転生狼のキヴォトス生活   作:ゆっくり妹紅

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エイプリルフール8日目+日勤夜勤日勤(要は月曜の朝8時から翌日の18時まで中抜けありの勤務)を繰り返した結果倒れかけたので最終回です。

ちなみにドレスサオリは魂の武器完凸までやれたので満足です(180回して3枚抜き)

追記:時系列的にはデカグラマトンの炎の剣までです。


エピローグ:転生狼は静かに過ごしたい

 ──悔いはない、と言ったら嘘になると思う。

 この世界に原作知識を持って転生したと気がついてから、少しでもいいから死ぬ人を減らそうと走り続けた。

 

 そのために色んな人に迷惑をかけてきた。

 この世界の家族には父さんだけには直前でバレたものの、何も言わずに家を出ていった。

分家の人たちには家を出るために訓練をつけてもらったり、俺専用の武器を作って貰ったりと色々してもらった。仕事先では、多くの仲間たちができてそいつらに訓練を付き合ってもらったり、バカ騒ぎしたりした。

 

 そして、愛していたアイツにはアイツの想いに気がついていながら知らんふりをして、「生きてくれ」という呪いを課した。

 

 そしてその果ては、助けたい人たちを逃がすために不治の病に身を侵した上に、無様にも地面に這いつくばっていた。

 ずっと使ってきていた剣は半ばで折られ、銃は弾切れした挙句破損。そして切り札である聖剣はこの場に出すことすら出来ないほど、俺の体力は消耗していた。

 

「1人で我ら相手によくやった、と言ってやろう」

 

 ついさっきまで殺しあっていた奴らの中の一人の声が聞こえる。結局、こいつの中に取りついてる悪霊をどうにかすることは出来ず、原作通りに進んでくれるのを祈るしか無くなった。

 その無力感に耐えきれず、思わず悪態を着いてやろうと思い口を開こうとしたが。

 

「……っ……っ」

 

「……返事すらできぬほど症状が進んだのか、または死にかけているのか分からんな」

 

 死にかけているせいか、口から出るのは声にもならない呻きのみ。それに対して奴は若干憐れみを含んだ声をかける。

 

「……せめてもの情けだ、今楽にしてやる」

 

 その言葉が耳に入った直後、俺の意識は──

 

 

 

 *****

 

 

 

 ──学園都市キヴォトスの生徒の性別は殆ど女子だ。

 彼女ら以外にも男性はいるが、そちらは人間ではなく犬や猫といった獣人がほとんど。

 

 だが、その例外が二人いる。

 

 その1人がキヴォトスの外から来た『先生』と呼ばれる成人の男性。

 彼は『連邦捜査部S.C.H.A.L.E』──通称シャーレという連邦生徒会長が作った組織の顧問として就任。

 これまでに、アビドス高等学校の借金問題及びカイザーグループの陰謀の打破、廃部の危機にあったミレニアムのゲーム開発部を無事に存続させ、そしてエデン条約ではアリウスと暗躍していた聖園ミカの確保、そしてエデン条約の乗っ取りを画策したアリウススクワッドを止めるだけではなく、条約を締結、それ以外にもキヴォトスの滅亡を阻止などという無視できない功績を残してきた。

 その上、生徒を第一に想い行動するというところもあって多くの生徒からも慕われている。

 

 そしてもう1人はトリニティ総合学園卒、現在はD.U.シラトリ区で『ペンギン急便キヴォトス店』を営んでいる、ヘイロー持ちの青年『真神コウキ』だ。

 在学時、彼は2年生の夏休み前までは自警団に所属しており、そしてそれ以降はスカウトという形で正義実現委員会に所属していた。

 と、これだけでは普通の来歴なのだが、細かく見ていくと中々濃密なものとなる。

 

 まず、彼が扱う武器の1つが色んな意味で有名なミレニアムサイエンススクールのエンジニア部協力の元作成されたものである。そして、その武器というのが近接武器な上に、かなり変わった特徴があるためそれを振るう彼の姿は多くの人物たちの記憶に残った。

 次点にその圧倒的な戦闘能力の高さだ。彼は1人でヴァルキューレで公開されている指名手配犯を捕まえており、その数は報酬金は4桁万円いくほどという噂が出るくらいだ。

 更に彼を語る上で欠かせないのは、とある七囚人の1人を捕まえた際、本来の装備ではなく軽装だったというのも彼の強さを引き立てている。

 

 そんなコウキは現在、運び屋という名の何でも屋を営んでおり、これまでの活躍などもあってそれなりに忙しい日々を過ごして──

 

「オ"ァ"ァ"ーッ!!」

 

 ──いるにはいるが、そんな彼の口から漏れ出たものは汚い悲鳴だった。

 

 コウキが汚い悲鳴をあげた理由、それは……

 

「コウキさん……あなたが悪いんですよ?あなたが色んな人を引っ掛けてくるから……」

 

「お、落ち着け!マウントポジションでロールケーキを俺の口にぶち込もうとするんじゃない!!」

 

 トリニティ総合学園のトップであるティーパーティーに所属している、桐藤ナギサにマウントポジションを取られ、なんか嫌な予感がするロールケーキをぶち込まれそうになっているからだ。

 しかもこの状況の何がおかしいのか、というと並外れた怪力をもつミカ相手に力勝負で良い線をいくコウキがナギサ相手に力負けしているからだ。

 ちなみにナギサの目のハイライトは出張している。

 

(な、なんでこんなことに!?い、いや原因究明は後回しだ!今はこの状況を何とかしないとマズイ!)

 

 コウキはロールケーキを押し込まれないように、更に力を込めてナギサの腕を押し返そうと奮闘する。

 

「ふふっ……そんなに私の腕をギュッと握っても何も出ませんよ?」

 

(だ、ダメだ!時間稼ぎすら出来てねえ!!でも諦めてたまるか!)

 

 あまりの力の差にコウキは一瞬絶望するも、すぐに思考を切り替える。

 力でダメなら知恵だ。彼とてこれまでの人生をただ無作為に生きてきた訳では無い。学べるものは学び、身につくまで繰り返し反復した。

 そして、彼はこの状況を打開する一手を──!

 

「ミカー!セイアー!助けてくれー!」

 

「…………………………」

 

「ちょっ!なんでさらに力を篭めるんだ!?」

 

 打てないどころか、寧ろ最悪とも言える一手を打ってしまった。

 自分だけではこの状況を打破できないため、他人に助けを求めるという思考自体は別に悪くは無い。だが、ナギサがこんなことをしている理由を察することが出来るほど女心を理解していれば、『別の女の名前を出す』なんていう悪手を取ることはなかった。

 

「ふふふふ……やはりそのお口を黙らせないとダメですね……」

 

「何物騒なこと言ってんだ!?」

 

 更に力が強まり、ロールケーキがコウキの口の中へ徐々に近づいていく。このままロールケーキを無理やりぶち込まれたらろくな目に合わない、ということを彼の生存本能が警鐘を鳴らしている。

 だからこそ、思わず出た言葉は当たり前のものだった。

 

「な、何でも言うこと聞くからやめてくれ!頼むから!!」

 

「何でも……?キャッ!」

 

 それは正に最善の一手だった。

 コウキの発言を聞いたナギサはピタッ止まり、先程までの山を押すかのような感覚が止まった。その瞬間、コウキはすぐに体を起こして左手でナギサからロールケーキを奪うと、今度は逆に彼が覆い被さるように彼女の両手首を右手で手に取り地面に押さえつける。

 

「はぁ……全くいつからこんなお転婆になっちまったのやら……」

 

 一瞬でナギサを制圧したコウキは疲れを吐き出すように息を吐く。こういうお転婆な役目は彼女の幼馴染みである聖園ミカの方なのに、まさか大人しい方のナギサがこんなことをするなんて全く予想できない……

 

(いや、思い返してみればミカの口にロールケーキぶち込んだり、*1早合点してやらかしかけたりしてるから、適正自体はあるな……)

 

 冷静に考え直してみたら心当たりがありすぎて、寧ろミカより酷いのではないかとコウキが考え始めようとしたところで、ナギサの反応が全くないことに気がつき真下にいるはずの彼女に視線を向けると。

 

「あ、こ、コウキさ……今は顔を見ないでください……」

 

 耳たぶまで顔を真っ赤にして恥ずかしそうにし、なるべく顔を見られないように顔を横に向けているナギサの姿。

 本来であれば手で顔を隠したいのだろうか、その両手は今コウキによって塞がれている。だからこそ、顔を横に向けて必死に抵抗しているものの、逆にそれがコウキの悪戯心を刺激してしまったが、それより聞くべきことがあるため、今はその心を抑える。

 

「なあ、ナギサ。何でこんなことしたんだ?なんかお前らしくないというかさ……」

 

「そ、それは……」

 

 コウキの当たり前の質問に対しナギサは言葉を詰まらせるも、コウキがジッと見つけ続けることで観念したのかボソボソと話し始めた。

 

「この前、たまたまコウキさんを見かけた時、知らない女性の方と仲良さそうに話してて、それが何か嫌で勢いでやってしまった、というか……」

 

 ──何だこの可愛い生き物。

 ナギサの独白を聞いたコウキは場違いながらもそんなことを思った。顔を赤くして、恥ずかしそうに小声で話すナギサの姿はレアであり、そして彼女の普段の姿や苦悩を知っているコウキからすれば、正に意外な一面とも言える。

 そして、それが彼の悪戯心を動かした。

 

「へ~?ナギサは俺が取られちゃう、って思って俺を押し倒してきたのか~」

 

「い、いやあれは……!冷静ではなかったと言いますか、その勢いというか……」

 

「へぇ、ナギサは勢いでやっちゃうあんなことをしちゃう子なんだね?」

 

「うぅ……!」

 

(やっべ、なんか受け身のナギサがここまで可愛いなんて思わんかった……もうちょいイジってもバチは当たらないよな?)

 

 コウキは自分がとんでもない目にあったのを忘れ、欲望のままナギサをさらにからかおうとして──

 

「やっほー☆ナギちゃん、コウキが遊びに来てるって聞いたから遊びに来た……よ……」

 

「どうしたんだミカ。入口で固まっては私が入れない……じゃ……」

 

 バン!とドアを開けて入ってきたミカとセイアが目の前の光景を見て固まり、そしてそれを見られたコウキも固まった。

 ──改めてコウキとナギサの体勢を説明しよう。

 今、ナギサはコウキに押し倒された挙句、両手を押さえつけられている状態だ。そして、ナギサは顔を真っ赤にして目は少し潤んでいるものの何処か嬉しそうだ。

 

 これを第三者が見た場合出る結論は──

 

「あー、その……なんかごめんね?」

 

「……せめて時と場所は考えた方がいいと私は思う。だが今回は特別だ。私の方でしばらくこの部屋に来ないよう人払いは済ませておくよ。では、お邪魔したな」

 

「待ってくれ!誤解なんだ!!説明させてくれ!!」

 

 トリニティのとある一室で1人の青年の叫びが木霊するのだった。

 

 

 

 ****

 

 

 ~後日談~

 

 

「そういえばこの前ミカが言ってたんだけど、ナギサを押し倒したんだって?」

 

「ちょ!?先生、誤解しか招きかねない事を言わないで貰えますかね!?」

 

「え、そうなの?」

 

「いや、押し倒したのは事実ですけどあれは正当防衛ですよ。直前まではこっちがマウントポジション取られて、ロールケーキぶち込まれそうになったんですから……」

 

「ナギサがそこまでするってことは、コウキがなんかやらかしたんじゃないの?」

 

「なんで俺がやらかす前提なんですか。まあ、理由はこの前サオリと出かけてたところを見られて、なんか寂しくなってしまった的な感じっぽいですけど」

 

「……なるほどね(この前サオリが少し嬉しそうだったのはそういう事だったんだね)」

 

「まあ、これからはナギサの方にも適度に顔を出したり、一緒に出かけたりすることで話はまとまりましたよ。いやー、それにしてもまさか睡眠薬入りのロールケーキを食わされそうになるなんて、人生何が起こるかわかったもんじゃないですね~」

 

「そのロールケーキを食べさせられそうになったのに関わらず、あっさり許してるコウキも大概だとは思うけど?」

 

「確かに聞いた時はちょっと怒りましたけど、実害は出てないですからね。あっ、先生すみません。この後用事あるので俺はもう上がりますね。とりあえず急ぎの書類は終わってますので」

 

「ありがとう。コウキのお陰で徹夜する回数減ってるから助かるよ……ところで、用事って?」

 

「ああ、サオリが俺の家に来るんですよ。この前のお礼でご飯を作ってくれるとか」

 

「え」

 

「普段は自炊が多めですけど、自分の家で誰かが作った物を食べれるなんて久しぶりで楽しみなんすよね。あ、勿論ケガしないように近くで見守るので、そこはご心配なく。それじゃ、お疲れ様でした!」

 

「…………いつか背中刺されそうで怖いなぁ」

 

 後日、コウキはご乱心のナギサにまた押し倒された。

 クロノスにサオリ(幸いにも顔は隠れていた)を家に招いたところをすっぱ抜かれたのを記事にされ、その内容がキヴォトス全土にばら撒かれたのだ。

 

 彼の平穏は少なくとも暫くは訪れないようである。

*1
ゲーム内イベント「Serenade Promenade」、通称アイドルイベント参照




ウチの子をさらに使っていくスタイルです。

名前の由来:狼型の生徒→狼の神様ってなんかいたっけ?→真神は日本の狼の古来の呼び名や異名→苗字は真神やな!
下の名前→元の方では「ルーク」って名前。→ルークは光の意味がある→光→ヒカリ→シュポガキのヒカリと被るからそれ以外→光輝→コウキ
って感じでくっそテキトーです。

真神コウキ:本作の主人公にして、『転生狼のテラ生活』の主人公。あちらの本編とは違い、とある転生特典と思しき剣をもっており、それを使って原作死亡キャラを救おうと奮闘し死亡……したと思ったら若返ってキヴォトスに転生。前世の戦闘経験のおかげでキヴォトス内でもトップクラスの戦闘能力持ち。
ストーリーにはなんやかんや巻き込まれており、イベントの方も全部では無いがある程度巻き込まれている。だから彼は静かに過ごせません(ネタバレ)
武器に関しては、普段は刀(刃先は樹脂製で殺傷能力控えめ) クリスヴェクターと、FN-Five seven、トンプソンコンテンダーアンコール(狙撃弾のみ)。
ガチの時はルドウイークの聖剣(刃先は樹脂製で殺傷能力控えめ)、MP5K PDW、FN-Five seven、トンプソンコンテンダーアンコール(狙撃弾入りと散弾入りそれぞれ一丁ずつ)というてんこ盛り。
スキル系統は後日出せたらなと。
なお、色んな人にフラグをたてている模様。

桐藤ナギサ:トリニティ総合学園の生徒会的な位置にあるティーパーティーのホスト(要はトップ)の1人……が、ゲームでは事情があったとはいえ脳みそを破壊されたり、幼馴染に振り回されたりとお労しい面もある。
本作の方では、過去にオリ主くんに助けられたのをきっかけに交流が始まり、数少ない信頼できる人物にして想いを寄せているのだが、偶然サオリとデートしているところを見てしまい脳みそ破壊。自分のものにするため、彼を呼び出して睡眠薬入りロールケーキを食べさせて「部屋に仕舞おう」としたが失敗。そして反省したところに死体蹴りと言わんばかりに、自宅にサオリを連れ込んでいる写真を見てまた脳みそを破壊された。可哀想。

先生:男先生。イメージ的にはアニメ先生。無論、色んな生徒から好かれているのは変わらずだが、オリ主くんのお陰で少し「だけ」狙ってる人は減った。オリ主くんが転生者であることを知ってる唯一の人物でもあるため、距離はかなり近め。

錠前サオリ:メインヒロイン候補の錠前サオリだ、よろしく頼む……というのは置いといて、無意識に多方向の脳みそを破壊している無自覚テロリスト。コウキとはエデン条約編やその後のアルバイト生活で長く関わっていくうちに、気軽に彼の家にお邪魔できるような感じに。因みに今回作ったのは肉じゃが。コウキからは合格を貰えたのでホッとしてる。
──私が彼に抱いている想いが『恋』なのかは分からないが、この暖かい物は大事にしたい。

何やってんだミカァ!:ゲーム同様先生LOVE。ナギちゃんの恋は応援してる。──ナギちゃんもだけど、コウキくんもヘタレじゃんね(辛辣)

周年でCVが着いたセクシーフォックス:まあ、TPOを弁えてくれれば言うことは無いよ。尤も、ナギサと彼が付き合ったらとんでもないことになりそうな気もするが。

*続きません。本当はエイプリルフールに投稿する予定のやつだったので(白目)
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