Gaze Beyond   作:しづごころなく

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本作には「障害者」という表記が登場することがありますが、その言葉に心理的・身体的不自由を持つ人々を貶める意図はありません。ご了承ください。


無自覚チャッカマン

 天才、と呼ばれていたスケーターがいた。天才と呼ばれた者は一様にして、大人からの期待を一心に背負うことになる。

 

 何かが原因で天才ではなくなるという例も少なくない。彼らはいつの間にか、持っていたはずの天才の称号を失い、戦力外通告を受け、「普通」になる。

 

 そのスケーターは、天才だった。技の一つ一つが、公平に磨き上げられた演技。成功の可否よりも、その完成度を重視するスタイルは、小学生とは思えないと言われていた。

 

 特にジャンプにおいては、G()O()E()()5()()()()()()()()()()()()()というその異様な経歴で、フィギュアスケートの未来を背負っていくものとして取り上げられてきた。

 

 

 だから悲劇だった。

 

 彼に関わってきた、沢山のスケーターが思った。何故彼なんだ。何故、彼でなければならなかったんだ。

 よりにもよって、なんで、フィギュアスケート選手が。

 

 

 事故に由来する、後天性の視覚障害。

 

 端的に言うところの、失明である。

 

 

 盲目であるということが、フィギュアスケートに於いて、他の競技に比べても大きな障害となることは、火を見るより明らかだろう。

 

 そもそもスポーツのほとんどが、目から情報を入れることを重要視し、それに依存している。

 

 ましてやフィギュアにおける視力喪失は、三半規管に影響を及ぼす。

 

 

 そして、諸君。

 

 「見ない」と「見えない」は、本質的に別物である。例えば目隠しでフィギュアスケートが出来る人がいたとしよう。しかし、それは盲目の人と同じとは言えない。

 目隠しを外せば元通りという安心感もなく、1人孤独で、一寸先が崖かもしれない恐怖を抱きながら滑る。

 

 その症状を知った時、誰もが絶句した。ああ。彼はもう、フィギュアどころか、普通の生活にすら、戻ることはできないのだな、と。

 

 親は彼の心理状態を案じて、引っ越した。少年は盲学校という、視覚障害者の子が入る学校に行くことにした。少年も、大きく心を痛め、1ヶ月は口も聞けなかったという。

 

 

 だが。

 

 

 だが。

 

 

 ある日。少年…稀崎翔(キザキショウ)は、スケートリンクを滑っていた。そして前が見えずに壁に衝突、床に転び、こう呟いた。

 

 「…面白くなってきたじゃん」

 

 

 これは、神に翼を捥がれた少年が、それでも羽ばたこうと飛翔する、再生の物語。

 

 

 

 交通事故だった。小学6年生の初め頃だったからだろう。車に轢かれたことにより、その衝撃で骨が折れるよりも、体が軽かったために吹っ飛び、地面に激突した衝撃の方が痛かった。

 

 運の悪いことに、地面に激突する時、顔面からぶつかったらしい。先生の処置が上手かったので顔に傷跡が残ることは無かったけれど、問題は。

 

 視神経が機能しなくなっていた。

 物知りな方だったから、何が起きたのかはなんとなく理解できた。脳と眼を神経という大切な部分がつないでいることは知っていたので、そこが働かなくなったってことは、眼球は正常でも、目が見えないということだ。

 

 そこからのリハビリと、日常生活に慣れるまでに大体1年くらいかかった。

 まず、視力の回復の兆しは殆ど無いそうだ。最初はショックだったけど、生活に不便を感じるくらいで、精神的には受け入れられた。

 

 もっと辛かったのは、フィギュアスケートができそうに無かったこと。そもそも視覚障害を持ったままアスリートになんて成れはしないのだが、無理を言ってスケートリンクに連れて行ってもらった時に。

 

 

 

 いつも履いていた、刃物の付いた靴を履き、周りに何があるか手探りで丁寧に確かめながら、椅子からゆっくりと立ち上がる。近くにあった柱に手をつき、暗闇の中何歩か前に進む。

 

 前に出していた手が、スケートリンクの壁に当たる。そこを掴み、足を一歩踏み出せば。

 

 そこは氷上の世界だった。

 

 懐かしい感覚に嬉しくなって、もう一歩前に出た。

 

 「そうそうこれだよ」

 

 両足がスケートリンクに踏み入って、壁から離れる。不安定な氷の上でも、立てている。そんな嬉しさが、僕の足を前に踏み出させて、いつものように滑らせようとする。

 

 一瞬風を切るような感覚が頬を伝って───

 

 

 「え」

 

 

 壁にぶつかるような、衝突の感覚と共に、僕は足場を失い、文字通りすっ転んだ。

 

 

 気持ちが悪い。気持ちが悪い。こんな、こんなの、絶対前みたいな滑りができるわけないじゃん。

 吐き気がする。今までの努力はなんだったの?

 

 僕はちょうど1年前に3回転ルッツを跳べそうだったのに、こんなの、跳べるわけないじゃないか。

 

 三半規管がおかしい。

 

 ぐるぐるする。

 

 こんなの僕じゃない。翔べない奴は帰ってくれ。

 

 何だよ、もしかしたらもう一度滑れるかもって。クソみたいな思考垂れ流しやがって、希望持つだけ無駄だったんだ。

 

 いやだいやだいやだいやだ───

 

 「ぅぷ」

 

 反吐が出る。文字通りだ。

 

 

 

 

 

 そういうわけで、自分から逃げるため、僕は引っ越した。友達に盲目を指摘されるのも嫌だし、ましてや同じチームの氷上で滑っていられる自信がなかったからだ。

 

 「……くそが」

 

 当時やけになっていた僕は、なんだかんだ言って、スケートリンクに来てしまっていた。イヤホンを付けて、自動音声による方向伝達機能があるので、マップと連動させることで行きたい方向に自分で行くことができるのだ。

 

 鰻が食べたいとかいう軽率な理由で名古屋に来たはいいが、一度鰻を食べたら行くところが無くなり、流れるようにスケートリンクに来てしまっていたのだ。

 

 

 「いてっ」

 

 後ろから誰かにぶつかられた。でも、足に当たっただけだ。案外犬とかかもな。後ろを振り向きながら、話しかけてみる。

 

 「大丈夫ですか?」

 

 「す、すみませぇぇぇん!!!」

 

 すげぇ勢い。しかも声で分かった、女の子だ。

 

 「君もスケートするの?僕は…………僕は、入場だけしようと思ってるけど」

 

 「あ、はい…」

 

 「気のせいだったら良いんだけど、親御さんも無しにここって入れるの?」

 

 「!?」

 

 一瞬の沈黙。表情は分からないが、この気まずい沈黙は何か思い当たりがあるのだろう。汗ダラダラだったりして。

 

 「ぁう…ぇと…」

 

 「ま、いいよ。ここまで来れてるってことは、何かしらの方法で許可は貰えてるよね」

 

 「あの…お兄さんは滑らないんですか?せっかくお金払ってるのに…」

 

 「………良いんだ。別に。ほら、僕のことなんか気にしてないで滑ってきな」

 

 酷い話だ。一番氷の上を諦めきれていないのは僕だというのに、理性が不可能を告げてくる。

 

 僕は椅子に腰掛け、隣で準備をする少女Aの音に耳を傾ける。あ、足音が変わった。氷に踏み入ったかな?

 

 「ところで君、名前は?」

 

 「ゆ、結束いのりです!」

 

 「良い名前だ。よろしくね」

 

 「はい!」

 

 

 目を瞑って、音に耳を傾ける。元々耳はいい方で、しかも最近耳が良くなってきているのだ。脳のリソースの割き方が変わったとかそんな理論が本当に適用されるとは思ってなかったけど。

 

 だから、なんとなくだが、みんながやっている滑りの種類がわかる。

 

 一番近くで滑ってくれているのがいのりちゃん。音が移動する速度を考えると、かなり速い。でも、クラブには所属してないのかな。

 

 「へ?」

 

 なんか、音が加速している気がする。ドップラー効果すらちょっと感じるぞ。いのりちゃん、もしかしてめっちゃ速い?複数人いて僕がそれを聞き間違えているだけ?

 

 もしこれがいのりちゃんなら、相当面白いことになるかもしれない。これは、明確な才能だ。

 

 

 「いのりちゃん、入場しなくてもいいから明日もココ来てよ。ちょっと面白いものを持ってくるからさ」

 

 「わ、わかりました…?」

 

 

 

 僕が持ってきたのは、捨てきれずにずっと溜めてあった、もう使わないであろう僕のフィギュアノート。基礎から応用まで、事細かに重要なポイントが書いてあるノートだ。

 

 見返すことができないので無用の長物となってしまっていたが、僕より有効活用できる人がいるならその人に渡るべきだろう。

 

 「え、えぇ!?こんなに!?良いんですか!?」

 

 見えないけれど、凄くキラキラなオーラが漂ってくる。実際このノートは、僕の今までの努力が全部詰まっているので、10冊はゆうに超える。付箋もたっぷり、ボロボロだし書き込みもびっしりだ。

 

 「うん。もういらなくてね。いのりちゃん、見るにあんまりスケート詳しくないでしょ?教えるのはちょっと難しいかもだけど、これならあげられるからさ」

 

 「…あのっ」

 

 「?」

 

 「要らないなんて、言わないでください!スケート、やめないでください!」

 

 服の袖を引っ張られ、ちょっと涙ぐんだ声で訴えられる。

 

 「お兄さんがどんな理由で辞めたいのか私は全然知りません!でもっ、でも、こんなに頑張った人が、スケート辞めちゃうのは、凄く、凄く勿体無い、と、思います…!」

 

 「!」

 

 「このノート、お兄さんの意気込みとかも、書いてありますよね。ほら、ココ!『2回転アクセルが飛べるようになった。びっくりするくらいキツかったが、諦めなければ不可能じゃない。これからも、何があっても諦めてたまるものか』って……」

 

 「ぁ」

 

 忘れていた。忘れていた。完全に、記憶からなくなっていた。あの日、あの時も、何度も、僕は「諦めない」って言い続けていた。何があっても、あらゆる困難を退けてみせると、堂々と書いていた。

 

 誰かが言った。「今まで出来た人がいないなら、最初の人になれば良いじゃないか」って。言ったのは誰だっけ。

 

 ああ。

 

 「僕か」

 

 

 いつかの日に大言壮語も甚だしいことを言った。それを言ったのは僕だ。どうして忘れてたんだろう。

 

 「何よりも!お兄さんの目は、ずっと、前を向いてるじゃないですか!」

 

 なんで僕は小学生に発破を掛けられてるんだ。悔しいぞ。ああ。でも。そうだった。

 

 僕は、ずっと、目が見えなくなってから、心の内で。

 

 前を見たいと、思ってたんだ。

 

 「…しょうがない。見てなよいのりちゃん。翔んでやるぜ。暗闇の向こう側まで!」

 

 

 実にシンプルな結論だ。僕は、フィギュアスケートを辞めたいなんて、思っちゃいなかったのだ。

 

 

 

 親の反対を押し切って、僕は靴を履き直し、さんざんスケートリンクに通った。最初は、一般の方がいる中でも1人で普通に滑れるように、壁際を何周もするだけの練習。

 

 その次は、壁際をちょっと離れて、滑る練習。

 

 というように、氷上で人の気配を感じながら転けずに滑れるようになる練習を、何ヶ月もやり続けた。

 

 相変わらず人にはぶつかりそうになるが、1人であればまあ滑れるな、というレベルまで行ったタイミングで、基礎練を0からやり直すことにした。

 

 加速は壁への衝突がつきものだったが、スケートリンクのサイズ感を体に無理矢理染み込ませて、そろそろぶつかるな、という感覚を養っていった。

 

 

 一回転トウループ。足を捻って横転。立ち上がる。滑る。一回転トウループ。刃が氷に当たりはしたものの、体勢のコントロールが上手くいかず、横転。立ち上がる。滑る。一回転トウループ。遠心力に耐えきれず横転。

 

 今やったように、ジャンプ練習は地獄だった。一回転ですら、着地の際に足元を見れないことが大きく影響したし、何より自分の姿勢の矯正を他人にやってもらうしかなかったのが辛かった。

 動画撮影は無意味だ。どうせ見れないし。

 

 僕の以前のスタイルからして、妥協は許したくない。完成したかどうかも確認出来ないが、感覚的に納得のいく所まではやることにした。

 

 

 久しぶりに例のスケートリンク…最寄のところに行ったせいで名前が分からないが、そのリンクに行くことにした。いのりちゃんに会えるといいな。

 

 

 

 「……が嫌なの」

 

 いつものように、靴を履き、前を確かめながら進む。

 

 「私…!スケート絶対やりたかったの……!」

 

 声が鮮明になる。聞き覚えのある声だ。僅かに震えている。泣いてるんだろうな。

 

 「私にも誰かに負けないくらい好きなことがあるって、上手にできることがあるって、わたしは恥ずかしくないって思いたいの!!」

 

 声の元に近寄り、屈んで肩を叩く。

 

 「よく言ったぜ、いのりちゃん」

 

 「あ、お兄さん……!」

 

 「あ、貴方は…?」

 

 上から声がかかる。女性の声。いのりちゃんの母親かな。

 

 「こんにちは、いのりちゃんの親御さんですか?僕は、うーん、しがないスケーターです」

 

 ささっと靴紐を結び、立ち上がる。

 

 「見てな。「出来ない」側の人間が、その壁を越える瞬間を」

 

 滑る前に、ポケットからとある手帳を出し、親御さんと、その近くにいるコーチの方であろう人に見えるように提出する。

 

 記載は、『障害者手帳』。僕の名前から、その症状も書いてある。

 

「… 稀崎翔!?」

 

 後ろから男性の声が飛んできた。あれ、僕のこと知ってる感じ?じゃあまあ、話が早いか。

 

 飛ぶものはもう決めてある。僕が今跳べる技の中で最難の、2回転ルッツ。

 

 一般の方もいるから、助走は取れない。少ない助走の中で、2回転ルッツを、盲目の人間が飛ばなければならない。

 

 

 

 

 というのは、()()()()()

 

 フィギュアスケートの本質は、奇跡を叶えることだ。やるなら、今のままでは跳べないモノ。

 

 

 

 2回転アクセル。

 

 

 ルッツとアクセルの間には、極めて大きな壁がある。アクセルがそもそも半回転多くなるという性質上、2回転と言っておきながら実際は2回転半、実際の選手からすれば、ただの3回転に感じられる。

 

 だが。自分の火をつけてくれた少女に、僕が火をつけられないでどうする。火をつけるためには、不可能を可能にすることが必須条件。

 

翔べたことはない。跳べる気もしない。

 

 

でも。

 

 

 

 今、この瞬間に跳べないなら、スケート辞めやがれ、稀崎翔!!

 

 

 

 

 短い助走から、過去の自分を体に宿し、できるだけ感覚を寄せていく。足を踏み込み、跳躍。

 

 翔べ。

 

 

 

 

 

 お兄さんとの出会いは、わたしの不注意からだった。

 

 靴を持ったまま、ウキウキで前も見ずに走ったせいで、人にぶつかってしまった。わたしより学年が高い、吊り目で空色の髪のお兄さん。

 

 次会った時には、その人のノートを貰えた。本屋さんの本だけじゃわからない技術やイメージが、たくさん書いてあった。お兄さんのコメントも付属していて、ちょっと微笑ましい。

 

 だから、気になった。

 

 この人、スケートを辞めちゃうんだろうか。

 

 こんなに頑張ったのに。

 

「うん。もういらなくてね。いのりちゃん、見るにあんまりスケート詳しくないでしょ?教えるのはちょっと難しいかもだけど、これならあげられるからさ」

 

 「…あのっ」

 

 「?」

 

 「要らないなんて、言わないでください!スケート、やめないでください!」

 

 「お兄さんがどんな理由で辞めたいのか私は全然知りません!でもっ、でも、こんなに頑張った人が、スケート辞めちゃうのは、凄く、凄く勿体無い、と、思います…!」

 

 どこを見ているのかよくわからないけど、この人は凄く真っ直ぐな目をしている。わたしなんかよりずっと前向きで、かっこいい人だ。

 

 「!」

 

 「このノート、お兄さんの意気込みとかも、書いてありますよね。ほら、ココ!『2回転アクセルが飛べるようになった。びっくりするくらいキツかったが、諦めなければ不可能じゃない。これからも、何があっても諦めてたまるものか』って……」

 

 わたしはちょっと泣きそうだった。お兄さんの目も少しだけ潤んでいる気がする。

 

 「ぁ」

 

 わたしが力説したからか、お兄さんはスケートを続けることにしたらしい。それから数ヶ月間、わたしはお兄さんに会うことは出来なかった。

 

 

 そのお兄さんが、今、わたしの前で、氷の上に立った。滑る姿を見るのは初めてだったけど、そんなことよりわたしは、お兄さんが出した手帳の方が気になった。

 

 『障害者手帳』

 

 読めない。漢字が…。でも、お母さんがそれを開いた後の文章の意味は、なんとなく分かった。

 

 『*&^%%&#による@!(%失明』(読めない部分ばっかりだった…)

 

 でも、多分、このお兄さんは、目が見えていないんだ。

 

 うそでしょ!?

 

 わたし全然気づかなかった!視線に違和感はあったけど、目を見て話すし、全然生活とか困ってなさそうだったし、杖も持ってなかったし*1

 

 え、

 

 じゃあ、

 

 

 お兄さんは、目が見えなくなっても、スケートを諦めなかったの…?

 

 

 わたしの目は一気にスケートリンクに吸い込まれる。お兄さんは凄く短い助走の中で、一気に加速して、そして。

 

 翔んだ。

 

 翼が生えたみたいだった。

 

 

 一切体の軸がぶれることなく、お兄さんは着地した。周りの音が、いつの間にか消えていた。

 

 胸が熱い。わたしはいつの間にか、あのジャンプを超えられるくらいの人になってみたいな、と呟いてしまっていた。

 

 「お母さん…!!わたし、スケート、やっぱりやりたいよ…!!」

 

 わたしの中のスケートに対する熱が、一気に燃え上がった瞬間だった。

 

 

 

 なんやかんやありまして。いのりちゃんはフィギュアスケートを始められたようだった。僕はというと、一旦の目標をバッジテスト六級、即ち中学生が受けられる最大級へと設定。

 

 高校生になるまでの間に、スケート界を破壊することにしたのだった(冗談)。

 

 

 

 

 「翔…!!」

 

 目の前から急に誰かに抱きつかれる。あれ。女性じゃなかった?

 

 「…」

 

 「ごめん…!私っ、どうしても、お前に謝りたくて……ごめん…!!」

 

 ああ。声で分かった。

 

 「別に怒ってないし、謝らなくていいんだよ、いるかちゃん。可愛い顔が台無しだから泣かないで」

 

 懐かしい。僕が置いてきた後悔だ。もうちょっと、ちゃんとお別れをするべきだったよね。むしろ悪いのは僕の方かな。

 

 「ところでいるかちゃん。僕がいない間に暴言とか吐いてないよね?」

 

 「…………」

 

 「幻滅したぜ…」

 

 マジかよいるかちゃん。もうちょっと優しくなろう?

*1
スケートリンクでは預けるようにしているだけです。いのりちゃんは気づきませんでした。




Q.盲目のフィギュアスケーターなんて有り得るの?
A.います。ソース:https://www.liveabout.com/lisa-ferris-blind-deaf-figure-skater-1282851
 逆に言うとこの人くらいしかいませんでしたけど…

主人公:ほぼ0の状態から2回転ルッツまで数ヶ月で回収するやべーやつ。いるかちゃんのジャンプのクオリティが高いのはこいつの影響らしい。レッドブルはそこまで好きじゃないとか。
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