「
この名前を知ってる幻想郷の住人はかなり多いだろう。
白と黒の魔女服をオシャレに着飾る彼女は、
魔法の森に住む「普通の魔法使い」
人間どころか、妖怪すら寄り付かない瘴気とキノコの胞子に満ち溢れた危険地帯である「魔法の森」に住んでおり、
「霧雨魔法店」という何でも屋を開いてる。
普段は神社で巫女と駄弁っているか、
家で魔法の研究に明け暮れている。
人間でありながら魔法を使う変わり者。
幻想郷の異変解決の専門家の一人。
どうしようもないまでの蒐集家。
死ぬまで借りると言いながら物を盗む癖がある。
だけど一緒に話していると飽きないし楽しい。
怖いもの知らずでいつも飄々としているが、
芯はレーザービームの様に真っ直ぐ、
表に出さないだけで実は誰よりも研究熱心な努力家なのだ。
異変が起きれば西へ東へ、
月の裏から地獄の底まで飛んでいく。
行動も弾幕もパワフルなガール。
魔法の研究の為、
好奇心を満たす為、
親友で腐れ縁でライバルな巫女の隣で飛んでいたいが為、
今日も彼女は箒で空を飛ぶ。
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突然の救世主(?)の登場に、小鈴の目が輝く。
ピンチの時に現れる存在は、いつの時代であってもカッコいいものである。
小鈴の目に、魔理沙はヒーローとして視えていた。
「魔理沙さん!丁度良い時に来てくれたわ!!」
「おう小鈴!話は聞かせてもらったぜ、面白そうな本があるんだってな?どれどれー…」
「えーっと…あのー…魔理沙さん?あぁもう遅いか…」
阿求が何か言おうとしたが、それより早く事が進んでいく。
相変わらずの手の速さだ。もう既に実験に入ってしまった。
こうなったらもう好きにやらせてしまうのが一番だろう。
「へへへっ…チャチャっと開けて、じーっくり読ませてもらうぜ!見てろよーッ!」
小鈴から本を受け取った魔理沙!
手始めに鎖に触れて引っ張った…が、ビクともしなかった。
ペンチで物理的に壊そうと試みたが逆に刃が折れ、
キノコ由来の変な液体を軽く流してみても無反応。
低火力のレーザーを当てると、勢い良く店内に跳ね返った。
運良く本には着火せずに済んだ。
鈴奈庵は炎上しなかった
店内は火気厳禁よ…小鈴が怒りでわなわなと震え始めた。
怖いね。
余りにも強すぎる封印に加えてこの頑丈さ。
魔理沙はこの鎖は普通の封印ではない事を理解した。
目の前にあるのは未知の魔力で守られた古びた本…
中身は何なんだろうか…
やっぱり
それともまさかの白紙か?
知恵を求める彼女の好奇心は爆発寸前!
この憎たらしい鎖はアズベストみたく着火しなかったが、
魔理沙の闘争心には火を点けてしまったッ!!
「上等じゃねぇかコノヤロー!かくなる上はッ!」
魔理沙は外に飛び出し、本を台の上に置いて距離を置き、
陰陽図が描かれた八角系の道具を取り出して構えた!
この道具は「ミニ
魔力で火を起こす道具であり、魔理沙の武器でもある。
とある古道具屋店主が、かつて実家を飛び出した彼女の為に作ったマジックアイテムだ。
瘴気まみれの魔法の森に住む彼女には嬉しい空気清浄機能も付いた生活必需品。
これ無しの生活は考えられない。魔理沙の宝物だ。
「耐久テストと洒落込もうじゃないか!
簡単にブッ壊れてくれるんじゃねーぞ!!」
「弾幕はパワーだよ」と豪語する彼女は輝く星の魔法と高火力なレーザーの魔法を得意としている。
ミニ八卦炉と組み合わせる事で、その火力の幅はドカァン!と広がる。
具体的には、シチューをじっくりコトコト煮込める
構えた八卦炉に七色の光が集まっていく…
幻想郷トップクラスの火力技が今、
人里のド真ん中で放たれようとしていた!!
周りに人はいない…風力、風向き、その他諸々etc、
全て良好ッ!!
チラッと横目で見たら小鈴はすごい形相で睨んでいた!!
恐らく怒りが有頂天に達しているのだろう!!
だがお構い無しッ!!!!
お待たせしましたッ!さぁ刮目せよッ!!
これが!!これこそがッ!!
霧雨魔理沙の
「行くぜっ!!マスタァァァァ…!!!!」
「私の本を乱暴に扱うなああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「スパアアアァァァァァァァァァァ!?!?!??!」
轟音と共に放たれたのは七色のエネルギーの奔流!!
それは霧雨魔理沙の代表的なスペルカード、
みんな大好き 恋符「マスタースパーク」だ!!!
極太でカラフルなレーザーは、この幻想郷において最も派手で美しい弾幕の一つであり、この一撃に沈んだ妖怪は正に星の数ほどいる事だろう!!
……が、しかし、ちょっとしたアクシデントで、
その銃口は遥かお空の上に向けられた。
月まで届け、恋色マスタースパーク
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鈴奈庵の看板娘が怒りで炎上した
「ふしぃぃぃっ…がるるるる…!」
本を大事そうに抱き抱えた小鈴が魔理沙を威嚇している。
何故か獣耳と尻尾が生えてるようにも見える。
可愛いね。
魔理沙は正座させられ、頭の上にタンコブが出来ていた。
マスタースパークを撃った瞬間、小鈴の大声にビックリしてすっ転んで頭を打ったのだ。
正座している魔理沙の前に、肩を露出させた特徴的な紅白の巫女装束を着た少女が仁王立ちしていた。
彼女の良き友人でありライバル。そして幻想郷のバランサーが、鬼の形相で魔理沙を睨んでいた…
「なんか騒がしいと思って来てみれば……!
里のド真ん中でマスタースパークを撃つなんて!!
アンタ本当にバッカじゃないの!?」
「だってよう…何やっても壊れなかったんだぜ?
悔しいじゃあないか…折角の
それに出力はしっかり抑えてたから被害者は寧ろ私……
いだあぁぁいっ!!!」
言い訳するのが気に食わなかったのか、巫女が手に持ったお祓い棒を振るうと魔理沙の頭に直撃。
魔理沙の頭にタンコブが一つ増えた。無慈悲である。
「全く…しばらく反省してなさい!
阿求に小鈴ちゃんは大丈夫だった?怪我は無い?」
「うぅっ…霊夢さん…霊夢さぁぁん…」
「よしよし…まぁその…良かったわね?本も店も無事で」
「本当よ!買い出しに人里に来てたら見覚えのあるレーザーが見えたんだもん。多分今頃天界は大騒ぎよ……
あ、でもあの不良天人の事を考えるといい気味だわ」
阿求に撫でられ慰められる小鈴を見て、巫女は安堵した。
魔理沙は正座するのに飽きたのか立ち上がり、
服に付いた砂埃を叩いて紅白巫女に話しかけた。
「だけど霊夢、多分だがコイツは相当ヤバいぞ。
もしかしたらマスタースパークが当たった所で封印は解けなかったかもしれん。」
「あー?封印の事なら心配いらないわ。私の特技を知ってるでしょうに……この本の内容については…小鈴ちゃんの言う事はしっかり従うはずよ。多分ね。」
「勘か?」
「勘よ。」
この巫女…「博麗霊夢」はいつもそうだ。根拠も理由も無いのに、何故かいつも正しい選択をする。
いつだったか、とある胡散臭い妖怪がこう言ったのだ。
「博麗霊夢の言う事は全て正解よ。」と…
つまりは、そう言う事なのだろう。
「お前の勘はよく当たるからなぁ…」
「例え何かが出てきて大暴れしても、私が調伏するから安心なさい。魔理沙もここにいる事だし、大体の問題はどうにかなるでしょ。」
なんだかんだ言っても、この二人はお互いの事を理解し信用しているようである。
長い付き合いで、ライバルで、親友だからなのだろう。
「霊夢さん…一ついいですか?」
阿求は小鈴を撫でながら空いた手を挙げる。
大丈夫。言いたい事は分かってるわ。と霊夢。
「この本の封印を解けば良いんでしょ?
任せておいて。お安いご用よ。」
ちぇーっ。と魔理沙が悔しそうにしている。
目の前の反則巫女に、
自分の手柄を取られたのが気に食わなかったのだ。
まぁ、中身が読めるなら別にいっか!
と、魔理沙は気楽に考えるのであった。
そんな魔女に、小鈴は変わらず威嚇し続けていた。