白良浜でのイベントが無事に終わり、346プロの面々がオフィスに戻って数日後。
武内Pはデスクで書類を整理しながら、あの騒動を振り返っていた。
「(鹿島乃亜のイベント、鷺沢文香の鉄道公安機動隊隊長就任、そして木下さんのあの暴走……。本当に何もかもが予想外だったな)」
そこへ、イヤミPがコーヒーカップを片手にノソノソと現れる。
「なぁ、武内。あの千歳って奴、どうなったんだ?」
「千歳……ですか?」
武内Pが手を止め、眉を寄せる。
「ああ、イベント担当とか名乗ってた怪しい奴だよ。俺の電話をぶった切った無礼者!」
イヤミPがムッとした顔で言う。
武内Pは一瞬考え込み、渡部健太郎との電話での会話を思い出す。
「そういえば、渡部さんが言っていました。千歳という職員は國鉄のどの部署にも存在せず、恐らく内通者だろうと」
「内通者?」
イヤミPがカップを置いて目を細める。
「はい。RJの構成員、つまり内通者ですよ」
武内Pが静かに告げると、イヤミPが一瞬固まった。
「RJ……って、あの最近ニュースで騒がれてる怪しい組織か?」
「そうです。鉄道関連の情報を外部に流したり、イベントを攪乱したりする目的で潜り込んでいた可能性が高いですね」
「ムムム……」
イヤミPが唸り、腕を組む。
「じゃあ、鹿島乃亜のイベントに紛れ込んでたってわけか。俺達がゲスト出演を仕掛けたのも、向こうにとっては想定外だっただろうな!」
武内Pは苦笑いを浮かべつつ頷く。
「確かに、木下さんの無茶苦茶な行動が逆に千歳の計画を狂わせたのかもしれませんね」
「何!? 俺の天才的な策略を無茶苦茶呼ばわりするのか!」
イヤミPが憤慨するが、すぐにニヤリと笑う。
「まぁいい。結果的に鷺沢文香が目立って、346プロの名も上がったんだからな!」
そこへ、文香が静かに部屋に入ってきた。手に持つのは、いつものように分厚い本。
「プロデューサー、木下さん……あの、お疲れ様でした」
彼女が控えめに頭を下げる。
「おお、文香! 鉄道公安機動隊隊長の仕事はどうだ?」
イヤミPが勢いよく尋ねる。
「はい……まだ慣れませんが、皆さんの笑顔を見ると、少しずつ意味が分かってきた気がします」
文香が穏やかに微笑む。
武内Pも優しく返す。
「あなたならきっと素晴らしい隊長になれます。今回の経験は、アイドルとしても大きな糧になるはずです」
「ありがとうございます」
文香が頷き、本を胸に抱きしめる。
一方、白良浜での出来事を知った茅原美統は、遠くのスタジオで苦笑いを浮かべていた。
「乃亜ちゃんのイベントにそんな裏があったなんてね……。あの木下って人は、本当に予測不能だわ」
彼女の手元には、乃亜から送られたイベントの記念写真。そこには笑顔の乃亜と、少し緊張した文香が並んで写っていた。
そして、RJの内通者・千歳の行方は依然として不明のまま。
「まぁ、あの程度の奴なら、またどこかで尻尾を出すさ」
イヤミPがコーヒーを飲み干し、自信満々に呟く。
「その時は、また木下さんが無茶苦茶な作戦で追い詰めるんですか?」
武内Pが冗談めかして言うと、
「当たり前だ! 俺の天才的な頭脳に不可能はない!」
イヤミPが胸を張る。
オフィスに笑い声が響き、波乱の南紀白浜事件はひとまず幕を閉じた。
だが、千歳の影が再び現れる日が来るのか――それは、まだ誰も知らない未来の話だった。
(完)
最後まで観てくれてありがとうございます。
余談ですが、木下プロデューサー(イヤミP)のモデルは俳優の木下ほうかです。
あと茅原美統のモデルは声優の茅原実里ですよ。はい。