あきつ丸(仮)が往く!大海賊時代特殊任務!   作:月日は花客

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Q.技名絞らん?

A.あきつ丸以外の推しの方に技名でキャッキャしてもらいたいのでガンガン今後も出します。でもどんな技かの解説はもう追いつかないからやめよかな……。






47:あきつ丸、カイドウト戦ウ!

 

 拙い、と咄嗟にバケツを被って破損を修復する。

 しかし、溢れてしまった燃料は戻ってこない。

 補給のために一旦前線から下がるか、と立ち上がりかけた時。

 

「うぃ〜……逃げるなァ! 熱息(ボロブレス)!!」

「っぐぅ!!」

 

 カイドウの追い打ちが俺を襲う。ギリギリ地面を転がって避けたが、補給は許されなさそうだ。

 さっきので燃料の大半が溢れた。身体が重い。完全にガス欠だ。

 

「あきつ丸! 大丈夫か!」

「気にせず!!」

 

 おでんが声をかけてくるが、本人も余裕があるわけではないだろう。白ひげがいるから優勢は保てているが、流石最強の生物。治癒力もタフさも半端ない。

 俺はなんとか立ち上がり、ほとんど撃ち落とされた艦載機を再度飛ばす。

 対陸ミサイルを撃ち込もうとするが、流石に学習されたのか熱線により撃ち落とされる。

 

「小癪なマネをォ!! もっと全力でぇ、本気でこいやぁ!!」

「十分本気であります! この酔っぱらい!」

「な、なんだとぅ〜!?」

 

 怒り上戸になったカイドウが俺に向けて「降三世(こうさんぜ)引奈落(ラグならく)」を振り下ろす。

 

「させねぇよ」

 

 それを白ひげが受け止めた。バチバチと覇王色のぶつかり合いが辺りにまるで落雷のように散らばる。

 おでんもそれに続き、カイドウの脇腹を狙い「桃源白滝」を放とうとする。

 

「てめぇらにおれは倒せねぇよ!!」

「いや、倒す!!」

「グララララララ、死出の花道は豪華だろう?」

「御国のため、なりふり構ってはいられないのであります!!」

 

 燃料切れの艤装を無理やり動かしているため、明らかに艤装や身体のあちこちにダメージが入っている。腰や頭に鋭い痛みが走る。

 それでも、俺は艦載機を飛ばしミサイルを撃ち続ける。しかしもう弾薬も限界に近い。

 俺は秋茜を構えた。

 

 動くだけで痛みが走るが、ここからはバケツの消費なんて気にしてられない近接戦!

 俺は軋む体にもう一度バケツをひっかぶり、カイドウと対峙した。

 

「強襲型一刀流・強撃『アタゴ』!!」

「まだまだぁ! 効かん!!」

 

 くそ、やっぱりカイドウの身体は強度も半端ない。下手に斬り込むとこっちが刃こぼれを起こしそうだ。

 反撃の金棒をおでんが阻止してくれる。あの金棒を俺が防ぎきれないことはもう伝わっている。一太刀一太刀で喰らってたら一瞬でバケツが尽きる!

 白ひげが武器に纏わせた振動を解放し、カイドウに向けて薙ぎ払った。

 着実に、ダメージは与えている。

 

「ウォロロロロロ! 楽しいなぁ白ひげぇ!!」

「てめぇのその厄介さ、ロックスの時から変わってねぇな!」

 

 笑上戸へと変わったカイドウが、「軍荼利龍盛軍(ぐんだりりゅうせいぐん)」によって乱打を繰り出す。

 白ひげはそれをいなし、おでんは受け止めたが、俺は躱しきれず掠ってしまった。クソ、艦娘に近接戦をさせるなよ!

 まだギリギリ小破。無傷の範囲。

 俺はなけなしの弾薬を使い、カイドウに砲撃する。

 

「ゔぉ〜ん! 痛えよぉ〜!!」

「ぐっ、くぅ……!」

 

 泣き上戸へと変わるカイドウが号泣する。

 俺も、艤装から体に走る痛みに顔を歪ませた。明らかに正しい使い方ではなく、その代償がこの痛み。

 ゲーム的に例えるなら、攻撃するたびにこちらもダメージを負い中破や大破に追い込まれているようなもの。

 そこに相手の決して弱くない攻撃が加わるのだから、クソゲーだこんなもん。

 

「あきつ丸、さっきから様子が……!」

「うるさい! カイドウに集中するであります」

 

 痛みにイライラして、八つ当たり気味におでんに叫んだ。

 この中で今一番足手まといになっているのは俺だ。燃料が切れたのが本当に痛い。

 俺はバケツを被る。残り幾つだ? そんなこと考えている暇もない。

 

「ゔぉお〜ん……無視すんなよぉ〜♡」

 

 甘え上戸になったカイドウが壊風を放つ。

 正直一番目に毒な酔い方!

 俺は容赦なく顔面に砲撃しつつ、白ひげの援護を受けて斬りかかる。

 薙刀に乗って、振りによって発射された俺は居合の構えをとった。

 

「強襲型一刀流・居合『サミダレ』!」

 

 こんな時に言うことじゃないが、俺の初期艦は五月雨ちゃんでした。お前はトリコ?

 流石に柔らかいであろう目を狙ったのだが、咄嗟にずらされて目の下に斬撃を撃つ形になってしまった。

 武器的な話、カイドウに効果的なダメージを与えられるのは圧倒的にミサイルや砲撃といった艦娘の装備なのである。しかし燃料も弾薬も切れかけの今、しかもダメージを受けながら艦娘的攻撃を続けると言うのがなかなかしんどい。

 飛び退いて最前から退却しつつ、俺は作戦を頭の中で組み直す。

 

 一度退却して補給してくるか? いや、カイドウは許さないだろうし補給にも時間がかかる。

 弾薬だけ補給するのは? それはアリだがやはりカイドウが退却を許してくれるか?

 白ひげに隙を作ってもらうとか……。

 様々な案が頭を駆け巡るが、カイドウが遠距離も近距離も隙なく技を持っていることがかなり問題だ。

 補給中は隙ができるため、そこに熱息をぶち込まれたら誘爆じゃ済まない。

 やはりダメージ覚悟で砲撃し続けるしかないのか……?

 

「あきつ丸、かなりしんどいみてぇだな」

「白ひげ殿……」

「どれ、おれがモビーにいいとこ見せてやるから、後で感想しっかり聞かせてくれよ!」

 

 白ひげは俺を薙刀の上に乗せると、思いっきり振りかぶり……撃ち出した。それは明らかにカイドウどころか島すら飛び越える距離で。

 

「えええええええええ!?!?」

「白ひげぇ! 何のつもりだ!? 対戦相手がヒック、ひとりぃ消えたじゃねぇか!!」

「女ばっか狙ってないでおれに集中しろ! ロックスのときぁできなかった本気の死闘ってやつをしてんだからよぉ!!」

 

 また覇王色がぶつかり合う音がする。まるで超至近距離で落ちた落雷か、あるいは倒壊したビルに巻き込まれるかのような圧。

 俺はそれを唯一遠くの海で聴いていた。

 

 着水してすぐ、俺はバケツを被る。そのまま速やかに弾薬のみ補給を開始。砲塔に、ミサイルに弾が詰められる。

 海にいると落ち着く。頭がクリアになる。

 やっぱり、俺の居場所は海の上なのだ。

 

「補給完了、艦載機発艦準備オーケー、目標、“百獣のカイドウ”」

 

 俺は照準を白ひげと争うカイドウの背中に集中させる。

 

「帝国陸軍の意地……みせてやるのであります!!」

 

 艦載機、全機発艦。

 対陸ミサイル照準用意、発射。

 対空砲全砲門、斉射。

 

 背中の傷は剣士の恥というけれど、相手は剣士でもなし、自分も剣士でもなし。卑怯とは言うまいな、カイドウよ。

 これが戦争ってやつなのだ!

 

「ぐおおおお!?!?」

「やっぱアイツは海の方が輝くな!」

「あきつ丸! 陸地はおれたちに任せろぉ!!」

 

 水上を滑走し、ポイントを移動しながら砲撃する。

 背中に、腕に、頭に、射程ギリギリの距離で連射する。

 背中が痛い、頭が痛い、脚が痛い。

 かんっぜんにハイになっている。燃料は補給なんてしてらんない。ただひたすらに、弾薬を補給し、弾薬を補給し、弾薬を補給する。

 この痛みさえも照準の精度を高める武器にして、ひたすらに。

 

「あ、の野郎なんで海に立ってやがる!?」

「よそ見たぁいい度胸じゃねぇかカイドウ!!」

「おれもいる事、忘れてもらっては困る!」

 

 カイドウへの猛攻がさらに激しくなる。

 何度も何度も落雷のような音が響き、剣と金棒の交じり合う音が消えない。

 俺はそれを遠くに聞きながら、ミサイルの射出音と砲撃音に酔っていた。

 

 カイドウの言っている「楽しい」が少しわかった気がする。

 

「さぁ、最後の大一番は貴方が」

 

 原作では悲惨な最期だった。尊厳も約束も奪われた。

 しかし今、俺の介入によって未来は変わる。

 別の世界の自分の仇討ち、なんて本人は全く考えていない。

 その一刀、ただ護国のためと心得よ。

 

「お前の首は! おれが討つ!!」

 

 その二刀流は、溢れ出た俺の燃料が燃える炎を黒刀に鈍く映して。

 

「桃源──十拳!!」

 

 カイドウの、首が飛んだ。

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