転生狼のキヴォトス生活   作:ゆっくり妹紅

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エイプリルフール20日+シュポガキ限定実装という絶望を送られたため最終回です。




最終回・改:転生狼とわっぴーなシスター

 

 コウキさんと初めて会った時のことはよく覚えています。

 

 入学式を終え、大聖堂へ向かおうとしている時迷ってしまった私に声をかけて案内してくれたのがコウキさんでした。

 

「ん?そこの嬢ちゃん、地図片手に固まってどうした?」

 

「えっと、すみません。大聖堂の場所が分からなくて……」

 

「あそこか……俺もあっちに用事あるし案内するよ」

 

「え、よろしいのですか?」

 

「ああ、気にしないでくれ。ついでだしな」

 

 そして大聖堂まで私を案内した後、「お礼をさせてください」と言った私を置いて足早に去ってしまったコウキさんを見つけるために先輩方や同級生の方にお話を聞かせて頂きました。

 

 結果としてその一週間後にやっと会うことが出来ました。

 

 

「見つけましたよ、『トリニティの狼騎士』真神コウキさん」

 

「アンタはあの時の……」

 

「少しお時間よろしいでしょうか。お話したいことが有りますので」

 

「……ああ、分かった」

 

 それからはモモトークのIDを交換して、私から何度かご相談に乗ってもらったりしました。……そういえば途中から雰囲気が柔らかくなったような気がします。

 それからは、私のことをからかって来たと思ったら、相談事には真剣に乗ってくれますし、自警団に所属していた頃はそれなりの頻度でお会いしていました。

 だからでしょうか、コウキさんのことは他の人より特別な存在へと変わっていました。

 

「うふふ、コウキさん。今日もこうして2人だけで会えて──」

 

「笑顔が怪しいし、言い方が誤解を招きかねない。マイナス20点な」

 

「ええ!?私の笑顔ってそんなに怪しそうなんですか!?」

 

「俺が悪巧みしてる時のレベルで怪しい」

 

「そんな……かなり怪しいじゃないですか……」

 

「言った俺が悪いのは分かるんだけど、ちょっとショックなんだが」

 

 いつまでもそんな時間が続けばいいな、と思ってましたがコウキさんが3年生の時、彼が正義実現委員会に入ったことで立場的に諦めざるおえなかった。

 

「コウキさん、正義実現委員会に入られたのですね……」

 

「あー、向こうの委員長さんのアプローチが凄くてなぁ……ま、弾が支給されるってのとある程度の自由を認めてくれたから入った感じだな」

 

「そうだったのですね……」

 

「まあ、前ほど頻繁に会うのは難しいかもしれないけどよ、何かあったらいつでも言ってくれよな。お前のことだから誤解されまくるだろうし」

 

「そ、そんなことは……分かりましたからその細目やめて下さいって!」

 

 そんな会話があってから、本当に困った時しか会わないようにしていたため、コウキさんに会った回数は片手で数える程しかなく、諦めると思っていたところで迎えた卒業式。その日に私は彼に呼び出されました。

 

「よ、久しぶりだなサクラコ」

 

「コウキさん……卒業おめでとうございます」

 

「ありがとな。さて、俺が呼び出した理由だけど……これ、受け取ってくれ」

 

「これは……?」

 

「シラトリ区で事務所構えて自営業を始めることにしたんだ。メインは配送とかだけど、基本何でも請け負うつもりだから何かあったらいつでも来てくれ。それこそ、ただ駄べりたかったり、遊びに来てもいいからさ」

 

「……敵いませんね、あなたには」

 

 そしてそれから私は時間を作ってはなるべくコウキさんの事務所へ向かうようになりました。もう少しだけ、今の関係を大事にしようと思っていたのですが、とんでもない情報を手に入れてしまいました。

 

 ど、どうしましょう……でも、内容が内容なので身内には相談しにくいですし……あっ、ハナコさんならいい解決案出してくれるでしょうか。

 そうとなれば、モモトークでお時間を聞かないといけませんね。あとは上手く行けばいいのですが……

 

 

 ****

 

 

 実を言うとコウキは在学時、シスターフッドに対して「胡散臭い」という印象を持っていた。何故なら所属している全員がシスター服を着ているし、これまでの経験上そもそも宗教系に対してあまり良い印象を持ってなかったからだ。

 だが、交流があった1人の一つ下の後輩のお陰でその印象は無くなっていた。それが──

 

「コウキさん、お久しぶりです。私たちが2人だけで話せる時間と場所を作って頂き、ありがとう──」

 

「長い。マイナス114億点」

 

「なんでですか!?」

 

「普通に、家に入れてくれてありがとう、で済ませればええ話やろ」

 

 いきなりとんでもない減点を食らった、同じソファーの隣に座っているシスターフッドのトップである歌住サクラコであった。

 

 2人の馴れ初めはそんな特別なことではなく、当時新入生でありながら迷子になってしまったサクラコをコウキが案内し、そこからお礼としてご飯を食べに行ったり、彼女の相談に乗ったりしていた、と目立ったものは無い。至って普通に交流してきたのだが、だからこそコウキはサクラコのとあることに気がついた。

 

 それは──

 

「なーんでそんな小難しく言うんかね?だから怖い人って怖がられるんだぞ」

 

「そんな……私としては簡潔に言ったはずなのに……」

 

「あれでかぁ……」

 

 サクラコの勘違いされやすい言い回しや態度である。

 コウキも交流し始めた当初は彼女の言い回しから色々警戒していた。しかし、1ヶ月過ぎたあたりで「あっ、勘違いされやすいだけの子だわ」と気が付き、それから暫くはやんわりと諭して直そうとしたのだが、結果はご覧の通りである。

 

(サクラコ自身はトリニティ……いやキヴォトス全体で見ても珍しいぐらい温厚な子なんだけな……この前の学園祭で多少印象は良くなったけど、まだまだ誤解されてるからほっとけないんだよなぁ)

 

 2年以上かけて治らないサクラコの勘違いされ癖に呆れながらも、コウキが放り投げない理由はこれであった。本当は優しくて、人のことをしっかり考えられているのに、マイナス方面に誤解されているのは報われなさすぎる。

 だからこそ、コウキは時間を作ってはこうしてサクラコに会うようにしているのだ。心優しい彼女の負担が少しでも減ってくれれば、と。

 

「あっ、そういえば……コウキさん、ナギサ様を押し倒した、というのは本当のことですか?」

 

「流行というか、話の仕入れが遅い。マイナス514億点」

 

「えぇ!?」

 

「ちなみにその話、2週間ぐらい前の話だからな」

 

「そうだったのですか!?」

 

 それはそれとして、いつも通りのサクラコ節にコウキはため息を吐き──

 

「そ、そんなことより!押し倒したのは本当なのですか!?」

 

「何時になく食らいつくやん」

 

 普段であれば悩ましげな表情を浮かべ別の話題に行くのだが、今日に限って食らいついてくるサクラコにコウキは内心驚く。もしこれがゲヘナの行政官だったり、ご乱心したティーパーティーのホストだったらまだ納得出来る。だが、サクラコがこの話題にまだ食いついてくるのは正直予想外であった。

 とは言え──

 

「そりゃあ事実であるけど、結果的にそうなっちまっただけで他意はないぞ」

 

「で、でも押し倒したのは事実なんですよね?」

 

「まあ、結果だけ見たらそうなるが」

 

「むぅ……」

 

 何処か不満気なサクラコにコウキは内心どうしたものか、と考える。正直何故不満気なのか全く分からないのだ。機嫌を治してもらおうにもその理由が分からなければ対処のしようがない。

 

 ──全く、■■■は本当に女心が分かってないねぇ。

 

「っ」

 

「コウキさん?」

 

「……いや、なんでもないから気にしないでくれ」

 

 懐かしい記憶が蘇り、思わず声を漏らしてしまった普段とは違う様子のコウキにサクラコは心配そうに声をかける。コウキは年下に気を遣わせてしまったことを恥じつつ、サクラコへ質問を投げる。

 

「それにしても、サクラコがこんなことを気にするなんて思ってなかったな。なんだ、お前もそういうゴシップ系というか、男女のゴタゴタが気になってきたのか?」

 

 コウキにとっては、からかい半分も兼ねた軽い気持ちで聞いたものだった。サクラコのことだから、顔を真っ赤にしてしどろもどろに何か言ってきて、またそれをからかっていつもの感じになるだろう、と。

 

「……………」

 

「?どうした、サクラコ?」

 

 しかし、コウキの予想に反してサクラコはスン、といった効果音が着いてもおかしくないくらい無表情になる。これには流石のコウキも違和感に気が付き、声をかける。

 

「……」

 

「………」

 

「……コウキさん、少しだけ私の指示を聞いてください」

 

「ん?聞くだけでええのか?」

 

「……訂正します。私の指示通りに動いてください」

 

「確認だけど、変なことさせないよな?リードつけてお散歩とか……」

 

「しませんよ!え、私そんなことをさせるような人間だと思われてるのですか!?」

 

「いや、からかっただけ」

 

「……っ!……っ!」

 

「悪かったらポコポコ殴るのは辞めてくれ」

 

 からかわれた事で、真剣な表情から顔を真っ赤にした挙句涙目でコウキの胸を叩く。だが、振り下ろされるその拳は全く力が入ってなく、あくまで抗議として出している形だけのもの。それがサクラコの性格を表しており、コウキは殴られつつも内心ホッコリする。もし、これが 過激な人だったら鉛玉をぶち込まれていただろう。

 

「どうしてあなたという人は……!」

 

「ごめんごめん、今度はちゃんとお前の指示通りにするからさ。ほら、遠慮なく言ってくれ」

 

「……信じますからね?」

 

 プンスコ怒っているサクラコを宥めながら、コウキは「どうぞ」と言わんばかりにリラックスした体制をとる。

 サクラコはまたコウキがからかってこないか、警戒しながら声を出す。

 

「その……抱いてください!」

 

「誤解を招く発言、赤点補習な」

 

「なんでぇ!?ハナコさんの言う通りに言ったのに!」

 

「お前、相談する相手間違えてると思うよ」

 

 頬を赤く染めながらも意を決したようにサクラコが言った指示は、真顔になったコウキによって一刀両断されたのだった。

 

 

 

 ****

 

 

 ~後日談~

 

 

「……って、ことがあったんだよ。全く、サクラコの誤解を招く発言をする癖はどうにか……って、ナギサ大丈夫か?」

 

「え、ええ。だ、大丈夫ですよ」

 

「本当に大丈夫か?めちゃくち震えてるせいで、カップから紅茶でそうだけど」

 

「だ、大丈夫です。と、ところで結局サクラコさんのことは抱いたのですか?」

 

「言い方には気をつけような?まあ、結果としてハグはしたよ」

 

「…………」(ガタガタ)

 

「……一応聞くけど、大丈夫か?」

 

「だ、だだだだ大丈夫です。も、問題ないです」

 

「……ふむ、ナギサ。ちょっとこっち来てくれ」

 

「?なんでしょうか……きゃっ」(ポスン)

 

「野郎の硬い膝で悪いが、少し寝とけ」

 

(こ、ここここれは膝枕というものでは!?)

 

「ほら、目を閉じて……」(頭ナデナデ)

 

(あ、これは……最近忙しかったのもあってすぐ眠気が……)

 

「ナギサはよく頑張ってるよ。偉い偉い」

 

(凄い良いのですが……)

 

「その……なんか手馴れてますね……」

 

「ああ、弟子みたいな子が鍛錬を終えたあとにこうして寝ることがあるからな」

 

「………は?」

 

「百鬼夜行連合の子でな。忍者を目指してるらしいんだけど、俺の動きが忍者っぽい!ってことで弟子入りされちゃってな……まあ、そんな訳で少し慣れた感じだ……ナギサ?どうした急に起き……おい待て。俺の肩を掴んでいた押し倒そうとすんな!ちょ、待っ……!」

 

 コウキは目が据わったナギサに押し倒されかけたが、寸前でナギサの耳にたまたま唇が当たったおかげで難を逃れ、彼女を寝させることに成功した。

 幸い、ナギサがその時の記憶がなかったため九死に一生を得たが、耳をたまにさわさわ触る彼女を見る度に冷や汗をかくことになるのだった。




新イベントのアニメCMでクロノスのヘリ爆発してて笑いました。


キャラ紹介

コウキ:クソボケ。サクラコへの評価は結構高め。やっぱり戦車を盗む事情普通の生徒や、早合点しておっぱじめようとするティーパーティ、銀行強盗が趣味のオオカミ達と比べればオアシス。正直一緒に過ごす上ではトップクラスで疲れない相手。その反対?何処ぞの横乳かな……(遠い目)

サクラコ:推しキャラ。コウキとは1年生の頃からの付き合いのため、かなり気を許せる相手。立場上あまり人前で親しくするのは良くない、と考えているため今回のように過ごすのはいつも2人っきりの時だけ。色々危機感を抱き、ハナコの助言の元、大胆に行った。
なお、ハグにハマった模様。

ナギサ:またナギサ様の脳みそが破壊されておりますぞ!いったい誰がこんな酷いことを……。結果として耳はむと吐息(事故)を貰ったためプラマイゼロ。記憶にはないが、なんかいい事をしてもらった気はするらしい。

サオリ:オチ担当ではなかった錠前サオリだ、よろしく頼む。コウキには1度だか膝枕をさせてもらったことがある。お世辞にも柔らかい、とは言えないがとても寝心地が良かった。贅沢を言っているのは分かるが、機会があればまたしてもらいたい、とは思っている。

イズナ:今回のオチ担当。コウキが忍者っぽいムーブしていたのを何度も見たため、師匠呼び。そんな師匠が別の女子生徒と仲良くしてるのを見たり聞いたりするのは、モヤモヤする模様。ちなみに膝枕はよく眠れる模様。

先生:膝枕?してもらった事あるよ。え?どういう経緯で?……ノーコメントで(過労で倒れかけた時にされたなんて色んな意味で言えない……)
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