この幻想郷の果てがあるならば!   作:OMG00

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12話 : 望遠鏡の向こうは……

 

「おはようございまーす!!文々。新聞の号外でーす!!

ただいま無料で配布しておりまーす!」

 

神社から帰宅した小鈴は、店を開いて新聞を配布し始めた。

霊夢と二人で確認し合い、妖怪向けの記事や内容は

別の物に差し替えられている物を配布している。

今回は号外という事で、絶賛無料配布中なのだ。

 

「しんぶん いかが ですかー?」

「われわれ パタポンの きじも のってますよー!」

「りゅうこうに のりおくれるな みなのしゅうッ!!」

 

はたポンが旗に新聞を貼り付け、大きく振って宣伝し、

パタポンズの三人も新聞配りに精を出していたッ!

 

パタポン達が店の手伝いをするのは小鈴の家族公認である。

というのも、パタポン達は非常に働き者で、神様である

小鈴の言う事なら大体何でもしっかり聞いてくれるのだ。

そしてパタポン自身も神様の為に働きたい!という

強い願望があった為、こうして一緒に働いている。

 

パタポンは沢山召喚されているけど、食費はどうなの?

ご心配ありません。パタポン達は長い長い旅をしてきたので

本の中にある異世界には、備蓄用の食材が山ほどある模様。

いずれ尽きてしまう事を考えると節約はしたいが……

 

メデンやはたポン、パタポンズ以外のパタポンは、

呼ばれるまで本の中で待機しているようだ。

呼ばれたパタポンが、店の掃除やお使いなどをする予定。

ご近所さんや鈴奈庵に来る人達と仲良くなれると良いね。

 

それともう一つ、人里でパタポンは異世界からやって来た

「座敷わらし」の一種という扱いになっている。

座敷わらしとは、家に住み着くだけで繁栄が訪れると

言われている妖怪で、人里でも一緒に生活している人間が

チラホラ見受けられており、とても人気がある妖怪なのだ。

 

その実態は妖怪の賢者「八雲紫」が人里に送り込んだ

スパイであるのだが……その事実を知る者は少ない。

 

 

ふと、一人の女性が鈴奈庵の前に立ち止まった。

パタポンがその女性に気付くと、とっとこ近付いて

新聞を渡しに行ったのだ。貰ってくれるのだろうか?

 

「あらまあ、随分賑やかね……おはよう?目玉の妖怪さん?」

 

女性は屈んで、やって来たパタポンに笑顔で挨拶すると、

パタポンもその人に挨拶し返した。挨拶は大事である。

 

「おはよーございます!すずなあん へ ようこそ!

おねーさん!しんぶん どーぞ!ぜひ よんでみて〜」

「あらまぁ。可愛らしい妖怪だこと……一枚貰うわね?」

 

その人はパタポンから新聞を受け取ると、

優しくパタポンを撫でた。不思議な感覚に包まれ、

ちょっぴり良い気分になったパタポンであった。

 

「ありがとうございまーす!!また きてねー!!」

「えぇ。近いうちにまた来るわ……ふふ。」

 

撫でられて元気になったパタポンは、手を振って見送った。

幽かに花の香りがする日傘で見えなくなっていたが、

彼女の後ろ姿は、どこかご機嫌そうに見えたのだった……

 

 

「随分繁盛してるわね?小鈴。」

「あっ、阿求?アンタも新聞を取りに来たの?」

「そんな所よ。パタポン達の様子も見たかったし……

行ったんでしょ?世界の果て。どうだったのよ?」

「ふふん。それがねぇ……」

 

やって来たのは小鈴の親友の阿求だ。

昨日の宴会でダウンしてたが、まほポンのお陰か、

二日酔いはしなかったらしい。やったね。

小鈴はすぐさま阿求に朝の出来事を全て伝えた。

 

神社に行って朝日を一緒に眺めた事。

霊夢と魔理沙に迎えられ、一つの旅が終わった事。

紫がやって来て、幻想郷に異変が発生している事。

異変解決の為に、パタポン達と幻想郷を巡る事になった事。

既に妖怪の山周辺で、モンスターが現れている事……

 

それを聞いた阿求は、軽く頭を抱えていた……

幻想郷縁起に書かなければならない内容が、

想像以上に増えそうだからだ。多分山程。

 

「小鈴…あんたねぇ…まぁ…いいかぁ…この子達もいるし…

霊夢さんや魔理沙さんに迷惑かけないようにね?」

「わかってるよぉ、もう…信用がないなぁ……」

「信用というより、小鈴の事が心配なのよ……

一体どんな生き物が幻想郷に現れたのやら……」

 

阿求の言う事もごもっともだ。

今まで戦う事の無かった小鈴が、いきなり異変解決の

最重要人物になったのだ。心配しない訳がない。

 

それに……まだ戦力が全然揃っていないのも見過ごせない。

確かに霊夢や魔理沙達はとても信頼出来る。だが……

いつも一緒に行動すると言うワケにもいかないだろう。

時には小鈴とパタポン達だけで、迫り来る脅威と

戦わなければならない時もあるはずだろう……

そうなると、今の小鈴の戦力ではモンスターはおろか、

そんじょそこらの妖精にさえ苦戦してしまうだろう……

 

 

「こすずさま!おまたせしました!ついに みはりだいが

できましたよ! コレで すこポンを はいち できます!!」

「わッ!?メデン!?いっつも突然だなぁ!?」

「えっへん!そんなことより こちらを ごらんください!」

 

突然後ろから現れたメデン。ビックリする小鈴と阿求。

本当にいつも唐突である。何の話かサッパリである。

幻想郷にいる巫女は、いつも何を考えているのだろうか……

そんなメデンは、鈴奈庵の隣を見るように促した。

 

「見張り台って? すこポン? 一体何の事話してるの?

……って!?なんじゃこりゃー!?なんか出来てるー!?」

「上になんか居るわね……アレは……」

「あっ!ぼうえんきょ!」

 

驚愕する小鈴、冷静な阿求、知り合いを見つけたはたポン。

鈴奈庵の隣に、見覚えの無い高台が出来上がっており、

台の上に、望遠鏡を覗き込むパタポンがそこにいたのだ。

それぞれ違う反応を見せる中、メデンが説明を始めた。

 

「すこポンは ぼうえんきょうで げんそうきょうと

さとの まわりを ていさつ してくれるのです!つまり……

つぎの もくてきちも これで きめられますよ!たぶん」

「多分って……大丈夫なのかしら……?」

「ちなみに ですが ごりょうしん からは きょかを

もらっています ので どうか ごあんしんを こすずさま」

「ちゃっかりし過ぎだよメデン……まぁ良いかぁ……」

 

どうやら…目視で異変を探す目をココに配置したらしい。

ゆったり座って、望遠鏡をじ〜っと覗くすこポン。

今日はいい天気だ、何か見つけられるだろうか……

 

「ん〜… みえるッ みえるぞ〜!」

「えッ!?早速!?」 「わくわく…」 「一体何が……」

 

皆の期待に応えるように、すこポンは叫んだッ!!

 

 

「みみと しっぽが もふもふで しろくて かわいい すてきな

おんなのこが やまの なかに あらわれましたーッ!!!!」

 

 

何という事だろうッ!すこポンは山で哨戒任務中の

白狼天狗、「犬走(いぬばしり) (もみじ)」に一目惚れしてしまったッ!!

彼女は妖怪の山で見回りを行っている白狼天狗の一人。

先日、山でモンスターを発見し、文に報告したのも彼女だ。

そして奇しくも、すこポンと同じ哨戒任務担当なのだ!

この運命的な出会いはいずれ、大きな奇跡を……

 

 

あぁ!だがしかし!それを許さぬ二人の少女ッ!!

 

 

「……ねえメデン?パタポンって壊すのも得意だったよね?」

「こすずさま わたくしも おなじことを かんがえてますよ

だいじょうぶです…また つくりなおします から…ふふふ…」

 

解体用の小槌を片手に、見張り台へ近付く二人の邪神!!

すこポンよ!お前の運命はここまでなのかッ!?

 

「んんー…あれー…あぁぁーッ!?!?」

「いったい なんです? ドドンガでも みつけたんですか!?」

 

怒りながらすこポンに怒鳴りつけるメデンッ!

それを聞いたすこポンは……

 

思わずぽかーんとしていた。

 

「え?なんで しってるん?」

「えっ?」

 

 

「え?えーっと……もりの いりぐちに ドドンガが いて

そこにある たてものを こうげきしてます……」

 

「何ですって!?すこポン!もう一度言いなさい!」

 

阿求がすこポンに叫んだ!すこポンも負けじと叫んだッ!!

 

 

「まほうのもり の いりぐち にて ドドンガを はっけんッ!

そこにある たてものが しゅうげきを うけていますッ!

げんざい まりさどの と しっぽが さんぼん はえた

もふもふの おんなのこが おうせんちゅうッ!!!」

 

 

緊急事態発生だ。既に魔理沙ともう一人がドドンガと

戦闘し始めている…今すぐ行かなければ…ッ!!

 

「むちゃです こすずさま! せんりょくは まだしも

タイコ と うた が なければ たたかいに なりませんッ!」

「だけど…このままじゃあ……ッ!」

 

己の無力さを嫌でも痛感してしまう小鈴……

このまま二人に任せるしかないのか?

本当に何も出来ないのだろうか……

そんな時、すこポンからもう一つの報告が来た。

 

「あれはッ!たてもの から にげてきた おとこの ヒトを

はっけんッ!!まっすぐ こちらに むかっていますッ!」

 

小鈴と阿求はその男の人を知っている!

例え戦うことが出来ずとも、出来ることがある!

急いで救出に行かなければッ!

しかし、すこポンの報告はまだ終わっていなかった!

 

「あぁ…!なんてこったッ!あの おとこのヒト……

【ページ】と【ちえのタイコ】を かかえているッ!?」

 

「こすずさま!いそいで しゅっぱつをッ!」

「行こう!はたポン!パタポンズ!」

「しゅつげき じゅんび よ〜しッ!!いざッ!!」

「私も一緒に行くわ!いそぎましょッ!」

 

運命が動き始めた。戦いの時は近い……

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