破滅プランナー 〜終わり方相談人〜 作:インチネ・ズィ・マゼタルーノ
対峙する勇者は、長く艷やかな白髪が美しい女性であった。数多くの同胞を押し退けて魔王の前に立つ彼女は、幾ばくかの問答をした後に剣を抜いた。
剣を、
ひらりと身を翻すと同時に煌めく剣閃は見惚れる程美しく、そこに宿る心もまた愚かしいくらいに真っ直ぐである。魔王はそれを躱し、或いは弾く。その刃は寸分の狂いも無く、首に届きうる物であったからだ。
手足の延長の如く自在な剣は、当時の型に嵌らぬソレは後に新たな流派として伝わっているだろう。
魔導も、
極限まで簡略化された魔導は、必要な場所で必要になる分だけ。徹底的に無駄を排除した魔導は、一種の芸術と言えよう。勇者の行動とは何の関連性も無く、予備動作も無く、直前に起こる魔素の揺らめきのみがソレの発動を知らせる。いかな達人であろうとも、避けきれるものではなかった。
なによりも恐ろしいのは、子供でも扱える基礎魔法でソレを成す事だ。侮った者から皆、勇者に討たれていった。
勇者の強さは今でも伝わっているだろうが、その強さの本質までは残ってはいないだろう。一太刀で大地を割り、魔導一手で空を落とすとまで言われているが…まぁ、流石に誇張が過ぎるな。彼女はあくまでも人間であり、その身体能力もソレに準ずる。確かに人間の中で見れば飛び抜けて高いが、上位の魔族からすればボチボチと言った程度でしかない。
勇者の強さ、それは技術だ。
彼女の一族は魔王を討つべく、長い時を経て知識や技能を積み上げ、伝え、昇華させ、発展させて来た。その集大成とも言える。
人間が作り出した研鑽の至玉こそが!勇者!
愚かにも美しい善性のヒト!
あの時の約束は、まぁ…彼女には酷であったかも知れんな。
……コホン。
すまない、少々熱が入りすぎたな。
現代に伝わる内容とは若干異なるとはいえ、大凡の流れは相違ない。
勇者は確かに、かの魔王を討ち取った。
その後に、勇者とその仲間達の手によって国が、社会が、世界が変えられ、現代へと続いている。
その辺りの話は伝承の通りだ。
近代に入れば、その歴史は君達の方が詳しいのかもしれないな。
私が君に伝えられるのはこの程度だ。
態々こんな僻地へと足を運び、長く生きるだけの愚物の話し相手になってくれたのだ。ゆっくりと休んで行くがいい。
私達も、久しぶりの客人に浮かれている。
私達暇人の、ささやかな楽しみだ。歓迎するよ。
「……まだ気付きませんか?『凶天の魔王』名を、レレンタリ・シドゥムーク。随分と余生を…いえ、次生を楽しんでいるようで。あまり神代の勇者を舐めないで頂きたい。あの時の約束を果たしに、会いに来ましたよ。さあ!踊りましょう!」
知らねぇよ。
何で増えてんだよ、誰だよコイツ等