RAILJACK番外編   作:マブラマ

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もう一つの波乱・結末

新宿の闇に銃声がこだまする中、伊隅みちるは嵐のように敵を薙ぎ倒していた。警視庁警備部警護課第二係の隊長として、彼女の動きは精密で無駄がない。だが、敵の数は多く、迷彩服の男たちは明らかに訓練された戦闘集団だった。國鉄クーデターの混乱に乗じた第三勢力――その目的は不明だが、榊大臣を狙う意図は明らかだ。

「隊長! 持ちこたえられません!」

背後で援護する部下の声が切迫していた。みちるは一瞬だけ視線を走らせ、佐藤と林が白銀を連れて路地の奥へ消えたことを確認する。彼女の唇に、わずかな笑みが浮かんだ。閣下が逃げ切れば、この戦いに意味が生まれる。

「全員、持ち場を死守しろ! 閣下の脱出を最優先!」

みちるは叫び、再び敵の懐へ飛び込んだ。拳銃の弾が尽きかけ、彼女は素手で敵を倒しながら時間を稼ぐ。額を流れる汗が視界を滲ませるが、彼女の目は燃えるように鋭い。

その時、遠くで新たなサイレンが響いた。重低音のエンジン音とともに、黒い装甲車が交差点を埋め尽くす。警視庁特殊捜査班――SITだ。白井里美の部隊が、ついに現場に到達したのだ。

《伊隅! そこを耐えてくださいまし! すぐ行きますわ!》

無線越しに、白井の鋭い声が響く。みちるは応えず、ただ敵の一人を地面に叩きつけた。SITの到着は希望だが、彼女にとって今は一秒でも長く敵を引きつけることが全てだった。

だが、敵の動きが一瞬鈍った。リーダーらしき男が無線に叫び、部隊が統率された動きで後退を始めた。クーデターの動向が変わったのか、SITの介入を恐れたのか――理由は分からない。みちるはそれを好機と見た。

「追うな! 隊列を立て直せ!」

彼女は部下に指示を出し、息を整える。敵は路地の闇へ溶けるように消え、戦場には不気味な静寂が訪れた。SITの隊員たちが突入し、周囲を制圧する中、みちるは無線に手を伸ばした。

「佐藤、状況を報告しろ」

《隊長! 閣下を無事、私邸近くの安全エリアまで護送完了! 現在、警護継続中です!》佐藤の声に安堵が滲む。

みちるは小さく息を吐き、緊張が解けるのを感じた。だが、その瞬間、膝がガクンと折れそうになる。全身の筋肉が悲鳴を上げ、初めて自分がどれだけ無茶をしていたかに気づく。

「あなた、相変わらず無謀ですわね」

背後から、白井里美の声。振り返ると、SITの班長が腕を組み、呆れたような笑みを浮かべていた。

「検問で足止めして悪かったな。だが、おかげで敵の動きを絞れた」

「結果オーライってわけですの?」

みちるは苦笑し、額の汗を拭う。

「閣下が無事なら、それでいい」

白井は小さく頷き、無線で部下に指示を飛ばしながら去っていった。みちるは夜空を見上げ、遠くで瞬く星に目を細める。クーデターの嵐はまだ収まっていない。だが、少なくとも今夜、彼女は守るべきものを守り抜いた。

「さて、次は何だ?」

みちるは呟き、疲れた体に鞭を打って歩き出す。警護課の戦いは、決して終わらない――。

(完)

 

 

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