第一高校生の日常   作:ジャスティスⅡ

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大会 開会編

 

 

前回のあらすじ❗️

 

 

九校戦でお疲れのところ、十文字克人の指示で向かった先にいたのは銀色の巨人・十山将軍!

 

彼の理不尽な論理により、四葉魔法師・司波達也はマジック・レスリング部の洗礼と試練により、悪魔魔法超人『忍者』として転生を果たしたのだった!

 

向かう先にいるのは、魑魅魍魎蠢く全国の様々な属性を持つ魔法超人達!

 

果たして司波達也改め、悪魔魔法超人『忍者』の運命は⁉︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(これは、想像以上に不味い・・・)

 

 

 

司波達也改め忍者は、己の今の現状を憂いていた。

青で統一された装束と額当てで身を包み、中には鎖帷子を着込んだ誰が見ても明らかな忍びと成り果てた達也は、少しでも正体露見を避ける為、鼻から下全てを隠して完全な忍びに成り果てた。

分かりやすく言うなら、頭も完全に隠したカカシ先生みたいな怪しい風貌である。

 

深雪達と別れ、将軍を先頭にスタジアム内を闊歩する第一高校マジック・レスリング部と共に歩く達也であるが、ここまで来ると覚悟が決まったのか少しばかり落ち着き、周りに気を配る余裕が現れた。

会場には、至る所に奇抜なコスチュームに身を包んだ五人組の逞しい (一部、例外もいるが) 男達がおり、大体今は自分達も含めて集団は十二、三ほどであろうか・・・

 

 

 

(まだ集まりきってないようだな)

 

「兄さん、来てたんだね!」

 

 

 

その声に将軍が振り向くと、そこにはやはり奇抜な格好の五人組の姿があった。

リーダーっぽい銀の仮面を着けた男が、親しげな雰囲気を出しながら近付いていく。

 

 

 

「白銀男か・・・。忍者よ、紹介しよぉ〜! この男は我が弟にして第二高校の三年生でマジック・レスリング部の部長の『白銀男』だぁ〜❗️」

 

「将軍様と同じ三年生、ですか?」

 

「私が四月生まれでぇ〜、弟は三月生まれなのだぁ〜❗️」

 

(俺と深雪みたいな関係か・・・)

 

 

 

達也がそんな事を考えていると、さっきまで親しげだった白銀男が将軍の姿を足から頭までじっくり見た後、少しだけ不満そうな表情 (マスクでよく分からないが) をする。

 

 

 

「・・・兄さん、まだそんな格好をしているんだね。もう『黄金男』には戻らないのかい?」

 

「これは、私の決意の証! あ奴との決別の証でもあるのだぁぁ〜❗️❗️」

 

「確かに『神男』先輩は間違っていると僕も思う・・・いや、多分僕らも含めて十人みんな心の底ではそう思っている筈だ❗️ でも、だからと言って兄さんのやり方を認める事は出来ないんだ❗️」

 

「愚かな弟だぁ〜❗️ だからお前は、完璧に代わる新しい属性として『正義』を掲げ、私は『悪魔』を掲げたぁ〜❗️ お前は見事なものだったぁ〜❗️ 我が第一高校にもロビン仮面を中心に正義が芽生え、私が見込んだ男である水牛男も正義に鞍替えしたぁ〜❗️ だが、そのような甘い考えではあ奴が唱える『完璧』の牙城を崩す事は出来ぬぅ〜❗️」

 

「僕は信じている・・・正義が、必ずこの魔法超人界を変える原動力となる事を❗️」

 

「ふん、せいぜい足掻くがよい・・・」

 

 

 

そう呟いて将軍は仲間を引き連れて白銀男の前から去っていき、白銀男はそんな将軍の背中を悔しい表情 (仮面なのでよく分からない) で見つめる。

そしてその光景を、達也は冷めた目線で眺めていた。

 

 

 

(何だ? 今の茶番は・・・)

 

 

 

これはただの魔法競技の大会の筈なのに、何故か当人達は世界の在り方を賭けたかのような悲愴感と決意を漂わせながら話していた。

そしてお互いの取り巻き達は、そんな二人を止めるどころか囃し立てつつ喧嘩を売り合っていて、一歩間違えれば場外乱闘が起こりそうな気配すら匂わせていた。

 

 

 

「将軍様、先程のは・・・」

 

「あれか? あれは一種のパフォーマンスだぁ〜❗️」

 

「パフォーマンス、ですか?」

 

「正義とは謂わばベビーフェイス、悪魔とはヒールの事をマジック・レスリング風に言い換えた言葉だぁ〜! まぁ、ヒールには他にも完璧というものもあるがぁ・・・」

 

 

 

将軍にしては珍しくはっきりしない言い方だったが、気を取り直したのか直ぐに顔を上げる。

 

 

 

「忍者よ! そろそろお前も自分の言動に気を付けるようにせよぉ〜❗️ 周りをしっかり見るがいいぃ〜❗️」

 

 

 

そう言われ、達也は辺りを見渡す・・・

会場となるホールの周りには観客席があり、席にはすでにそこそこの人数の観客が存在していた。

 

 

 

「なっ⁉︎」

 

「そうだぁ、すでに観客は我々を観ているのだぁ〜❗️ 如何に血を分けた兄弟とはいえ、悪魔である我々が正義と仲良くする姿を見せる訳にはいかぬぅ〜❗️」

 

 

 

中々のブロ意識を見せる将軍だが、達也はそれどころではなかった。

観客席の上の方に、某局のテレビカメラを見つけたのだ。

 

 

 

(全国放送だと⁉︎ マジック・レスリングは、其れ程まで人気のある競技なのか❗️)

 

「カメラが気になるのかぁ〜? 忍者よ、お前もなかなかに魔法超人としての心構えが出来つつあるなぁ〜❗️ マジック・レスリングは競技人口こそ其れ程多くはないが、一般層の人気はかなりのものがあるぅ〜❗️ 去年の平均視聴率は約32パーセントだったそうだぁ〜❗️」

 

(32パーセントだと❗️❗️)

 

 

 

つまり、ざっと日本国民の三人に一人は視聴している計算となるのだ。

これで、益々自分の正体を晒す訳にはいかなくなったと考える達也。

もしも試合中に頭巾が奪われようものなら、自分の顔が全国のお茶の間に晒されてしまう事になる。

 

しかも達也は、九校戦で顔が割れている・・・

 

“彗星の如く現れた第一高校のスーパーエンジニア”というキャッチフレーズでマスコミに紹介されている為、自分のイメージを守る為には絶対に正体を隠し通さねばならない。

 

 

 

しかし、悪い事は重なる・・・

 

 

 

「キャァァーーッ❗️ 将軍様ぁぁーー❗️・・ちょっと、何をやってますの、文弥! しっかりお腹から声を出して応援しませんと❗️」

 

「う、うん・・・分かってるよ、姉さん」

 

 

 

観客席には、声を張り上げて将軍に声援を送る黒羽亜夜子と弟の文弥の姿があった。

亜夜子達がいる一角には百人ほどの人達がおり、全員が黒で背中にデーモン将軍がプリントされた法被をきており、勿論、亜夜子と文弥も同じ法被を着ていた。

更に亜夜子はスタジアムの外で買ったのだろう、団扇やサイリウムを振り回しており、そこから余程の将軍ファンである事が伺える。

 

 

 

(亜夜子に文弥⁉︎ 何故ここに❗️)

 

「ほぉ〜、また来たのかぁ〜!」

 

「あの少女に心当たりが?」

 

「去年も来ていたぁ〜❗️ 試合後には握手とサインを書いてやったのだぁ〜❗️」

 

 

 

それを聞いて更にギョッとする達也。

これでは試合中のみならず、控え室やスタジアムの通路でも覆面を取ることは出来なくなった。

 

いよいよ後がなくなってしまい、もはや達也に残された手は殆どない・・・

 

 

 

(こうなったら、一回戦で負けて早々に退散を・・・)

 

「忍者よ! そろそろ開会の挨拶が始まるゆえ、整列をせねばならん〜」

 

 

 

将軍の言葉を聞き、達也は辺りを見渡す。

いつの間にか出場チーム、全十八組の補欠含め総勢約百人余名の男達がお立ち台の前に整列しており、達也もそれに習って第一高校Aチームの列に並ぶ。

 

開会の挨拶や選手宣誓が終わり、いよいよ試合の為のトーナメント発表かと達也が考えていると、いつの間にか今まで大会のルール説明をしていた司会者が最後の締めくくりに入っていた。

 

そしてそれが、達也を地獄の淵にまで追い詰めることとなる・・・

 

 

 

「えぇ〜・・・それでは最後に全国魔法大学付属高校マジック・レスリング競技大会運営委員会委員長の挨拶をもって、開会式を終わりたいと思います。それでは委員長、お願いします!」

 

 

 

司会者がそう言うと、舞台袖から一人の老人がお立ち台に向けて歩いて来る。

年齢は既に70〜80歳の域に入っているだろうか?

しかし、その足取りはしっかりしているどころか年齢を感じさせず、寧ろ力強い印象すら受ける。

老人でありながら顔付きは凛々しく、昔は大層な美男子であった事が伺え、更にその身体は老境に入って尚、はっきりと解る程に鍛え込まれている。

 

老人はマイクの前に立ち、威圧するような眼光で選手達を見渡した。

 

そして、その老人を見た達也は、完全に身体も思考もフリーズする・・・

 

 

 

「私は大会運営委員長であり、先々代四葉家当主の四葉元造である❗️」

 

 

 

なんと、マジック・レスリングの全国大会運営委員会のトップは達也の実の祖父である四葉元造であったのだ。

全く知らなかった事実に凍り付く達也を尻目に、元造は選手達の姿になんか満足したらしく、しきりに頷く。

 

 

 

「諸君らも知っての通り、マジック・レスリングはまだ十年程しか経っていない非常に歴史の浅い競技ではあるものの、現在ではこうしてそれぞれの魔法科高校の実力者達が名を連ねる魔法系競技の立場を確立しており、こうして全国ネットで放送されるほどの人気を得る事にも成功している!」

 

 

 

そう言って、元造は少しだけ笑う。

すると選手達の間に、少しばかり弛緩した空気が流れ出したのを達也は感じた。

 

そしてそれは、元造も同じだったのだろう・・・

 

 

 

「ヌルいわぁぁーーーーッッ❗️❗️❗️」

 

 

 

元造の一喝が、会場中に響き渡る。

 

 

 

「貴様らぁぁーーっ❗️ 今の言葉の何処に安心出来る所がある? 人が衰える時とは戦いをやめたときなのだぁ❗️❗️ この大会に参加した以上、一瞬たりとも安心できる時間は無いと思えぇぇーーーっ❗️❗️ 全ての試合のコンマ一秒たりとも気も力も抜く事は絶対に許さぬ❗️❗️ もし、無気力試合のような巫山戯たものが確認されたならば、その選手はすぐに失格処分とし、その素顔をテレビカメラの前で晒して謝罪させるので、皆は持てる力の全てを出し尽くして試合を行うように❗️ これにて、大会運営委員会の警告を持って挨拶は以上となる❗️ 皆の者、励むがいい❗️❗️❗️」

 

 

 

運営委員長・四葉元造の挨拶に会場中がヒートアップし、特に選手達はみんなが右腕を突き上げて元造を讃える。

 

しかしその中で達也だけが呆然としたように、今だお立ち台の上から腕を上げて声援に応える元造を見つめていた。

これで、達也は一回戦でわざと負ける事が出来なくなった。

もしわざと負けようとした事がばれてしまえば、最悪、この頭巾と覆面を奪われて自分の素顔が全国に流れてしまうのだ。

 

 

 

全く意図されていなかった四葉家の影響によって後が無くなった達也には、トーナメントを勝ち進む道しか残されていなかった・・・

 

 

 

続く❗️




〜吉田家〜

レオ「おっ、ちょうど開会式か! 今年の委員長の挨拶もキレキレだなぁ」

幹比古「まぁ、マジック・レスリングの競技内容を考えたら、あのくらい苛烈な方が受けはいいかもね?」

レオ「しっかし、マジック・レスリングの大会運営委員のトップが四葉家の元当主とはねぇ・・・。アンタッチャブルとか言われてっけど、以外とノリはいい一族なんかねぇ?」

幹比古「ハハ、そうかもね・・・っと、一回戦の組み合わせが発表されたみたいだよ? どれどれ・・・うちの最初の試合はどうやら第二試合で、第一高校Bチームからみたいだ。AチームはBブロックのシードだから、出番は二回戦からだね!」

レオ「いきなりBかぁ〜、こりゃ見ものだな❗️」
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