いつもはわたわたしてる葉子ちゃんですが・・・
ランク戦開幕前夜、宇井真登華の家。リビングのテーブルには簡単なご飯が並び、香取葉子と二人で前夜祭と称して食事をしていた。我らが柿崎隊も、葉子の香取隊も、一通り打ち合わせを終え、明日の決戦を待つばかり。明日の試合はなんと、柿崎隊VS香取隊VS荒船隊の三つ巴だ。
(まさか初戦で葉子のとこと当たるとはね。)
宇井は箸を手に持ったまま、ちらっと香取を見た。
二人は黙々とご飯を食べていたけど、葉子の様子がいつもと違う。落ち着いているように見えるのに、どこか高ぶっているというか…箸を動かす手は静かで、いつもより口数が少ない。普段なら「麓郎がさ!」とか「真登華の料理下手すぎ!」とか賑やかに突っ込んでくるのに、今日は何か考え込んでいるような雰囲気だった。
「葉子、なんかいつもと違うね。」
宇井はシンプルに尋ねた。二人きりで今さら気を使うこともないし、素直に感じたことを口にする。
香取は箸を置いて、落ち着いた声で答えた。
「あぁ、そうかな。ランク戦始まる前って大体こんな感じよ。今回は麓郎も雄太もレベルアップしてるし、特にちょっと、意識しちゃってるかもしれない。」
その言葉に、宇井はハッとする。付き合いだしてからというもの、ワタワタ慌てたり照れたりする姿ばかり見ていた気がして、つい忘れていた。彼女はあの空閑遊真とも対等に切り結ぶことができる、B級上位常連の香取隊・香取葉子隊長なのだ。ランク戦前夜のこの静かな高ぶりは、戦士としての顔――隊を率いる責任感と覚悟がにじみ出ている。
「戦士の顔…って感じ、カッコイイね、葉子。」
宇井が素直に呟くと、香取が一瞬目を丸くして、すぐに照れたように目を逸らす。
「ちょっと…恥ずいこというのやめてよ。」
そう言いながら、ニヤッと可愛らしく笑った。頬が少し赤くなり、戦士の顔からいつもの葉子に戻るその瞬間がたまらなく愛おしい。
宇井は箸を置いて、内心で満足げに思う。
(この二面性を楽しめるのも役得だねぇ。)
付き合ってから見せるワタワタした可愛さも、こうやって隊長として凛々しくなる姿も、どっちも葉子そのものだ。宇井は湯呑みを手に持つと、香取の横顔をそっと見つめた。
「明日は敵同士だけど、頑張ってね、葉子。」
「何!?アンタも頑張りなさいよ。負けないんだから。」
香取がムッとして返すと、二人は顔を見合わせて小さく笑った。部屋に穏やかな空気が流れ、ランク戦前夜の緊張感が少しだけ和らいだ。
ランク戦開幕前夜、宇井真登華の家。夕食を終えた後、香取葉子が「お風呂ありがと…あれ?」と呟きながらバスルームから出てきた。タオルで髪を拭きつつリビングに戻ると、宇井がすでにパジャマに着替え、ベッドの上で寝る準備を始めていた。
「もう寝るの?早くない?」
香取が怪訝な顔で尋ねると、宇井は枕を抱えながら振り返る。
「明日の試合昼の部だよ?あんまり起きるの遅いとまずいし、ね。」
最もらしい理由を並べるが、その声はどこか落ち着きがなく、香取の視線を避けるようにベッドのシーツを整えていた。
内心、宇井はドキドキしていた。
(今日の葉子と1晩過ごすのは、なんか…こう…マズイ気がする。)
今日の香取は、明日の試合に向けて集中している、まさにアスリートの顔だ。静かに高ぶる戦士のモードに入っていて、いつものワタワタした可愛さとは別人みたいだった。そんな彼女に、いつもの揺さぶりや誘惑が通用するとは思えない。
これまで宇井は、不慣れで照れまくる香取を攻めて楽しんできた。猫耳カチューシャで鼻血を出したり、首筋にキスして香取を真っ赤にさせたり、イニシアチブはいつも自分が握っていた。でも、今夜は違う。もし香取がその戦士の顔で逆に攻めてきたら?自分が攻められた時、どうなるか――経験がないから、自分でもわからない。
期待と恐怖がせめぎ合い、頭の中でぐるぐる回る。
(葉子に攻められたら…アタシ、どうなるんだろ…耐えられるかな…いや、無理かも…!)
結局、恐怖が勝ち、宇井はいそいそと寝る準備を進めた。布団をかぶり、目を閉じてしまえば安全だ、と自分に言い聞かせる。
そんな宇井を、香取はソファに座ってじっと眺めていた。風呂上がりの濡れた髪をタオルで拭きながら、彼女の口元が少し上がる。
「…ふぅん。」
風呂で落ち着いた戦士の顔が、ニヤリと覗いた。宇井の慌てた様子を観察するその目は、どこか楽しそうで、明日の試合以上に今夜の宇井をどう料理しようか考えているように見えた。
「真登華、ホントに寝るの?」
香取が立ち上がり、ベッドに近づきながら尋ねる。声は落ち着いているのに、どこか意地悪な響きが混じっていた。
「う、うん!寝るよ〜。おやすみ、葉子!」
宇井は布団を頭までかぶり、目をぎゅっと閉じた。でも、心臓はドクドク鳴っていて、香取の足音が近づくたびに緊張が高まる。
香取はベッドの端に腰かけ、宇井の布団を軽く叩く。
「ふーん、じゃあ、おやすみ。」
その声に含み笑いが混じり、宇井は布団の中で(やばい…絶対何か企んでる…!)と震えていた。
ランク戦開幕前夜、宇井真登華の家。宇井は布団をかぶり、目をぎゅっと閉じて寝る準備を進めていた。香取葉子の落ち着いた戦士モードにドキドキして、恐怖が勝った結果だ。
そんな中、ベッドの端から低い声が聞こえる。
「真登華…。」
宇井はビクッと身を震わせた。そっと目を開けると、視界一杯に愛しい顔が広がっている。香取がベッドに膝をつき、すぐ近くで宇井を見つめていた。目が合った瞬間、宇井の心臓が跳ね上がり、声を発しようとする。
「〜〜〜っ!」
でも、その声は香取の唇に塞がれてしまった。
頭が蕩けるような濃厚な口付け。いつもは不慣れで照れる香取とは一味違う、確信に満ちた動きだった。宇井は少し抵抗してみようと手を動かすが、香取の肩に触れただけで力が抜ける。息を整えながら、なんとか言葉を絞り出した。
「よ、葉子、今日は凄くえっちだね…す、凄く可愛い…。」
安い挑発しか出てこない自分に内心苦笑しつつ、香取の目を覗き込む。
香取は唇を離し、宇井の顔をじっと見つめて返す。
「あんたこそ、凄くえっちな顔してるよ。そんな顔…するんだ…。」
その声は少し低く、戦士の余裕と熱が混じっていて、宇井の心をさらに揺さぶった。
ヒートアップした香取に、宇井はもう抗えなかった。布団の中で小さく震えながら、香取の手が髪をかき上げる感触に身を委ねる。いつも自分がイニシアチブを握っていたのに、今夜は完全に香取のペースだ。一晩中、香取の愛情に鳴かされ、宇井は朝まで眠れなかった――心も体も、香取に翻弄されっぱなしだった。
朝、陽が差し込む部屋で、宇井はベッドにぐったりと横たわっていた。隣で香取はスヤスヤと眠り、満足そうな寝顔を見せている。宇井は疲れ切った顔で呟く。
「…恐ろしい子…。」
でも、その声には愛しさがたっぷり込められていた。
ランク戦の様子も一応書いてるんですが、めちゃくちゃ長いし香取と宇井の絡みあんまないしで投稿すべきか考え中