どうやら機械の天使に転生したみたいです 〜ぶっちゃけ人類は滅んでいるし天使と悪魔が戦争してるし最初からオワタ〜   作:鐘餅

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これより二章開幕です
出来るだけ短くまとまるよう頑張ります
これからもよろしくお願いします

※かなりのグロ描写があります。また今回に限り色文字を多用しております
ご気分を害される可能性があるので苦手な人はご注意下さい


2章 業と言うものは、灰のように降り積もるみたいです
プロローグ −300


 私が最初に見たモノ。

 それは何だったのでしょうか。

 

 光? 熱?

 

 いいえ、どれも違います。

 それは、真っ赤にぐちゃぐちゃ、潰されてしまった果実で。

 よく見たら、白い骨や、臓腑や、布切れや、肉片が、その赤の中に沢山落ちていました。

 

 そう。

 それは実のところ、人間の死体だったのです。

 でも当時の私は、それを理解するのに時間がかかりました。

 何故かと言えば、受け入れ難かったからです。

 そんなものが目の前にあるのだという事実。

 それに私には耐えられませんでした。

 

 でも、この生臭い臭いは、どこまでもリアルで。

 それに、さっきから聞こえてくる悲鳴……。

 

「イヤー!!」

「何だアレは!」

「逃げろ!!」

「あなた! あなた!!」

 

 それはどうやら私に向けられているようでした。

 

 何故、彼らは怖がっているのでしょう。

 何故、彼らは逃げているのでしょう。

 

 意味が分かりません。本当に。

 

 女、男、子供、老人。

 そこには色んな人々がいて、色んな建物がありました。

 素朴で小さい田舎町。そんな言葉が過ります。

 

 しかしそれだけしか分かりませんでした。

 私は気が付いたらここに居たのです。家族や自分の名前すら、何も思い出せません。

 私の混乱は頂点に達していました。

 私は何をしたのでしょう。

 

 けれども……私の悲鳴は、喉の奥から飛び出ません。

 涙を流すことさえ、不可能です。

 

 人の形をしていないのですから、当然でした。

 今の私は、鉄の箱に粗雑なキャタピラをつけたような、変な機械なのです。

 なので、がんじがらめにされたように、自分の意思で動けません。

 代わりに心の中で叫びまくって、ここから出してよと喚きます。

 

 私はこんなのじゃないの。

 私は普通の女の子なの。

 私を元に戻してよ。

 

 でもそんなの誰にも届かなくて、その内私のお腹からせり出る筒状の束のような何かが、ウィィィィィンと、いかにもな音を出して、回転します。

 

 そして、ジカジカジカ。

 ビカビカビカビカ。

 ドゥルルルルルルルルルルルルルル。

 

 光と熱が至近距離で弾けて、砲身から飛び出た銃弾が辺り一面にぶち撒かれました。

 その度に人々は真っ赤な果実に変わっていって、ますます悲鳴の合唱は大きく、大きくなっていくのです。

 それにも関わらず、私の足はこの時ばかりは走り出し、蜘蛛の子を散らすように逃げる人々を追い立てました。

 何処に隠れていようが関係ありません。私はそのすべてを撃ち、そのすべてを殺しました。

 

 おかげで一時間も経たない内に皆いなくなりました。

 私のせいです。私がコレをやったのです。

 あまりのことに、頭が真っ白になりました。

 

 何で。何でこんなことに……?

 

 尽きない疑問に答えるように、やがて何処から現れたのか、白衣を着た人達が何人も私の前にやってきました。

 さっき殺した人達とは随分と雰囲気も、肌の色も、顔つきも違います。

 彼らはとても楽しそうに……そして嬉しそうにしていました。

 

「調整は成功ね!」

 

 そう女の人が言えば、

 

「ああ! 前回よりも更に武器精製が早くなっている!」

 

 と男の人が言います。

 

「いいや、しかし精密性がやや落ちているか? ならば……」

 

 とお爺さんがぶつぶつ呟けば、

 

「主任、これは一体……」

 

 と隣で若い人が顔を青くさせていました。

 この中で彼だけが、真っ当な反応を示しているようです。

 

 すると、主任と呼ばれたお爺さんが、「ああ……お前かあ」と言いたげに、ゆっくりと若い人の方を向きます。

 

「これくらい気にするなよ。どうせ、軍隊が占領した土地だ。好き勝手やっても、何の罰も当たりはせん」

「で、ですが、ここまでやるなどと……しかも女子供まで」

「良いか? ここに住む奴らは、皆愚民なのだ。殺しても良い、動物のような存在なのだ」

「ど、動物ですか?」

「劣っているから当たり前だろう? 何処かおかしいのか?」

 

 お爺さんはキョトンと、さも常識のように、そんなことを語ります。

 

「同様に、コレのことも気にするな」

 

 コンコンと私を軽く叩き、何でもないように笑って。

 

「コレも元と言えば半魔。魔物の血を引いた人間ではない存在だよ。だからこそ兵器の実験体に相応しいのだ」

「けれど、最初はただのAIという話ではなかったですか! 何で箱の中に脳や臓器があるのですか!!」

「ん? そうだよ。人間じゃないんだから、機械に変えても大丈夫だろ?」

「そんなの……」

 

 若い人は、最早言葉を失っていました。

 私も聞きたくありません。

 この人は何を言っているのですか?

 分からない……。

 

「……まあ後二匹は回収したかったが、そこは魔法大国に取られてな。身の危険を感じたのか、アンドラフ殿もいなくなるし。彼なら亡命して敵国にでも行っているかな? 案外、その二匹を改造してるかもしれんし、今後が楽しみだなあ」

 

 そうして、お爺さんは笑いました。

 大声で笑いました。

 これはゲームなのだと。どれだけ私をアップグレードできるのか、どれだけ私を改良出来るのか。

 まるで本当の“物”みたいに私を扱って。他の人も同じ。

 無邪気に研究のためだと言いました。

 

 それに私は……私は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ア、うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああイヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!

 

「主任、検体Lの精神状態が異常値を……!」

 

イヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダイヤダタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテオトウサマオトウサマオトウサマオトウサマオトウサマオトウサマオトウサマオトウサマオトウサマオトウサマオトウサマオトウサマオトウサマオトウサマオトウサマオトウサマ

 

「いつものことだ。薬剤を打ち込め」

 

マッテマッテマッテマッテマッテマッテマッテマッテマッテマッテマッテマッテマッテマッテマッテマッテマッテマッテマッテマッテマッテマッテコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイッ

 

「りょ、了解しました」

 

ア? アバババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババ

 

 ……………。

 

 あレぇ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……それからというもの私の世界はイッペンしましタ

 

 時々記憶が飛び、目の前が虹色に染まるのでス

 

 その極彩色の前でハ、赤いイロなど何の意味もないノでス

 

 不思議な感じガしmあス

 

 ふわふわふわふわ〜ト、意識が浮いているノデス

 

 ワタシはどうしたのでしょウ

 

 上手くカンgアえられませン……

 

 タダ言われたとーりぃにぃ、いっぱ、いいいいいいいっぱい人を殺したのですよ本当ですよ?

 

 銃で、ズバアアアアアアアアアアアアアアン!

 

 地雷デ、度かアアアアアアアアアアアアアアアん!

 

 爆弾で、ボoおおおおおおおおおおおnンんんんんんん!!!!

 

 ワタシはあのひとたち曰く、武器精製ノ、エーアイ? xッデ、好きなよ〜に、武器を創れる、ヘイキらしいデス

 

 それを活かしテェ戦場とか、占領されタ土地ノ愚民ヲ、一掃スルのにツカワれたのです

 

 ワタシは当然殺したいとか思って無いケド、メイレイされたら、あらららら〜〜〜って気持ちになって、ヤッチャウのです

 

 私のセイデ沢山のひとがいなくなりマシタ

 

 カナシイです

 

 コワイでス

 

 元にモドリたいです

 

 ソンナ私の気持ちを分かってくレたのか、、@ あの若い人ハ私を殺そウとしてくマシタ

 

 デもお爺さん2ミツカッテ、ワタシの手でショケイしてしマイましタ

 

 気がおカしクなりそうです

 

 どんどん殺スのがエスカレートしてイキました

 

 どんドんどンどん……

 

 モヤしてバラしてウメてキリサイてサシてナグッてエグってオッてマゲてツナゲてドクを使っテ、アリとあらゆル兵キで殺しテ――

 

 やがテそノ役割が変わッテも、私ノヤルことは変エられなイ

 

 ヤメテって叫んでモ、///、お空に打ち上ゲられ手、子供ヲウマされた

 

 カワイくておゾマシい鉄ノ子共タチである兵器を

 

 ケド、そんな子達キモチワリル1イの、ミタクナいの

 

 でも、イッぱい、その子達ハヒトを殺しチャッタ

 

 それでねソレデネ、アノ人達はみーーーーーーーんな喜ぶのですヨ

 

 やっっっっったーーーーーーーーーーーーーーー!!

 

 大成功ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

 

 おもしろおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!

 

 って言うの

 

 ケド私はくるしい

 

 ……苦しいノ……ミンな、みんな、いなくなってよ!!!!

 

 そうずっとずっとずっっっっっっっっと、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 考えてた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、その願いはある日あっさりと、叶ったのです。

 いつものように、いつもの通りに、武器を作るよう命令が私の元に送られて。

 私はそれに応じて、破壊兵器を産み落としました。

 

 それは核爆弾、と呼ばれるものです。

 敵国を滅ぼすには過剰な暴力でした。

 しかも私は優秀だったので、出来上がったものは想定より何倍も威力があったようです。

 

 それがいけなかったんでしょうね……。

 私の子供は、魔法大国のファザーが作った爆弾と衝突して、死の魔力を世界中にぶち撒けました。

 通信越しに、お爺さん達の慌てた声が聞こえてきましたが、そこまで来るともう自業自得ですよね。

 あっという間に人間は滅亡しました。

 そうして私は、空の上に一人、取り残されたのです。

 

 その頃にはもう、私はすっかり正気を取り戻していて。

 恐らくあのお爺さん達がいなくなったからでしょうね。

 私にとってはとても喜ばしいことです。

 

 ですので、わーーーーーい。

 

 なーんて、普通だったらはしゃぐんでしょうけど、そんな気分にはなれませんでしたよ。

 

 散々殺したくないと思っていたのに、結局全人類を皆殺しにしたのですから。

 記憶も蘇ってきちゃって、私は今までにない罪悪感を感じました。

 死にたいと思いました。

 

 こんなこと、皆が許してくれる筈がないんです。

 寂しいのです。

 一人で生きたくないんです。

 

 きっと死ねば、来世では家族とまた会えるかもしれない。

 それが私の望みです。

 

 でも……その望みは達成出来そうにありません。

 

 お爺さん達の命令の代わりに、新しい声が聞こえるからです。

 戦争を起こせ。人間を蘇らせろ。新しい絶望をこの世界にもたらせ。

 

 私は逆らえませんでした。

 そして、私は新しい子供を産みます。

 私の心を反映しているかのような、機械の天使達が。

 けれど彼らは私の愛すべき死神ではありませんでした。

 

「マザーよマザー。人間様を蘇らせ、悪魔共を殺しましょう」

 

 そいつらは、勝手にお母さんと呼んで、私を慕うのです。

 そうやって私より弱いくせに、私に“出産”を強要してくるのです。

 

 ああああああああッ………本当にッッッッッッ、本当にッ気持ち悪いですッ!!!!!

 

 気持ち悪いッ!!!!!

 

 死ねッ!!!!! 死ねッ!!!!!! 消えろッ!!!!!!

 

 私の頭はそれでいっぱいになりましたよ。

 

 ええ、ええ。

 アイツらのことなんて知ったこっちゃないんです。

 

 それでも、アイツらは泣くんですよ。

 こんなことやりたくないって。

 殺したくないって。

 

 私の台詞です。

 お前らが死神なら、私を殺してくれる筈だと、そうお父様にも教わったのですっ!!!!

 

 なのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのに――

 

 どうして誰も、私を殺してくれないんです?

 

 う、うアアアアアアアアアアアアアアア嫌い嫌い大嫌いよ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 皆……私の目の前から消えて下さい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お願いですから……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私を元の女の子に戻しテ下さい…………… !!!!




ざっくり設定31
半魔
魔物とは魔素への適応に特化した結果、細胞やDNAに魔素を組み入れてしまった生物、あるいは魔素によって自立して動く物質の総称である。
作中世界では決して珍しい存在ではなく、実に生物の約一割がこの魔物に分類されている。当然普通の種と魔物が交配することもあり、その子供もDNAに魔素が組み込まれ、魔物の特徴が発現する可能性がある。これが半魔と呼ばれる生物である。
人間にも極めて少数ながら存在しており、その由来は人類種の魔物たるエルフやドワーフ、ゴブリンなどの魔人種。彼らは人間とは独立したグループであったが、古代においてはまだ交配可能レベルであった。そのためネアンデルタール人やデニソワ人のように、そのDNAは一部の作中の人間種の中に残ることとなった。
しかし魔人種は駆逐対象であり、半魔もまた迫害対象である。尚、魔物の特徴が出ない場合は半魔として扱われず、普通の人間として過ごすことが可能。通常はこのような場合がとても多い。
だがイルナー家の始祖カンクル族は、一箇所に留まり生活していたことで、魔人種「星隷狼属」の血を色濃く残してしまった。イルナー家の感応能力はこの魔人種の力であり、ツヴィウル家は生まれた時から狼の尻尾が生えていることから、断尾の風習がある。
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