第一高校生の日常   作:ジャスティスⅡ

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王者の夏休み
大会 登録編


 

 

魔法が科学的に立証され、それに伴い様々な技術が格段に進歩してはや百年・・・

 

その間にも時代の変化と共に様々な制度も変わっていき、その最たるものは教育制度であると思われる。

世界規模の寒冷化による資源と食料の減少に、それらを奪い合うように始まった第三次世界大戦により世界人口は九十億から三十億以下にまで激減し、世界は深刻な人材不足に悩まされるようになる。

 

これを解決すべく、日本では様々な分野の専門家を効率的に世に送り出す為に、高等学校から各分野の専科を作って職業選択の自由を極力守る形で子供達の将来を限定した。

例えば医者になりたければ、もう高校から旧時代の大学みたいに医学部が存在し、専攻する分野によっては通常現役卒業年齢である22歳を待たずに、医師免許の取得が可能だったりする。

 

それほどまでに教育が先鋭化された現代においても、青少年の健全な精神の育成を目的にした部活動は殆ど変わってはいなかった。

授業が終わった放課後に生徒達が集まり、共通の目的の為に努力する姿が今も多く見受けられる。

 

そう・・・大会などで自分の日頃の練習の成果を示す子供達の姿は、いつの時代も変わることはないのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

九校戦も終わり、大会に出場していた生徒達は遅まきながら、残り少なくなった夏休みを満喫し始めるのだが、魔法系の部活動に所属する者達にとっては、寧ろこれからが本番である。

 

魔法科高校というと部活動は全て魔法系のみしかないイメージがあるが、実際のところは非魔法系の部活動の方が多いのである。

非魔法系の部活動所属の生徒は九校戦期間中に全国大会が開催されていたりするので、学校が九校戦で盛り上がっている間もそんな熱気は無視して、きたる全国大会に向けて練習に励むのであるが、魔法系の部活動は九校戦が終わってすぐに全国大会が始まる為、スケジュール的にも体力的にもキツい状況で試合に望んでいる。

 

何故かというと、魔法系の部活動は全国で九校しかない為、トーナメント的に全国大会しかあり得ないという事情もあるのだが、それでも競技数は多い為に全国各地で会場を抑えなければならない事から、運営委員は関係各所との調整の為に全国を走り回らなければならない。

更に夏休みは残り二週間弱しかないので期間も限られており、酷いものだと九校戦の次の日に開会式が始まる競技もあるので、そのしわ寄せは出場する選手達にもやってくる。

 

だからなのか、例え優秀な魔法力を持っていても九校戦の出場を拒否して部活の全国大会を優先する生徒は、毎年必ず一定数存在する。

 

第一高校のマジック・レスリング部所属の生徒達の半数の生徒も、八月下旬に行われる全国大会の為に九校戦出場を拒否していた。

 

 

 

 

 

太陽の日差しが眩しく、八月も既に半分を消化し終わっている。

 

ここは都内にある巨大施設の一つである『国立ハイパースタジアム』という名の競技場である。

かつては国立競技場という、第二次世界大戦後初の日本主催のオリンピックの際に国の威信を賭けて建設された伝統ある競技場があったのだが、第三次世界大戦の際に国内でとある団体が武装蜂起した事で、反乱自体はすぐに鎮圧されたのだが都内にある結構な数の歴史ある建造物が破壊されてしまったのだ。

その後、戦後復興の一環で公共事業の一つとして改めて跡地に競技場を建設する事になり、日本最大の競技場ということもありスーパーを超えるハイパーの名が与えられたのである。

 

まぁ、そんな背景のある巨大スタジアムの前には、まるでプロレスのコスチュームみたいな変な格好の男達が、幾つかの集団となって存在していた。

そしてその中の一団には、九校戦で鮮烈なデビューを飾った我等が英雄・司波達也 (+A組三人娘) と、十山将軍ことデーモン将軍率いる半数のマジック・レスリング部の部員がいた。

 

 

 

「・・・何故、俺はここにいるんだ?」

 

「どうしたぁ〜、克人から聞いてないのか?」

 

 

 

暑さで少しげんなりとしていた達也の呟きに答えたのは、銀の鎧とデスマスクに身を包んだ第一高校マジック・レスリング部部長のデーモン将軍であった。

 

 

 

「お前はぁ〜、風紀委員であろう」

 

「・・・それが何か?」

 

「この大会にはぁ〜『特別男』こと森崎駿も出場するのだぁ〜❗️❗️ 故に、同じ一年風紀委員であるお前もぉ〜、この大会に出場する義務があるのだぁぁ〜〜❗️❗️❗️」

 

 

 

九校戦が終わった三日後に十文字克人の連絡を受け指示された場所に向かうと、待っていたのはこの銀色の巨人とそのお仲間であった。

ただでさえ疲れているのにこうして呼ばれ、更に訳が分からない理論で無理矢理出場を強制された事に怒りを覚え、思わず反論しようとした達也だったが、将軍の眼光の前に呆気なく白旗を上げる。

 

無言を肯定と取った将軍は満足したように頷きながら端末を取り出し、達也の端末に何かのデータを送る。

達也はその送られてきたデータに目を通し、そして眉間にシワを寄せる。

 

 

 

「貴様の参加で、我等は漸く五人チームが完成して団体戦に出場できるようになった。とりあえず、大会のルールと出場選手一覧が書いてあるデータを送るから、よく目を通しておけぇ〜」

 

「・・・あの、十山先輩・・」

 

「将軍 (しょうぐん) 様と呼べぇ〜❗️ 大会期間中は敵味方問わず、リングネームで呼び合うのが礼儀だぁ〜❗️」

 

「・・・将軍様、この各校の選手名簿にある『ミステリアス・パートナー』とは何ですか?」

 

「大会の慣習として、初出場の選手はミステリアス・パートナーとして登録しているぅ〜! こうすると、演出の幅が広がって色んな事が出来る」

 

 

 

それを聞いて、達也は納得する。

つまり、メンバーが足りない場合はとりあえずミステリアス・パートナーとして登録し、後から誰でもメンバーに加えられるという事である。

 

何ともいい加減なルールだと、達也と三人娘は思った。

 

 

 

「成る程。なら、この『第一高校A・B』というのは?」

 

「五人1チームで各校2チームの計18チームでトーナメントを行うのだぁ〜! このチームはAで、ロビン仮面率いるチームがチームBとして登録しているぅ〜! 正式なチーム名は入場するすぐ前に担当に伝えれば、リングアナウンサーがしっかりと発表するぅ〜❗️」

 

「大体わかりました。それで、森崎は?」

 

「森崎ではないぃ〜❗️❗️❗️」

 

「・・・特別男はどこに?」

 

「特別男はロビン仮面率いるBチームにいるぅ〜! さて、そろそろ会場入りせねばならんので、司波よ。このコスチュームに着替えるのだぁ〜❗️❗️」

 

 

 

そう言って将軍が取り出したのは、全身が青で統一された頭巾と装束に鉄製の額当てと鎖帷子であった。

というか、完全にテレビでよく見るタイプの忍び装束である。

 

 

 

「克人から聞いたが、貴様はあの高名な忍術使い『マスター八雲』の弟子であるらしいな! 故に貴様に相応しいコスチュームを用意したぁ〜❗️ よいかぁ〜? 大会期間中、貴様は悪魔魔法超人『忍者』のリングネームを名乗るのだぁ〜❗️❗️」

 

 

 

渡されたコスチューム一式を受け取り、達也はじっとそれを見続ける。

そしてある方向にチラッと視線を傾けると、そこでは雫が口元を抑えながらニヤニヤしており、深雪とほのかは申し訳なさそうにしてはいるが、やはり笑いを堪えている。

 

暫くそんな三人を見つめ続け、そして再び達也は自分の持っているコスチュームを見つめる。

 

 

 

(これを俺に、着ろと・・・)

 

 

 

達也の脳裏には、後で絶対に笑うであろう自分の体術の師匠と四葉一族の姿があったという・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一高校マジック・レスリング部出場メンバー表

 

〜チームA「悪魔騎士団」〜

・『デーモン将軍』(十山将軍) リーダー

・『塵男』(板垣ジャンキー)

・『忍者』(司波達也)

・『阿修羅男』(仏田無六)

・『太陽光』(砂川太陽)

 

〜チームB「正義軍」〜

・『ロビン仮面』(松山ロビンソン) リーダー

・『戦争男』(戦辺争太)

・『テリー男』(鈴木テリー)

・『原始男』(野島ジェロモ)

・『水牛男』(野牛丑信)

・『特別男』(森崎駿) 補欠

 

 

 

 

次回へ続く❗️




レオ「いやぁ〜九校戦は疲れたなぁ〜」

幹比古「うん、貴重な経験をさせてもらったよ」

レオ「まぁ、後二週間ちょいで課題を終わらせなきゃなんねぇと思うと憂鬱だがな? 課題免除の達也が羨ましいぜ」

幹比古「ハハ、なら僕の家で一緒にやろうか? ちょうど、これから魔法系部活動の全国大会シーズンだから、テレビでも見ながらやろうよ」

レオ「おっ、いいな! で、最初の大会はどの部活だ?」

幹比古「えぇと、確か・・・“マジック・レスリング部” だった筈だよ?」
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