あきつ丸(仮)が往く!大海賊時代特殊任務!   作:月日は花客

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84:あきつ丸、フラフラスル!

 

 ローがシロクマを拾ってきた。ベポである。

 そういえば拾ってくるんだったな……と失念していた。このあと間も無くペンギンとシャチも増えるだろう。

 ロシナンテの怪我はもうほとんど治っていた。

 つまり、この同居生活の潮時である。

 

「というわけでヴォルフ殿、労働力であります」

「お前さん、わしを託児所か何かと勘違いしてないか」

 

 交流を持っていたヴォルフのところにまとめて引っ越させる事にした。そもそも原作でもヴォルフの家にいることが自然なのだし、彼なら任せられる。

 

「まさか、信頼できる隣人としての頼みであります」

「ふん、口のうまい。いいか、わしが求めるのはギブアンドテイク! それができなかったらすぐに追い出すからな」

「あきつ丸さん……」

 

 ローが不安気にこっちを見る。まだ珀鉛病で迫害されていた時を思い出して他人が苦手なのだろう。

 俺はそっと彼の頭を撫でる。

 

「大丈夫であります。この人は悪い人ではない。町の人たちもね」

「でも……」

「いつまでもあの家にいるわけにはいかない。わかっているでしょう? 大丈夫。きっと大丈夫。約束するであります」

 

 そもそもヴォルフと関係を組んでおかないとハートの海賊団が旗揚げされないしな……。

 という裏事情は黙りつつ、俺は不安になりながらも納得はしたらしいローの頭をポンポンと軽く叩いた。

 

「それに、自分たちはそろそろこの島を出ていくであります」

「え……?」

「この島は寒すぎて、自分が生きるのには少し都合が悪い。二人は無事に生き延びられたし、目的も果たせたからそろそろ出発しようかとは思っていたのであります」

 

 この島近辺は相当気温が低く、やはりといったところか艦載機の発艦ができなかったのだ。寒冷地装備をわざわざ開発するのもアレなので、海賊退治は砲撃と刀のみでやってきた。

 しかしあまりに使っていないと艦載機も鈍ってしまう。

 ヴォルフに預ける事になったら、このスワロー島を出ていくことは決定事項だった。

 

「そんな……おれたちと一緒にいてくれるんじゃないのか」

「自分は海を渡る船。ひとところには留まらない。大丈夫……この先の未来は明るい」

「随分と……世話になっちまったなぁ。本当、感謝してもしきれないくらいに」

 

 ロシナンテはすっぱりと納得してくれたようだ。あの生活はロシナンテの傷が概ね治るまで、とは事前に言っていたから、終わりも察していたんだろう。

 名残惜しそうなローも、この生活がいつまでも続くわけじゃないと内心わかっていたはず。

 

「珀鉛病は治った。もう貴方の命を縛るものは何もない。次会うときは、成長した姿を見せてくれると嬉しいでありますな」

「あ、ああ! 約束する。おれも、能力を使いこなして強くなる!」

「その意気やよし! ヴォルフ殿のところでも頑張るでありますよ〜」

 

 俺は手を振って、ローとロシナンテ、ベポと別れた。ベポはローのことをローさんと慕っているし、種族は違うが歳は近いし原作通りいい仲間になってくれそうだ。

 ペンギンとシャチは一悶着あった筈だが、まぁ大丈夫だろう。ローはロビンやロシナンテから能力の特訓を受けていたし、珀鉛病で失った体力も戻りつつある。

 ドフラミンゴに狙われているのは変わりないし、オペオペの実は政府からも狙われる。

 しかし、それを無視して進んでしまえるほどローは強く成長する。

 ロシナンテも生きてるから、大丈夫だろう。ドジに関しては頑張ってくれ。

 

「ロビン殿、次はどこにいくでありますかねぇ」

「決めてないの?」

「なにも……、何も決めてない。無計画であります」

「わかったわ。もう船は出す?」

「そうでありますね」

 

 家電やら食糧品を船に積み込み、俺とロビンはスワロー島を離れる。

 さて、どうするか……。

 ここしばらくは近海で海賊を狩ってただけだから、久しぶりに自由に遠出していいとなると迷う。

 ふらふら適当に進んでみてもいいかもしれない。

 主要キャラの命の危機もしばらくないし……。というかロー編が過酷すぎた。原作でも思ったけどローさんの過去って人の心置いてきたんかな? ってくらい悲惨よね。

 今回は助けられて良かった、マジで。

 正直ノベルローは本編よりもだいぶうろ覚えだったから、この先ペンシャチが加わってなんやかんやあってハートの海賊団結成! ってくらいしか覚えてないんだよな……無いよな? 命の危機。ロシナンテもいるし万が一なんて事はないよな?

 不安になってきたがもう別れてしまったし船出しちゃったし、ここは羅針盤を使わずフィーリングで行こう。

 のんびり海風を堪能するのだ。

 

 フラフラ、フラフラ、たまに小さな島に寄りつつ気分の赴くままに海を渡る。

 海賊は相変わらず腐るほど湧いてくるが、最近はほどほどに壊滅させた後ロビンの戦闘訓練に使っている。まだまだロビンの戦闘スタイルは完成形になってないので、引き続き握力や能力の練度を上げさせる予定である。

 しかしロビンもだいぶ育ってきた。もうそろそろ俺の身長を越すだろう。ちょっと複雑な気分である。

 

 俺は北の海から離れ東に来ていた。特に意味はない。ただなんとなくだ。ロビンの戦闘訓練的な意味では、弱い海賊が多い東は都合がいいと思ったのかもしれない。

 

「ねぇ、なにか……叫び声が聞こえない?」

「確かに……偵察機を飛ばすであります」

 

 すっかり暖かい気候になった東の海では艦載機を自由に飛ばせる。しかしどこかしらで寒冷地装備は作っとかないと、グランドラインで寒冷地にぶち当たったとき不便だろうか? ネジは数あんまり無いんだよなぁ。

 偵察機からの情報では、客船が海賊に襲われているらしい。規模的には小さい、この世界ではよくあるいざこざだ。

 

「ふむ……ロビン殿、いけそうでありますか?」

「大丈夫。調子は万全よ」

「なら助けに行くでありますか」

 

 ロビンの戦闘訓練に付き合ってもらうとしよう。

 

「自分はしばらく手を出さないでありますから、自由にやってみるであります」

「了解」

 

 海賊船より少し離れたところに船を止め、俺はロビンを横抱きにして戦いの現場まで運んだ。

 ポイっと戦場の中心に放り込む。あとは本人が危なくなるまで、自分は展望台ででも待機していればいい。

 東の海賊らしい小さな船とチープな武器で海賊たちは客船を襲ったようだった。正直言って調子に乗ってデカすぎる獲物に手を出してしまった小魚に見える。

 

二輪咲き(ドスフルール)『クラッチ』」

「ぎゃああああ!?」

「なんだこの女ぁ!?」

 

 突然降ってきたロビンに海賊たちは大層驚いていた。早速一人が首を極められて沈む。

 流れるような仕草でロビンは海賊を倒していった。ふむ、弱い海賊とはいえ複数戦でこれだけやれるなら大したものだ。

 そもそも原作でも一人でバロックワークスの幹部に上り詰めているわけだから、戦闘センスはむしろ輝いている方なのだろう。師匠も手本もなしに自分の能力の強みを活かした戦闘スタイルを作り出したというのは素直にすごい。

 

「お前らぁ! 女相手に何手こずって──ゴフッ!?」

「船長ー!?」

 

 ロビンに向けて船長らしい男が銃を向けたので、適当に斬撃で海に弾いておいた。まだ覇気は習得できてないから、銃が出てくると少し危ない。銃って強いんだよなー、ワンピース世界だと能力で霞むけど普通に脅威なんだよ。

 ロビンは俺の手助けにすこし不服そうだったが(過保護と思われただろうか?)残党も問題無く始末し、客船には平和が訪れた。

 海賊は全員縛り上げて海賊船に乗っけて放流する。まぁどっかで海軍にしょっぴかれるだろう。

 いつもなら船ごと沈めていたが、今回は一般人が大勢目の前にいたため穏当な手段となった。

 

「た、助かりました! ありがとうございます!」

「いえ……こちらも修行ついででしたから」

「別にお礼などもいらないのでありますな」

「その、助けていただいて更にお願いがあるのですが……」

「? なんでありますか?」

 

 船長らしい男は、俺とロビンに勢いよく頭を下げた。

 

「お願いします! この客船オービット号の護衛となっていただけませんか!?」

 

 …………はぁ?

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