シロップ村へと続く坂道で、私たちと執事が相対する。執事はこの状況に憤りを感じている、自分の計画が何処の馬の骨ともわからない相手に邪魔されたから。ずれていたメガネを直し、口を開く。
「オイ! ジャンゴ! まさかこんな奴らにやられたわけじゃねぇだろうな!?」
「お言葉だがよぉ……、キャプテン・クロ! そこの餓鬼共……とんでもねぇ強さだ! 特に黄色髪のヤツ、あいつに大半やられた! あんたじゃなきゃ勝てねぇよ!」
ジャンゴと呼ばれた男は必死に言い訳をする。その際私を指差し脅威だと言う。そんな態度にクロと呼ばれた執事は舌打ちをし怒鳴り声をあげる。
「……っち、クロネコ海賊団も軟弱になりやがったなっ! たった3人の餓鬼相手に全滅なんざ笑えねぇ!」
隠れて狙撃していたウソップには気付いていないようだ。チラリとウソップがいる方を見ると怒りで体が震えていた。すぐにでも食ってかかりそうなほど憤りを感じているようだが、無理もない故郷を襲おうとした相手だし。
視線をクロに戻すと男は消えていた、そして背中を切られた感覚が私を襲う。振り向くとクロが驚愕の表情をし手を抑えていた。あの一瞬で背後に回ったようだが、人間が出せる速度じゃない。
「なんだテメェ、その硬さは。まさか悪魔の実の能力者か?」
「違うわよ。まったくこの世界に来てから驚くことばかりね」
ため息をつき、ジャラと鎖を引っ張りクロに錨を振り回す。横から迫る錨をしゃがんで回避し、私へと突っ込んでくる。錨を振り回すモーションで固まった私の顔目掛け爪のように着けた剣で切り裂こうとするが、横から文字通り拳が伸びてきて、クロの顔面を捉え横によろめく。横を見ればルフィの腕が伸びて殴ったみたい、ゴム人間とは聞いてたけど驚くわ。クロはすぐ体勢を直し、距離を取った。
「余計なお世話だったか?」
「ナイス援護だよ、ちょっと怖かったし」
距離が離れたので錨を引き戻すとゆらりと揺れクロはまた消えた。そしてまた背中に引っ掻かれた感覚がくる。大した損傷もないしここは見に徹することにした。目を瞑りレーダーの反応に集中する、この世界に来て1日経ちレーダーに人も映ることに気付いた。レーダー上ではクロの動きがわかる。一瞬止まってから衝撃が来る。攻撃を受けながらチャンスを待つ。何回か攻撃を受け、クロが背後で一瞬止まる。ここだと感じ、後ろに向け回し蹴りを繰り出す。
クロはまさか反撃が来るとは思っておらず、左爪の剣を砕き左脇腹に蹴りがめり込み、振り切ると壁に吹っ飛び土煙を上げる。蹴り飛ばした私を見てルフィとゾロはおおーと声をあげると同時に隠れていたウソップが出てくる。壁にヒビを立て倒れたクロを見て
「やったのか?」
「手応えはあったんだけどね、これで起き上がったら私はこの世界に対する認識を改めなきゃいけないわね」
「お前、ホントなんなんだ?」
「そんなのこっちが聞きたいわよ」
幾度か目のため息をこぼす。ゆらゆらとクロが立ちあがり始める、常人ならタダでは済まないはずだがこの世界の住人は頑丈らしい。起き上がったクロは怒りに満ちた顔で私を見てくる、その時この場にいるはずのない声が聞こえてきた。
「ウソップさん! クラハドール!」
「カヤ!? なんでここに!?」
「キャプテン、ごめん! 俺たち、話聞いちゃってせめてカヤさんには伝えなきゃって……」
どうやらあの時の会話を聞いてウソップの子分たちが行動したようだ。というか居たのね子分、気づかなかった。クロはよろめきながら立ち上がり、メガネを直す。
「……っち、どうしてこうも計画が狂う! 長い年月をかけ完璧だった筈だ! どこの馬の骨ともわからねぇ奴らに計画を潰されてたまるか!」
かなり頭に来ているみたいだ、お嬢様を前にして取り繕いもしない。クロは長く息を吐き、ゆらゆらとし始めた。何かする気?
「ウソップ! お嬢様を連れて離れて!」
「お、おう! カヤ、それにお前らこっちだ!」
「! まさかアレをやる気か!? やめてくれキャプテン!!」
海賊たちは明らかに狼狽しやめてくれと懇願するが、クロは聞く耳を持たなかった。
「……杓死」
再びクロが消える、レーダーに意識を向けた時海賊たちから悲鳴が上がった、そして壁や地面に切った跡が現れる。どうやら無差別に攻撃を仕掛け目にも止まらね速さで周りを駆け巡る。そんな光景を見てルフィはワナワナと震え声を荒げ叫ぶ。
「なにしてんだ!! 自分から仲間を傷つけて、なにが船長だ! お前なんか海賊を名乗る資格はねぇ!!
「……ルフィ」
自分の仲間を傷つけていくクロにルフィが怒る。まだ人型になってまもないがこの状況には私も憤りを感じる。ルフィはズンズンとこちらに歩み寄ってくる、何歩目か歩いた時ルフィの肩から鮮血が散る。私のそばに来る、動き読めるか聞くもまったくと返ってきた。
「しゃがんでて、なんとかするから」
「できるのか?」
「村雨に任せなさい!」
ルフィがしゃがんだのを見て、鎖を横薙ぎに振り回す。するといきなり鎖が巻きつき始め、かなりの力で引っ張られるがこちらは人型になっているが馬力42000hpの駆逐艦、この程度なんともない。ぐいっと引っ張るとクロが完全に足を止め姿を現す。
「すっげぇな! お前俺の仲間にならないか?」
「えぇと、いや、でも……」
「俺を無視して勧誘か! この程度の拘束すぐに解いて……!」
身を捩ったりして抜け出そうとするがジャラジャラと音を立てるだけで拘束から抜けられない。ルフィは腕を後ろに伸ばし攻撃の姿勢に入っていた。
「俺の願望が! こんな奴らに!」
「ゴムゴムの! 銃!!」
バギィッと音を立て、拳がクロの顔面に突き刺さる。脳震盪を起こしたのか揺らめきながら倒れた。倒れたクロを見て、海賊たちは驚きの声を上げる。
「船長が……! あの『百計のクロ』が倒されちまった!」
「て、てめぇら、なにもんだ!」
「モンキー・D・ルフィ! 海賊王になる男だ!」
大きくそう名乗る。海賊たちは蜘蛛の子を散らすように自分たちが乗ってきた海賊船に乗り込んでいく、ルフィはクロを持ち上げ、逃げていく彼らに投げた。投げられたクロをジャンゴが受け取め船に逃げて行った。
海賊船が離れていく中、離れていたウソップたちが戻ってきた。ウソップは目をパチパチさせ目をこする。
「やっつけた……のか?」
「おう!」
ルフィが強く肯定する、それを見てウソップはヘタリと腰を落とした。よく見ればガクガクと足が震えていた、今になって恐怖がきたのだろう。ウソップに手を差し伸べようとした時、海岸からナミが大きな袋を持って上がってきた。
「大量♪ 大量♪ やつらの宝、全部奪ってやったわ!」
「酒あるか?」
「あってもあげないわよ?」
そうして、私こと村雨の初めての戦いが幕を閉じた。
◇
戦いから半日、私たちはカヤの屋敷で食事をしていた。あのまま出発しようかとも思っていたけど、招待されたからには無下にはできない。そうして食事をし、ルフィたちの目的である船がもらえることになった。
彼らの出発を見てからでもいいか、別に急いでいるわけじゃないし。というわけで彼らと一緒にメリーという執事に連れられ海岸について行った、途中ウソップはどこかへ行ってしまったが。
連れられた先に海に浮かぶ、羊の頭を模った船首飾りのキャラヴェルがあった。これが彼らの乗る船ね、なんとも私から見れば昔よねと思ってしまう。船の説明をメリーがするが、男子2人は理解してない顔をしていてナミが代わりに聞いていた。ルフィは私に近づき口を開く。
「なあ、村雨。お前、俺の……」
「うわあああああああ──! と、止めてくれぇ──!」
坂の上からなにかが転がってくる。声からしてウソップだろう、ウソップが転がり船にぶつかるコースにある。
「このままだと船に直撃するな」
ゾロ、それはウソップを心配しているの? 船を? ……まあ多分後者だろうけど。ルフィとゾロが転がるウソップを止めた、おもいきり顔に足が当たってる。
「わ、悪りぃな……」
「「おう」」
そうして3人はメリー号に乗り、ウソップはカヤとの別れの挨拶をしていた。
「今度帰ったら、ウソよりウソみたいな冒険譚を聞かせてやる!」
挨拶を済ませ、メリー号に向き直り何かを言おうとした時、ゾロがメリー号を指差し
「何やってんだ、早く乗れ」
「俺たち、もう仲間だろ?」
なにを言ってるかわからない表情をし、顔を振るう。そして決心しメリー号に駆け出す。
「船長は俺だろうな!?」
「バカ言え! 船長は俺だ!」
ウソップが乗り込みメリー号は出航していく、冒険に出ていく彼らを海岸から眺めているとカヤが不思議そうな顔をして言う。
「あなたも行かないんですか? 仲間……なのでしょう?」
「え? あの言葉、私にもかけられてたの?」
出航し離れたメリー号から大きな声が聞こえてきた。
「村雨〜! お前も一緒に来いよ〜!」
「……はあ。しょうがないわね!」
頭をかいて海に走り出す。艤装を出現させ、海に飛び込む。カヤとメリーは私の行動に驚いているが気にしない。海に浮かび進んでいく、やがてメリー号に追いついた。海の上を走る私を見てルフィは目を輝かせ手を伸ばす。その手を握り私はメリー号に乗り込んだ。4人に向き直り海軍式敬礼をする。
「改めて、白露型駆逐艦、村雨だよ! みんな、よろしくね!」
「おう! ところでさっきどうやって浮いてたんだ!?」
種子島艦長……村雨、この世界で生きていきます。
だから村雨のちょっといいとこ見ていてね……
艦これのイベント始まりましたね。私は最近復帰したので攻略出来ませんが。