先にここに注意点などを記述しておきたいと思うます。
まず、クロスオーバーにあたっての設定の合わせ方ですがサーヴァント及び英霊とは高次元の存在であるため、オーバーロード世界だと一部の強者には人間ではないと判断されます。
エミヤのステータスについてですが、基本的には凛がマスターの時よりも少しだけ強いです。
理由として今回の作品の設定ではサーヴァントという劣化コピーとしてではなく、英霊というそのものをコピーしているためです。
※一応、サーヴァントという括りではあるものの冠位サーヴァントのように霊基が違うと思ってもらえたらいいです。
また、宝具などは王国の秘宝の竜の秘宝のように伝説級や最上級などで区別はできず、ABC~評価で行います。
そのため、レベル100相手でも宝具を使えば、真名解放をせずともダメージを与えられます。
真名解放をすれば、場合によってはレベル100をも打ち倒せるものとします。
エミヤは耐久面はそこまでかもしれませんが、もともと英霊という高次元の存在のため一定以下の攻撃と魔法を無力化できます。
具体的に表すと物理無効化レベルⅡ魔法無効化レベルⅡと同じくらいは無効化できます。
総合的に見るとこの作品のエミヤは状況によってはレベル100を倒しうるが、レベル60くらいにも負ける可能性はある程度のものです。
オーバーロード作中ではありえないでしょうが、この作品ではこの設定の元、この作品を書いているので、こんな技で○○(キャラ名)が倒される訳がないはおやめください。
オーバーロードの設定については私もかなり曖昧になってきているので、間違っていたらご指摘いただければなと思っております。
以上、注意点でした。
「──ここはどこだ?」
エミヤシロウは確かに"座"へと戻ったはずである。
しかし、見渡す限り草原が続くこの場所はエミヤシロウの記録の中に一つも存在しない。
それでも悠長に時を待つわけにはいかない。
もし、召喚されているのなら聖杯の気配がしない以上、抑止力によって呼び出された可能性がある。
そうだとするならば、彼に意識があるのは珍しいというところだが、そんなことはさておきエミヤシロウは周りを見渡す。
体の違和感を払拭するべく彼は自身に暗示をかける。
「──
────魔術回路二十七本、正常に稼働
────身体損傷箇所なし
────霊体化不可、受肉を確認
「…受肉しているだと?」
アリエナイ。それに──
いくら抑止力といえど、この身はただの世界と契約した一介の守護者。
それなのに、──これはサーヴァントとして呼ばれたわけではないのか?
「肉体は全盛の状態か。なんだ、これは?」
英霊そのものが呼ばれたともいうべき、強さ。
それを彼は感じていた。
ふと、金属がぶつかり合う音がした。
音がする方に近づきながら、エミヤシロウは見る。
彼のスキルにも千里眼という名の通り彼の目は数キロメートル離れた地点を着実に捉えてきた。
「…あれは戦、か?」
見れば、人らしき鎧を着た人物たちと動物が二足歩行になったナニカ?が争っているのが見えた。
「幻想種の類か?ならば、私を呼んだ人物はあそこにいる可能性が高い…か。」
男は蜃気楼のように消えるような速さで駆け出した。
◇
ローブル聖王国は危機に瀕していた。
亜人のたちの侵攻による攻撃。
それは、容易く国境を突破し国軍は衰退。
敗北の一途を辿っていた。
そもそも、亜人種たる敵は大抵個々の強さで人間種を上回っている。
膂力しかり脚力しかりである。
もちろん、人間種全体が下回るという訳ではなかったが、それでも数は少なく焼け石に水と言えるだろう。
一方人間種はそれを数で補った。
敵方一人に対し三人を用意し一対一を避ける。
だが、その戦法も総数そのものが負けていれば成り立たない。
すでに要となる要塞線は一部突破され、街へと侵攻は進んでいく。
たとえ、そこに歴代最強と名高るレメディオス・カストディオがいたとしてもこの侵攻は止められないことは明白であった。
国家総動員令がだされ、民兵が徴収されたとしてもそれは戦線を一時的に遅らせることしかできない。
要塞以外に要となるのは聖騎士と呼ばれる人々だが、その総数は五百程度のモノであり、民兵と国軍を合わせてもその総数はせいぜい、亜人種の軍勢の半分程度であった。
すでに負け戦。戦う前から決着はついていたというべきだろう。
多種多様な亜人種が徒党を組んだなら負け、である。
それでも、士気の高さ故か善戦したと言うべきだろう。
数はすでに負け。
質でも負ける。
そのような戦に勝ち目などなくとも、ここは我々の土地である、と。
そう証明せんばかりに。
「はぁ、はぁ。」
「うぐっ…。」
だが、一人また一人と脱落していくその中、彼らに残されるはローブル聖王国の聖王にのみ許された大規模儀式魔法【ラスト・ホーリーウォー】
レメディオスに次ぐ実力者であるケラルト・カストディオがいないのもその準備に取り掛かっているからだ。
「団長…。」
一人の聖騎士が呟く。
もう無理だ、と言わんばかりに。
レメディオスもそれはわかっている。
すでにこの身は限界であり、これ以上の戦闘が厳しいこともわかっている。
「団長!儀式が悪魔共によって中断されました!」
だから、これが最後の止めとなる。
士気の高さの象徴ともいえた最終奥義が、止められた。
「なんだとっ!カルカ様は無事か?!」
団長はそう言うも伝令兵らしき人物は次の瞬間には亜人の手によって容易くこと切れていた。
「……。」
もう敗北は確定した。
──奇跡はなく。
──希望もなく。
──理想は今ここに消えた。
それでも、まだできることはあるとレメディオスは叫ぶ。
「我が名はレメディオス・カストディオ。歴代最強と言われた首、獲れるモノなら獲ってみろ!」
聖剣を掲げ言う。
もうすでに剣の奥義は使った。
彼女にもう余力はない。
「立ち上がれる者は剣を取れ!」
レメディオスの声に応じる者はもういない。
彼女が…聖王カルカが…望んだ平和はもうない。
そこに壊れかけた器をもつセイギのミカタが現れぬ限り。
「
一つの光が空間を捩じ切りながら進んでいく。
それは苦戦した亜人種共をもろともせず、滅ぼしていく。
「
一人の男が呟く。
どこか儚い詩のようで、きいたことのない言葉。
男の周りには数々の剣が浮かびそれはやがて雨のように降りかかる。
「なんだ、これは…。」
思わず、そう呟いてしまうほどに彼は…恐ろしい。いや、──
数にして四十は下らない数を彼は一瞬のうちにして屠ったのだ。
否、初めの空間を捩じ切った一撃を含めれば、もっと──
「レメディオス、無事ですか!」
レメディオスが呆けているのも束の間、彼女が忠誠を誓う人物。聖王カルカの声がした。
「カルカ様!よくぞご無事で。」
そう安堵する。
それと同時にふつふつと怒りが湧く。
なぜ、この男は今さら来たのだと。
なぜ、この男は初めからいなかったのだと。
彼なりの理由はあるだろう。
だが、それでももっとはやくこれたのではないかと。
思わず、恩人でもある彼にそんな目線をしてしまう。
そんな視線に気が付いてなのか彼は言った。
「…これが不思議なことに目が覚めたら知らない地でね。これでも状況を判断して急いでやってきたつもりだがね。」
「ふざけるなよ!他国にも情報は流れていたはずだ。」
「では聞くが、私のような人物の噂でもなんでもきいたことはあるか?」
男は確かに、天地を揺るがす実力者だ。
それは王国で現れたとされる大悪魔ヤオダバルトに匹敵するかもしれない。
だが、そんな実力者など聞いたことがない。
それでも、彼女の怒りは収まらない。
「レメディオス!やめなさい。この方は聖王国をお救いになった恩人なのです。それを無下にはできません。」
カルカの言うことは最もである。
…静寂。
「ならば、最後だ。最後に質問をさせろ。何のために、何が目的でここにきた?」
男は考え込む。
今の聖王国に旅人を支援する余裕なぞない。
報酬など持っての他だ。
それならば、まだ他の国で冒険者をしていた方がマシだったというものだろう。
「そうだな。ここは一つ…私の儚い理想のためだ。私がやりたいからやったのだ。私に報酬などいらないしそれに…人を助けるのは善いこと、だろう?」
だからこの一言はレメディオスを大きく揺るがした。
エミヤシロウにとってこれはかつて諦めた、捨てた理想をもう一度、目を開いて進みたい。
そんな、考えからくるモノであったが、今ここにいる彼女らが、そんなことに辿り着くことはなかった。
「さて、詮索はあとだ。今は…。」
エミヤシロウはそう言って一対の黒白の双剣を出す。
「大方、貴様が首謀者か、何者だ?」
「お初目にかかります。私の名はヤルダバオト。あなたの名を教えてはくれませんか?」
「ふん、貴様のような奴に語る名などないが…そうだな。私を他と分けたいならアーチャー、と呼ぶがいい。」
「アーチャー…ですか?ふむ、あなたはユグドラシルというモノに聞き覚えは?」
…ユグドラシルは北欧神話における世界樹と男は記録していたが、それならば、ヤルダバオトは北欧の存在なのだろうかとエミヤシロウは判断する。
「悪いが…ない。だが、悪いがその首もらい受ける。」
「それは残念です。悪魔の諸相:鋭利な断爪」
ヤルダバオトがそういうと彼の爪が伸び鋭利な形となる。
ぶつかり合う、二人。
他の人物にすれば、束の間であったが、そこでは高度な読みあいを行われていた。
──防御に徹し、隙を見せれば狩る。実戦的な戦闘法ですね。
──明らかに様子見をされている。ならば、こちらはそうそうに決着をつけるまで!
足、腕、首と狙いを変え攻撃を行うヤルダバオト。一方で、エミヤシロウは着実にそれを見切り防御に徹する。
攻撃のリーチは互いにほとんど変わらない。
故にその攻撃と防御の上手さで決着がつく。
ヤルダバルトもエミヤシロウも同じ相手を視て戦う者。
だからこそ、見誤ることがあることをエミヤシロウは知っている。
────
単純な膂力はヤルダバルトが上かもしれない。否、確実に上だろう。
打ち合って距離を取り再度打ち合う。
この繰り返し。
その間にヤルダバルトは自身の攻撃の手段を変えていく。
────
エミヤシロウは距離を取ると一対の双剣を投げる。
ヤルダバルトはそれを容易く避け言う。
「自身から…武器を手放す、それは降参と受け取ってよろしいですか?」
「戯け、そのようなことではないとわかっているだろう。」
──
エミヤシロウの手に再び一対の双剣が現れる。
────
己が身体能力が足りないことなど、今までありふれていた。
だからこそ、努力した。
だからこそ、剣をとった。
────
一対またもやエミヤシロウの手から双剣が投擲される。
────
そこで、ヤルダバルトは気が付いた。
今まで投げられた二対の双剣が再びヤルダバルトに近づいていることに。
エミヤシロウの持つ双剣が刃渡り一メートルほどに拡張される。
「鶴翼三連!」
「くっ、
それがヤルダバルトの間違いであった。
「
男の声が響く。
流れる魔力の奔流はそこにいるすべての人を意気込ませる。
「
それは空間を捩じ切り、確実にヤルダバルトを捉えていた。
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後書き的なヤツです。
デミウルゴス(ヤルダバルト)が憤怒の魔将と変わらなかった理由。それは単純で、アーチャーがさせなかったということにしておいてください。
ちなみに、デミウルゴスの攻撃をアーチャーが喰らえば、場所によっては普通に死亡してました。