バカとダイヤと召喚獣   作:アマノジャック

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テスト科目・数学

【問題】次の式を因数分解してください。

x²-xy-2x+2y


サトノダイヤモンドの答え
「(x-2)(x-y)」

吉井明久のコメント
「正解、これ高等部の問題だよ。ダイヤちゃん、凄いね!」


ダイタクヘリオスの答え
「x(x-y-2)+2y」

吉井明久のコメント
「不正解。共通する整数を見つけるという考えがあっただけに惜しいね。」


トーセンジョーダンの答え
「(x-2)(x-y)」

吉井明久のコメント
「正解、本当によく頑張りました!」


第二十九問 負けず嫌いなギャル

僕の1日は家族の寝顔から始まる。

 

「お、おはよ…」ぼそっ

 

「「Zzz。」」

「おはようございますアキくん。」

 

瑞希ちゃん(僕の妻)と小豆ちゃん(僕たちの天使)と姉さんに軽く挨拶をして、身支度を始めるのだ………ん?

 

「……え?」

「何ですか人の身体をジロジロと…欲情でもしましたか?なら私と子づ…」

「…夢か。」

 

裸の痴女がいたのでもう一度寝ることにした。

 

………

 

「全く、いい年した大人が二度寝なんてしないでください。」

「いい年した姉さんこそ裸で寝ないでくれる?」

「ちゃんとバスローブで寝てましたよ。」

「ちゃんと着てなかったの間違いでしょ…もう。朝から瑞希ちゃんと小豆ちゃんのそばでバイオレンスなことしないでよ。」

 

僕に目覚ましのおうふくビンタを食らわせた裸の痴女こと吉井玲…僕の姉さんだ。というか…

 

「何でここにいるの?」

「何故ですかって?誰が小豆ちゃんをここに連れてきたとお思いで?」

「瑞希ちゃんでしょ?」

「私ですよ…瑞希ちゃんも忙しいことは知っているでしょうに。」

「それで…何で急に小豆ちゃんを返してくれる気になったの?」

「それはアキくんが落ち着くタイミングだと思ったからですよ。」

「僕が?」

 

…言われてみれば、レースもテストも終わり、夏休みへと入る。特定の担当クラスを持たない僕にとってはまとめて今年の分の有給を使いやがれと全教師から睨まれる、本来であれば落ち着くタイミング。でも…

 

「今年はあんまり家にいられないかな……せめて事前に分かってたらな…」

「えぇ。ですので私がここでお世話をします。」

「…はい?」

 

ここに居座る気!?1日2日はともかく、ずっと!?

 

「姉さんがお世話!?出来るの!?というか仕事はどうする気なの!?」

「フランスにいた時は誰がこの子のお世話をしてたとお思いで?」

「父さんでしょ?」

「私です!もう…これでもフランスにいた時は小豆ちゃん、私に一番心を開いていたんですからね。」

「姉さん、エイプリルフールは何ヵ月も前に終わったよ。」

「まだ目が覚めていないようですねアキくん…!」

 

姉さんの目覚ましビンタ…効果はいまひとつのようだ。

 

「それで仕事はどうする気なの?」

「最近のアキくん、頑丈になり過ぎです…んん!今はPCさえあればどこでも出来るものですよ。」

「出社しなくていいんだ……はい、姉さんの分の朝ごはん。」

 

ちょうど電子レンジから冷や飯の温まった音が聞こえたので、取り出してお茶碗へと入れてテーブルに運ぶ。焼き魚、みそ汁、ご飯、刻んだキャベツ…まぁ、こんなところか。後はベーコンエッグがあればご機嫌な朝飯だったかもしれない。いただきます。

 

「家にいるなら7時半頃に瑞希ちゃんの分を温めてくれる?そろそろ行くからさ。」

「もう出るのですか?」

「うん、今日は赤点だった生徒の補習と再テスト。対象は1人だけになるけど…トレーニングに影響が出ないよう早朝にすることになった。」

「では、その子が合格出来るよう教鞭を執ってくださいね。」

「分かってるよ…いってきます。」

 

本当は瑞希ちゃんと小豆ちゃんが起きるまで待とうとも思ったが…姉さんがいる以上、目に毒なので早く出勤するしか道がない。それにしても…

 

「フランスでもずっと裸だったなんてことないよね…?」

 

───

 

「因数分解って何?勝手に分解すんなし、自然のままにしろし…」

「1つ戻って…素因数分解からやってみる?」

「そいんすーぶんかい?」

「覚えて欲しいことは3つ…自然数、素数、因数。」

「…?」

「まずは素数について…1とその数にしか割りきれない自然数のことだよ。」

「自然数?」

「今は素数にだけ注目して。それじゃあ、20までにある素数を全部教えるね…『トーセンジョーダン』さん。」

 

…補習対象はまさかのG1ウマ娘のトーセンジョーダンさんだった。この前の宝塚記念に出走していたのが記憶に新しい。あまり勉強が得意ではないが…授業は真面目に受けてくれている。

 

「2、3、5、7、11、13、17、19…おっけ!覚えたし!」

「じゃあ、6を素因数分解すると?」

「2×3!」

「正解!それじゃあ…90は?」

「90……9と10で…3と3と……分かったし!3×3×10!」

「残念、不正解!じゃあ、ここまでトーセンジョーダンさんが解けたところを板書するね。」

 

一生懸命な子じゃないか。他の教師からは不真面目な子と聞いていたけど…拍子抜けするなぁ。

 

「さて、まだ素因数分解を出来る数が……トーセンジョーダンさん!?」

「…」ぬりぬり

 

板書した後に振り返ると…靴下を脱ぎ、自身の爪に何かを塗っていた。

 

「あの…トーセンジョーダンさん?今、補習中なんだけど…」

「ん?トレーニングにまで乾かさないとしけないからだし。あたし、爪弱いから…」

「…」

 

なるほど、そういうことか。

 

「少しだけ休憩にしよう…補習の続きのタイミングは君が決めてもいいから。」

「は?別に爪コーティングしてるだけで…」

「そのコーティングが終わったら補習の続きを聞いてくれる?」

「…うす。」

「じゃあ、準備できたら教えてね。」

「…」ぬりぬり

 

少しだけ主導権を彼女に譲る。補習や再テスト後に塗ってトレーニングに影響しようものなら元も子もないしね。

 

「…終わったし。」

「じゃあ、補習に戻るね。君は3×3×10まで分解したから…」

 

………

 

「…マ?これマジであたしの点数!?」

「うん、その通り…ちゃんと合格点だよ。」

「…!」ぷるぷるぷる

 

長時間の補習を経て、再テストが終わり採点をした…結果はほぼ白紙に近かった点数から赤点を(ギリギリ)超えたのだ。中等部から高等部までの内容を頭に叩き込んでの成果である。つまり、彼女自身の飲み込みは悪くない。しかし、毎回彼女にだけ多くの時間を割くわけにいかず…これからはどうしたものかと考える。

 

「マジでありがとうだし!トレーニングまでに終われたし!でも…アンタは…他にもやることが…あたしのせいで…」

「違うよ。君は真面目に補習を受けてくれた。」

「…」

「文月学園なんて酷いんだよ。話聞かずに眠ったり、逃げ出したり、刃物持って殴り込んできたり…」

「ヤンキー校!?」

「普通の進学校だけど…」

「絶対普通じゃない!」

 

…あ、うん。Fクラスだけか!けど、Fクラスとか言われても訳分からないよね。

 

「とにかく、これは君の実力だよ……分かりやすく形で見てみたい?」

「形で見る?どゆこと?」

「こういうことだよ…『承認』!」

「な、なんだし!?」

 

補習室内に召喚フィールドが生成される…実際に設置するとなるとこの辺りかな?端へと移動した僕は試験召喚獣を呼び出した。

 

『試獣召喚(サモン)』

 

 

【数学】

補習教師 吉井明久

360点

 

 

「吉井先生の子供が出た!?」

「子供じゃないから…召喚獣だから……さて。トーセンジョーダンさんもやってみようか。『試獣召喚』って言ってみて。」

「サ…『試獣召喚(サモン)』!」

 

 

【数学】

ウマ娘 トーセンジョーダン

31点

 

 

「あたしのも出た!?」

「さらにこんなことも出来るよ…『整備(メンテナンス)・中山』!」

「レース場が出てきたし!?」

「毎回毎回いいリアクションしてくれるね君…2500mのところでゲート出すから召喚獣を動かしてみて。」

「動かす?」

「動け、って感覚的に指示したら…」

「普通に出来た!え?これ、あたしが操作してるの?」

「してるしてる。」

「レースで勝負だし!おりゃ!」

「あ、まだスタートって言ってない…まぁ、いいか。」

 

突然だがレース勝負が始まった。

 

 

【数学】

補習教師 吉井明久

350点

 

VS

 

ウマ娘 トーセンジョーダン

4点

 

 

「あれ?何か点数が減って…」

 

 

【数学】

ウマ娘 トーセンジョーダン

Dead

 

 

「何か死んだ!?どうなってるの!?」

 

そして、ハロン棒を超えた辺りで点数を使い尽くし消滅した。

 

「点数を考えてペースを決めないと…まぁ、チームカペラの何人かもこうなったけどね。」

「むぅ!悔しいし!もう1回…『試獣召喚』!『試獣召喚』!…出てこないし。」

「数学の点数が無くなったからね…ということでトーセンジョーダンさん。補習追加ね。」

「ふざっけんなしぃぃ!!」

 

トーセンジョーダンさんの悲鳴が学園中に響いた。

 

───

 

一方の合宿場とはいうと…

 

「あの…トレーナーさん。吉井さんの姿が見えないようですが…」

「彼はトレセン学園内での仕事がありますので…いつ来られるか分からないそうです。」

「「そんな…!!」」

 

がっくりと肩を落とすサトノダイヤモンドとサトノノブレスの姿があったらしい。




頑張れメイショウタバルとアドマイヤテラ。
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