異世界でもセイギは貫けるか   作:ロールクライ

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遅くなってすいません。
そして何度か書き直してはいるのですが、少しおかしいと思うことはあるかも。
というか、そろそろオーバーロードの設定が……思い出せない!




それでも、男は剣をふる

 

 

 

 

 

 

エミヤシロウの朝は早い。

これが執事(サーヴァント)だって言うのか、みたいなノリだ。

 

何しろ、王族の直属の騎士である。

 

聖騎士とはまた別だ。

 

ただ、ここ数週間で問題も多く、疲れているのは事実であった。

 

この国の実力者であるレメディオス・カストディオからもその妹にあたるケラルト・カストディオにも睨まれる。

――否、詮索されているのだろう。

 

どこから来たのかわからない男。

 

それが例え英雄であったとしても到底受け入れられることではない。

 

聖王カルカには令呪の説明は行った。

 

ただ、それだけ。

しかし、それは彼女らにより深い疑念を与えたのだ。

 

彼、エミヤシロウだけが知る不思議な力(令呪)

魔術、サーヴァントなどを語らなくともこの状態なのだ。

 

仮に語っていたなら、どうなっていたことか。

 

詳細に語っていれば、どこから来たのかと怪しまれ。

 

語らなければ今の状態。どうすればいいのか、そんなことを考えながらいつも通りの日常を送る。

 

いくら、聖王カルカに忠誠を誓い、騎士になったとしても、エミヤシロウにも譲れないものはある。

 

街に出て、民草と笑いあい。

 

兵舎にて、百人以上の者と組手をする。

 

それがアーチャーのここ数日の日常であった。

 

比較的、自由に動ける身分にしてくれた聖王カルカには感謝してもしきれないと思うエミヤシロウであったが、一つ文句を言うのなら。

 

「英雄様!これをどうかもらってくれませんか!」

 

「ああ、綺麗な花だな。ありがとう、お嬢さん。」

 

「英雄様!私の娘をー!」

 

「……すまない。私には騎士の責務があってね……。」

 

これだけではすまされない。

 

救国の英雄アーチャー。

 

聞けば、他国にまで伝わっているらしい。

 

「さて、――む?」

 

その時だった。

皆が敬いの視線をみせるなか、一つだけ。一つだけ見過ごすことのできないモノがあった。

 

 

エミヤシロウは周りにいた人々の元を移動し、首都ホバンスの離れに来ていた。

 

周りには誰もいない。

 

ただ、一つの存在を除いて――

 

「――君は何者なんだい?」

 

白銀の鎧に身を包んだ、謎の戦士。

刹那のうちに干将・莫邪を投影するエミヤシロウだったが、動くことはしない。

 

何より、動く動機がない。

少なくとも今は白銀の戦士には敵意がない。

それがエミヤシロウが出した結論であった。

 

「何者と言っても、な。……君は随分世情に疎いらしい。ああ、知らなかったのならお詫びしよう。私はアーチャーという。」

 

だからといって、油断できる相手とは言えなかった。

白銀の戦士はヤルダバルトと並ぶと言ってもいい。

油断すれば、負けるのはこちらの方だと、警鐘を鳴らす。

 

「…うまく隠しているみたいだけど、君は人じゃないだろう?」

 

「仮にそうだったとして、どうなる。」

 

「何もならない。でも、問題はそこじゃない。君のその持つ武器。それはどこで手に入れたんだい?」

 

だからこそ、この質問がエミヤシロウにとって唖然とするものであった。

武器――武器?それを知って何になる。

 

そう考える中で、一つの結論にいたる。

 

それは、この世界の人々が持つ武器のこと。

鉄で打たれたはずの骨子が不明瞭な剣。

 

「……君の持つ剣は僕らが作る武器と同質のモノだ。だから、君がどうやってそれを手に入れたのか。それが知りたい。」

 

「どうやって、か。そうだな。これはこの世界には存在しないモノだろうさ。」

 

()()()()と言ったとき、白銀の戦士の目つきが変わるのをエミヤシロウは見逃さない。

 

「ただ、非常に不本意だが。()()()()()()などと同じにしないでもらおうか。」

 

「確かに、君は今までのプレイヤー(それら)とは違う。どちらかと言えば、人を超越した存在だ。見ればわかる。だからこそ、見過ごせない。詳しくは話せないが過去の遺恨は消せなくてね。」

 

「ソレラと来たか。では、聞こう。彼らは何者だ。」

 

「それは――――――――」

 

エミヤシロウは目を瞑る。白銀の戦士……リク・アガネイアから語られたソレはエミヤシロウを驚かせるには十分のモノであった。

ユグドラシルという言葉で気づくべきだったか。

それとも、ヤルダバルトで気づくべきだったか。

 

そんなことはどうでもよかった。

 

この世界に呼ばれた理由が少しわかったような気がした。

 

「…それでどうするんだい?君がこの世界に牙を向けるというのなら、僕はここで君を殺さなければならない。」

 

「それはない。そう断言しよう。さらにいえば、そのプレイヤーとやらが世界に害を成すのならそれを止めるのが私の仕事だ。全く、不思議なこともあるものだな。」

 

「――そうかい。今回は君の言葉を信じよう。人ならざる存在よ。そして、その時が来れば君に頼みたい。」

 

「もちろんだとも。ただ、私も見極めさせてもらうがな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カン。

 

カン。

 

鉄を()つ。

 

――最近、その夢を見る。

 

 

誰にも理解されない見覚えのある騎士のこと。

 

何故理解されないのか。

それは単純だ。

 

ただ、どうかしていた。

それだけだった。

 

それを見た時、ただ悲しいと感じた。

 

何故、他人を助け、他人のための生きたのにこの結末になったのか。

それが理解できない。否、理解したくないのだ。

 

愛した聖都が焼かれた日。彼は救国の英雄としてやってきた。

見返りも求めず、ただやりたいからやったと。

一度踏みにじられたはずなのに、彼は満足していたのだ。

 

何処かわからない場所で彼は今でも誰かのために力を振るう。

 

素晴らしいことだと思った。

弱き者のために。

幸せのために、誰も泣かない国を作るために。

そんな、わたしと何も違わない。

 

だから、怖かった。

 

どれだけ頑張ってもこの結果になったあの騎士と、同じにならないか。

 

彼は死んでしまったのだろうか。

なら何故ここにいるのか。そんな疑問は生まれることはない。

これは夢であると言い聞かせるからだ。

 

いつもならここで夢は終わる。

だから、油断していた。

 

 

 

契約を紡ぐ、一人の男。

辺りは災害にでも見舞われたかのように、崩壊していた。

 

辺りの人は少ない。

でも、確かに彼は人を救っていた。

 

傷は決して浅くない。

 

自分だって、動くのすらきついはずなのに動く彼を。

 

どうしようもなく歪だと感じてしまった。

 

同時にこの時にわたしがいたならば即座に絶対命令権を使っていただろう。

 

でも、どういう命令を出すか、なんてわからない。

 

実際にその場にいたわけではないんだし、彼がやったことはわたしの理想と同じだから。

 

弱者を救うこと。

幸せを作ること。

 

覚悟はあるつもりだった。

 

でも、アレを見てから王として民の前に立つのが怖い。

 

誰もいないはずなのに、わたしはずっと後ろを見る。

 

 

「カルカ様?」

 

いつもなら優しく微笑んでいたはずなのに、どこか歪になっている気がしてならない。

 

「……なんでしょう?」

 

だけど、決して曲がるわけにはいかないのだ。

 

この国は、この聖王国は、わたしが守ると決めたのだ。

たとえ、力及ばずともこの身はこの国のローブル聖王国の女王なのだ。

 

メイドとの会話を終えて一人になる。

そこへ見覚えのある騎士……英雄が見える。

 

「どうかしたのかな、マスター?」

 

「そのマスター、というのはやめていただけますか?」

 

敬称を外してと頼んだのはこちらだが、彼は存外愉快な性格をしているらしい。

 

ほんとうに、彼が来てくれてよかった。

 

 

 

 

 

 

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