あきつ丸(仮)が往く!大海賊時代特殊任務!   作:月日は花客

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7:あきつ丸、手合ワセス!

 

 あきつ丸になって二日目。

 幼少期のカタクリと遭遇したり、ワノ国に不法入国したり、光月おでんと出会ったり……。顧客の都合を鑑みないソシャゲのイベントか? と思うほどの出来事を経たが、どうやら夢ではないらしい。

 朝起きて、手をかざしてみればそれはやっぱり少女の白い指で。あー溺死直前の変な夢ではなかったんだと実感するなどした。

 

 身支度をして、秋茜を忘れずに腰に差して宿を出た。

 すると、軒先におでんが立っている。彼は俺を目視すると、大きく手を振った。

 

「あきつ丸! おはよう!」

「おはようございます。……何故自分の宿の前に」

「いやなに、昨日は宴会で一晩を過ごしてしまったからな。どうせなら手合わせしたい! どうだ?」

「はぁ、つまり自分と戦いたいと」

 

 おでんは閻魔を軽く叩き、主張した。

 この世界の男は高確率で戦闘狂である。おでんもその一派で、昨日実力の一端を出してしまったために目をつけられたと言うことか。

 俺としても、秋茜をより使いこなす……もとい、手加減できるようになるため修練は必要だと思っていた。ちょうど良い機会かもしれない。

 

「自分、剣士が本業ではありませぬが、それでも良いならお相手するであります」

「ん? 刀が本命じゃなかったのか? まぁ良い、半端な実力はしてなさそうだしな!」

 

 早速……と抜刀しようとしたおでんを慌てて止める。こんな街中で暴れるわけにはいかないだろう。適当な森なり空き地なりでやろうと説得した。こう言うところビビる。

 

 都から離れた森に移動し、お互いに刀を構える。

 おでんは原作でも重要な立ち位置にいる。ここで殺すのはダメだ。最悪ワノ国が崩壊する。

 手加減、手加減……と秋茜に言い聞かせながら、俺は柄を握りしめる。

 

 先に動いたのはおでんだった。

 得意の二刀流で、思いっきり上段から叩き込む一撃。それを受け止め、横に滑らせ弾く。

 そのまま返す腕でバランスを崩させようと左の刀に斬り掛かるが、避けられた。逆にこちらの体幹が崩れる。

 隙ありとばかりに背中に刃が向けられるが、脚に捻りを入れて蹴りによってそれを防いだ。

 

「器用なことを!」

「剣が本業ではないと言ったでしょう!」

 

 流石に艤装を展開することはしないが。

 蹴りによって相手の腕から力が抜けたタイミングで、下段から上段にかけて切り上げる。これも間一髪で避けられた。

 こちらも殺す気は無いとはいえ、一太刀くらいは入れたいのだが……?

 

「まだまだぁ!」

「うわわっ!?」

 

 お返しとばかりに空いた腹に蹴りを入れられる。地味に痛かったが、艦娘の耐久的には1〜2減ったくらいか。衝撃で吹き飛ばされたため、もう一度距離を詰め直す必要がある。

 

「痛いでありますな!」

「蹴ったこっちも痛ェ! どんな身体だ!?」

 

 艦娘の身体は丈夫なのだ。よく考えろ、戦艦の主砲とか受けても人の形を保ってるんだぞ。硬くないわけないだろ。

 おでんはそのまま飛ぶ斬撃を繰り出してくる。なんとかいなしつつ、こちらも似たようなことができないかと秋茜を振った。

 

「ぬぅ!」

「おお、やってみるものでありますな……」

 

 割と簡単に飛ぶ斬撃はできた。秋茜も大概おかしい性能をしている気がする。

 斬撃のせいで森のあちこちが余波で斬られている。秋茜の手加減がまだ慣れていなくて、余分な力が入ってしまっているのだ。

 なんとか一点に集中させ、二次被害を無くしたいのだが……じゃじゃ馬刀はそうはいかない。

 

「これで剣士が本業じゃないって、嘘だろ!」

「残念ながら本当でありますな」

 

 艦娘なので近距離戦はお門違いなんだよなぁ〜これが。

 ぶっちゃけ今も剣術というより、艦娘クオリティのフィジカルに任せて振り回しているに過ぎない。剣術とゴリ押しが2:8って感じだ。

 あきつ丸の記憶から剣術の知識だけを持ってくるのもなかなか難しいし、どうにもこうにもワンピース世界と近代日本の剣術は違う。ので、威力に関しては秋茜先輩に任せてしまっている。

 使いこなせているとは言い難いだろう。

 

「っと……!」

「隙あり!!」

 

 三時間ほどに及んだ打ち合いは、おでんの勝利で終わった。

 上段からの振り下ろしを外した瞬間に、首に刃を添えられたのだ。これは俺の判断ミスだったと言えよう。あそこで横薙ぎを選んでいたらまた変わったかもしれない。

 しかし、おでん相手に三時間粘ってみせたのはなかなか宜しい結果ではないだろうか。近接戦闘として課題も見つかったし、有意義な時間だった。

 

「ふぅ……まだ剣士を名乗るには甘い太刀筋でありました」

「おれ相手にあそこまでやる奴は中々いないぞ! 誇れ!」

 

 バシバシと背中を叩いてくるおでん。まぁ褒められて悪い気はしないわな。

 おでんは大きく笑い、早めの昼飯を食べに行こうと俺を誘った。腹が減ったのだろう、昨日の今日でおでんはやめて欲しいと伝え、最終的に蕎麦屋に行くことになった。

 

「あきつ丸はなんでワノ国に来たんだ?」

「刀が欲しかったのであります。本命の得物は遠距離故、近接戦闘に強い武器が欲しく」

「なな、ワノ国の外ってどうなってるんだ? おれもいつか海に出てみたいと思ってるんだが」

「大海原に様々な島が浮かんでいるであります。自分もまだ世界を見切れていない身、自分の目で見るのが一番だと思うでありますよ」

 

 ぶっちゃけ転生二日目なので語れることが全くありません。やめてくれ、俺に外の世界のこととか聞かないでくれ。外の思い出とか万国でドーナツ食ったくらいしかねぇよ。

 蕎麦を啜りながら、俺は今後の予定について考えていた。

 秋茜のコントロールを覚えるために訓練するのと、万が一のために武装色の覇気……ワノ国では流桜か、を覚えたい。覇気を砲撃や戦闘機に付与できれば尚更良い。

 グランドラインは強者の闇鍋。大海賊時代は始まっていないとはいえ、海賊はいるしロジャー海賊団といったバケモンが全盛期の時代だ。仲間もいない今、一人で海を渡るなら力はあるだけあったほうがいい。

 

「おでん殿は今日の予定は何がありますかな?」

「ん? まぁそうだな、今日は鍛錬だ。適当に山の獣と戦おうと思う」

「ご一緒しても? 自分ももっと剣の腕を磨きたいであります」

「おお! いいじゃねぇか。張り合える相手がいるほうが身が入りそうだ」

 

 しかし覇気の習得方法とか全然知らん。流桜なんてルフィは突貫で習得していたが、修行方法はなかなか脳筋だった気がする。あれか? どちらかというと黒刀化のほうを目指したほうがいいのか?

 覇気を纏わせる砲撃や射撃は刀に纏わせるのと近いのか……?

 こういう時に指導者がいないというのは面倒だ。独学でなんとかやっていくしかない。

 流桜といえばヒョウ五郎だが、今はヤクザみたいな職に就いてたはず。下手に接触するのはやめておきたい。

 

「何はともあれ、先ずはまともな剣術を覚えないと話にならないでありますな……。この付け焼き刃ではすぐに刀がお陀仏であります」

「おれぁ二刀流だからな、一刀流を教えるのは無理だ」

「飛徹殿に師事……いや、彼の方は刀鍛冶でありますからなぁ……」

「適当に戦ってたら自然と身につくだろ」

「それはおでん殿くらいしか通用しないのであります」

 

 あのロロノア・ゾロですらミホークに土下座して師を請うたんだぞ。師匠ってのは大事なんだ。先達の意見って奴だ。

 おでんは恐らく剣の道は独学なのだろう。しかし俺はそこまで器用ではない。現状の戦略も何もない身体能力任せの剣では、遠くないうちにボロが出る。

 剣豪になる! というわけではなく、秋茜を刃こぼれさせず折らせない程度に実力が欲しい。

 基本スタイルが遠距離なのは変わらないので、烈風なんかの熟練度も上げておかねば。

 

「まぁ現状、やるしかないのでありますな」

「お前ならすぐ慣れる! おれに三時間粘ったんだ、自信を持て!」

「そのポジティブさが羨ましいのであります……」

 

 初っ端、カタクリに遭った身としては本当に死活問題なのだ。

 今後ネームドの強キャラにどういう形で会うかわからない以上、やはり力はつけておきたかった。

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