距離武器としても使えるのだ…が

 

 

「っ…!こいつ、速いっ!」

 

 

 しかし、その飛翔するスピードは凄まじく速い。撃った時にはもうその場にはおらず、弾が掠りもしない。

 その堂々と空を飛ぶ姿はまさに大空の王者であるといえよう。

 

 原点の大空の王者である、地球を守る戦士が一人ジュウオウイーグルとは全く持って比べ物にならないほど禍々しいが。

 

 

『コノオレヲ舐メルナヨォォ!!』

 

 

キビ弾丸が当たらず、唖然としていると空中で急旋回してこちらの方へと突っ込んでくる!

 

 

「うおっ!?がはっ…!?」

 

 

 慌ててザングラソードを片手に受け止める。

 

 が、その巨体と重力による位置エネルギーを一身に受け止めた体当たりはあまりにも力強かった。

 

 防御に成功したにもかかわらず今度はこっちが後ろに大きく跳ね飛ばされてしまう。

 そして、そのまま背後にあった家の外壁に激突してしまった。

 

 

「がっ……くっ……」

 

『大空ノォオウジャァァァ!!!』

 

「ぐへえっ!?」

 

 

 壁に激突して怯んでいると、奴が翼をたたんで急降下。その勢いのまま俺の鳩尾に強烈な蹴りを入れ込んでくる。

 

 

「くそっ!!負けるかっ!!」

 

 

 負けじと、ザングラソードを振って、蹴りを叩き込んできた動物鬼に追撃を仕掛ける…が

 

 

『ハァッ!!!』

 

 

 俺を蹴った時の反作用の力で、そのまま奴は大空に逃げてしまう。ザングラソードが当たることはなかった。

 

 

「くそっ…すばしっこいな…!」

 

 

 まずい、形勢逆転だ。

 

 相手は空を飛んでいるが、俺には空を飛ぶ手段はない。

 このままでは、俺が倒れ伏すまでヒットアンドアウェイ感覚でずっと攻撃されてしまう。

 

 この状況が続けば先に負けるのは俺だ。

 

 

(くっ…向こうも相当追い詰めた分ダメージは蓄積してるはず…どうにかして叩き落とせれば…!)

 

 

 俺は、何か案がないか模索する。こっちも居合の構えを取って待ち、相手が襲いかかってきたところを返り討ちにするか…?

 

 いや、今の俺とあいつのパワー差を考えると得策ではない。

 

 なぜならば、ただでさえさっきの鍔迫り合いでこちらの方がパワーは負けていることはわかっている。というのに、あいつが使ってくる攻撃は、大空からの急降下による勢いが乗った、さっきより力のある攻撃なのだ。

 俺の斬撃とぶつかり合っても、おそらく力負けして逆にこっちが吹っ飛ばされてもおかしくない。となれば…

 

 

(ドンブラスターで撃ち落とすしかないっ…!)

 

 

 だが…どうやって…どう撃ち落とせば…あのスピード、普通に撃っても当たらないだろう。

 

 恥ずかしいことに、俺の射撃の技能は低い。

 

 近接格闘術や剣術は、学校や授業、部活などで何回も鍛える機会はあるが、銃を撃つ機会などこの日本じゃまずない。前世を含めても、銃を扱う経験など皆無に等しかった。

 

 なので、俺の今の技能では高速で三次元を飛び回る奴を捉えることはできないだろう。

 

 

(ひとまず…何発も撃って…)

 

 

 そう考えた瞬間だった。

 

 

 

 

 

(いや待てよ…?…もしかして…)

 

 

 何発も撃とうとした時、俺の頭の中で原作でのある描写が思い浮かんだ。

 

 その記憶を頼りに、俺は、パカっと自身に取り付けられたベルトであるドンブラバックルを開けてみる。俺の記憶が正しければ、原作の第一話では、この状況を打開するのにうってつけのアイテムがあったはず…!

 

 

「あーっ!!やっぱりあったー!!」

 

 

 思った通りだ!そこにあったのは、ドンモモタロウの一年前に地球、およびあらゆる並行世界を守ってきた戦士、"ゼンカイザー"の顔が刻まれたアバタロウギアがあった。

 

 

「こいつの出番ってわけだな…!」

 

 

 俺は、ギアテーブルにそのギアをはめ、ドンモモタロウに変身した時の様な、同じ変身動作を行う。

 

 

「アバターチェンジ!」

 

 

『いよーっ!』

 

『どん!どん!どん!どんぶらこ!』

 

 

『ゼンカイザー!!』

 

 

大先輩!大先輩!大先輩!大先輩!

 

 

「はあっ!!」

 

 俺は、データが読み込み終わったダンブラスターのトリガーを再度引く。すると、空中にあるドアへとデータの詰まった弾丸が射出され、新たなる巨大なアバタロウギアが俺の身を包んでいく…!

 

 

ババン!ババン!ババン!ババン!ババババーン!ゼーンカイザー!!』

 

 

 そして、俺のドンモモタロウのアバターは、白色のマントをつけた金色のブイの字の角が目立つ戦士のアバターへと切り替わる。

 

 この戦士の名前は”ゼンカイザー”。

 

 45作記念を謳われて作られた"機界戦隊ゼンカイジャー"の主人公である。

 

 

「"ギアトリンガー"風!キビ弾丸連射をくらえぇ!!全力全開だぁ!!」

 

ドドン!!ドドン!!ドドン!!

 

 

 そう言って、俺はドンブラスターのトリガーを長押しする。すると、キビ弾丸がまるでガトリングかの様に高速で何発も射出される。

 

 これは、原作ドンブラザーズ1話でもタロウが行なっていた芸当だ。

 オリジナルのゼンカイザーが使っていた手回し式拳銃型ガトリング砲の"ギアトリンガー"を使うが如く、弾丸を高速で連射して、戦闘員であるアノーニ達をまとめて一掃していた。

 そして、俺の狙い通り空中に大量の弾丸が飛んでいく。

 

 

「ガッ!!?ァァガッッ!!ァッ!!」

 

 

 下手な鉄砲も数打てば当たる。と言わんばかりに空に向けてキビ弾丸をばら撒くと、動物鬼が広げた翼に見事に命中。

 動物鬼の翼に穴が空いて、頭から一直線に落ちてくる。

 

 

ゴチンッ!!

 

「アッ……アアッ……アタマガッ……」

 

 

 頭から落ちてきたことで、完全に怯んでいる。今がチャンスだ。

 俺は、怯み切った動物鬼の肉体に刀を添える。

 

 

(一話で使えたアイテムがあったってことは…)

 

「この必殺技なら使えるはず…」

 

『へい!』

『へい!』

『へい!』

 

 これは、ゼンカイザーの力の様に原作1話で使用された、相手のヒトツ鬼にトドメを刺した必殺技である。

 刀を動物鬼の体に押し当てたまま、トリガーを押しつつ鍔に付いたギアを回す。

 

 そして、剣に七色の光が集まっていく…!

 

 

『へい!かもぉん!!!』

 

 

アバタロ斬!アバタロ斬!アバタロ斬!アバタロ斬!

 

 

「ザングラソード……」

 

 

集中…この一撃で…決めてみせる。そう思い、ザングラソードに取り付けられたトリガーを引いて、剣に集まった光を一気に開放する!

 

 

『必殺奥義!』

 

!!」

 

『アバタロ斬!!!』

 

 

「レインボーフラッシュ」と呼称される七色の光がザングラソードから溢れ出し、そのまま大きくザングラソードを振り抜く。

 

ド派手な光を纏った浄化の一閃が、動物鬼を切り裂いた!

 

 

「ァァァ!!俺ガ一番人ヲ舐メテタァァ!!」

 

 

ボカーン!!!

 

 

不思議な断末魔と共に、振り向かなくても火の粉が舞ってくるのが見えるほど大きな爆発が起こり、撃破と同時に、空が晴れ渡っていくのが見える。

 

 

「舐め…あっ…はっ…」

 

 

 そして、スーツに身を包んだ会社員が爆発の中から現れる。成程、あの人が動物鬼に取り憑かれていたみたいだな。まあ今の反動で気絶したみたいだが。

 

 周りを見渡してみれば、人々から出ていた黒いモヤの様なものは消え失せて、いつも通りの街の景色に戻り始めている。

 すごいな…瓦礫まで元の形に再生し出したぞ、この世界は随分と色々親切設計なようだな。

 

 見渡してみると、黄瀬さん含めて全員気絶しているようだが…ここがニチアサの世界だというのなら、こういうのはすぐに目を覚ますのがお約束だろう。

 

 なにはともあれ…

 

 

「はーっはっは!!あ、大勝利ぃ!!」

 

 

 めでたしめでたし!と俺はどこからどもなく桃のエンブレムが刻印された扇を召喚し、自身を扇ぎながら勝利を祝う。

 

 こうして、俺の初めての戦いは、圧倒的白星で幕引きとなったのだった。

 

 

***

 

 

「おーい、黄瀬さん?大丈夫?」

 

「ん?……うーん…あれ?赤峰君?」

 

 

 俺は、黄瀬さんの体をゆさゆさと揺らして起こす。どうやら、俺が動物鬼の攻撃から守った後、別の物陰に避難してくれていたらしい。俺は変身を解除して、横になっていた黄瀬さんの元に来ていた。

 

 よくみてなかったからわからないけど、ここに来れているということは…あの何かに取り憑かれた様な状態から自力で解除できたということなのだろうか。

 

 

「あれ…?私、何してたっけ…?」

 

「あ、えーっと…俺もよくわかってなくてさ…」

 

 

 流石に、今まで起きたことを事細かに説明するわけにはいかない。あんなのバラしたらパニックになりかねないからな。そういうわけなので、本当は戦っていたが誤魔化すことにした。

 

 

「うーん…?なんか夢を見てた様な気がするけど…って、待って!今何時?赤峰君!」

 

「それがね…もうこんな時間なのよ」

 

 

 俺は、申し訳なさそうに時計を見せる。時刻は、ショー開始まで残り5分というところまで迫っていた。

 

 

「え!!あ!!どうしよう!とにかく急がないと!」

 

「だな!とりあえず行こう!黄瀬さん、走れる?」

 

「うーんと…とにかく頑張る!」

 

 

むんすと力強い目をしてこちらにそう返してくる。なるほど、足はあまり速くないと見た。ならば…

 

 

「黄瀬さん!急がないとだから許して!」

 

「えっ…?ちょっ…!?赤峰君!?きゃっ…!///」

 

 

 俺は、黄瀬さんをお姫様抱っこの形で持ち上げる。

 

 

「ちょっ!赤峰君!恥ずかしいよ!降ろし「それはできん!それでは遅刻するからな!いくぞ!!舌噛むからしゃべるなよ!」きゃああっ!!?」

 

 

 俺はその体勢のまま、黄瀬さんを抱えて走り出す。人一人抱えて早く移動するのは、バイト中のお手伝いでも何度もやったことがある!主におばあちゃん相手にだったが。

 

 

「着いたぞ」

 

「えっ……ええっ!!?す、すごすぎるよ…赤峰君」

 

 

 わずか3分ほどで俺たちは会場へと到着したのだった。

 

 

「ゆっくり下ろして…と、悪かったな!だが、こうでもしないと間に合わないと思ってな!」

 

「うう…もう、突っ込みが追いつかないよぉ…」

 

 

 なんか、黄瀬さんがほんの少し涙目になっている。なんか、申し訳ないことをしたかもしれん。

 

 

「まぁ…その、とりあえず並ぼう」

 

「むー…赤峰君、女の子の貴重な初お姫様抱っこを奪っておいて、そんなに平然とできるんだねー…へー…酷い人なんだねー…」

 

「えっと…それは…いや、本当にすまなかった」

 

「んー、だったら、少し聞いて欲しいことがあるの!それで許してあげる!」

 

「ん?なんだ?」

 

「私さ…ヒーロー好きとして、さっきすっっごく面白い夢を見たの!」

 

「ほう?」

 

 

 さっきまで喋ってたときの様に、目を輝かせている。よかった、元にちゃんと戻ってるみたいだ。

 一先ず、俺たちはもう開演時間まですぐなのでガラガラになった入場用の列に並ぶ。

 

 

「えーっとね…途中まですっっごく暗い、悲しい夢を見てて、挙げ句の果てには見たこともない化け物に襲われそうになったの」

 

「それで面白い夢と表現するとは、黄瀬さんもなかなかいい趣味してるな」

 

「ちっ…!違うよ!話は最後まで聞いて!」

 

「悪い悪い。で、どうなったんだ」

 

「それでね…化け物に殺されそうになったところをね…赤いヒーローに助けてもらったんだ!」

 

 

 俺は、それを聞いてびくりと反応してしまった。

 

 

「…どんなヒーローだったんだ?」

 

「えっと…丁髷みたいなのが生えてて、桃のマークがおでこについてたんだ…桃太郎モチーフのヒーローだったのかなぁ。だけど、その人すっごい派手でね!虹色に光る剣でバッサバッサ化け物を圧倒して、とってもカッコよかったんだ!」

 

「そ…そうか、そりゃすごいな…」

 

(あそこで庇った後、全部見られてたのか…?)

 

 

 俺は、さっきもちらっと思ってはいたが、やっぱりこの子、自力であの落ち込んだ状態を解除して、鉄火場の近くで俺の戦いを観戦してたらしい。

 そう考えると、この子結構肝座ってるなぁ…色々と大胆である。人のことを言えないかもしれんが。

 

 

「他にも、白いマントをつけたヒーローとかもいたんだけど……夢の後半…あまり覚えてなくて…うーん…と、とにかく!一緒のその夢赤峰君と見れてたらなぁ…絶対赤峰君なら気にいる見た目だったと思う!」

 

「絶対って…そんな確証持ってわかることなのか?」

 

「うん!赤峰君とはすっごく趣味合うもん!」

 

 

 やっぱり、この子好きなことを語る時は結構ハイテンションになるんだな…まあ、それはそうとて…

 

 

(夢じゃないんだよな…それは…)

 

 

 俺は、ポケットにあるアバタロウギアを握りしめてそう思う。

 

 そこに刻印されていたのは、地球を守った大空の王者"ジュウオウイーグル"の顔が示されたアバタロウギアであった。

 

 あの動物鬼を倒したことでドロップしたアイテムである。ここには、他のアバタロウギアと同じ様に、ジュウオウジャーの力が刻印されている。

 

 そして、このアイテムが、さっきまで起きた出来事が夢ではない何よりの証拠だった。

 

 

(俺にも…守れた…守れたんだ…)

 

 

 憧れたヒーロー達の様に。

 

 

(一歩どころか…何歩も前進だな)

 

 

 俺は、夢で見たヒーロー…まあ、俺のことについて、走りながらだというのに眼を輝かせながら語っている様子を見て、自分がこの子を守れた事実を実感する。

 

 

(やっぱり…笑顔って最高だな…)

 

 

 黄瀬さんの笑顔を見てそう思う。俺はこの笑顔を守れたんだ…初めて、己の手で。縁を結び深めた人の笑顔を。

 

 

(ま、とにかく、今は太陽マンショーに集中だ!思いっきり堪能してやる!!)

 

 

 そして、俺たちはショーを心行くまで楽しんだのだった。なんだろう。もう言葉じゃ表せないくらい最高だった。




 黄瀬さんは、襲われる直前に目覚めましたが、再度バットエンド状態に陥ってしまっています。

これは、小説内でも紹介した理由もあるのですが、もう一つ”浄化の力を持つドンモモタロウが近くにいたから”という理由があります。

 庇う直前は黄瀬さんの付近で戦闘していたので、ドンモモタロウの体から溢れる浄化の力が黄瀬さんにも影響を及ぼして、一時バットエンド状態を解除できていました。

 しかし、桃冴が黄瀬さんから動物鬼を離れさせるように戦闘していたことも相まって、だんだん距離が離れてしまい、再度バットエンド状態に…という感じの認識でいてもらえたらな…と

 なんか、こう考えると色々な意味で振り回されすぎてて黄瀬さんかわいそうだな…まあいいか(おい)


ザングラソードの必殺技の出し方は、原作の描写ではなく、玩具版準拠で行きたいと思います。

(つまり、快桃乱麻はアバター乱舞の時と逆回転にギアを回すのではなく、トリガーを押しながらギアを回すことで発動する)


 ていうか、ハーメルンだと黄色って目がチカチカするってことで金色しか出力できないんですね…悲しい…本当はゼンカイジャー5人の色で変身音を着色したかったのに…(しかも夜モードだと全体的に色が変化してしまう模様…)


Q.なんでドンモモタロウとスマプリ掛け合わせたの?

A.(その9)ドンモモタロウは各戦隊レッドに変身可能なので、戦闘スタイルのジャンルが増えて、ワンパターンになりずらいだろうと感じだから。

怪人ファイル
『動物鬼』
身長/195cm
体重/235kg
スキン/あつまるアニマル
むかしむかし/坂田は似たもの同士群れを作ったそうな…己のプライドを守るために…
願望/『自分を舐めないで接して欲しい』
概要/変身能力が覚醒していない赤峰や黄瀬の前に突如出現したヒトツ鬼…の様な存在。というのも、原作ドンブラザーズで暴れたヒトツ鬼と違い、腰部分に謎の球体を取り付けていたり、変身者が違ったりと様々な相違点が存在するため、我々がよく知るヒトツ鬼なのかどうか不明。

取り憑かれた青年、坂田はしがない中小企業の会社員だったが、弱気な性格故どうも舐められがちであり、下に見られることが多く不満が溜まっていた。似た様なコンプレックスを持つ人達同士でよく連んでいたが、そこでも見下されがちだったことから、さらに不満が溜まり、そこを取り憑かれてしまった模様。
ドンモモタロウによって討伐されてからは、明るい性格となり、見下されることも少なくなったらしい。

原作と違い、本能覚醒と叫び、巨大な翼を生やすことが可能。高速移動と三次元的な移動ができる様になる為、赤峰桃冴ことドンモモタロウを追い詰めかけた。

変身元の坂田の欲望が暴走しているせいでもあるだろうが、卑劣で怒りっぽい性格でもあり、ドンモモタロウとの戦闘を辞めて、唐突に動けない戦う力を黄瀬を狙うと言った卑怯な行動を取ろうとしたほど。おそらく、戦っている最中に黄瀬のことを思い出し襲いに行ったのだとされる。そう考えると知能も低いのかもしれない。

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