この幻想郷の果てがあるならば!   作:OMG00

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14話 : かりそめの守護獣

 

ここは香霖堂の門前。外の世界から流れ着いた色とりどりな

標識やら看板やらが飾ってあり、不思議な雰囲気を出している。

普段のこの場所は、幻想郷の中でも一際変わったお店である。

 

だが今は……あちこち炎が燃え、トラバサミが散らばり、

レーザーと星が煌めくバトルフィールドとなっていた。

魔法使いと妖獣、そして異界の守護獣との戦いは泥沼化していた……

 

そう。魔理沙と慧ノ子は苦戦していたのだッ!

 

最初は二人が優勢だった。何故なら二人は飛べるからだ!

幻想郷で弾幕ごっこを嗜む少女達は、皆自由に空を飛べる少女達だ。

灼熱の火炎を吐き、守護獣と呼ばれる存在であるとはいえ、

結局、原始的な風貌の恐竜のような獣でしか無いのだ。

炎だの怪力だの巨体だの…そんなもの、幻想郷なら普通である。

 

翼がない生き物は、空を飛ぶ事はない。

それは自然界ではごく当たり前の事である。

 

幻想郷の少女達が、このセカイが特殊なだけなのだ。

 

人の知恵を持つ存在が自由に空を飛びながら獣と対峙すれば、

そんなものは一方的な戦いになるに決まっていたッ!

しかも片方は、幻想郷トップクラスの火力の持ち主!

もう片方は、人と獣の知性を持つトラップマスター!

ドドンガの攻撃が届かぬ空から弾幕を放ち、罠を仕掛けた!

レーザーは身体を焼き焦がし、罠はドドンガを動けなくさせ、

ミサイルの爆風が、特徴的な顔に何度も何度も直撃したッ!

小鈴とパタポンが来る前に、ブッ倒してしまいそうな勢いッ!!

 

まさに、ドドンガは手も足も出ないような状況だったのだッ!!

 

まぁ、ドドンガの手足は短すぎるんだけどね。

 

 

ここまで一方的な戦いになっているにも関わらず、

魔理沙と慧ノ子の二人は苦戦を強いられていたのだ…ッ!

一体それは何故なのか?それは……

 

「魔理沙ぁッ!アイツまたやるつもりだよ!?」

「あんにゃろうッ…!!慧ノ子はカバー頼むぜッ!!」

 

ドドンガは2人が空を飛ぶと、一旦攻撃を止めるのだ。

そして、その標的を、目の前にある建物……

 

そう……二人の護るべき「香霖堂」へと即座に移すのだッ!!

 

ドドンガは飛び跳ねながら香霖堂へ近付くッ!

その恐るべき巨大な顔で香霖堂に頭突きッ!

口から溢れる炎の嵐は香霖堂を包み込むッ!!

まるで逃げられた腹いせに破壊行為をしているようだッ!

 

「消火開始だコンチキショー!」

 

大量の液体が入った瓶を、魔理沙は箒に乗ったまま

香霖堂へ落としていく!すると炎の勢いが無くなっていった!

だが!それでも!目の前の巨獣の頭突きは止まらない!

 

「やい!このデカ顎怪獣!こっちに来やがれッ!!」

 

魔理沙はドドンガの周りを飛び回り、弾幕をばら撒き、

ドドンガの意識を近付いてきた魔理沙に向けさせた!

こうする事で、攻撃の手を止めさせられるのだ。

 

ドドンガが振り向くと同時、巨大で強大な牙が見えた……

大きく口を開け、魔理沙を噛み砕こうと顎を振り回すッ!

 

「うおぁぁーっ!?コイツ!攻撃パターン増やしやがって!」

 

間一髪、凶悪な噛みつき攻撃を避ける事が出来た魔理沙だが、

その行動に彼女は冷や汗が止まらなかった……!

 

「チックショーッ!!紫のヤツめ!!知性が無いだぁ?

立派に戦術を考えて行動してるじゃねえかコイツ!!」

 

「あぁもうッ!!一体いつ倒れるのッ!?タフすぎぃ!

こんなにカチコチなんて聞いてないよー!?」

 

弾幕をばら撒く慧ノ子もまた、ドドンガのタフさにウンザリしていた!

というのも、胴体や手足がヒョロヒョロなクセに、

このドドンガと言う生き物の身体は妙に硬かったのだ。

まるで……”鉱石”、”金属”を叩くような……そんな感じだった。

お陰でトラバサミを当ててもすぐに逃げられるッ!

知性は無くとも、そのフィジカルで守護獣と呼ばれるのだろう……

 

しかし、ドドンガは獣ながら理解したッ!

コイツらも自分と一緒…護るモノがある存在なのだと!

ならば……コイツらが護るべきものを攻撃すれば、

空から降りて、こっちに来るだろうッ!!

一瞬……ココへ近づいた時のたった一瞬で、

細くて華奢な身体を吹っ飛ばしてやろうッ!!!

 

 

そんな時だった。遠くから音が聞こえてきたのは……

 

 

二人と一匹は、音のする方へ目を向けた……

 

 

—————————————————————————

 

 

PATA PATA PATA PON!!!

 

 

あぁ……なんの音だろうか……知らないはずなのに、

何故かこの音は……知っている気がする……

 

 

PATA PATA PATA PON!!!

 

 

音を出すヤツらが見えた……あのギョロ目……

初めて見たはずなのに、何故こんなにも……憎たらしい……!?

 

 

PATA PATA PATA PON!!!

 

 

あの細い生き物……タイコを響かせるアイツ!!!

アイツが持っているのは……自分が護るべき遺産!!

 

 

敵だッ!!アイツらは!!!敵だッッッ!!!!!!

 

 

グオオオォォォォOOOOOOOooooooーッ!!!!!!!!!!!!

 

 

ドドンガの咆哮が大地を揺らすッ!!

目は血走って、息を荒げ、やって来た小鈴とパタポンを見据える……

もう飛び回るヤツも建物もどうでも良い!!

今はただ、ここへ来る宿敵への準備を備えるドドンガだった…が。

 

 

「うるっせぇぇぇぇぇぇぇーッッッ!!!!」

 

 

魔理沙がブチ切れながらドドンガの目の前に何かを投げた!

ピカッ!ドゴォォン!と激しい光と音と共に破裂したソレは、

魔理沙お手製、マジックフラッシュバン!(特許申請中)

いざという時に作っていた、試験運用品だ!

上手く機能したら霧雨魔法店で販売する予定だったが、

どうやら素晴らしい結果が出たらしい。やったね!

怒り狂うドドンガは目をクルクル回し、しばらくの猶予が出来たのだ。

 

怒りと困惑で、ドドンガの情緒はグッチャグチャである。

 

 

「あ……アレがドドンガ……恐竜っぽい……」

 

初めて見る巨大生物に圧倒される小鈴だったが、

どうやらパタポンズ達も予想外の反応をしていた。

 

「うっわ でっかぁ〜ッ!?」

「おいおいおい なんぞ あれ……デカすぎね?」

「えぇ……あんなんしらん……こわ……」

 

それもそのはず。彼らの知るドドンガは、もっと小さいのだ。

精々…普通の人間より一回り大きいくらい…だろうか?

だが目の前に佇む怪物は、人間どころか香霖堂に匹敵する大きさ!

そりゃあビビるに決まっていた!だが恐れる事はない。

向こうから、頼もしすぎる二人が降りて来たからだ!

 

「小鈴ー!パタポンズー!待ってたぜー!!!」

「援軍だ!ちっこいヤツもいっぱい!可愛いね!!」

 

ドドンガを怯ませ、急いで小鈴に合流した魔理沙と慧ノ子。

あんなモンスターを相手に、二人だけで戦い抜いたのだ。

香霖堂を守りながら戦い、被害も少ない!中々出来る事ではない!

一体どれだけ心強い事か!小鈴とパタポンズは改めて理解した。

 

「お二人ともご無事で!私達も参戦しますよ!!」

「おう!張り切るのは良いが、無理はしないでくれよな、

アイツ……結構タフだぜ?一緒に協力して倒すぞ!」

 

一筋縄では行かない強敵!だがこちらにも英雄がいる!

はたポンが一歩前へ出ると、二人へ指示を出した!

 

「それでは まりさどの! と えーっと…」

 

「慧ノ子よ!えのこ!」

 

「えのこどの! おふたりは われわれの うえに!

こすずさまの うたと ともに たたかいましょうッ!」

 

自信に満ちたはたポンの指示に魔理沙達は、応!の一言で答えた!

上で構えてると、魔理沙は見慣れない二人に気付いた……

魔理沙は戦慄していた。霊夢ほど直感は鋭く無いが、

感覚で分かる。この二人のパタポンはかなりの強者だと。

そのパタポンは剣をドドンガに向け、言い放った!

 

「みよ!あのいまわしき ちからをまといし ドドンガをッ!!

アレを たおすのは けっして よういでは ないだろう」

 

後ろで弓を構えるもう一人の武士は、それに答えたッ!

 

「あいや!だが せっしゃたちが チカラを あわせれば……

たおせぬモノなど ありはせんよ!」

 

歴戦の猛者を思わせる発言、風貌、そしてオーラ!

魔理沙は見覚えがあった……それはパタポンの書の序章。

セカイの果てに辿り着いたパタポンに、彼らがいたはずだ!

この強者は、とても心強い援軍になったことを彼女は悟った!

 

あぁッ!だがしかしッ!見た目がちんちくりんなので、

カッコいい!よりも、かわいい!が勝ってしまうのだ!

 

「頼りにしてるぜ、ちっこい“ヒーロー”さん!」

 

魔理沙が二人の小さな武士達に声を掛ける。

すると二人はガッハッハ!と笑い、こう言ったのだった!

 

「あいや! “ヒーロー”は われわれ では ござらんよ!」

 

「しんの えいゆう とは おくれて くるものぞ!」

 

「あー?それって一体どういう……」

 

答えを聞く前に聞こえたのは、怒りに満ちた唸り声!

振り向くと、ドドンガが此方を睨みつけていた……

 

「みんな!奴さんこっちに気付いたよ!構えてッ!」

 

慧ノ子の一言で臨戦態勢を整えるパタポン軍と少女達。

戦闘が始まる直前、ドン・ゆみポンは小鈴に語りかけた……

 

「よいか こすずよ せっしゃたちは おぬしの タイコで うごく

しょうぶを あせらず ヤツの うごきを みきわめるのだ!」

 

「わかった!やってみる…!みんな怪我しないでね!」

 

小鈴はタイコを構えた……大丈夫。譜面は頭に入っている。

攻撃と防御のタイミングを見極める事が大事なのだ。

 

バン・たてポンは前に出ると、盾に自身の剣を叩きつけた。

カンカン!と自慢の盾から勇ましい音が鳴り響く……

そして森中に響き渡るは怒れるドドンガの雄叫び……

そして剣を高らかに掲げ!彼は叫んだ!

 

「よ〜しッ! いくぞ!しょうりを めざせ!!」

 

「「「「「「「おぉぉぉぉぉーッッッ!!!!!」」」」」」」

 

 

———————————————————————

 

 

3(トン) 2(チン) 1(カン) FIGHT!!(ハイッ!!)

 

 

 

PATA PATA PATA PON!

 

「しんぐんかいし! すすめ〜ッ!」

 

はたポンが小鈴のタイコを聞き、部隊に進軍の号令を出した。

たてポンが盾を出しながら後ろを守るように構え、

やりポンはその後ろで槍を投げれるように備える。

そしてゆみポンは一番後ろの列で狙いを定めていた。

はたポンと小鈴は部隊の中心でタイコで指示を出し、

その上を魔理沙と慧ノ子は一緒に飛んでいた。

 

そして向こうからはズッシズッシ、ノッシノッシと音が聞こえる。

巨獣がこちら目掛けて全速前進していたのだッ!

 

「こうげきじゅんび よーしッ!」

 

槍を構えたトンが叫ぶ。彼の目つきは鋭くなっていた。

攻撃可能な範囲に敵が来ると、パタポンの目つきは鋭くなる!

 

 

PON PON PATA PON!!

 

トンの報告を聞いた小鈴は早速攻撃を指示した!

 

ドン・ゆみポンとカン。二人のゆみポンはドドンガに矢を放ち、

カンも槍を投げ、バン・たてポンとトンも剣を振り下ろす!

 

 

トンチンカン三人の攻撃は全て命中するものの、まるで効いていない…

まだまだ火力が足りないのだ。武器もステータスも低すぎる……

 

だが……!

 

「せええぇいっ!」 「ふんッ!!」

 

二人の英雄の攻撃で、ドドンガが怯んだッ!

一撃と一射は、ドドンガに凄まじい衝撃を与えていたッ!

軽く剣を一振り、狙い定めた一矢

たったそれだけで、あの鋼の怪獣に傷をつけてみせた!!

 

「こすずよ! われらのチカラは こんなものでは ないぞ!」

「もっともっと タイコで せっしゃたちを もりあげるのだ〜ッ!」

 

「やるなぁ!こっちも行くぜ〜ッ!」

 

英雄の実力に感銘するのは、箒で空飛ぶ星の魔法使い!

魔理沙は上からキラキラと輝く星の弾幕を発射したッ!

普段より力が沸いてくるのは、間違いなくタイコの力のおかげだろう。

確かな手応えを感じた彼女は、更に勢いを上げたッ!

 

PON PON PATA PON?

 

「くうぅっ……ズレちゃったぁ…!」

 

最短でフィーバー状態になるには、リズム良く3回連続で

タイコを叩く必要があるのだが、小鈴は焦っていたッ!!

初めての実戦の相手がこのモンスターなのだ。

プレッシャーがかかる小鈴の額に、汗がたらりと流れた……

 

「こすずさま!こーげきが きますッ!!」

「えっ?あっ、うわぁっ!?」

 

よく見ると、ドドンガが上を向いて息を吸っていた…

炎ブレスの予備動作だ!守りの唄で備えなければ!

分かっていた。小鈴は分かっていたのだが……ッ!

 

CHAKA CHAKA PATA PON?

 

焦りがフィーバー状態になることを許さなかったのだ…!!

 

 

グオォォォォォッ!!!!

 

「うおっ!あちっ!あちち!あっち!!」

「ぐぅ…ッ まもりきれん…」

 

ドドンガの口から放たれるは火炎の嵐ッ!!

前衛のたてポン二人が盾を出してブレスを防ぎに向かった。

盾が炎を防ぎ止めるものの、トンとチンの二人に着火!

アチアチ言いながらあたふた暴れ回ってしまうのだった!

そして……無慈悲な灼熱は小鈴にまで届いてしまう……

 

「いやあぁっ!!あついぃッ!?」

「こすずさま! はたのかごが あります!

われわれは むきずです! きを しっかりもって!」

 

はたポンの言う通り、小鈴本人には着火はせず、傷一つなかった。

たてポンが生きている限り、彼が持つ宝具の旗によって

はたポン本人と小鈴に害は決して及ばない。絶対無敵だ。

だが、凶悪な熱波は未熟な彼女の戦意を削ぐのに十分過ぎたッ!!

こんな明確な殺意と敵意を向けられるのも、慣れていなかった……

俯く小鈴……やはり自分には無理な事だったのだろうか……

 

そう思っていた時、励ますように小鈴の両肩に手が置かれた。

 

彼女の肩を叩くのは、魔女と妖獣…二人とも笑顔だった。

小鈴の前に立った魔理沙は魔法陣で熱波を防ぐ!

そして慧ノ子はドドンガの口に向かって巨大なトラバサミを

思いっきりブン投げ、ドドンガの口を無理矢理閉じたのだッ!

 

「小鈴ッ!負けるなッ!!私達が付いてるんだぜ!!」

「私達がいくらでもカバーするからさ!もっと演奏聞かせてよッ!!」

 

エールを送る二人、そしてパタポン達は次の指示を待っていた。

まだまだ戦えるはず……!小鈴はタイコを再び叩いたッ!!

 

 

PON PON PATA PON!!!!!!

 

「よぉ〜しッ!! よくやったぞ こすずッ!!

ここからが ほんばんだッ! ゆくぞ みなのものッ!!」

 

「あしき きょじゅうを せめるぞッ!! つづけ〜ッ!!!」

 

「「「おぉぉぉぉぉ〜ッ!!!!!」」」

 

遂にフィーバー状態に到達したッ!!パタポン達が

勢いをガンガン上げてドドンガに攻め始めたのだッ!

 

たてポンはその剣でドドンガを斬りまくりッ!

やりポンは飛び跳ねながら急所に向け槍をぶん投げッ!!

ゆみポンは矢の雨を獲物に向けて降らしまくるッ!!!

 

一人一人では貧弱でも、チカラを合わせて唄で導けば、

どんな壁もブッ壊して進むッ!!コレがパタポンだッ!!

 

「良いな!この感じ!私達も行くぜーッ!!!」

「よっし!トラップの大判振る舞いだぁーッ!!」

 

魔理沙はドドンガの足元にレーザーを打ち込むと、

そこから熱を帯びた魔法陣が浮かび上がる……

危険を感じるドドンガだったが、逃げる事が出来なかったッ!

慧ノ子のトラバサミが足にしっかり食い付いていたからだッ!!

 

「一発デカいの決めちゃえ!魔理沙ぁーッ!!」

 

魔理沙がスペルカードを構える……そして宣言したッ!!

 

 

「星符「シュート・ザ・ビーストキング」ッ!!」

 

 

魔法陣から放たれたのは、無数の星の弾幕ッ!!

更にレーザーも放たれ、ドドンガの全てを巻き込んだッ!!

弾幕は一発も漏らさずドドンガに命中し、そして……

魔法の森に、凄まじい大爆発を起こした!!!

 

獣王を討つ光の奔流は、異世界の守護獣を飲み込んだのだッッッ!!!

 

 

「だから、いつも言ってるだろう?」

 

小鈴の目の前に降り立つ魔理沙。

彼女の髪をわしゃわしゃと撫でながら、笑顔で言い放ったッ!!

 

 

「弾幕はッ!パワーだよッッッ!!!!」

 

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