国兵のアストライアに拾われ、生きるために王城で彼女の使用人となる事を決めた。
生真面目すぎるアヤと、可愛らしいリゼット。
先輩二人に加わり、慣れないながらもスタートする新しい日々に、
アテナはときめきを隠せないでいた。
だが、その平穏な日常の裏側で、アテナは誰にも言えない秘密を抱える。
それは、ミカエルとの契約によってもたらされた、身体の深刻な異変。
賑やかな食卓で、一人孤独を噛みしめるアテナの運命は、まだ始まったばかりだった。
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「よいしょ……これでよしっと! フフフ」
昼食後の食器を片付け、テーブルを拭き終えたアテナ。
一仕事やり終えたその得意げな顔は、突如、背後から耳元へ囁かれた声に硬直する。
「アテナ、よろしいですか」
「ひゃあっ!?」
いつの間にかアテナの背後に立っていたのは、
相変わらずの佇まいのアヤだった。
アテナは体をビクつかせ、その場に尻もちをついた。
「きゅ、急に……! びっくりするからやめてよ、アヤ!」
「……? すみません。数分前からずっとおりましたが」
「うそでしょ……」
アテナはアヤの差し出した手に掴まり、服についた埃を払いながら立ち上がる。
「買い出しに出ますので、アテナにも付き合っていただきたいのです」
「アヤと買い物……ってことは、お城の外に出るの!?」
「はい。そろそろ外出の方法と、お店の場所を覚えていただかないといけませんので」
その言葉に、アテナの表情がぱっと明るくなる。無理もなかった。
アストライアの使用人として仕え始めて数週間、仕事を覚えるのに必死で、
一度も城の外へは出ていなかったのだ。
それもそのはず、人の出入りが許可された城門は一つしかなく、
兵士の証である国章か、その日発行される通行許可証がなければ、
出入りすることはできない。アテナは、その許可証の発行手順をまだ知らなかった。
アヤに連れられ、厨房を鼻歌交じりでご機嫌に通り過ぎる。
そこではパラスが食器を洗い、リゼットは食器を拭いていた。
アテナはニヤニヤしながら、忙しそうにしているパラスの肩をポンと叩いた。
「はい……? どうしたのアテナ」
「ぶへへ、今からお買い物に行ってきまーす。いいでしょー」
「え? そうなんだ。いってらっしゃい」
予想とは違うあっさりとした反応に、アテナは肩透かしを食らう。
「えぇ!? パラス、お城の外だよ!? もっとこう……羨ましいとかないの!?」
「私はもう四、五回リゼットとお買い物に出てるけど……」
面食らった顔で絶句するアテナ。
その横で一部始終を見ていたリゼットが、顔を背けながら笑いを堪えきれずに噴き出した。
「ぶふっ! パラスは仕事を覚えるのが早いので、
すでに一通りのことは教えたのですよ、アテナ♪」
「へ……へぇ……。あー、ね。そうなんだ……」
厨房で油を売っているアテナに、アヤが開いた扉から顔だけを覗かせて声をかけた。
「アテナ。時間がありませんので、私一人で行ってしまいますよ?」
「あっ、あぁ!? 行く! 行きます! ちょっと待って!」
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広い広い城の中。
アテナがまだ立ち入ったことのない場所を進んで行くと、
次第に城内を移動する兵士の姿が多くなっていった。
背が高く、屈強な体つきの兵士たちがアテナたちとすれ違うたび、
珍しいものを見るかのようにジロジロと見つめ、
コソコソと話をしながら通り過ぎていく。
「ねぇねぇ、アヤ」
「なんでしょうか、アテナ」
「みんなが私を見て笑ってる気がするんだけど。何か変な格好してるかな?」
「いいえ。この城で、私たちのような女子供を見かけるのが珍しいだけでしょう」
「ふぅん……」
しばらく進むと、数人の兵士が列をなしている場所へとたどり着いた。
「着きました、アテナ。ここが外出許可証を発行してくれる場所です」
いかつい兵士たちが並ぶ列の一番後ろに、アヤとアテナが並ぶ。
「へぇ……。でも、いっぱい並んでるね。時間かかりそう」
夕飯の準備を考えると、時間はあまりない。
アヤの表情に、わずかに焦りの色が浮かんだ。
「そうですね……。私としたことが、少し出遅れてしまったようです」
出遅れた責任は自分にあると感じたアテナは、
首を伸ばして列の先頭をチラチラと見つめる。
すると、先頭から眼鏡をかけた年配の男性が、二人の元へとやってきた。
「おや? 今日は随分と遅かったじゃないか、アヤちゃん」
「リユウさん、こんにちは」
「外出許可証かい?」
「はい」
リユウと呼ばれたその男性は、ちらりとアテナの方を見てアヤに尋ねた。
「この子は……?」
「はい。新しく大佐の使用人になりました、アテナと申します」
リユウはアテナへと手を差し出し、柔らかく微笑えんだ。
「そうかい。わしはリユウ。ここの許可証発行人を務めとるもんだ。よろしくな」
アテナは少し緊張しながら、その手を握り返した。
すると、アヤが背後からそっと耳打ちをする。
「アテナ。リユウさんはこの部署で一番偉い方です。きちんとご挨拶を」
「……? うっす! アテナ=パルティナです! よろしくお願いしまっすです!」
「……アテナ。普通で……いいんです」
リユウは、そんな二人を見て朗らかに笑った。
「ははは、い、いや、うむ、元気があってよろしい!」
アテナは真っ赤になりながら照れ笑いをする。
「えへへ、えへへへへ」
一方アヤも同じく、真っ赤になりながら、アテナの肩にそっと手を置き、力なく呟いた。
「……褒められたわけではありませんよ、アテナ」
「え……マジ?」
そんな様子を、しばらく微笑ましく見守っていたリユウは、
本日発行の外出許可証を二人へと手渡した。
木製の板には、見たこともない文字が、淡い光を放つ刻印で施されている。
アテナは、その神秘的な許可証を珍しそうに見つめていた。
「あの、リユウさん。私たちの番はまだ先のはずですが……」
アヤが申し訳なさそうに言うと、リユウは優しく首を振った。
「いいんだよ。後輩の面倒を見ながら仕事をするのは大変だろう? 持っていきなさい」
「すみません。ありがとうございます」
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通行証を門番の兵士に見せ、二人は城の外へと出る。
城門を抜けると、見晴らしのいい草原に、一本道がどこまでも続いていた。
その遥か先には、細やかに密集した城下町の風景が、鮮やかに広がっている。
アテナは思わず立ち止まり、キラキラと瞳を輝かせた。
「アテナ……? 行きますよ」
街と城を繋ぐ道を、ガラガラといくつもの荷馬車が行き交う。
草原の丘を下ると、すぐに城下町への入り口が見えてきた。
「アヤ、ここが……城下町?」
「はい。人が多くなりますので、決してはぐれないようにしてくださいね、アテナ」
「うん」
街中へ入ると、道はすべて石畳で舗装され、
木組みや赤茶色のレンガで造られた建物がびっしりと立ち並んでいた。
楽しそうに走り回る子供たちとすれ違い、進むにつれて、
けたたましい機械音がいくつも聞こえてくる。
その騒音に顔をしかめながら、アテナはスタスタと進むアヤの後を追い、大声で尋ねた。
「ねぇアヤ! すっごい煩いんだけど、何の音!?」
「ランスニュイアは工業国家ですから。物作りで繁栄しているので、
こういった工場が多いのです。日が暮れるまでは、どこも騒がしいですよ」
「へぇー! ちょびーっと、覗いてみたいなー!」
「アテナ……。迷子になったら置いていきますからね」
「へ、へい……」
街を流れる川は少し濁り、空気も決して美味しいとは言えない。
しかし、目に飛び込んでくるもの全てが、初めて見るものばかり。
アテナは、このゴミゴミとした街が一瞬で気に入ってしまった。
やがて二人がたどり着いたのは、とても大きな露店通りだった。
人と人の間をかきわけながら進むほど、通りは人でごった返し、
工場の騒音をもかき消すほどの活気に満ち溢れている。
村育ちのアテナは、この人混みに胸をときめかせていた。
「うわー! 人がいっぱいだ! すごいすごいすごーい!」
「アテナ。よそ見しないで、こちらです」
アヤはアテナの手を引き、一軒の露店の前へとやってきた。
店番をしていた男性が、アヤに気づいて威勢よく声をかける。
「おっ! アヤちゃん、いらっしゃい!」
「こんにちは、アーテルさん。今日もお安い食材があればお願いしたいのですが」
露店商人のアーテル。若いが店の二代目でもある彼は、ここらでの古株商人。
アストライアとも交流があることから、使用人たちは日々の買い物をほぼここで済ますのだった。
「今日はね、旬の川魚がしこたま手に入ったんだ! 朝採れたてで、新鮮だよ!」
アヤは金額を尋ねると、口元に手を当て、夕飯の献立を考え始める。
(うーん……最近はお野菜のスープばかりでしたから、栄養も考えないと……)
「では、それを五匹と、レタスを一つ、トマトを二つお願いします」
「あいよー! 毎度ありぃ!」
アーテルは代金と引き換えに商品を手渡すと、
さらにニカッと笑いながら、アヤに何かを差し出した。
「えっと……アーテルさん、これは?」
「おまけだよ! アヤちゃん、いつもウチで買ってくれるからさ!」
棒の先に巻き付けられた、キラキラと透き通る飴菓子。
アヤは生まれて初めて目にするそれに、すっかり魅入られていた。
「綺麗……。ありがとうございます」
「おう! アストライア大佐にもよろしくな!」
「はい」
表情を表に出すのが苦手なアヤが、その時、子供らしく本当に嬉しそうに笑った。
そして、もらった飴をアテナにも見せてあげようと振り返った時、
そこにいるはずの姿がないことに気づく。
「アテナ……?」
キョロキョロと周りを見渡すが、人混みの中でその姿を見つけることはできなかった。
アヤは青ざめ、アテナの名前を呼びながら人波の中を探し始めた。
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アーテルの店先で、アヤが繋いだ手を離したほんの少しの隙。
アテナは興味本位で、周囲の店を見て回っていた。
そして案の定、人混みの中で完全にアヤを見失ってしまったのだ。
大通りを何度往復しても、アヤの姿は見つからない。
アテナは頭をガリガリとかきながら、さらに細い路地へと入っていった。
しばらくして、日は暮れ、辺りは薄暗くなっていた。
工場の音はとうに止み、カラスの鳴き声だけが寂しく響く。
アテナは自分がどこにいるのかも分からず、途方に暮れていた。
「やばい……完全に迷子だ……。お城、どっちだろ……」
細い路地を行くと、街は昼間とは違う、ギラギラとした夜の賑わいを見せ始めている。
アテナが俯きながら歩いていると、前方から来た人物とぶつかってしまった。
「うわっ!?」
「おほっ!」
額を擦りながら相手を見上げると、
そこには白いスーツに洒落た帽子をかぶった青年が立っていた。
青年はアテナへ手を差し出し、声をかけた。
「おやおーや?どうしたんだい、子猫ちゃん。浮かない顔をして、迷子かな?」
「こ、子猫ちゃん……!? ご、ごめんなさい! 急ぐので!」
アテナはこの青年に、得体のしれない悪寒を感じ、すぐにその場を立ち去ろうとした。
「ホフフ。この辺りは酒場が多くて入り組んでいるからね。迷ったら帰れないよ。
よかったら、おうちまで送ってあげようかー?」
背後からの言葉に、アテナは足を止めた。
(むー……うさんくさい……けど……早く帰りたい……)
このまま一人で歩き回っても、城にたどり着ける気はしない。
何より、アヤやみんなが心配しているはずだ。
意を決したアテナは、しぶしぶ振り返ると、青年に事情を説明し始めた。
「さあ、はぐれないように。僕の手にしっかり掴まって、迷い猫ちゃん」
「アテナです……。ちょ、手触らないで」
「へぇ、アテナ。可愛い名前だねぇ! 僕の名前はピーゴリーさ。よろしくねー」
「あ、うん……。わかったから、手離して……」
アテナは再び、ピーゴリーが握った手を高速で振り払った。
やがてピーゴリーに連れられて夜道を歩いていると、
前方から華やかな服を着た女性二人が、こちらに気づいて黄色い声を上げた。
「あらぁ? ピー君じゃない!?」
「きゃー、ほんとよ!ピーくぅん」
ピーゴリーは両手でビシッとポーズを決め、彼女たちに微笑みかける。
「おや、子猫ちゃんたち。今夜も一段とキュートだよー」
アテナは、その様子をポカーンと目を点にして見つめていた。
三人はよくわからない話で盛り上がっている。
「ピー君の歌、今夜も聴きに行くからね!」
「ホフフ、ありがとう! いつもの店で待っていておくれよ。ちゃお!」
二人の女性へ、投げキッスをしながら先を進むピーゴリー。
その後ろでアテナはどうしても、この派手な振る舞いの青年が好きになれなかった。
「ピーゴリーって……いつもこんな感じなの?」
「おやおや? もしかして、ヤキモチかな? ホフフー困った子猫ちゃんだー」
(うん、この人は、さっきからなにを……言っているんだろう……?)
そんな気持ち悪さを感じていると、
ピーゴリーのおどけた態度が一変し、真面目な顔つきになった。
「いつ誰と恋に落ちて、愛を育むかなんて、誰にも分からない。だから、
可愛いものは可愛いと、素敵なものは素敵だと、後悔しないように伝えるのさ」
しばらく空白ののち、
アテナは、全く心のこもっていない、棒読みの相槌を返した。
「へ、へぇ……?大変なんだね、恋って」
そんな会話をしているうち、
二人は入り組んだ路地を抜け、川沿いの大きな道へとたどり着いた。
対岸の街の光が水面にキラキラと映り、アテナはその輝きに目を奪われる。
ピーゴリーはうっすら鼻歌を歌いながら、アテナへ尋ねた。
「君は、恋をしたことはないのかい?」
「恋……? うーん、よくわかんない」
「まあそうか、まだ子猫ちゃんだものねー。じゃあ、好きな人はいるのかな?」
「なんなん子猫ちゃんって……。んー好きな人……。あ、パラスかな!」
「ホフフ」
ピーゴリーは、本当に嬉しそうにニコニコと話を続けた。
「恋は素敵なものだよ。君もいつか、その人と素敵な恋ができるといいね」
「へぇ……」
やがて、街を抜け、城へと続く草原の一本道が見えてきた。
丘の上には、王城の明かりが美しく灯っている。
「あっ、やったーお城だ! ありがとう、ピーゴリー!」
足早に城へと走り出すアテナに、ピーゴリーが声をかける。
「夜道は危ないよー。門まで送ってあげよう」
「ううん、大丈夫! ここまででいいから!」
「そうかい? じゃあ、また会おうね、アテナ子猫ちゃん」
ピーゴリーに手を振り、別れを告げると、
アテナは息を切らしながら城門へと走り出した。
門にたどり着くと、
そこには十数人の門兵が、重々しく長槍を構えて立っていた。
夜は昼間とは違い、警備が厳重になっているようだ。
アテナがその大男たちにたじろぎ、
門の前をウロウロしていると、門兵の一人が声をかけてきた。
「……街の子か? こんな夜更けに何の用だ。
城への用事なら、明日また来なさい」
「えっと……あの、使用人で……その……」
アテナがしどろもどろに答えていると、
門の奥から、聞き覚えのある声が飛んできた。
「アテナッ!!」
門兵たちをかきわけ、アヤが小走りに駆け寄ってくる。
その姿を見て、アテナは心の底からほっとした。
アヤは、すぐに門番へと事情を説明し始めた。
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ようやく城の中へ戻り、居間でアヤと二人きり。
静寂に包まれながら、アテナは緊張した面持ちで、固唾を呑んで誰かを待っていた。
やがて扉が開き、軍服姿のアストライアが、
革靴をコツコツと鳴らして入ってくる。
アテナは背筋を伸ばし、直立した。
アストライアは椅子に腰かけると、目を閉じたまま口を開く。
「なぜ、こんな時間まで戻れなかった」
アテナは、恐ろしさで思考がまとまらず、何も答えられない。
隣のアヤも、いつもの平静さを失い、震える声で口を開いた。
「も……申し訳ありません、大佐。アテナから目を離した、私の責任です」
深々と頭を下げ、フルフルと震えるアヤを見て、アテナも慌てて後に続いた。
「ち、違うんです! 私が、離れるなって言われたのに、街が珍しくて……。
言うことを聞かなかった私のせいです! アヤは悪くありません! ごめんなさい!」
二人の謝罪に、アストライアは深いため息をついた。
「二人とも、当番職務以外は部屋から出ずに反省文を書け。
それを私に提出するまで、外出は一切禁ずる。
城外への買い物は、しばらくリゼットとパラスに行ってもらう。いいな」
頭を下げたまま、二人は震えながら返事をした。
「よし、ではもういい。無事でよかった」
アテナはこの時、罰の内容を深く考えず、終わったことに安堵した。
この状況、オルファリスなら容赦なく手が飛んできていたからだ。
アストライアは立ち上がり、扉の外に声をかける。
「リゼ、パラス。もう入っていいぞ」
扉が開き、パラスは入ってくるなりアテナに駆け寄って抱きついた。
「アテナのばかっ……! 心配したんだから……!」
大好きな匂いがふわりと香り、長い髪が頬をくすぐる。
改めて心配をかけたことを反省し、アテナはパラスを強く抱きしめ返した。
「うん……ごめんね、パラス。ただいま」
続いてリゼットが、パンとミルクを乗せたお盆を運んでくる。
「何はともあれ、無事でよかったです! ささ、召し上がれです♪」
アストライアは、未だ落ち込んでいるアヤの背中をポン、と軽く叩くと、
「食べなさい」と優しく微笑みかけ、居間を後にした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
食事を終え、後片付けをして自室に戻る。
夜も更け、決められた就寝時間はとうに過ぎていた。
灯りを消し、それぞれのベッドに入るが、アテナはなかなか寝付けずにいた。
カーテンの隙間から差し込む月明かりを、ぼーっと眺める。
「……アヤ?」
しばらくして、小さな返事があった。
「……なんでしょうか、アテナ」
「その……ごめんね。今日は、いっぱい迷惑かけちゃって」
「……私も、最初は街を探しました。
でも、門限があったので、先に城へ戻って大佐に事情を……」
アヤは、今にも眠ってしまいそうな、か細い声で続ける。
「その後は、ずっと城門で待機していました。
……食事も取らずにアテナを探し回っていたのは、大佐です。
だから……私たちが本当にお詫びするべきなのは……」
「……そうだったんだ」
知らなかった事実に、アテナは胸が締め付けられるような思いがした。
「えぇ……。明日も、早いですから……もう、休みましょう……アテナ」
「……うん。おやすみ、アヤ」
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
水飴をぺろぺろしながらアテナを探し回るアヤ。
「アテナ……一体どこへ。それにしても……ペロ、おいしいですねこれ」
「……おいしい。もう門限です……ペロ。仕方ありません一旦城へ……ペロ」
しっかり者のアヤも、実はこういう子供らしい一面が可愛いです。
次回へ続きますー♪