あきつ丸(仮)が往く!大海賊時代特殊任務!   作:月日は花客

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41:あきつ丸、帰港ヲ迎エル!

 

 オロチ討伐から二年目。カイドウの気配はまだない。

 そんな折のことだった。ワノ国近海にとある海賊船が見つかった。カイドウを警戒して飛ばしていたカ号の知らせである。

 

「遂にカイドウが!?」

「いや……違うであります。はぁ、ようやくでありますか……」

 

 俺は港に向かう。もうじきに滝を越えて彼らがやってくるだろう。

 騒ぐ赤鞘達を落ち着かせ、護衛と称してついて来させる。

 

「待ってたでありますよ……『ロジャー海賊団』!!」

 

 そのジョリーロジャーは今、世界でいちばん有名だろう。

 勢いよく滝を突破してきた船は、九里の港へと停まる。

 その甲板に見える姿に、赤鞘たちは歓喜の色を示した。

 おでんが、大きく手を振っている。

 

「おでん様ー!!」

「帰って来られたのですね!」

 

 まぁ数時間でまた出ていくけどな。とはまだ言わない。

 おでんにはここまでの九里での出来事を報告せねば、と俺は甲板をただ見つめる。

 降りてきたのはまずトキとおでん、ロジャーだ。

 

「ここがワノ国か! おれはロジャー海賊団の船長、ロジャーだ!」

「ロジャー殿、お初にお目にかかる。九里大名代理、あきつ丸であります」

「お前がおでんの言っていた娘っ子か! ガハハハ、小せぇのに強えと聞いてるぞ!」

 

 小さいは余計だ。確かにこの身長が全体的にバグってる世界ではかなり小柄な部類だけども。

 おでんはしんどそうなトキを気遣いながら、赤鞘達にトキ、モモの助、日和のことを紹介していた。

 おでんの子どもだ。喜ばしいことだろう。

 ……と、思っていたのだが……。

 

「あ、アンタあきつ丸様というものがありながら、外で結婚してきたのですかー!?」

「ろくでなし! 男としてろくでなし!」

「なんだお前らぁ!? あきつ丸とおれはそんな仲じゃねーよ!!」

 

 なにやら口論が始まっている。

 おでんが、俺に国を任せて外で女を作ってきたのがそんなに気に入らないのだろうか。別に外での出会いを大切にしたっていいだろうに。

 まぁでも、見た目年齢少女の俺に国を任せて冒険ってのは確かに外聞が悪いか。

 しかしおでんがいないとロジャーはラフテルにたどり着けない。俺としては何も気にせず航海してもらっていいのだが……。

 

「姫様がここまでどれだけ苦労して九里を守ってきたと……!」

「あのオロチすらあきつ丸様が斃したのですよ!?」

「っ! オロチをか!?」

 

 カン十郎の言葉におでんの表情が変わる。

 

「スキヤキ殿が将軍の座を追われかけたのが二年前……おでん殿が帰ってくるのも待つことができず、一先ず自分がオロチのみ始末したであります」

「そうか……父は無事か」

「ええ、今はすっかり元気に政をしているであります」

 

 あの一件で九里と都の関係はより強固なものとなり、防衛に関する会議なんかも定期的に開いている。

 既に天守も修復され、ワノ国はカイドウの不安こそあるものの平和を取り戻していた。

 

「貴女があきつ丸様ね……? わたしはトキ、ええと、おでん様の……」

「奥方でありましょう? その様子、立つのはお辛いでしょう。菊の丞、抱えてやって欲しいであります」

「は、はい!」

 

 明らかに熱を持っている身体とふらつく動作に、俺は自己紹介もそこそこにトキを支えさせる。

 何やら複雑そうにこちらを見つめているが、自分がおでんの代理というのはやはり信じにくいのだろうか……? 明らかにトキより年下の見た目しているしな。

 

「おでんから聞いたが、海に立てて砲撃できるというのは本当か?」

 

 マイペースなロジャーが尋ねてくる。

 

「はぁ、まぁできるでありますな。種族的に船に近いので」

「へぇ! 世界にはそんな種族もいるんだな……白ひげ曰く船の声も聞けるらしいじゃねぇか! おれのオーロ・ジャクソン号の言ってることもわかるのか!?」

 

 その言葉に、俺は視線をロジャーの船に向けた。ロジャーの船員達が興味深そうにこちらを見ている。その中にはあの麦わら帽子や赤鼻も見えて、ちょっとファン心が刺激された。

 耳を澄ませる。

 オーロ・ジャクソン号にもクラバウターマンは確実に宿っている。

 

(ハロー。こちらあきつ丸であります。初めまして、オーロ・ジャクソン殿)

(わはははは! まさか人型の船と話すことになろうとは! 船長についていくと驚きが尽きないな!)

 

 オーロ・ジャクソン号は豪快に笑っていた。

 俺は瞳を閉じ、より深く彼と交信する。

 

(おでん殿がお世話になります。どうせまだ冒険は終わらないのでしょう?)

(そうだなぁ、うちの船長は生き急いでんだ。その航路にあいつぁ必須よ。まぁおれも必須だがな! わはははは!)

(では何かしら貴方しか知らない事など教えていただけませんか? 自分が貴方と話した証拠が欲しい)

(そうだなぁ)

 

 オーロ・ジャクソン号はしばし考え込むと、「船長には悪いが」と枕詞に話した。

 ふむ。

 

「……『船長室のベッド下、隠しスペースの中』」

 

 ロジャーがぎくり、と肩を振るわせる。

 

「『その中に、飲んでない薬が隠されている。船長には悪いが、薬はちゃんと飲んだほうがいいぜ』……だそうでありますよ」

「……それは本当か、ロジャー」

 

 クロッカスとレイリーがじとっとした目で自分の船長を見やる。

 ロジャーは汗をダラダラと垂らしつつ、首を横に振ろうとした。その動きはブリキの人形の方がマシというレベルのぎこちなさだった。

 

「おい、確認してこい。あれはやってる顔だ」

「……ありました! 粉薬がこんなに!」

「おい船長、あとで説教だ。……あきつ丸とやら、ジャクソンに礼を言っといてくれ」

「了解したであります」

 

 お説教が確定したロジャーと、既に何やら説教されているおでん。破天荒な二人はどちらも汗を滲ませながら、なにやら弁明している。

 が、あの人らは部下より口が上手くないから、丸め込めはしないだろう。

 

「とにかく、城に戻りますよおでん様! トキ様もお辛そうですし」

「待って! おでん様は……」

「……悪いが、おれはまだ冒険を続ける! その間、妻と子どもたちを頼む」

「ええええええええええ〜!?!?」

 

 おでんの宣言に、赤鞘たちが思いっきり叫んだ。まぁここで追加で冒険エクストラステージとは思わんよね。しかも妻と子ども二人置いて。

 だが、まぁ、それがおでんなのだ。

 

「ロジャー殿は、それで宜しいのでありますね?」

「ああ! あいつはうちの船に必須だ! ろくでなしだがな!」

「じゃあアレ読めんのかお前ェ!」

「そ、それでは九里は……」

「引き続き、あきつ丸に任せる! 頼んだぞ!」

「了解であります」

 

 姫様はそれでいいのですか!? と困惑されたが、これが既定路線なのだ。流石にロジャーにはワンピースを見つけてもらわないと大海賊時代そもそもが始まらない。

 そうなったらこの世界がどうなるかわからない。

 俺は再び船に乗り込むおでんを見つめつつ、帽子を被り直した。

 カイドウの脅威は未だ消えていない。既に魔の手がワノ国に及び、知らぬところでじわじわと侵食されているかもしれない。

 その中で、トキやモモの助、日和を守るには、俺がしっかりしないといけないからな。

 

「ロジャー殿、おでん殿をよろしく頼むであります」

「おう! ロジャー海賊団は無敵だ! どんな海だってオーロ・ジャクソン号(こいつ)が越えてくれる!」

 

(人型の嬢ちゃん、次会うときゃモビーも呼んで話そうぜ! アイツとは腐れ縁なんだ!)

(いいでありますな。たまには船だけで水入らずというのも)

(なにより、船長の薬についてはおれも気になってても伝えられなかったんだ。感謝するぜ!)

 

 じゃーな! とジャクソンは高らかに海を進め始めた。その声に思わず、大きく手を振ったロジャーを幻視する。似たもの船長と船ということか。

 本物のロジャーも大きく手を振っている。

 

 さて、滝に落下まで、3・2・1。

百獣海賊団の強さ(カイドウは強いものとする)

  • やっぱルフィと戦った時レベルっしょ!
  • カイドウ一強で他は侍が無双!
  • あきつ丸……お前、ワノ国の柱になれ
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