【問題】
1.手や足など動かす器官を何というでしょうか?
2.腕を曲げる時、力こぶを作る筋肉はどうなるか答えてください。
サトノダイヤモンドの答え
「1.運動器官 2.縮む」
吉井明久のコメント
「正解。ちなみに曲げることで力こぶを作るこの筋肉の名前は上腕二頭筋って言うよ。」
サトノアラジンの答え
「1.運動器官 2.伸びる」
吉井明久のコメント
「残念。伸びる筋肉は二の腕の後ろにある上腕三頭筋だよ。」
サトノルパンの答え
「1.手足動器官 2.仕上がる」
吉井明久のコメント
「不正解…ルパンちゃんは理系は苦手みたいだね。夏合宿が補習にならないようにしっかりと復習しよう。」
『グランプリボスか!
ジャスタウェイか!
並んだ!
2人が並んだままゴールイン!!
内のジャスタウェイが最後にとらえたか!!』
『ここでゴールドシップ!
外からゴールドシップ!
まとめてかわして先頭に立った!
間からカレンミロティックが追い込んできたが、ヴィルシーナが粘る!
しかし、完全にゴールドシップだ!
ゴールドシップ、史上初の2連覇達成!!』
───
日本ダービーが終わり数週間。安田記念、宝塚記念が決着し…今年の春のG1レースが終わる。ちなみにこの2人は今年の凱旋門賞へと挑むらしい。レースが一区切りついたとなれば次は…
「それで都市部に人口が過度に集中することを何というか…スペシャルウィークさん。」
「はい!過密です!」
「正解。じゃあ、これによって起きる問題も1つ答えて。」
「えーと、えーと……それは私の地元からも人が減るってことですよね?」
「そうなるね。それで…どうなる?」
「……はっ!私の地元が大変になる!」
「その通り。これはもっと具体的にいうと"地方の衰退"だね。ここはテストに出すつもりだから覚えてもらって…」
期末テストである。僕は集められた受講者達の補習を担当しており…この後も別の科目の補習である。しばらくはチームカペラのトレーニングへ行けそうにないな。次は中等部の数学で…よし、準備が出来た。受講者は………あ。ルパンちゃんの名前があった。彼女って高等部だったよね?まぁ、どの授業を受講するかは自由だからいいのだけど…。
「この分数の計算方法についてだけど…まずは通分してもらって…」
「……」じー
「……」かきかき
みんな真面目に補習を受けているな…よし。少し時間を取って直接見て回るとしよう。
「じゃあ、今教えたことで計算してもらおうかな。」
「……」
苦戦している受講者を見て回り…ルパンちゃんのところへと着く。彼女へと渡したプリントは…
「……まだ計算中。」
真っ白のままだった。
………
「それでですねルパンさん、まずは分母を合わせまして…」
「……合わせる?」かくんっ
「えーと、今回の場合ですと1/3と1/4ですので1/12に統一を…」
「……こう!」かきかき
「いえ、合わせた分母を消すのじゃなくてですね…!」
「ルパン、召喚大会ではそこそこ点数取れただろ…どうやったんだ?」
「……丸暗記。」
「数学でそれをしたのかっ!?」
場所はチームカペラの部室…今回はトレーニングではなく、勉強会。ダイヤちゃんもシュレンちゃんがルパンちゃんの勉強を見ていた。
「ルパンさんってシュレンさんと同じ高等部…だったよね?理系が苦手とはいえ、中等部のダイヤにも教わるレベルなの?」
「違うわエトワール。確かに今ルパンさんがやってる問題は中等部レベルだけど…ダイヤ自身が高等部レベルの成績なだけよ。」
「で、でもダイヤって私たちと一緒にトレセンに入ったよね?小学生の時からそうだったの?」
「
「…私はクラちゃんに良いところ見せたいかな。」
「わ、私に!?じゃあ、赤点にならないように…この全問間違った小テストを最初からやり直して。」
「あぅううう!!」
あっちではクラウンちゃんがエトワールちゃんへと英語を教えていた。僕はというと…
「吉井さん…どうでしょうか?」
「ノブレスさん…うん。確実に成長しているよ…Cクラスはあるかもしれない!」
「C…!いえ、私はDくらいありますわよ!」
「いやいや!謙遜しなくてもいいから!理想のBクラスまで頑張ろう!」
「何でさらに小さくしようとしてるのですか!?」
「急に何の話っ!?」
ノブレスさんの個別課題を採点していた。ちょこんと胸の前のプリントを僕の方へ見せてきたので感想を言っただけ…だよね?あ、そうか!クラスで言われても分からないか!
「ごめんノブレスさん!ここでいうCクラスっていうのはテストで8割取れる成績って意味だよ?」
「せ、成績…?」
「何のことだと思ったの?」
「そ、それはその…はうぅぅぅ。」シュゥゥ
何故か顔を赤くして頭から煙を出すノブレスさん。まぁ、普段はトレーニングに集中しているからここまで勉強することはなかったのだろう。僕も脳が疲れた時は頭がプスプスなるし。
「ノブレスさんはもう大丈夫だね。じゃあ、後は自習をしてもらって僕はギャラントちゃん…」
「お、お待ちを!ここ!ここですわ!この間違えた問題の解説をお願いしますわ!」
「あー、応用問題のところね。分かった…といってもちょっとしたケアレスミスだよ。基礎は分かってるみたいだから…ここの式を…」
「なるほどなるほど。」
ノブレスさんへの指導が終わり、ギャラントちゃんのところへと行く僕…あれ?何かギャラントちゃんの目が温かい?
「ノブレスさん…あんな顔も出来たんだね…」
「確かにね。」
最初の印象は頑固なお嬢様という感じだったけど…サトノ家とメジロ家のために強くなろうとしている。とても立派なことだと思う。それはそうと…
「ギャラントちゃん、課題は出来た?」
「出来てるよ…はい。」
「どれどれ…」
基礎は出来ているが…応用問題になるとかなり詰まっている。うーん、悪くはないのだけど…
「Dクラスレベルかな。」
「アハハ。参加したのはワタシが最後だったからね…ここから巻き返すよ。またG1レースを走るために…!」
気合いが入るギャラントちゃん。サトノのジンクスを破りたいのは全員一緒。そのために全員ちゃんと夏合宿へ送り出さないとだね。この後はラーゼンちゃんとアラジンちゃんの指導となる……今さらだけど特定の生徒ばっかり勉強をみてる状況だよね?チーム特権って月日トレーナーは言っていたけど…本当にいいのだろうか?
………
「忘れ物したな…急がないと。」
勉強会が解散し、自宅へと帰る途中だったが…よりにもよって家の鍵を忘れていた。守衛さんに通してもらってチーム部屋へと向かう僕…あれ?部屋の電気がついてる?消し忘れかな?
「……」かきかき
「ルパンちゃん!?」
「……!」びくっ
居残っていたルパンちゃんだった。
「……吉井トレーナー?……どうしたの?」
「忘れ物しちゃって……あったあった。まだ勉強してたの?」
「……赤点取るわけにはいかないから。……G1レースには2回も出れたけど…勝つどころか勝負にもなってなかった。」
「そんなことないよ!ルパンちゃんはまたG1に出れるよ!」
「……簡単に言わないで!……リディル姉さんもクラレント姉さんもアリオン姉さんも活躍してるのに…私は…妹としても!サトノとしても!私は何も出来てない!!」
普段は口数の少ないルパンちゃんがこんなにも追い込まれている。あぁ、やっぱりこの前のレースのことを引きずっていたんだ。ムッツリーニ(と愛子さん)の娘として、サトノのウマ娘として、そして1人のウマ娘として、全力を尽くそうとしている。なら、僕がここでするのは…言いきって背中を押してあげることだ!
「出れる!…簡単じゃないことは僕だって分かってる。だけど君はまた出るためにこうやって勉強をしている。未知の召喚トレーニングだってしている。また大きなレースに出走して勝つために!」
「……クラレント姉さんはこの前の安田記念で、世界最強の『ジャスタウェイ』に負けた。……私もいつか戦うことになるかもしれない…」
「世界最強に勝ってジンクスも破れる。いいことじゃないか!」
「……そのためにも、トレーニングを削ることは何としても避けたい。……だから、今は赤点取らないようにしないと。」
「10分。」
「……はい?」
「今から10分、君だけを指導しよう。」
「……え?えぇ!?」
「もしテストで1教科でも満点だったら面白いものをあげるよ…はい、スタート!」
「……!」
集中して問題へと目を向けるルパンちゃん。詰まったタイミングで対象となる教科書のページを見せる。……うん、テストは何とかなりそうだ。
───
期末テストが終わり…生徒全員へと答案用紙が返却された。昨年と今年のデータを比較する…全体的な成績は上がっている。でも赤点の人数はそこまで変わっていない…ダメだったか。学園長と秋川理事長への言い訳を考えないといけないな。
さて、それは未来の僕に任せるとして…チームカペラの皆はどうだっただろうか?少し遅れてチーム部屋へと入る。
「吉井先生~!」だきっ
「わぁっ!?」
エトワールちゃんが泣きながら抱きついてきた。まさか!赤点あったの!?
「エトワールちゃん、1年生だから夏合宿は参加できなくても問題無いよ。追試に向けて僕が今からプリントを…」
「違います!違います!…全教科、赤点回避できたんですよ!!」
「本当!?良かった…頑張ったね!」
「これもクラちゃんや吉井先生のお陰です!ありがとうございます!」
チーム内で1番怪しかったのはエトワールちゃん。しかし、しっかりと勉強してテストに挑めたようだった。それにしても…
「…」ずーん
ダイヤちゃんが暗い。何故だろう?確か、圧倒的な点数で学年トップになってたはずだけど…
「
「…自信はあったんですよ?」
「いやいやいや!ダイヤちゃん凄いよ!」
「…本当ですか?」
「本当本当。」
「ふふっ。アナタのお陰です♡ありがとうございます♡」
「僕は特に何もしてないような…」
ダイヤちゃんが柔らかい笑顔を僕に向けてきた…何処か学生時代の瑞希ちゃんの笑顔を思い出す……はっ!ちょっと見惚れちゃってた!
「吉井トレーナー。結果はこの通りだ…私たち全員、赤点の心配ない。それはそうとルパンがアナタに言いたいことがあるらしい。」
「……」もじもじ
「言いたいこと?」
シュレンちゃんの言葉に我へと返りながら、ルパンちゃんへと顔を向ける。此方へと来るルパンちゃん、そして…
「……国語のテスト、現代文と古文と漢文…満点。」
「……本当だ。」
成績表の国語の点数を指差した。…確かに200点の文字と学年1位の文字がみえる。苦手だった理系科目も学年全体の真ん中くらいの順位だね…じゃあ、秘蔵の写真をあげるか。
「約束の物だよ。」
「……薄い、何だろう?手紙?写真?…まさか現金?」
「開けてみて。」
1枚の封筒を渡すとルパンちゃんは中を見る。
「……お父さん?」
「正解!」
「……プっ、フフフフ!」
「ルパンさんが今まで見たことのない笑い方をしてる!?」
「一体どんな写真なんだ?ルパン、見せて…」
「……ダメ。」
「吉井さん、どんな写真でしたの?」
「内緒。」
内容はいつかのミス浴衣コンテストに出た時の姿…うん?ミスターじゃないのかって?ミスで合ってるよ…僕も出たけど。とにかく!その時の写真である。…本人にバレたら殺されるかもね。とはいえ…
「……フフフフっ。」
ルパンちゃん、いい笑顔だ。