この幻想郷の果てがあるならば!   作:OMG00

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7話 : 幻想郷へようこそ

 

幻想郷の事を一通り話した大魔法使いの魔理沙先生。

人を襲い喰らう妖怪の存在に怯えてた様子だったが、

人間から見れば、パタポン達の方がずっと

妖怪じみたへんちきりんな見た目である。

パタポンなら多分妖怪に襲われる事はないだろう。

幻想郷のルールに関しても、はたポン曰く

「かみさまの いうことは ぜったいです!」との事だ。

実に清々しい。これから小鈴に待ち受けるのは、

厳しい修行の日々だと確信した魔理沙達だった…

 

魔理沙が主に教えた事は、この幻想郷に生きる人外…

その生き方と人間の里の中でのルール。

幻想郷でたまに起こる「異変」について。

そして、この幻想郷での戦い方についてだ。

 

幻想郷の妖怪は人間の恐怖で生き永らえている。

なので妖怪は人里にいる人間は襲ってはいけない。

ただ、人間に紛れて人里にいる妖怪はいるし、

たまに正体を隠さず堂々出歩くヤツもいる。

出会っても、変に刺激しない事が一番なのだ。

だからと言って無視するのでは無く、

礼儀正しく紳士に接すれば、何も問題無い。

 

里にいる人間は襲ってはいけない…のだが、

里の外に出てしまった場合は話は変わるし、

何かしらの理由で神隠しにあってしまい、

幻想郷に流れ着いた外の人間も対象外ではある。

 

たまに妖精達が里に入りイタズラする事があるが…

見つかり次第、痛い目に遭うのはよくある事だ。

 

まぁ…パタポンは人を襲う事は無さそうだが……

パタポン族は雑食で、基本的な食事は人間と同じだ。

肉も野菜も美味しく食べるし、料理もすれば酒も飲む。

妖怪のような「精神が重要な生き物」ではなく、

人間と同じ、「肉体が重要な生き物」なのだ。

狩りが成功したその夜はいつも宴会をするとの事。

狩った獲物を神に捧げる宴を毎晩開くのだ。

 

そうだ。宴会といえば異変解決だ。

今開かれているこの小さな宴会も、

ある意味で異変解決の宴会なのだろう。

 

この幻想郷における「異変」と呼ばれるそれは、

妖怪や力を持つ存在が、理由や目的を持って

幻想郷に何らかの異常事態を引き起こす事を指す。

それは自身の存在のアピールの為であったり、

願いを叶える為に幻想郷の環境を変えたり、

下剋上や復讐の為、時には自然現象であったり……

理由は様々だが、そういう事が度々起こる世界なのだ。

 

そして異変解決に使われる戦いのルール……

それは、人間と人外がフェアに戦える「遊び」

それが、「命名決闘法」と呼ばれるものだ。

「スペルカードルール」、「弾幕ごっこ」とも呼ばれる。

 

「スペルカード」というただの紙切れに名前を付け、

お互いに何枚使用するか宣言する所から始まり、

自分の特技や能力を「弾幕」として放ち、

互いに魅せ合い、その美しさで勝敗を決める決闘だ。

 

「殺し合い」を「遊び」に変えるこのルールは

意味の無い攻撃、避けれない弾幕を張る事、

命を奪う事を禁止する事でスポーツのようになり、

ルールの範囲内でお互いに全力で勝負して、

擬似的な命を賭けた戦いになる事で刺激が生まれ、

幻想郷の中で凄まじい流行となっている。

 

異変の解決後は博麗神社で宴会をして、

異変の首謀者と共に酒を飲み明かす。

 

そう。つまりスペルカードルールとは、

異変解決時に種族や能力の差を無くす為、そして、

実力主義を否定する為に作られたルールなのだ。

 

霊夢と魔理沙は、異変解決のエキスパートだ。

霊夢は巫女としての仕事で異変解決に赴くが、

魔理沙はそれとは違う理由で異変に首を突っ込む。

知的好奇心、霊夢への自慢、成り行きなど色々である。

 

今回のパタポンの書に関する出来事も、

後一歩間違えれば大異変になっていたかもしれない…

あの悪意は弾幕ごっこが通じる相手では無さそうだが、

パタポン達もいずれ、弾幕勝負をするのだろうか…?

 

だが忘れてはいけない。大きな問題は解決したが、

また別の大きな問題が生まれたという事を。

 

「こすずさま よろしいでしょうか?」

「どうしたのメデン?」

「いや…その…じつはですね…すくないんですよ」

「少ない?一体何が…?」

「われわれ パタポンの なかまが なんにんか

みあたらないのです…それに ぶぐも なくなってて…

こすずさま こころあたりは ありますか?」

 

少ない?コレで?何十人のパタポンが只今絶賛

ドンチャカ騒いでて、コレでもまだ少ない?

思えば…本の中ではもっとワチャワチャしてたはずだ。

そう言われると確かに…納得が出来る小鈴だった。

しかし手掛かり……手掛かりなんて………

 

あった。魔理沙には心当たりがあったのだ。

幻想郷中にばら撒かれたパタポンのページ、

間違いなくそれが関係している。確信していた。

魔理沙はすぐさまそこにいる全員に説明した。

 

小鈴はいつの間にか阿求と宴会の中心にいた。

忙しいみたいだし。また後で話すとしよう。

 

「なんとッ…なんということでしょう…

みぎも ひだりも わからないセカイで

どれほど あるかも わからない ページを…」

 

飛び散ったあのページ。アレは図鑑のようなもので、

恐らくパタポンの情報が載ってたのだろう。

武具や別のパタポンもきっとそこに……

 

しかし困ってしまった。今現在戦えるパタポンは、

小鈴が召喚したトン・チン・カンの三人だけだ。

余りに少なすぎる…今は()()()手立ても無い…ッ!

霊夢達に手伝って貰おうにも、この広い幻想郷、

どうやって探せば良いのか検討も付かないのだ…

 

そんな時である。カラコロと足音が聞こえたのは。

 

「ふぉっふぉっふぉっ、お困りの様子じゃのう?」

「情報がお望みでしたら、我々が協力しましょう!」

「あー…面倒なヤツらのお出ましだわ……」

 

ウンザリ顔の霊夢の前に現れたのは二人の女性。

 

一人は、幻想郷では珍しい眼鏡を掛けた女性。

大きな葉っぱのような帽子を被っており、

茶髪のショートヘアには葉っぱの髪飾りを付けている。

特徴的な半袖の服、模様が入ったスカートを履き、

年寄りみたいな喋り方が何処か胡散臭い女性だ。

 

もう一人は紅葉色のスーツを着ており、

スーツと同じ色のキャスケット帽を被っている。

ショルダーバッグをぶら下げている黒髪の彼女は、

和服が多い幻想郷ではこれまた珍しい格好で、

その姿はまるでジャーナリストだった。

 

「ほーう?情報という事なら我々が適任だと

思いますがねぇ?どう思いますか?マミゾウさん?」

(あや)の言う通りじゃ!儂等の情報網であれば、

幻想郷の隅々まで調べるのは容易いじゃろうて。」

「おうおう、狙いは何だ?タダでやってろうって

わけじゃ無いんだろう?都合が良すぎる登場だぜ。」

「あのー…おしりあい でしょうか?」

「あぁ!失礼しました!私、こういう者でして…」

 

霊夢と魔理沙を押し退け、メデンに名刺を渡す彼女。

「社会派ルポライター あや」

紅葉の絵と共に、名刺にはそう書かれていた。

 

「情報を集め、記事にするお仕事をしていまして……

先程の会話から察するに、お探し物が幻想郷中に

散らばっているらしいじゃあないですか?

………ご協力、致しますよ?」

「じょうけんを おうかがい しましょう」

「あ、おいッ!?」

 

小鈴の了承も得ずに速攻で話を進めるメデンに、

ストップをかける魔理沙だが、メデンは言った。

 

「ひとりでも おおくの きょうりょくしゃが

ひつような ときなのですッ!

……たとえそれが ようかい あいてでも…ね?」

「ほう……?」

 

二人の女性の纏う雰囲気が変わった…ッ

コレは明らかに人間では出せないソレである!

二人は妖怪だ…それもかなり強力な類の……

しかしメデンは引くどころか一歩前へ進み、

目をスゥ…と細め、二人の妖怪へ言い放ったッ!!

 

「われわれには わかりますよ?()()()()でね?

コレでも いのちのやりとりは とくいですから……」

「ふぉっふぉっふぉっ…!どうやら此奴らは…

ただのちんちくりんじゃあ無いようじゃなぁ?

そうは思わんかね?()()のブン屋よ?」

「あややや…一本取られた気分ですよ…意外でした…

油断大敵ですねぇ?()()()()()()さん?」

「ふふふふふ…ビジネスのはなしを つづけましょうか…」

 

三人の人外少女(?)の威圧的で異様な空間に

思わず圧倒されてしまう霊夢と魔理沙……

メデンは戦えるパタポンでは無いらしいが……

どうやらパタポンの巫女は只者では無いらしい……

 

霊夢は思った。これまた面倒でヤバいのが増えたと…

魔理沙は思った。コレではお宝の交渉が難しいと…

ガクンッ!と肩を落とす二人なのだった……

 

そして……こんな重大なやり取りをしている中、

宴会の中心に連れて行かれた小鈴と阿求は、

パタポン達にしこたま酒を飲まされていたのだった……

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