あきつ丸(仮)が往く!大海賊時代特殊任務!   作:月日は花客

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46:あきつ丸、キングト戦ウ!

 

「強襲型一刀流・対空『ヒリュウ』!!」

「チクチクとカイドウさんの戦いを邪魔しやがって!」

 

 飛ぶキングに攻撃を当てようとするも、相手は戦闘機の如く空中を進み、攻撃が当たることがない。

 対空砲は、今は撃たない。

 対陸ミサイルは定期的にカイドウへ向けて撃ち込む。白ひげとおでんがいる以上あまり必要ないかも知れないが、キングの挑発には有効だ。

 

「おれと戦え!!」

「おっと危ない」

 

 貂自尊皇(テンプラウドン)を避けつつ、艦載機に指示を飛ばして雑魚処理を頼む。

 他幹部は赤鞘達と白ひげのメンバーに任せているが、あっちは何万もの歩兵がいる。それを艦載機に任せていた。

 滝で数隻、海上で数隻と沈められたが、カイドウが運んだ本船だけでも骨の折れる数がいる。

 いちいち一人一人に時間はかけてられないので、艦載機による空襲で対処、というわけだ。

 キングに何機か落とされているが、その度に新しく発艦する。

 走馬灯は慌ただしく烈風の影絵を灯していた。

 

「お前のその機械はなんだ! 異様な丈夫さといい……人間技じゃない!」

「おや、それはこちらのセリフ……『早く背中の炎を消したら如何』でありますか?」

「ッ!?」

 

 キング戦での俺の圧倒的なアドバンテージ。

 それはあのクソギミック(ルナーリア族の特徴)を知っているということ。

 今でこそプテラノドン形態で空を飛んでいるキングだが、背中の炎は自前だ。あの炎が消えないとまともなダメージは与えられない。

 

「何故それを知って……ッ!?」

「ふふ、おんなじ世界にひとりぼっちの種族。仲良くするでありますな」

 

 俺はキングが動揺したタイミングで対陸ミサイルをカイドウに向けて複数発射する。

 白ひげとおでんを相手取るカイドウの呻き声が聞こえた。しっかり効いているようでなにより。

 ルナーリア族というもはや世界にキングだけしか居ない種族。俺も艦娘というこの世界に本来存在しなかった異物。

 絶滅をかけてやり合おうじゃないか。

 まぁカイドウと他クルーへの嫌がらせはさせてもらいますけどね。

 

「貴様ァ!」

「隙あり」

 

 キングが怒って背中の炎を消した瞬間に対空砲をぶち込んだ。偏差射撃によって妖精さんの腕の見せ所。ヒットしたそれは簡単にキングの装甲も突破する。

 ダメ押しの「アカギ」によってキングのプテラノドンの翼膜の部分を斬る。

 

「がぁっ……!!」

「まだまだ強襲型一刀流・対空『ソウリュウ』!!」

 

 紙吹雪のような斬撃がキングを襲う。

 途中炎が復活しているが、まぁ一度に与えたダメージとしては大きいものだろう。

 キングは動揺している。ルナーリア族のギミックはそうそう初見で破られない。ゾロはいけたけど。

 そもそもルナーリア族というのを公表するわけがないのだから、俺が知っているのは謎が多すぎるだろう。

 その「疑問」が隙を呼ぶ。

 

「対空砲のお味はいかがでありますか?」

「最悪だっ……!!」

 

 逆に空にいることが危険だと考えたのか、キングが滑空しつつ切り掛かってくる。選択としては正解だ。近くにいれば俺も対空砲やミサイルを撃ちにくくなるし、カイドウにちょっかいは出せなくなる。

 しかし近接が弱いと思われるのも癪だ。

 そうだろう? 秋茜。

 

「『火龍皇(かりゅうドン)』!!」

「強襲型一刀流・連撃『ナガラ』!!」

 

 火を纏った剣戟を、なんとかいなす。

 キングは決して弱い相手ではない。ギミックを知らなかったら傷を負わせることも難しかっただろう。

 そもそもの体格差もあり、あまり近接では相手をしたくない。秋茜に感じ取られれば機嫌を損ねられそうだが。

 

「『御守火龍皇』!!」

「うぐっ!!」

 

 龍を模った炎の一撃に腕が焼ける。拙いな、いなしきれなかった。

 そこでできた隙を見逃されず、俺は顔面を蹴り飛ばされる。

 おい、何あきつ丸のご尊顔を蹴ってんだ??

 

「女といえど容赦はしないぞ……!」

「上等、であります」

 

 こちらも額に青筋が浮かぶ。あきつ丸の顔を蹴るとかコイツ頭イカれてやがる。

 俺は蹴られて開いた距離をそのままに対陸ミサイルをキングにぶっ放した。

 

「来るとわかっているなら怖くはない!」

「ちゃくだ〜ん……今!!」

 

 そのミサイルが斬り飛ばされる直前に、対空砲でミサイルごとぶっ飛ばす。誘爆したミサイルと砲弾の破片がキングを襲う。

 しかし残念ながらダメージはほぼ無い。クソギミックめ。

 

「遠距離にさせると面倒だな!!」

「面倒結構! それが戦というもの!!」

 

 敵にとって面倒な兵器ほど、厄介な兵器ほど強いんだよ!!

 俺はキングと一定の距離を保ち続け、ミサイルと砲撃の弾幕を浴びせる。艦載機は雑兵をおおかた排除し終えたので、キングへの射撃援護に回させる。

 炎が灯っている状態のキングにとっては小雨程度の威力だろうが、挑発にはじゅうぶんだ。チクチクチクチク、それが対空の基本。

 

「っ……!」

「気の短い男は嫌われるでありますよ」

 

 キングが焦れて背後の火を消し、懐に潜り込んできたところで誘爆覚悟の対地ミサイル。

 やはりミサイルは強い。現代兵器最高。

 こちらも損傷を負うが、構わず続ける。

 

「自爆覚悟とはなっ……!」

「そちらも同じ事、でしょう?」

「何故おれの種族を知っている!」

「ふふ、何故でありましょう?」

「ふざけるなっ!!」

 

 こればっかりは前世の記憶だから説明できないんだ、すまんな。

 キングにほんのり苦労人の気配を感じつつ、俺はその開いた顎に蹴りを叩き込んだ。

 さっきのお返しだ。

 

「がっ、あっ!!」

「乙女の顔を蹴るなど下郎のする事」

「なにが乙女だ、バケモノめ……っ!!」

「失敬な、華麗でかわいい帝国陸軍でありますよ」

 

 俺は再度飛び立ったキングに対空砲を撃ち込みつつ、艦載機に視界を邪魔させる指示を飛ばす。撃墜確率は高くなるだろうが、撃墜された機体に乗っていた妖精さんはこちらにいつのまにか戻ってくるので、現代日本のような犠牲は無い。

 妖精さんが一番強いんじゃないかな、この世界。

 キングの周りを羽虫のように舞う戦闘機。

 視界にあるだけでも邪魔だし、炎を消せば容認できない機銃掃射。撃墜に集中しようにも俺に阻まれる。

 キングのコンディションは最悪だ。

 戦闘機に気を取られているうちにカイドウへミサイルを飛ばせば、キングは脳天に全ての血がいったかのように怒り出す。無理もない。

 

「カイドウさんのっ! 邪魔をするなぁあああああ!!!」

「さぁ隙を見せたが最期! 情けとして死体は埋めてやるであります」

 

 強襲型一刀流・覇王纏

 

「『ムツ』!!」

 

 極大の一刀により、キングは翼ごと体を切り裂かれた。

 キングは割と好きなキャラだったが、カイドウに加担するなら斬るまで。

 落下していくキングに、もう意思は見受けられない。

 せめて政府に利用されないよう死体は隠してやろうじゃないか。

 

「さて、問題は……」

 

 カイドウとおでん、白ひげに視線を向ける。

 カイドウは未だ健在で、元気に金棒を振り回していた。楽しそうに笑っている。酒でもあれば余裕で何ガロンと飲み干していそうだ。

 酔ったカイドウほど面倒なものはないのでここはシラフでいてもらいたい。

 キングは倒した。他幹部は赤鞘達に全任でオーケー。

 俺は高速修復材を頭から被る。

 キング戦によってついた火傷や切り傷が一瞬にして消えていく。

 さぁ、修復材のこり9。大盤振る舞いで行こう。

 

 俺はおでんたちのもとへ走り出す。

 

「加勢するであります! おでん殿、白ひげ殿!」

「グララララララ! 遅かったじゃねぇかあきつ丸!」

「あきつ丸、遅参だぞ!」

「おおっと、それは失礼したであります」

「三人目の覇王の器ぁ!! いいねぇ、ヒック、楽しくなってきたぁ!!」

「な、なんで酔ってるでありますか……?」

 

 カイドウは顔を赤らめ、しゃくりあげていた。

 酒を飲んでいる様子は無かったのに、何故??

 

「どうやら『場酔い』したみてぇだな」

「酒も飲んでないのに!?」

「気をつけろ、ああなったアイツは厄介だぞ!」

「しょ、承知!!」

 

 場酔いってなんだよ、合コンで酔っちゃった演技で逆お持ち帰りを狙う女子か??

 俺は刀を構えつつ、カイドウへ艦載機からの射撃指示を行う。キング戦で随分落とされてしまった。

 

「ウォロロロロロ……キングが倒されちまったよ、うぉお〜ん!!」

 

 泣きながら打たれた「砲雷八卦」を受け止め──きれないっ!?

 力のまま振り抜かれた金棒、俺は秋茜が折れないことに覇気を集中させ、そのまま吹っ飛ばされた。

 嘘だろ、艦娘の膂力で受け止めきれないって、どんな力してんだ!?

 

「あ……やべ」

 

 どくどくと()()()流れていく感覚。

 それは流血のような痛みはないが、確かに今の状況では最悪の「損傷」。

 艤装の燃料タンクから、どぷどぷと燃料が溢れ出ていた。









キングさん割とあっさり風味になって申し訳ない……。
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