英雄の子は凡才だった件について   作:runamoon

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第六話 アルテレン王国

ここ最近、国の動きがあまり良くない。

学校でもその話題でもちきりだ。

今、この人界にはひとつの国しかない。

名前はアルテレン王国。

1人の王と、5人の領主が取り仕切っている。

昔は、何個も国があったみたいだが、魔界との戦争でめちゃくちゃになってしまったため、ひとつに統治したらしい。

しかし、戦争の影響なのか、とてつもなく人族至上主義で魔族排斥派である。

純血の人族こそ至高であり、それ以外は論ずるに値しないといった風潮だ。

戦争の時に手を貸してくれた、エルフ族を魔族とみなし、国から追放してしまった。

亜人は、見つかり次第処刑されるか奴隷にされている。

相当狂ってると言えるだろう。

そんなこの国は現在魔界の動きが活発になってきたため、戦争の準備を始めている。

確かに、最近魔獣などを街の外れの森で見かけることも多くなった。

しかし、魔界が戦争を仕掛けてきたわけではない。

それなのに、国は今がチャンスと言わんばかりに、魔界に戦争を仕掛けようとしている。

一応、前の戦争の終戦時に平和条約なるものを結んだはずなのだが。

「難しい顔をしてどうしたんだい?」

考え事をしていると急に声をかけられた。

俺は声の主を見る。

誰…?

「自己紹介をしてなかったね。僕の名前は、マルス。よろしくね。」

声の主は、マルスと言うらしい。

どこかで聞いたことあるが思い出せない。

「俺の名前は…」

名前を言おうとしたが、マルスに止められた。

「あぁ、大丈夫だよ。ルナーク君だよね。」

「知ってたのか?」

「まあ、君は有名人だからね。」

マルスが爽やかに笑う。

「有名人?どういう事だ?」

「それは、主席のアリスさんとずっと一緒にいるからね。それに、彼女の婚約者となれば、みんなの注目の的だよ。」

アリス…。

まさか、学校の奴らにも言ってたのか…。

外堀から埋めてくる恐ろしい子…。

「婚約者ではないぞ。魔術の師匠ではあるが。」

「そうなのかい?でも、彼女は嬉しそうに語っていたよ?」

「この話はもうやめておこう…。それより、俺になんか用でもあったのか?」

これ以上アリスの話をすると頭が痛くなるので話題をすり替えた。

「君と一度話してみたかっただけだよ。そしたら、難しい顔をしてたから声をかけてみたのさ。」

「俺と話したかった?なぜ?」

「君は有名人だから。」

「なるほど…。」

有名人というところは納得できないが、話がループしそうなのでとりあえず受け入れることにした。

「ところで、なんでそんな難しい顔をしてたんだい?」

「今この学校でも持ちきりの話題について考えてたんだよ。」

「あー。最近、魔界の動きが活発みたいだからね。それは心配にもなるね。」

マルスは他の生徒と比べて落ち着いた。

「マルスは心配じゃないのか?」

「うん。この国には、強い人が沢山いるからね。国王直属の3騎士と、各領主様についている5人の魔術師。この人たちがいれば平和は維持されるよ。」

「そういえば、そんな話も聞いたことがあるな。」

この国には、戦争で活躍した3人の騎士と5人の魔術師がいるらしい。

親父は、それらを束ねた英雄なので数のカウントには含まれていない。

皆それぞれ、固有魔術や剣術の奥義などを持っており、1人で国を滅ぼすことができるレベルに強い。

しかし、国家機密なのか、名前や能力について全く明かされていない。

とにかく、謎が多い人たちだ。

「その人たちについて何か知っているのか?」

俺は興味本位でマルスに聞いてみる。

「うん。1人だけなら知ってるよ。」

「まじか?なんで知ってるんだ?国家機密級だろ?」

「1人は僕の父さんだからね。」

「え?」

マルスの言ったことが理解できない。

父さん?

「本気で言ってる?」

「本気だよ。」

「みんなはこのこと知ってるのか?」

「知らないよ。」

「じゃあ、なぜ俺に?」

「君は特別だからね。」

マルスは不敵な笑みを浮かべた。

「特別…?」

「人が多くなってきたからこの話はまた今度にしよう。」

そう言うと、マルスはどこかに行ってしまった。

俺は1人取り残され、呆然としていた。

情報量が多すぎて、キャパオーバーだ。

マルスは何か企んでいるのか?

それとも親切心で教えてくれたのか。

まあ、前者だろう。

これからは、マルスに注意しなきゃな…。

 

……………

授業が終わり、俺は帰宅していた。

ドアを開けると、アリスが椅子に座りながら紅茶を啜っている。

「おかえりなさいませ。」

アリスが俺に気付き、声を掛けてきた。

「あぁ、ただいま。今日は帰りが早かったんだな。」

「もう、大抵のことはやってしまったので、やる事がないのですわ。」

「まじか…。まだ、入学してから半年くらいしか経ってないぞ…。」

「もともと、学校に通うつもりはありませんでしたわ。学ぶ事がとくにありまけんもの。」

「じゃあなぜ入学したんだ?」

「それは、秘密です。」

アリスは少しバツが悪そうな顔をしている。

俺は不思議に思いつつも、聞くのをやめた。

他に問いたださなければいけない事があるからだ。

「アリス。お前、学校である事ない事言ってたりしないか?」

「してないですわ。」

アリスはキリッと済ました顔をしている。

「じゃあなんで、学校で俺はお前の婚約者になってるんだ?」

「事実を言って何が悪いんですか?」

「事実じゃねーだろ!」

「事実ですわ。それとも、私にあんな事をしといて、今さら無かったことにするんですの?」

「あんな事???何もしてないだろ!」

俺はアリスに断固として抗議する。

「しましたわよ。あれは、3ヶ月ほど前。私の恥ずかしい姿をルナさんが見たではないですか。」

「3ヶ月前…?あっ!あれは、お前が俺が風呂に入ってるのを知ってて乱入してきたんだろうが!」

「見たことに変わりありませんわ。」

「ノーカンだ!こんな事絶対に認めん!」

俺たちが言い争っていると、エマが帰ってきた。

「あんた達何言い争ってるのよ。」

「こいつが!」

「ルナさんが!!」

俺とアリスはエマに事情を説明した。

エマは最初難しい顔をしていたが、途中から呆れ顔に変わっていった。

「ルナ。あんた責任は取りなさいよ。」

「責任ってなんのだよ!?」

「ここまで、あなたに尽くしてくれてるんだから、それ相応の対応は取りなさいよってことよ。まさか、用が済んだらさよならってわけでもないんでしょ?」

「まあそうだけども…。」

エマに正論を言われ、少し落ち込んでしまう。

あのエマに諭されるとは…。

「それと、アリス。私さっきのこと聞いてないんだけど??」

「ひっ…!エマ、そのこれには深い訳があって!!」

エマはニコニコしているが、アリスの方は怯え切っている。

「訳があっても、約束破ったことには変わりないわよね。すこし、部屋でお話しましょうか。」

そういうと、エマはアリスを部屋へ連れていってしまった。

1人残された俺は、訳もわからず固まっていた。

あっ、アリスのせいで、マルスのことについて話すのを忘れていた。

…。

今は忙しそうだし、夕飯の時にでも話そう。

こうして、また1日を終えるのであった。

 




投稿が遅くなってしまいすいません。
これからも、ゆっくりなペースではありますが書いてまいりますのでよろしくお願いします。
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